末澤豪謙の発言 (財務金融委員会)

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○末澤参考人 おはようございます。SMBC日興証券の末澤でございます。よろしくお願いします。
 私からは、足元の経済金融市場の動向と特例公債法に関する私の考え方を申し上げたいと思います。
 それでは、こちらの「経済・金融市場の動向と特例公債法」と題されました資料をごらんいただきたいと思います。
 一ページをおあけいただきたいと思います。二〇一六年、ことしの世界経済でございますけれども、これは、リーマン・ショック、二〇〇八年九月でございますが、その後を底とした緩やかな景気回復局面が続くと見込まれます。ただし、二〇一五年以前と比べますと、相当リスク要因は増加しているというふうに認識しております。具体的には、資金のシフト・偏在リスク、新興国リスク、中国リスク、地政学的リスク、気候変動リスク、政治リスクなどなどが挙げられます。
 こうした中、経済動向に先行性のある金融市場では、変動率が一段と拡大する可能性が見込まれます。実際、年明け後、相当金融市場が荒れているのは御案内のとおりでございますし、先週末に開催されましたG20でもこのあたりが言及されておるわけでございます。
 次の三ページ目でございます。では、ことしどういった経済成長が見込まれるかということで、これは最も権威があるとされますIMF、国際通貨基金が一月十九日に発表した見通しでございますけれども、二〇一六年の世界経済はプラス三・四%成長、これは三カ月前、十月の見通しに比べまして〇・二ポイント下方修正されています。
 ここでちょっと色をつけておりまして、下方修正された国を青色、上方修正された国をピンクとしておりますけれども、大半の国が下方修正され、特に資源国が相当下向きに下方修正されているのはおわかりかと思います。これは、中国の景気減速、資源安の影響が大きい、また、米国の利上げが新興国等に悪影響をもたらしているということでございます。
 一方、四ページでございますけれども、これは二〇一三年以降の各国通貨の対円レートの推移ということでございまして、わかりやすくするために、上に行くと円安、下に行くと円高ということでございます。
 二〇一四年ごろまでは、全ての国の通貨について日本円は大体売られておった、円安だったわけですけれども、二〇一四年に米国の量的緩和の縮小がスタートし、その後それが終了、昨年末には利上げに転じる中、むしろ最近は円高が進んでいる。特にこの年明け以降は相当急激な円高が進行しているということはこのグラフからもおわかりかと思います。
 続きまして五ページでございます。済みません、ちょっとこのあたりは早送りでやらせていただきます。
 各国株価の推移でございますけれども、これをごらんいただきますと、二〇一三年一月を一〇〇として、その後の展開を御説明させていただくと、実は昨年、二〇一五年の前半までは主要国全ての株が大体上がっていたんですね、資源国は別でございますけれども。ただ、アメリカの利上げ観測が高まって以降下落に転じ、特に中国株の下落が、昨年の八月、ことしの一月に世界の株式に相当大きな影響を与えているということがおわかりかと思います。ただ、この中のオレンジ色、これは日本株でございまして、パフォーマンスはまだいいんですね。
 ただ、六ページをごらんいただきますと、日本株は誰が買っているか。左上のグラフでございますけれども、バブル崩壊後、最も買っているのは海外投資家、今やもう三分の一は海外投資家が持っています。特に、右上でございますけれども、二〇一三年は十五兆円の買い越し、これが最近急激に減っておりまして、むしろ年明け以降は売り越しに転じているということでございますから、やはり海外の経済金融市場の動向は日本にも無縁ではないということでございます。
 八ページ、ここからは、リスク要因につきましてちょっと具体的に申し上げます。
 この八ページのグラフ、日米欧の長期金利の推移でございますけれども、全般的にごらんいただくと、欧州財政危機に揺れた二〇一一年、一二年は、イタリア、スペイン、フランスといった国の金利は上がりましたが、足元は相当急低下しているということがわかります。これは、特にECB、また日本の追加緩和等の影響が大きい。
 ただ、九ページでございますけれども、昨年来、日米欧で金融政策の方向性に相当差がある、むしろ方向が逆向きの動きも出ているということであります。
 日本、ユーロ圏で追加緩和、マイナス金利政策が導入される一方、米国では昨年十二月に、九年半ぶり、利上げ転換という面では十一年半ぶりの利上げに転じております。また英国も、これは動いてはおりませんが、方向としては利上げ方向にあるということで、ことしは日、ユーロ圏と米英で金融政策の方向性が異なり、これが、やはり政策協調が困難となる可能性を一つ示唆しているということかと思います。
 十ページでございますが、原油価格は、この右上のグラフをごらんいただきますと、青いグラフでございますが、二〇一四年の秋以降、相当急激な下落が続いております。この背景には、左に書いておりますように、シェール革命の影響、また中国の需要減退、米国の原油輸出再開、イランに対する経済制裁解除、OPECの価格調整能力の欠如、米利上げ、ドル高、またエルニーニョ現象による暖冬等が指摘されております。
 最も影響の大きいのが、十一ページでございますけれども、やはりアメリカのシェール革命の影響。これは左上のグラフをごらんいただきたいんですが、青色の折れ線、これがアメリカの原油輸入をあらわしておりまして、二〇〇六年をピークに今や三分の二の水準に減少。一方、赤色の折れ線、これは生産でございますが、こちらは逆に倍になっているわけですね。やはりこのシェール革命の影響が二〇〇六年以降、相当じわじわときいて、それが特に二〇一四年秋以降、顕在化している。そういう意味では、これは相当構造的な問題であるということが言えようかと思います。
 十二ページでございます。中国の問題ですね。
 中国は、先般、昨年のGDP実質成長率を六・九%と発表しました。これは一九九〇年以来の低水準ではありますが、GDP第二位の国としては極めて高成長と言えます。
 この折れ線のとおり本当に動いているのであれば、実は心配することはないと思いますが、ただ、金融市場等が気にしていますのは、右上でございますが、中国の外貨準備が二〇一四年六月をピークに、四兆ドルから三兆二千億ドル、一挙に一年半で八千億ドル、日本円にしますとこれはもう百兆円近い減少を示しているということなんですね。この間、中国は経常収支が黒字ですから、これはややおかしな現象でございます。
 実は、似たようなグラフが下にございまして、マカオのカジノ収入、これはちょうど二〇一四年の年央がピークでございます。また一方、これは八項規定精神違反件数と書いておりますが、いわゆる中国の反腐敗運動ですね。この影響が二〇一四年に相当進行しているということでございますと、やはり中国の問題も相当構造的と考えるべきであります。ただ、構造改革を進めるということは極めて重要ではありますけれども、そういう意味では中国の問題も一朝一夕にはなかなか解決しないということかと思います。
 十三ページでございます。これは、WEFという、ダボス会議で有名な会議の資料をお出ししておりますけれども、このダボス会議は、毎年一月にグローバルリスクレポートということで、ことしのリスクは何だということを発表しております。
 昨年は、左側のグラフでございまして、オレンジ色が多いですね。オレンジ色というのは地政学的リスク、戦争、紛争リスクでございます。一方、右側です。これはことしなんですが、ことしは緑色が多くなっています。これは環境リスクですね。ことしをとってみると、世界の経営者、エコノミストの多くが気候変動リスクを相当認識しているということがこのグラフからもわかります。
 十四ページ、リスクの最後でございますけれども、これはアメリカの大統領選です。きょうは詳しくは御説明しませんが、やはり大混戦であり、事前予想とは相当異なる展開にあるということで、これから、今週、スーパーチューズデーを控えております。また、七月の民主党、共和党の全国大会でどういった顔ぶれが最終的に選出されるのか、このあたりを市場としては相当気にしているということを御指摘したいと思います。
 十五ページ、十六ページに行っていただきます。このあたりはハイスピードで申しわけございません。
 十六ページでございますが、日本の国債市場と財政問題でございまして、日本の長期金利、ここでは九八年以降をお出ししておりまして、基本的には一%台の低位安定が続いておったんですが、二〇一三年四月の異次元緩和、二〇一四年十月の追加緩和以降、一段と金利が低下しておりまして、特に年明けのマイナス金利政策導入後は、これはちょうど先週末でございますけれども、長期金利がマイナス〇・〇七五%、過去最低の金利をつけております。
 そういう意味では、このあたりを見る限り、余り財政の問題は支障がないように思われるんですが、ただ、十七ページをごらんいただきますと、これは各国の財政収支と政府債務残高の推移でございますが、フローベースで見ても先進国で日本は最悪の水準でございますし、ストックベースの債務残高で見ると、これはグロスの残高ではございますが、むしろギリシャをしのぐ多さであるということで、日本の財政問題は解決されたわけではない。私は、これから五年後、十年後を展望しますと、日本の財政問題はより深刻化するのではないかと考えております。
 十八ページでございますが、私は、昨年二〇一五年を実は少子高齢化本格化元年と申し上げております。これはどういう意味かといいますと、団塊世代の方々が昨年末に皆さん六十五歳以上になられました。一方で、団塊ジュニアの世代の方々、この方々も昨年末でちょうど四十歳以上に上がられたわけです。そういう意味では、今後、これから五年後、十年後を展望しますと、一段と少子高齢化問題が深刻化し得るということを御指摘したいと思います。
 次のページ、十九ページでございますが、そうすると、いろいろな問題が多分顕在化してくる。日本はよく、社会保障につきましては低負担・中福祉ということが言われております。十九ページのグラフは、右横軸に国民負担率、縦軸に政府の社会保障支出をとっておりますが、高負担・高福祉の代表国はデンマーク、低負担・低福祉の代表国は韓国でございます。実は、この線を結んでいただいて、この二国を結んだ線の一番上にあるのが日本になるんですね。つまり、日本は負担に比べて受益が現状では最も多いということになっています。これはやはり過去の人口ボーナスの反映でございますが、今後は、日本の人口動態を考えるとむしろ人口オーナスなんですね。今度は逆のことが起こり得る。
 これは年金の問題でございますが、二十ページの右下をごらんいただきますと、もう一つ高齢化に伴った大きな問題が発生すると見込まれるのが、医療費と介護給付費の増大ですね。現時点で、六十四歳以下と七十五歳以上の国民医療費は約五倍の差があります。ただ、最も大きな差があるのが介護給付費でございまして、こちらは、六十五歳以上七十四歳以下と七十五歳以上、実はそんなに世代の差はないんですが、ここで九倍の格差がある。これはなぜかと申し上げますと、この真ん中でございますが、平均寿命と健康寿命の格差は、男性で大体九歳、女性だと大体十一歳ある。ですから、七十歳代になるとむしろこの高齢化の問題がより深刻化するということでございます。
 最後に、二十一ページから御説明させていただきます。今回の特例公債法案に関する私の考え方でございます。
 私はこの債券市場にもう約三十年おりますけれども、二〇一二年には、実は特例公債法案の成立が相当おくれました。これは、やはりねじれ国会にあったことが背景なんですが、その結果、建設国債、借換国債、復興国債、財投国債の発行がほぼ終了し、残りは特例公債のみとなったんですね。その結果、間もなく国債の発行が停止されるという寸前に、十一月、追い込まれました。また、その間、特別会計への一般会計繰り入れの一部停止、地方交付税の配分抑制、補助金の一部停止等も実施されました。
 その後、最終的には特例公債法案は成立したわけでございますけれども、仮に国債の発行が停止されると、金利は一旦急低下した可能性が見込まれます。ただし、その後は今度増発しませんといけませんので、金利が急上昇し、これによる変動率の拡大が、今の金融機関さん等のリスク管理上は、一段の金利上昇をもたらす可能性があった。また、国債の格下げリスクも増大すると見込まれまして、これは実際、その後、日本国債の格付は一段と低下したということでございます。
 二十三ページでございますが、同じような状況がより深刻化して具現したのが米国でございます。
 米国は、二〇一〇年に中間選挙がございまして、ここでティーパーティーが台頭するわけでございますが、その後、与野党の対立が深刻化しまして、二〇一三年初頭には、いわゆるフィスカルクリフの問題がございます。また、二〇一三年九月には、暫定予算が通らずに、十八年ぶりにガバメントシャットダウン、政府機関が閉鎖され、それこそ自由の女神に上れないと小さい少女が泣いている映像がテレビに映ったわけでございます。
 また、これは最近の状況でございますが、昨年は短期の暫定予算が二回編成され、暫定予算だけで三回、本予算は四回ということになっています。
 また、債務上限、デットシーリングの問題、これは今回の日本の特例公債法にやや近い問題でございますが、米国では九十五回債務上限が変更されているんですが、二〇一一年八月には、米国債の格付が、デットシーリングの引き上げおくれによって引き下げられております。
 ただ、最近は、与野党の対立で債務上限の引き上げすらできない。なぜかといいますと、債務上限を引き上げようとすると、新しい上限を決めなきゃいけないんですね。その新しい上限を決められないということで、最近は一時的な債務上限の撤廃が恒常化しているということでございます。実際は、昨年も、約八カ月間新たな資金調達ができない状況になっています。
 ただ、昨年十一月に超党派予算法というのが成立しまして、今回は、来年の秋ごろまで約二年間、米国の資金繰りが安泰になるような法律が通っておりまして、そういう意味では、米国も、与野党の対立が深刻化する中、今度は財政問題について少し棚上げしようという動きが最近は出ております。
 最後に、二十四ページでございます。
 今回の法案につきまして、五年間、特例公債の発行を可能とすることでございまして、これはむしろ単年度立法による財政規律を維持すべきだという考え方もあろうかと思います。
 ただ、今回、経済・財政再生計画で、二〇二〇年度までのPBの黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引き下げを掲げておるわけですね。かつて、一九七五年十二月三日に、当時の大平大蔵大臣が衆議院大蔵委員会で、こちらの委員会でございますが、答弁されている。ちなみに、大平元首相は、私の郷里、四国の香川県の大先輩でございますが、大平大臣は単年度にすべきだとおっしゃったんです。そのときは当然、赤字の水準も低い、近い将来に特例公債からの脱却が見通せるという状況でございましたが、今回はそういう状況ではないということでございます。
 また、国会の審査につきましては、具体的な特例公債の発行総枠は各年度の一般会計予算総則に明記し、国会審査を経るという手続がございます。
 仮に、二〇一二年のように特例公債法案の成立がおくれますと、国債の発行が停止し、また、一般会計から特別会計への繰り入れや地方交付税交付金の配分、補助金の支給の停止等が発生する。こういうことになりますと、日本経済や国民生活にも多大な影響が及びます。
 また、国債の発行停止、増発や公的年金資産の売却等により、金融市場が混乱する可能性もございます。仮に一段と国庫が枯渇すれば、それこそ、物品購入費や電気、水道代、派遣社員費用の支払い遅延、国会議員の皆さんの歳費や公務員の給料の支払い遅延の可能性も想定され、二〇一三年に米国で起こったような、日本版ミニガバメントシャットダウンの様相を呈することも否定できないということでございます。
 そういう意味では、経済・財政再生計画で掲げられた、国と地方のPB赤字の二〇二〇年度黒字化を着実に達成し、また、その後の債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを実施する、この計画を具体的にきちっと遂行していくこと、これが重要だと考えておりますし、より長期的には、財政健全化には、成長戦略とともに歳出歳入改革が極めて重要であるというふうに私は認識しております。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

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発言者: 末澤豪謙

speaker_id: 12890

日付: 2016-02-29

院: 衆議院

会議名: 財務金融委員会