武見敬三の発言 (予算委員会)
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○武見敬三君 総理、そのまさに健康というのが平和主義の一つの基本的な政策概念にもなる人間の安全保障の中で一つの中核的な価値を構成しているという点については、およそ御理解がいただけた御答弁だったと思います。
その上で、この健康の分野を見てみますと、今総理が御指摘になられましたように、健康寿命というのは日本は男女共に世界で一位ですよ。それから、平均寿命は女性は長年ずっと世界で一位ですし、男性も世界のトップランクにある。そういったまさに世界でも比較優位性の高い大きな成果を日本はこの分野の中で持っております。それを実践することができたのも、やっぱり医療制度が良かったからだと私は思います。
これは総理のおじい様の岸信介さんのときに、これは一九五八年だったと思いますけれども、健康保険法の改正とか国民健康保険法の改正、それから年金法の改正というのをおやりになって、そして一九六一年に国民皆保険とか国民皆年金というのが同時に実現をしました。そしてまた、それまでの経済の十か年計画みたいなものはいずれも経済成長だけが目的だったんですけれども、改めて経済十か年計画の目標の中に国民の所得というのも組み込まれて、そしてこの考え方が次の内閣で所得倍増計画となりましたけれども、その基本をつくったのは実は岸内閣でした。
こうしたことを通じて実は政府の中にしっかりとした所得の分配機能というものをつくり上げて、そして見事に高度経済成長時代の前にそうした仕組みをつくり上げておいたことで、我が国は経済が成長しても国民の所得格差はむしろ縮小したということを実現しました。今、中国だとかブラジル、ロシア、いろんな国見ていますと、全部、経済は成長しても国民の所得の格差が広がって、それが深刻な問題になって、政治的にも非常に不安定な状況をつくり出すことさえもあったけれども、日本は見事にこうした経済成長と所得格差の抑制というのを成功させて、そして安定した、そして健康で教育レベルの高い中産階級社会づくりをつくり上げることに成功したわけです。
こういうようなことを通じて、改めて見たときに、国民皆保険制度、これはユニバーサル・ヘルス・カバレッジの基本になりますけれども、この国民皆保険制度というのが、当時、実際には年金制度ができたとしても余り高齢者いませんでしたし、それから所得税の累進課税率を七五%に引き上げても余りお金持ちいなかったし、余りそういうので所得分配機能もありませんでしたから、実はこの医療保険制度というのが政府の所得分配機能の七〇%以上を占めていた。したがって、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの基本を構成するこの医療保険制度というのは、ただ単に所得の低い人も安心して医療にアクセスすることができるということだけじゃなくて、同時に、その国の所得の分配を促進させることによって所得格差というものを抑制する効果を持って、それによって社会を安定させる装置にもなるんだということが日本の経験は明らかにしていると思います。
したがって、国民健康保険を基本とするようなこのユニバーサル・ヘルス・カバレッジという、これはもう誰でもが自分で負担可能なコストで、予防を含む、そして適切な医療を受けることができるというのがユニバーサル・ヘルス・カバレッジのまさに定義で、日本はそれを一九六一年ぐらいに達成をして、もう五十年以上たっている。
この経験というのをまさにこれから国際社会の中できちんと政策として発信をして、世界の特に途上国の人たちの健康改善にも、また途上国における政治、社会の安定にも大きく貢献していくというのは、私は日本の積極的平和主義の具体的展開になるだろうと思うんですけれども、この点に関する総理の御所見を伺わせてください。