山下芳生の発言 (本会議)

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○山下芳生君 私は、日本共産党を代表して、安倍首相問責決議案に断固賛成する討論を行います。
 問責決議案に賛成する第一の理由は、安倍首相が、憲法九十九条によって課せられた憲法を尊重し擁護する義務をないがしろにし、憲法を憲法でなくする暴挙にひた走っているからであります。
 戦争法案の中身は、戦闘地域での米軍への兵たん、戦乱が続く地域での治安維持活動、地球のどこであっても米軍を守るための武器使用、そして、日本が攻撃されてもいないのに、アメリカ及び第三国に対する武力攻撃に対処するために武力の行使をする集団的自衛権の行使など、全て憲法違反であることは明白であります。
 憲法学者の大半、歴代の内閣法制局長官、そして首相が最終的な憲法判断をすると公言した最高裁の元長官までもが憲法に反すると断じました。山口繁元最高裁長官は、集団的自衛権は憲法違反という解釈は、単なる解釈ではなく規範へと昇格しているのではないか、九条の骨肉と化している解釈を変えて集団的自衛権を行使したいのなら、九条を改正するのが筋だと、安倍政権による憲法解釈の大転換を厳しく批判いたしました。総理はこの批判を退官した一私人の発言として切り捨てましたが、余りに傲慢不遜と言わなければなりません。
 加えて、山口元最高裁長官は、腑に落ちないのは、肝腎要の日米安全保障条約についての議論がこの間ほとんどされていないことだ、条約五条では、日本の領土、領海において攻撃があった場合には日米共同の行動を取るとうたわれている、米国だけが集団的自衛権を行使して日本を防衛する義務を負う実質的な片務条約です、日本が米国との関係で集団的自衛権を行使するためには条約改定が必要で、それをしないで日本が米国を助けに行くことはできないと明言されています。まさにこのとおりです。
 憲法を踏みにじり、安保条約の枠まで踏み越えて、アメリカと一緒に海外で戦争をする国へとひた走る首相の暴走を到底認めることはできません。
 第二に、しかも、こうした憲法違反の重大な法案を強行するために、国民に真実を隠す欺瞞的な答弁を繰り返してきた安倍首相の姿勢も重大です。
 首相は、戦争法案の柱である集団的自衛権の行使を必要とする理由として二つの事例を挙げました。
 一つは、紛争地から避難する日本人の母親と乳児を輸送する米艦船の防護です。首相は、この船に乗っている子供たちを、お母さんや多くの日本人を守ることができない、この現状から目を背けていいのかと繰り返しました。しかし、この説明は偽りでした。中谷防衛大臣は、米艦船の防護には邦人が乗っているかどうかは絶対的なものではないと述べたのであります。
 もう一つは、ホルムズ海峡での機雷除去です。首相は、ホルムズ海峡が機雷で封鎖されたら、人が亡くなる、大変寒い時期には家や人を暖める器具が停止する危険性もあると述べ、自衛隊による機雷除去の必要性を強調していました。ところが、今になって、現在の国際情勢に照らせば、現実の問題として機雷による封鎖が発生することを具体的に想定しているものではないと認めたではありませんか。
 首相が集団的自衛権を必要とする根拠として挙げた主要な事例が二つとも真実でなかったことが明らかになったのです。ならば、廃案にする以外ないではありませんか。
 こうした手法は戦争法案に限ったことではありません。労働者派遣法改悪にも同様の手口が取られました。
 派遣法改定の中身は、これまで派遣労働はあくまで一時的、臨時的な働き方だとしてきた原則を崩し、派遣先が期間制限を事実上受けることがなく、いつまでも派遣労働者を使い続けることができるようになる、派遣労働者に対する派遣先からの直接雇用申込義務をなくし、新たに施行される派遣先へのみなし雇用措置も形骸化させるというものでした。にもかかわらず、首相は、派遣労働者の正社員化を進める法案だと言い続けたのであります。
 憲法、労働法の根本である直接雇用の大原則を欺瞞的手法で崩壊させることは断じて認められません。このようなやり方で、国民多数の願いと根本的に矛盾する、アメリカにどこまでも追随し、大企業の利益に奉仕する政治を進めることは許せません。
 第三に、安倍首相が国民の批判に一切耳を傾けない民主主義否定の姿勢を取り続けていることです。
 肌寒く降り続く雨の中、連日、数万の人々が国会を取り囲んでいます。八月三十日には十二万人を超える空前の人波で国会周辺は埋め尽くされました。国会だけではありません。百を超える大学で戦争法案廃案のための有志の会がつくられ、全国至る所で、これまで声を上げることが少なかった芸能界の人々、作家、SEALDsなどの青年からMIDDLEs、ママの会など幅広い年齢層の人々が、一人一人、個人として声を上げ、これまで誰も見たことのなかったような無数の集会が開かれ、戦争法案の廃案、憲法守れのコールを響かせています。
 今国会での成立に反対の声は、どの世論調査を見ても国民の六割以上に達しています。首相は、参議院での審議入りに際して、丁寧に説明して理解を得ると言いましたが、審議を重ねれば重ねるほど法案成立に反対の声が広がるばかりであります。与党は二百時間以上の審議を理由に採決を強行しましたが、二百時間の審議をもってしても、国民が納得するどころか一層の批判を浴びることになったのであります。
 国民主権の原則、民主主義の原則に立てば、法案の撤回こそが安倍政権の取るべき選択であることは明らかであります。それを首相は、成立し、時が経ていく中において間違いなく理解は広がっていくと言い放ちました。国会審議を通じて国民を納得させられなかった者が、法案を強行、既成事実化し、いずれは分かるとうそぶく、これほど国民を愚弄する政治はありません。
 民意を無視した首相の居丈高な態度は安保法案だけにとどまりません。国民多数が反対していた九州電力川内原発を反対の声を押し切って再稼働させました。辺野古新基地建設反対という幾度も選挙で示された沖縄県民の総意に、集中協議期間と称して、あたかも耳を傾けるかのようなそぶりを見せながら、期間が終わるや否や埋立工事を再開しました。まさに民意無視、問答無用の態度と言わなければなりません。国民多数の声からどんどん遠ざかる政治に未来はありません。
 最後に、首相に、戦争法案に反対する国民世論の大きなうねりの象徴ともなったSEALDsに参加する女子学生が国会前で行ったスピーチを紹介します。
 今の私たちにとって安倍さんが一番の脅威です。あなたの横暴によってどれだけの人が悲しんでいるか、首相に言いたい。私は、殺すためではなく、より良く生きるために生まれてきたんです。奨学金で何百万円という借金をしながら、私は何を学んでいるのか、それは抑圧者の権力と闘い、争う知性です。安倍さんは喜ぶべきです。この国には、知を身に付け、権力に隷属しない、批判的な思考力を養う多くの学ぶ者がいることを。私たちは権力に対する沈黙を破ります。安倍さんにとっては存立危機事態かもしれませんが、それは良いことだと思います。
 ここにこそ未来があります。同様の思いを募らせ行動するあまたの若者、国民とともに安倍首相問責決議案に賛成することを表明し、討論を終わります。(拍手)

発言情報

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発言者: 山下芳生

speaker_id: 9284

日付: 2015-09-18

院: 参議院

会議名: 本会議