儀間光男の発言 (本会議)
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○儀間光男君 皆さん、おはようございます。維新の党の儀間光男でございます。
私は、維新の党を代表いたしまして、中谷防衛大臣への問責決議案への賛成討論を行いたいと思います。
中谷防衛大臣、あなたは、既に集団的自衛権の限定容認が閣議決定された後の昨年十二月に防衛大臣に就任されたのであります。まさに、政府の安全保障法制の成立を担うために起用されたわけであります。国家国民の命運を大きく左右する法案ですから、中谷大臣の責任もおのずと重要なものであるはずであります。そして、五月から法案の審議が始まりましたが、中谷防衛大臣、あなたの安保法制に関する答弁や発言は、残念ながら国民の不安と不信を増幅するものでありました。
衆議院での審議は、中谷大臣の、武力行使と武器使用の区別が付かないなら議論はできないとの答弁をし、質問者に陳謝することから始まりました。それは、いみじくも、我が維新の党の前幹事長柿沢未途議員に対する答弁でありました。
参議院の審議に入っても、不安定で矛盾した答弁が続きます。
米軍行動関連措置法改正案における自衛隊の安全確保措置については、一旦、安全確保に必要な措置は法案に明記されていると答弁した後、質問を受けるたびに、規定はない、必要な措置を盛り込むと、答弁が二転三転し、審議が紛糾いたしました。
防衛省の内部資料に、南スーダンPKOの活動で、来年二月にも駆け付け警護を始めるという、法案内容を先取りした想定が明記されていた問題について、中谷大臣は、必要な分析、研究を行ったものだと釈明をしておりますが、分析、研究の範囲を逸脱しているのは明らかであります。大臣のおっしゃった、国会の審議中に法案の内容を先取りするようなことは控えなければならないとした以前の答弁とも矛盾をするものでございます。
劣化ウラン弾の輸送については、当初、自衛隊が米軍に対する後方支援として劣化ウラン弾を輸送しないことを米側と協議していると説明をいたしましたが、その後、協議は実はしていない、非常に不正確な答弁だと撤回し、これでは国会の場で完全に虚偽の答弁をしていると言われても仕方のない答弁であります。
そして、九月十四日の集中審議では、法案が成立したら内容を把握して検討すると、法案成立ありきを公言いたしました。まさに本末転倒の答弁。これでは、一体何のための国会審議なのか、全く看過するわけにはまいりません。
理解不足のために目まぐるしく変わる答弁、矛盾した答弁、虚偽の答弁、そして国会審議自体を否定するかのような答弁。中谷大臣の答弁のために一体何十回審議が止まったのでありましょう。審査中でも答弁補助者からレクチャーを受けなければ答弁に立てないのでは、失礼を顧みず言わせていただくならば、とても大臣の資格があるとは思えません。
そして、安保法案自体の理解が不十分であるだけでなく、基本的な憲法原理についても認識が不十分で、大臣として明らかに見識が不足していることも露呈をいたしました。
まず、文民統制についての認識であります。
防衛省設置法を改正し、防衛省の官房長及び局長が幕僚長より優位に立つ文官統制の根拠とされてきた規定を見直した際の会見で、中谷大臣は、これにより文民統制、つまりシビリアンコントロールの強化につながるという認識を示しました。文官統制の見直しが国会や内閣による文民統制の緩和につながり、国民の自衛隊に対する信頼が大きく揺らぐようなことがあってはならないと危惧されているときに、大臣がこのような認識でよいのでしょうか。軍部の台頭を追認する形で後戻りできない戦争になだれ込んだ過去の歴史を繰り返さないよう、戦後一貫して守られてきた我が国の厳格過ぎるほど厳格な文民統制、これを何としても堅持するという矜持があるのか、疑問を持たざるを得ません。
次に、法案の憲法適合性に関する認識です。
今回の安保法案が、専守防衛の理念の下、戦後一貫して積み上げてきた憲法解釈に照らし、違憲性の疑いが極めて濃厚な法案であるというのは、もはや動かし難い事実になりつつあります。
六月四日の衆議院憲法審査会で、自民党推薦の長谷部恭男先生を始め、小林節先生、笹田栄司先生という日本を代表する憲法学者三人がそろって憲法違反と断じ、引き続く六月二十二日の衆院特別委員会の参考人質疑では、内閣法制局の歴代長官である阪田雅裕氏、宮崎礼壹氏も違憲性を次々に指摘されました。
実際に政府内で憲法の解釈をつかさどってきた内閣法制局長官経験者の違憲の指摘に対して、政府・与党は、合憲性の最終的な判断権を有するのは最高裁だと反論してきましたが、今やその最高裁長官経験者までがついに集団的自衛権の行使を認める立法は憲法違反と言わざるを得ないと明言するに至っております。これに対し中谷防衛大臣は、現役を引退した一私人の発言であると切って捨てました。最高裁でも、これらの専門家と基本的に同じ憲法理論で判断する以上、これらの専門家の意見を一顧だにしない姿勢はもはや憲法軽視と言わざるを得ません。
さらに、中谷大臣の立憲主義の理解には重大な疑義があります。大臣は、六月の衆議院での安保法案の審議において、現在の憲法をいかに法案に適用させればいいかという議論を踏まえて閣議決定したという実に驚くべき発言をしておられます。法律によって憲法解釈を変える、あるいは憲法を骨抜きにすることを閣議決定の前に話し合っていたと、防衛大臣自らが堂々と国会で公言したわけであります。これでは、憲法と法律の優劣が逆転してしまうことは誰の目にも明らかであります。憲法九十八条が規定する憲法の最高法規性、憲法九十九条の国務大臣の憲法尊重擁護義務、そして、これらの背景にある立憲主義の原理への理解が全く欠落しているとしか思えません。憲政史上最悪の発言と言っても過言ではありますまい。
このように中谷大臣は、先人たちが多くの血と汗と涙を流して確立した文民統制や立憲主義など、不断の努力で積み上げられてきた憲法理論を軽んじ、違憲の法案を制定しようとしております。我々といたしましても、このまま立憲政治が汚されてよいのか、戦後、今ほど議会人として矜持が問われているときはないと思っております。
中谷大臣の憲法原理への無理解や国会審議に対する不誠実な姿勢は、国民の理解度に関する世論調査にも表れております。審議入り時点の五月の産経新聞世論調査では、政府提出の安全保障関連法案について、よく理解しているとある程度理解しているの合計が五三・五%。さらに、参院での審議が進む中で、直近の八月の同社の世論調査では、よく理解しているとある程度理解しているの合計が四八・三%。上がるどころか五ポイント以上も落ちてしまったのです。
安保法制の国民の理解は深まっておらず、安倍政権、中でも中心となって答弁してきた中谷防衛大臣が果たすべき説明責任を果たせなかったことは明らかであります。
今回の安保法案は、日本の自衛隊が海外の戦地やその周辺で武力の行使や武器の使用に及び、他国民を軍民問わず殺傷したり、反対に隊員自らが危害を加えられたりする、そうした可能性を持った法律であります。
このような日本の平和主義を根底から揺るがしかねない可能性を持つ法律の運用に当たるのが……