財務金融委員会
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会
会議録情報#0
平成二十八年二月二十九日(月曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 宮下 一郎君
理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君
理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君
理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君
理事 古川 元久君 理事 伊藤 渉君
青山 周平君 井林 辰憲君
岩田 和親君 越智 隆雄君
大岡 敏孝君 大串 正樹君
大野敬太郎君 大見 正君
勝俣 孝明君 神山 佐市君
工藤 彰三君 國場幸之助君
新谷 正義君 助田 重義君
鈴木 隼人君 瀬戸 隆一君
高橋ひなこ君 武井 俊輔君
中山 展宏君 長尾 敬君
根本 幸典君 野中 厚君
福田 達夫君 宮川 典子君
務台 俊介君 宗清 皇一君
山田 賢司君 落合 貴之君
玄葉光一郎君 小宮山泰子君
階 猛君 鈴木 克昌君
前原 誠司君 宮崎 岳志君
鷲尾英一郎君 上田 勇君
斉藤 鉄夫君 宮本 岳志君
宮本 徹君 丸山 穂高君
小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣政務官 大岡 敏孝君
参考人
(SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長)
(金融財政アナリスト) 末澤 豪謙君
参考人
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員) 片岡 剛士君
参考人
(静岡大学名誉教授) 安藤 実君
参考人
(慶應義塾大学経済学部教授) 竹森 俊平君
参考人
(中央大学法科大学院教授) 森信 茂樹君
参考人
(全国商工団体連合会副会長) 太田 義郎君
財務金融委員会専門員 駒田 秀樹君
—————————————
委員の異動
二月二十九日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 高橋ひなこ君
越智 隆雄君 青山 周平君
國場幸之助君 神山 佐市君
田野瀬太道君 大串 正樹君
竹本 直一君 武井 俊輔君
鈴木 克昌君 小宮山泰子君
宮崎 岳志君 階 猛君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 岩田 和親君
大串 正樹君 長尾 敬君
神山 佐市君 國場幸之助君
高橋ひなこ君 宮川 典子君
武井 俊輔君 竹本 直一君
小宮山泰子君 鈴木 克昌君
階 猛君 宮崎 岳志君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 越智 隆雄君
長尾 敬君 大見 正君
宮川 典子君 工藤 彰三君
同日
辞任 補欠選任
大見 正君 新谷 正義君
工藤 彰三君 瀬戸 隆一君
同日
辞任 補欠選任
新谷 正義君 田野瀬太道君
瀬戸 隆一君 井上 貴博君
—————————————
本日の会議に付した案件
東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 宮下 一郎君
理事 うえの賢一郎君 理事 神田 憲次君
理事 藤井比早之君 理事 古川 禎久君
理事 松本 洋平君 理事 木内 孝胤君
理事 古川 元久君 理事 伊藤 渉君
青山 周平君 井林 辰憲君
岩田 和親君 越智 隆雄君
大岡 敏孝君 大串 正樹君
大野敬太郎君 大見 正君
勝俣 孝明君 神山 佐市君
工藤 彰三君 國場幸之助君
新谷 正義君 助田 重義君
鈴木 隼人君 瀬戸 隆一君
高橋ひなこ君 武井 俊輔君
中山 展宏君 長尾 敬君
根本 幸典君 野中 厚君
福田 達夫君 宮川 典子君
務台 俊介君 宗清 皇一君
山田 賢司君 落合 貴之君
玄葉光一郎君 小宮山泰子君
階 猛君 鈴木 克昌君
前原 誠司君 宮崎 岳志君
鷲尾英一郎君 上田 勇君
斉藤 鉄夫君 宮本 岳志君
宮本 徹君 丸山 穂高君
小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣政務官 大岡 敏孝君
参考人
(SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長)
(金融財政アナリスト) 末澤 豪謙君
参考人
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員) 片岡 剛士君
参考人
(静岡大学名誉教授) 安藤 実君
参考人
(慶應義塾大学経済学部教授) 竹森 俊平君
参考人
(中央大学法科大学院教授) 森信 茂樹君
参考人
(全国商工団体連合会副会長) 太田 義郎君
財務金融委員会専門員 駒田 秀樹君
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委員の異動
二月二十九日
辞任 補欠選任
井上 貴博君 高橋ひなこ君
越智 隆雄君 青山 周平君
國場幸之助君 神山 佐市君
田野瀬太道君 大串 正樹君
竹本 直一君 武井 俊輔君
鈴木 克昌君 小宮山泰子君
宮崎 岳志君 階 猛君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 岩田 和親君
大串 正樹君 長尾 敬君
神山 佐市君 國場幸之助君
高橋ひなこ君 宮川 典子君
武井 俊輔君 竹本 直一君
小宮山泰子君 鈴木 克昌君
階 猛君 宮崎 岳志君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 越智 隆雄君
長尾 敬君 大見 正君
宮川 典子君 工藤 彰三君
同日
辞任 補欠選任
大見 正君 新谷 正義君
工藤 彰三君 瀬戸 隆一君
同日
辞任 補欠選任
新谷 正義君 田野瀬太道君
瀬戸 隆一君 井上 貴博君
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本日の会議に付した案件
東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
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宮
宮下一郎#1
○宮下委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長・金融財政アナリスト末澤豪謙君、三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員片岡剛士君、静岡大学名誉教授安藤実君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からそれぞれ二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、まず末澤参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、SMBC日興証券株式会社金融経済調査部部長・金融財政アナリスト末澤豪謙君、三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員片岡剛士君、静岡大学名誉教授安藤実君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からそれぞれ二十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、まず末澤参考人にお願いいたします。
末
末澤豪謙#2
○末澤参考人 おはようございます。SMBC日興証券の末澤でございます。よろしくお願いします。
私からは、足元の経済金融市場の動向と特例公債法に関する私の考え方を申し上げたいと思います。
それでは、こちらの「経済・金融市場の動向と特例公債法」と題されました資料をごらんいただきたいと思います。
一ページをおあけいただきたいと思います。二〇一六年、ことしの世界経済でございますけれども、これは、リーマン・ショック、二〇〇八年九月でございますが、その後を底とした緩やかな景気回復局面が続くと見込まれます。ただし、二〇一五年以前と比べますと、相当リスク要因は増加しているというふうに認識しております。具体的には、資金のシフト・偏在リスク、新興国リスク、中国リスク、地政学的リスク、気候変動リスク、政治リスクなどなどが挙げられます。
こうした中、経済動向に先行性のある金融市場では、変動率が一段と拡大する可能性が見込まれます。実際、年明け後、相当金融市場が荒れているのは御案内のとおりでございますし、先週末に開催されましたG20でもこのあたりが言及されておるわけでございます。
次の三ページ目でございます。では、ことしどういった経済成長が見込まれるかということで、これは最も権威があるとされますIMF、国際通貨基金が一月十九日に発表した見通しでございますけれども、二〇一六年の世界経済はプラス三・四%成長、これは三カ月前、十月の見通しに比べまして〇・二ポイント下方修正されています。
ここでちょっと色をつけておりまして、下方修正された国を青色、上方修正された国をピンクとしておりますけれども、大半の国が下方修正され、特に資源国が相当下向きに下方修正されているのはおわかりかと思います。これは、中国の景気減速、資源安の影響が大きい、また、米国の利上げが新興国等に悪影響をもたらしているということでございます。
一方、四ページでございますけれども、これは二〇一三年以降の各国通貨の対円レートの推移ということでございまして、わかりやすくするために、上に行くと円安、下に行くと円高ということでございます。
二〇一四年ごろまでは、全ての国の通貨について日本円は大体売られておった、円安だったわけですけれども、二〇一四年に米国の量的緩和の縮小がスタートし、その後それが終了、昨年末には利上げに転じる中、むしろ最近は円高が進んでいる。特にこの年明け以降は相当急激な円高が進行しているということはこのグラフからもおわかりかと思います。
続きまして五ページでございます。済みません、ちょっとこのあたりは早送りでやらせていただきます。
各国株価の推移でございますけれども、これをごらんいただきますと、二〇一三年一月を一〇〇として、その後の展開を御説明させていただくと、実は昨年、二〇一五年の前半までは主要国全ての株が大体上がっていたんですね、資源国は別でございますけれども。ただ、アメリカの利上げ観測が高まって以降下落に転じ、特に中国株の下落が、昨年の八月、ことしの一月に世界の株式に相当大きな影響を与えているということがおわかりかと思います。ただ、この中のオレンジ色、これは日本株でございまして、パフォーマンスはまだいいんですね。
ただ、六ページをごらんいただきますと、日本株は誰が買っているか。左上のグラフでございますけれども、バブル崩壊後、最も買っているのは海外投資家、今やもう三分の一は海外投資家が持っています。特に、右上でございますけれども、二〇一三年は十五兆円の買い越し、これが最近急激に減っておりまして、むしろ年明け以降は売り越しに転じているということでございますから、やはり海外の経済金融市場の動向は日本にも無縁ではないということでございます。
八ページ、ここからは、リスク要因につきましてちょっと具体的に申し上げます。
この八ページのグラフ、日米欧の長期金利の推移でございますけれども、全般的にごらんいただくと、欧州財政危機に揺れた二〇一一年、一二年は、イタリア、スペイン、フランスといった国の金利は上がりましたが、足元は相当急低下しているということがわかります。これは、特にECB、また日本の追加緩和等の影響が大きい。
ただ、九ページでございますけれども、昨年来、日米欧で金融政策の方向性に相当差がある、むしろ方向が逆向きの動きも出ているということであります。
日本、ユーロ圏で追加緩和、マイナス金利政策が導入される一方、米国では昨年十二月に、九年半ぶり、利上げ転換という面では十一年半ぶりの利上げに転じております。また英国も、これは動いてはおりませんが、方向としては利上げ方向にあるということで、ことしは日、ユーロ圏と米英で金融政策の方向性が異なり、これが、やはり政策協調が困難となる可能性を一つ示唆しているということかと思います。
十ページでございますが、原油価格は、この右上のグラフをごらんいただきますと、青いグラフでございますが、二〇一四年の秋以降、相当急激な下落が続いております。この背景には、左に書いておりますように、シェール革命の影響、また中国の需要減退、米国の原油輸出再開、イランに対する経済制裁解除、OPECの価格調整能力の欠如、米利上げ、ドル高、またエルニーニョ現象による暖冬等が指摘されております。
最も影響の大きいのが、十一ページでございますけれども、やはりアメリカのシェール革命の影響。これは左上のグラフをごらんいただきたいんですが、青色の折れ線、これがアメリカの原油輸入をあらわしておりまして、二〇〇六年をピークに今や三分の二の水準に減少。一方、赤色の折れ線、これは生産でございますが、こちらは逆に倍になっているわけですね。やはりこのシェール革命の影響が二〇〇六年以降、相当じわじわときいて、それが特に二〇一四年秋以降、顕在化している。そういう意味では、これは相当構造的な問題であるということが言えようかと思います。
十二ページでございます。中国の問題ですね。
中国は、先般、昨年のGDP実質成長率を六・九%と発表しました。これは一九九〇年以来の低水準ではありますが、GDP第二位の国としては極めて高成長と言えます。
この折れ線のとおり本当に動いているのであれば、実は心配することはないと思いますが、ただ、金融市場等が気にしていますのは、右上でございますが、中国の外貨準備が二〇一四年六月をピークに、四兆ドルから三兆二千億ドル、一挙に一年半で八千億ドル、日本円にしますとこれはもう百兆円近い減少を示しているということなんですね。この間、中国は経常収支が黒字ですから、これはややおかしな現象でございます。
実は、似たようなグラフが下にございまして、マカオのカジノ収入、これはちょうど二〇一四年の年央がピークでございます。また一方、これは八項規定精神違反件数と書いておりますが、いわゆる中国の反腐敗運動ですね。この影響が二〇一四年に相当進行しているということでございますと、やはり中国の問題も相当構造的と考えるべきであります。ただ、構造改革を進めるということは極めて重要ではありますけれども、そういう意味では中国の問題も一朝一夕にはなかなか解決しないということかと思います。
十三ページでございます。これは、WEFという、ダボス会議で有名な会議の資料をお出ししておりますけれども、このダボス会議は、毎年一月にグローバルリスクレポートということで、ことしのリスクは何だということを発表しております。
昨年は、左側のグラフでございまして、オレンジ色が多いですね。オレンジ色というのは地政学的リスク、戦争、紛争リスクでございます。一方、右側です。これはことしなんですが、ことしは緑色が多くなっています。これは環境リスクですね。ことしをとってみると、世界の経営者、エコノミストの多くが気候変動リスクを相当認識しているということがこのグラフからもわかります。
十四ページ、リスクの最後でございますけれども、これはアメリカの大統領選です。きょうは詳しくは御説明しませんが、やはり大混戦であり、事前予想とは相当異なる展開にあるということで、これから、今週、スーパーチューズデーを控えております。また、七月の民主党、共和党の全国大会でどういった顔ぶれが最終的に選出されるのか、このあたりを市場としては相当気にしているということを御指摘したいと思います。
十五ページ、十六ページに行っていただきます。このあたりはハイスピードで申しわけございません。
十六ページでございますが、日本の国債市場と財政問題でございまして、日本の長期金利、ここでは九八年以降をお出ししておりまして、基本的には一%台の低位安定が続いておったんですが、二〇一三年四月の異次元緩和、二〇一四年十月の追加緩和以降、一段と金利が低下しておりまして、特に年明けのマイナス金利政策導入後は、これはちょうど先週末でございますけれども、長期金利がマイナス〇・〇七五%、過去最低の金利をつけております。
そういう意味では、このあたりを見る限り、余り財政の問題は支障がないように思われるんですが、ただ、十七ページをごらんいただきますと、これは各国の財政収支と政府債務残高の推移でございますが、フローベースで見ても先進国で日本は最悪の水準でございますし、ストックベースの債務残高で見ると、これはグロスの残高ではございますが、むしろギリシャをしのぐ多さであるということで、日本の財政問題は解決されたわけではない。私は、これから五年後、十年後を展望しますと、日本の財政問題はより深刻化するのではないかと考えております。
十八ページでございますが、私は、昨年二〇一五年を実は少子高齢化本格化元年と申し上げております。これはどういう意味かといいますと、団塊世代の方々が昨年末に皆さん六十五歳以上になられました。一方で、団塊ジュニアの世代の方々、この方々も昨年末でちょうど四十歳以上に上がられたわけです。そういう意味では、今後、これから五年後、十年後を展望しますと、一段と少子高齢化問題が深刻化し得るということを御指摘したいと思います。
次のページ、十九ページでございますが、そうすると、いろいろな問題が多分顕在化してくる。日本はよく、社会保障につきましては低負担・中福祉ということが言われております。十九ページのグラフは、右横軸に国民負担率、縦軸に政府の社会保障支出をとっておりますが、高負担・高福祉の代表国はデンマーク、低負担・低福祉の代表国は韓国でございます。実は、この線を結んでいただいて、この二国を結んだ線の一番上にあるのが日本になるんですね。つまり、日本は負担に比べて受益が現状では最も多いということになっています。これはやはり過去の人口ボーナスの反映でございますが、今後は、日本の人口動態を考えるとむしろ人口オーナスなんですね。今度は逆のことが起こり得る。
これは年金の問題でございますが、二十ページの右下をごらんいただきますと、もう一つ高齢化に伴った大きな問題が発生すると見込まれるのが、医療費と介護給付費の増大ですね。現時点で、六十四歳以下と七十五歳以上の国民医療費は約五倍の差があります。ただ、最も大きな差があるのが介護給付費でございまして、こちらは、六十五歳以上七十四歳以下と七十五歳以上、実はそんなに世代の差はないんですが、ここで九倍の格差がある。これはなぜかと申し上げますと、この真ん中でございますが、平均寿命と健康寿命の格差は、男性で大体九歳、女性だと大体十一歳ある。ですから、七十歳代になるとむしろこの高齢化の問題がより深刻化するということでございます。
最後に、二十一ページから御説明させていただきます。今回の特例公債法案に関する私の考え方でございます。
私はこの債券市場にもう約三十年おりますけれども、二〇一二年には、実は特例公債法案の成立が相当おくれました。これは、やはりねじれ国会にあったことが背景なんですが、その結果、建設国債、借換国債、復興国債、財投国債の発行がほぼ終了し、残りは特例公債のみとなったんですね。その結果、間もなく国債の発行が停止されるという寸前に、十一月、追い込まれました。また、その間、特別会計への一般会計繰り入れの一部停止、地方交付税の配分抑制、補助金の一部停止等も実施されました。
その後、最終的には特例公債法案は成立したわけでございますけれども、仮に国債の発行が停止されると、金利は一旦急低下した可能性が見込まれます。ただし、その後は今度増発しませんといけませんので、金利が急上昇し、これによる変動率の拡大が、今の金融機関さん等のリスク管理上は、一段の金利上昇をもたらす可能性があった。また、国債の格下げリスクも増大すると見込まれまして、これは実際、その後、日本国債の格付は一段と低下したということでございます。
二十三ページでございますが、同じような状況がより深刻化して具現したのが米国でございます。
米国は、二〇一〇年に中間選挙がございまして、ここでティーパーティーが台頭するわけでございますが、その後、与野党の対立が深刻化しまして、二〇一三年初頭には、いわゆるフィスカルクリフの問題がございます。また、二〇一三年九月には、暫定予算が通らずに、十八年ぶりにガバメントシャットダウン、政府機関が閉鎖され、それこそ自由の女神に上れないと小さい少女が泣いている映像がテレビに映ったわけでございます。
また、これは最近の状況でございますが、昨年は短期の暫定予算が二回編成され、暫定予算だけで三回、本予算は四回ということになっています。
また、債務上限、デットシーリングの問題、これは今回の日本の特例公債法にやや近い問題でございますが、米国では九十五回債務上限が変更されているんですが、二〇一一年八月には、米国債の格付が、デットシーリングの引き上げおくれによって引き下げられております。
ただ、最近は、与野党の対立で債務上限の引き上げすらできない。なぜかといいますと、債務上限を引き上げようとすると、新しい上限を決めなきゃいけないんですね。その新しい上限を決められないということで、最近は一時的な債務上限の撤廃が恒常化しているということでございます。実際は、昨年も、約八カ月間新たな資金調達ができない状況になっています。
ただ、昨年十一月に超党派予算法というのが成立しまして、今回は、来年の秋ごろまで約二年間、米国の資金繰りが安泰になるような法律が通っておりまして、そういう意味では、米国も、与野党の対立が深刻化する中、今度は財政問題について少し棚上げしようという動きが最近は出ております。
最後に、二十四ページでございます。
今回の法案につきまして、五年間、特例公債の発行を可能とすることでございまして、これはむしろ単年度立法による財政規律を維持すべきだという考え方もあろうかと思います。
ただ、今回、経済・財政再生計画で、二〇二〇年度までのPBの黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引き下げを掲げておるわけですね。かつて、一九七五年十二月三日に、当時の大平大蔵大臣が衆議院大蔵委員会で、こちらの委員会でございますが、答弁されている。ちなみに、大平元首相は、私の郷里、四国の香川県の大先輩でございますが、大平大臣は単年度にすべきだとおっしゃったんです。そのときは当然、赤字の水準も低い、近い将来に特例公債からの脱却が見通せるという状況でございましたが、今回はそういう状況ではないということでございます。
また、国会の審査につきましては、具体的な特例公債の発行総枠は各年度の一般会計予算総則に明記し、国会審査を経るという手続がございます。
仮に、二〇一二年のように特例公債法案の成立がおくれますと、国債の発行が停止し、また、一般会計から特別会計への繰り入れや地方交付税交付金の配分、補助金の支給の停止等が発生する。こういうことになりますと、日本経済や国民生活にも多大な影響が及びます。
また、国債の発行停止、増発や公的年金資産の売却等により、金融市場が混乱する可能性もございます。仮に一段と国庫が枯渇すれば、それこそ、物品購入費や電気、水道代、派遣社員費用の支払い遅延、国会議員の皆さんの歳費や公務員の給料の支払い遅延の可能性も想定され、二〇一三年に米国で起こったような、日本版ミニガバメントシャットダウンの様相を呈することも否定できないということでございます。
そういう意味では、経済・財政再生計画で掲げられた、国と地方のPB赤字の二〇二〇年度黒字化を着実に達成し、また、その後の債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを実施する、この計画を具体的にきちっと遂行していくこと、これが重要だと考えておりますし、より長期的には、財政健全化には、成長戦略とともに歳出歳入改革が極めて重要であるというふうに私は認識しております。
以上でございます。拍手
この発言だけを見る →私からは、足元の経済金融市場の動向と特例公債法に関する私の考え方を申し上げたいと思います。
それでは、こちらの「経済・金融市場の動向と特例公債法」と題されました資料をごらんいただきたいと思います。
一ページをおあけいただきたいと思います。二〇一六年、ことしの世界経済でございますけれども、これは、リーマン・ショック、二〇〇八年九月でございますが、その後を底とした緩やかな景気回復局面が続くと見込まれます。ただし、二〇一五年以前と比べますと、相当リスク要因は増加しているというふうに認識しております。具体的には、資金のシフト・偏在リスク、新興国リスク、中国リスク、地政学的リスク、気候変動リスク、政治リスクなどなどが挙げられます。
こうした中、経済動向に先行性のある金融市場では、変動率が一段と拡大する可能性が見込まれます。実際、年明け後、相当金融市場が荒れているのは御案内のとおりでございますし、先週末に開催されましたG20でもこのあたりが言及されておるわけでございます。
次の三ページ目でございます。では、ことしどういった経済成長が見込まれるかということで、これは最も権威があるとされますIMF、国際通貨基金が一月十九日に発表した見通しでございますけれども、二〇一六年の世界経済はプラス三・四%成長、これは三カ月前、十月の見通しに比べまして〇・二ポイント下方修正されています。
ここでちょっと色をつけておりまして、下方修正された国を青色、上方修正された国をピンクとしておりますけれども、大半の国が下方修正され、特に資源国が相当下向きに下方修正されているのはおわかりかと思います。これは、中国の景気減速、資源安の影響が大きい、また、米国の利上げが新興国等に悪影響をもたらしているということでございます。
一方、四ページでございますけれども、これは二〇一三年以降の各国通貨の対円レートの推移ということでございまして、わかりやすくするために、上に行くと円安、下に行くと円高ということでございます。
二〇一四年ごろまでは、全ての国の通貨について日本円は大体売られておった、円安だったわけですけれども、二〇一四年に米国の量的緩和の縮小がスタートし、その後それが終了、昨年末には利上げに転じる中、むしろ最近は円高が進んでいる。特にこの年明け以降は相当急激な円高が進行しているということはこのグラフからもおわかりかと思います。
続きまして五ページでございます。済みません、ちょっとこのあたりは早送りでやらせていただきます。
各国株価の推移でございますけれども、これをごらんいただきますと、二〇一三年一月を一〇〇として、その後の展開を御説明させていただくと、実は昨年、二〇一五年の前半までは主要国全ての株が大体上がっていたんですね、資源国は別でございますけれども。ただ、アメリカの利上げ観測が高まって以降下落に転じ、特に中国株の下落が、昨年の八月、ことしの一月に世界の株式に相当大きな影響を与えているということがおわかりかと思います。ただ、この中のオレンジ色、これは日本株でございまして、パフォーマンスはまだいいんですね。
ただ、六ページをごらんいただきますと、日本株は誰が買っているか。左上のグラフでございますけれども、バブル崩壊後、最も買っているのは海外投資家、今やもう三分の一は海外投資家が持っています。特に、右上でございますけれども、二〇一三年は十五兆円の買い越し、これが最近急激に減っておりまして、むしろ年明け以降は売り越しに転じているということでございますから、やはり海外の経済金融市場の動向は日本にも無縁ではないということでございます。
八ページ、ここからは、リスク要因につきましてちょっと具体的に申し上げます。
この八ページのグラフ、日米欧の長期金利の推移でございますけれども、全般的にごらんいただくと、欧州財政危機に揺れた二〇一一年、一二年は、イタリア、スペイン、フランスといった国の金利は上がりましたが、足元は相当急低下しているということがわかります。これは、特にECB、また日本の追加緩和等の影響が大きい。
ただ、九ページでございますけれども、昨年来、日米欧で金融政策の方向性に相当差がある、むしろ方向が逆向きの動きも出ているということであります。
日本、ユーロ圏で追加緩和、マイナス金利政策が導入される一方、米国では昨年十二月に、九年半ぶり、利上げ転換という面では十一年半ぶりの利上げに転じております。また英国も、これは動いてはおりませんが、方向としては利上げ方向にあるということで、ことしは日、ユーロ圏と米英で金融政策の方向性が異なり、これが、やはり政策協調が困難となる可能性を一つ示唆しているということかと思います。
十ページでございますが、原油価格は、この右上のグラフをごらんいただきますと、青いグラフでございますが、二〇一四年の秋以降、相当急激な下落が続いております。この背景には、左に書いておりますように、シェール革命の影響、また中国の需要減退、米国の原油輸出再開、イランに対する経済制裁解除、OPECの価格調整能力の欠如、米利上げ、ドル高、またエルニーニョ現象による暖冬等が指摘されております。
最も影響の大きいのが、十一ページでございますけれども、やはりアメリカのシェール革命の影響。これは左上のグラフをごらんいただきたいんですが、青色の折れ線、これがアメリカの原油輸入をあらわしておりまして、二〇〇六年をピークに今や三分の二の水準に減少。一方、赤色の折れ線、これは生産でございますが、こちらは逆に倍になっているわけですね。やはりこのシェール革命の影響が二〇〇六年以降、相当じわじわときいて、それが特に二〇一四年秋以降、顕在化している。そういう意味では、これは相当構造的な問題であるということが言えようかと思います。
十二ページでございます。中国の問題ですね。
中国は、先般、昨年のGDP実質成長率を六・九%と発表しました。これは一九九〇年以来の低水準ではありますが、GDP第二位の国としては極めて高成長と言えます。
この折れ線のとおり本当に動いているのであれば、実は心配することはないと思いますが、ただ、金融市場等が気にしていますのは、右上でございますが、中国の外貨準備が二〇一四年六月をピークに、四兆ドルから三兆二千億ドル、一挙に一年半で八千億ドル、日本円にしますとこれはもう百兆円近い減少を示しているということなんですね。この間、中国は経常収支が黒字ですから、これはややおかしな現象でございます。
実は、似たようなグラフが下にございまして、マカオのカジノ収入、これはちょうど二〇一四年の年央がピークでございます。また一方、これは八項規定精神違反件数と書いておりますが、いわゆる中国の反腐敗運動ですね。この影響が二〇一四年に相当進行しているということでございますと、やはり中国の問題も相当構造的と考えるべきであります。ただ、構造改革を進めるということは極めて重要ではありますけれども、そういう意味では中国の問題も一朝一夕にはなかなか解決しないということかと思います。
十三ページでございます。これは、WEFという、ダボス会議で有名な会議の資料をお出ししておりますけれども、このダボス会議は、毎年一月にグローバルリスクレポートということで、ことしのリスクは何だということを発表しております。
昨年は、左側のグラフでございまして、オレンジ色が多いですね。オレンジ色というのは地政学的リスク、戦争、紛争リスクでございます。一方、右側です。これはことしなんですが、ことしは緑色が多くなっています。これは環境リスクですね。ことしをとってみると、世界の経営者、エコノミストの多くが気候変動リスクを相当認識しているということがこのグラフからもわかります。
十四ページ、リスクの最後でございますけれども、これはアメリカの大統領選です。きょうは詳しくは御説明しませんが、やはり大混戦であり、事前予想とは相当異なる展開にあるということで、これから、今週、スーパーチューズデーを控えております。また、七月の民主党、共和党の全国大会でどういった顔ぶれが最終的に選出されるのか、このあたりを市場としては相当気にしているということを御指摘したいと思います。
十五ページ、十六ページに行っていただきます。このあたりはハイスピードで申しわけございません。
十六ページでございますが、日本の国債市場と財政問題でございまして、日本の長期金利、ここでは九八年以降をお出ししておりまして、基本的には一%台の低位安定が続いておったんですが、二〇一三年四月の異次元緩和、二〇一四年十月の追加緩和以降、一段と金利が低下しておりまして、特に年明けのマイナス金利政策導入後は、これはちょうど先週末でございますけれども、長期金利がマイナス〇・〇七五%、過去最低の金利をつけております。
そういう意味では、このあたりを見る限り、余り財政の問題は支障がないように思われるんですが、ただ、十七ページをごらんいただきますと、これは各国の財政収支と政府債務残高の推移でございますが、フローベースで見ても先進国で日本は最悪の水準でございますし、ストックベースの債務残高で見ると、これはグロスの残高ではございますが、むしろギリシャをしのぐ多さであるということで、日本の財政問題は解決されたわけではない。私は、これから五年後、十年後を展望しますと、日本の財政問題はより深刻化するのではないかと考えております。
十八ページでございますが、私は、昨年二〇一五年を実は少子高齢化本格化元年と申し上げております。これはどういう意味かといいますと、団塊世代の方々が昨年末に皆さん六十五歳以上になられました。一方で、団塊ジュニアの世代の方々、この方々も昨年末でちょうど四十歳以上に上がられたわけです。そういう意味では、今後、これから五年後、十年後を展望しますと、一段と少子高齢化問題が深刻化し得るということを御指摘したいと思います。
次のページ、十九ページでございますが、そうすると、いろいろな問題が多分顕在化してくる。日本はよく、社会保障につきましては低負担・中福祉ということが言われております。十九ページのグラフは、右横軸に国民負担率、縦軸に政府の社会保障支出をとっておりますが、高負担・高福祉の代表国はデンマーク、低負担・低福祉の代表国は韓国でございます。実は、この線を結んでいただいて、この二国を結んだ線の一番上にあるのが日本になるんですね。つまり、日本は負担に比べて受益が現状では最も多いということになっています。これはやはり過去の人口ボーナスの反映でございますが、今後は、日本の人口動態を考えるとむしろ人口オーナスなんですね。今度は逆のことが起こり得る。
これは年金の問題でございますが、二十ページの右下をごらんいただきますと、もう一つ高齢化に伴った大きな問題が発生すると見込まれるのが、医療費と介護給付費の増大ですね。現時点で、六十四歳以下と七十五歳以上の国民医療費は約五倍の差があります。ただ、最も大きな差があるのが介護給付費でございまして、こちらは、六十五歳以上七十四歳以下と七十五歳以上、実はそんなに世代の差はないんですが、ここで九倍の格差がある。これはなぜかと申し上げますと、この真ん中でございますが、平均寿命と健康寿命の格差は、男性で大体九歳、女性だと大体十一歳ある。ですから、七十歳代になるとむしろこの高齢化の問題がより深刻化するということでございます。
最後に、二十一ページから御説明させていただきます。今回の特例公債法案に関する私の考え方でございます。
私はこの債券市場にもう約三十年おりますけれども、二〇一二年には、実は特例公債法案の成立が相当おくれました。これは、やはりねじれ国会にあったことが背景なんですが、その結果、建設国債、借換国債、復興国債、財投国債の発行がほぼ終了し、残りは特例公債のみとなったんですね。その結果、間もなく国債の発行が停止されるという寸前に、十一月、追い込まれました。また、その間、特別会計への一般会計繰り入れの一部停止、地方交付税の配分抑制、補助金の一部停止等も実施されました。
その後、最終的には特例公債法案は成立したわけでございますけれども、仮に国債の発行が停止されると、金利は一旦急低下した可能性が見込まれます。ただし、その後は今度増発しませんといけませんので、金利が急上昇し、これによる変動率の拡大が、今の金融機関さん等のリスク管理上は、一段の金利上昇をもたらす可能性があった。また、国債の格下げリスクも増大すると見込まれまして、これは実際、その後、日本国債の格付は一段と低下したということでございます。
二十三ページでございますが、同じような状況がより深刻化して具現したのが米国でございます。
米国は、二〇一〇年に中間選挙がございまして、ここでティーパーティーが台頭するわけでございますが、その後、与野党の対立が深刻化しまして、二〇一三年初頭には、いわゆるフィスカルクリフの問題がございます。また、二〇一三年九月には、暫定予算が通らずに、十八年ぶりにガバメントシャットダウン、政府機関が閉鎖され、それこそ自由の女神に上れないと小さい少女が泣いている映像がテレビに映ったわけでございます。
また、これは最近の状況でございますが、昨年は短期の暫定予算が二回編成され、暫定予算だけで三回、本予算は四回ということになっています。
また、債務上限、デットシーリングの問題、これは今回の日本の特例公債法にやや近い問題でございますが、米国では九十五回債務上限が変更されているんですが、二〇一一年八月には、米国債の格付が、デットシーリングの引き上げおくれによって引き下げられております。
ただ、最近は、与野党の対立で債務上限の引き上げすらできない。なぜかといいますと、債務上限を引き上げようとすると、新しい上限を決めなきゃいけないんですね。その新しい上限を決められないということで、最近は一時的な債務上限の撤廃が恒常化しているということでございます。実際は、昨年も、約八カ月間新たな資金調達ができない状況になっています。
ただ、昨年十一月に超党派予算法というのが成立しまして、今回は、来年の秋ごろまで約二年間、米国の資金繰りが安泰になるような法律が通っておりまして、そういう意味では、米国も、与野党の対立が深刻化する中、今度は財政問題について少し棚上げしようという動きが最近は出ております。
最後に、二十四ページでございます。
今回の法案につきまして、五年間、特例公債の発行を可能とすることでございまして、これはむしろ単年度立法による財政規律を維持すべきだという考え方もあろうかと思います。
ただ、今回、経済・財政再生計画で、二〇二〇年度までのPBの黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引き下げを掲げておるわけですね。かつて、一九七五年十二月三日に、当時の大平大蔵大臣が衆議院大蔵委員会で、こちらの委員会でございますが、答弁されている。ちなみに、大平元首相は、私の郷里、四国の香川県の大先輩でございますが、大平大臣は単年度にすべきだとおっしゃったんです。そのときは当然、赤字の水準も低い、近い将来に特例公債からの脱却が見通せるという状況でございましたが、今回はそういう状況ではないということでございます。
また、国会の審査につきましては、具体的な特例公債の発行総枠は各年度の一般会計予算総則に明記し、国会審査を経るという手続がございます。
仮に、二〇一二年のように特例公債法案の成立がおくれますと、国債の発行が停止し、また、一般会計から特別会計への繰り入れや地方交付税交付金の配分、補助金の支給の停止等が発生する。こういうことになりますと、日本経済や国民生活にも多大な影響が及びます。
また、国債の発行停止、増発や公的年金資産の売却等により、金融市場が混乱する可能性もございます。仮に一段と国庫が枯渇すれば、それこそ、物品購入費や電気、水道代、派遣社員費用の支払い遅延、国会議員の皆さんの歳費や公務員の給料の支払い遅延の可能性も想定され、二〇一三年に米国で起こったような、日本版ミニガバメントシャットダウンの様相を呈することも否定できないということでございます。
そういう意味では、経済・財政再生計画で掲げられた、国と地方のPB赤字の二〇二〇年度黒字化を着実に達成し、また、その後の債務残高の対GDP比の安定的な引き下げを実施する、この計画を具体的にきちっと遂行していくこと、これが重要だと考えておりますし、より長期的には、財政健全化には、成長戦略とともに歳出歳入改革が極めて重要であるというふうに私は認識しております。
以上でございます。拍手
宮
片
片岡剛士#4
○片岡参考人 皆さん、こんにちは。三菱UFJリサーチ&コンサルティングで主任研究員を務めております片岡と申します。
本日は、お招きをいただきまして、まことにありがとうございます。二十分程度、私の意見を述べさせていただければと思います。
お手元の方に、「日本経済の動向と財政健全化」、こういう題名の資料がありますけれども、そちらをごらんいただければと思います。
一枚おめくりいただければと思いますが、最初に、アベノミクス以降の日本経済の概観ということで何点か挙げさせていただいております。
日本経済は、二〇一三年以降、株高、円安を起点としまして民間消費と公共投資の回復が進んでいたといったところでございますけれども、二〇一四年四月以降、消費税増税を機に消費が大きく落ち込んだまま回復せず、内需の弱さが露呈した状態でございます。輸出及び設備投資の増加も、現状、マイルドなものにとどまっている、こういったような状況です。
こうした中で、二〇一四年の半ば以降、先ほどお話もありましたけれども、ギリシャ危機ですとか新興国景気の停滞、それからアメリカのFRBの利上げといったようなリスク要因が顕在化、深刻化をしまして、現状、外需頼みの景気回復はなかなか望めない、こういった状況です。
二〇一四年の末に、政府は、消費税増税を延期する、こういう判断をされたわけですけれども、このときのマクロ経済シナリオ自体は、二〇一六年の半ばまでに二%のインフレ目標を達成する、それから二〇一七年四月に消費税増税、そして増税の影響が一服した段階で出口政策を実行する、こういうような形で財政金融政策、ポリシーミックスをしていこうというものであったというふうに考えられるわけですけれども、現状はなかなか物価が二%の目標に届かない、こういう状況でありまして、政策枠組みの変更が必須の状況であるということです。
日本銀行自体は、二%のインフレ目標達成時期を二〇一七年度の前半ごろとしております。一七年度の前半ということですので、二〇一七年の四月以降ということですよね。こうなりますと、ちょうど消費増税のタイミングとバッティングしてしまうわけですね。これは、過去、二〇一四年の四月に増税をしたときと同じことになりますので、今回はこういった愚を繰り返すべきではない、こういうふうに考えています。
以上からは、政府、日銀の経済政策プランを見直すべき段階である、こういうふうに言えると思います。
次をおめくりいただければと思いますが、足元の経済状況というところでございまして、こちらの方は、一番左側が実質GDP成長率、右側の方に消費、住宅投資、設備投資、それから輸入までのGDPの成長率に与える寄与度というものを棒グラフで描いております。
青い棒グラフが二〇一三年度でございますが、これを見ていただくとおわかりのとおり、二〇一三年度は二・〇%であって、そして、民間消費の寄与度というのが一・四%、消費主導で成長率が高まった、こういったところでございます。
ただ、二〇一四年度、実質GDP成長率はマイナスになりまして、これは、消費税増税等々によって消費と住宅投資が大きく落ち込んだ、こういう流れになっております。
二〇一五年度、現状まだ二〇一六年の一—三月期のデータが出ておりませんので、三四半期の平均値をここでは挙げておりますけれども、現状ではマイナス、こういう状況であります。この中で、依然として消費が弱いというのが、先ほどお話ししたとおりの展開になっております。
それから、四ページ目でございますが、GDPの中で落ち込みが非常に深刻であるというところでございますけれども、四つ図表がございますが、まず一番左上をごらんいただければと思います。
現状、足元、二〇一五年度ですけれども、実質GDPの水準はどうなのかといったところでございますが、二〇一五年の十—十二月期が五百二十七・四兆円、こういう状況でございまして、二〇一五年に入って、GDPはほぼ横ばいで、上下しながら推移している、景気は足踏みといったところがこうしたところからもわかるというところでございます。
それから、左下の図をごらんいただければと思いますが、消費が落ち込んでいるわけですけれども、今回、二〇一五年の十—十二月期のデータからは、過去十年間の消費のトレンドから有意に下振れた動きになっているというところが確認できます。
こちらの方は、青い線で実際の家計最終消費支出を並べておりますけれども、それに対して黒い点線といいますのが、二〇〇二年の一—三月期から二〇一二年の十—十二月期までのデータから計算しました家計消費のトレンドです。
前期比の伸び率は〇・二%ぐらいなんですが、一三年に入りまして、このトレンドから青い線が有意に上振れてくるような感じで、要は、前期比〇・二%の伸びからだんだんだんだん家計消費が高まりつつある、こういう状況であったわけですけれども、そこから、一四年の駆け込み需要で、赤い点線、これは統計的にトレンドに入るというところを超えたことを意味しているんですが、そこを越えて上振れるような状態になったんですね。
ただ、消費増税以降、大きく家計消費は落ち込みまして、今度は赤い点線の下限を超えるような形で二〇一五年の十—十二月期が入ってしまった、こういったところがわかります。
では、この家計消費の落ち込みはどういった原因によるのかというところですけれども、右下の図をごらんいただければと思いますが、これは、GDP統計ベースで、耐久財、それから半耐久財、非耐久財、サービス別に家計消費を見たものです。
これを足した合計の伸びというのは当然ながら落ち込んでいるんですけれども、これを見ていただきますと、青い棒グラフ、耐久財の落ち込みというのが深刻であることによって消費が落ち込んでいる、こういったところがわかるというところです。
次の五ページ目でございますけれども、増税と原油安によって後ずれしたインフレ目標達成時期、こういったところでございます。赤い線は、これは消費動向調査から計算できる予想インフレ率なんですが、二〇一三年に入りまして予想インフレ率はぐっと上がっていくといったところが観測されたわけですけれども、二〇一四年の四月以降、がくんと予想インフレ率が落ちまして、それから、原油安等も相まって、今、足元では急速に落ちてきている、こういった状況であります。
それによって物価も、二〇一四年の前半までは、点線で描いております二〇一五年四月に二%インフレを達成する経路を若干超えるような形で推移していたわけですけれども、物価上昇率は落ち込んできている、こういった話になっております。
それから、次の六ページ目でございますけれども、金融政策、財政政策をどう考えるかというところでございますが、私自身は、金融政策は非常によくやっているというふうに思います。ただ、財政的にやや緊縮していますので、それによって金融政策への負荷が非常に高まっている、それによって例えば日本銀行はマイナス金利政策のようなことを導入している、こういう話になっていると思います。
次をおめくりいただければと思いますが、では、財政健全化をどう考えればいいのかというところでございますけれども、七ページ目をごらんいただければと思います。
財政再建の定義といいますのは、債務残高の名目GDP比が安定的に横ばいから減少に転ずることです。これを達成するためには、二つの必要条件がございます。
一つは、プライマリーバランスの名目GDP比を、赤字を減らしていって黒字化していくこと、それから、ドーマー条件というふうに言われますが、名目GDPの成長率が実際の国債の利回りよりも高くなる状態をつくり続ける、この二つであります。この二つを、どちらかないしは両方満たしていけば、長期債務残高の名目GDP比は横ばいから低下にいく、こういう話になります。
現状、日本経済はどうなのかというところなんですが、八ページ目をごらんいただければと思います。
こうしたことを申し上げますと、是が非でもプライマリーバランスを黒字化しないといけない、それから財政を緊縮して健全化を一刻でも早く達成しないといけない、こういう話になるわけですけれども、私自身は、日本経済のフェーズに合わせて回復をしていくことが大事だと。
ここでいろいろフェーズを書いておりますけれども、現状はデフレ脱却期であります。このときには、プライマリーバランスというのは緩やかな黒を目指すということで、現状、政府はそうやっておりますけれども、赤字でも長期債務残高のGDP比というのは改善できます。
なぜ改善できるのかということなんですけれども、成長率と金利の関係でいいますドーマー条件が満たされてくるから、そういった状況になるわけですね。デフレから脱却しますと、名目GDP成長率は伸びます。それから、金利につきましては、日銀の金融緩和によって長期金利は非常に低位に抑えられます、今起きていることでございますが。そうなりますと、ドーマー条件が満たされていくので、プライマリーバランスの黒字化を必ずしも急がなくても長期債務残高のGDP比が減っていく。
ただ、経済が正常化していくあたりになりますと、プライマリーバランスの黒字化は緩やかに必須になるということであります。
次をおめくりいただきまして、そうしたところを考えるに当たりまして、幾つか図表を挙げておりますけれども、日本の特徴、名目GDPは、過去、一九九〇年から二〇一三年までほぼ一貫して横ばいでした。前年比の平均の伸び率でいきますと〇・三%ぐらいですので、これは諸外国と比べますと非常に低率な伸びということがわかります。
それから、金利なんですけれども、名目長期金利自体は世界的に低下傾向であります。その中で、日本は最も低いわけですね。ただ、二〇一三年までは、名目成長率よりも名目の長期金利の方が高い状態が続いていました。ドーマー条件が満たされていなかったわけですが、なぜ満たされていなかったのか。これは、名目成長率が高まらなかったからということになります。
そして、現状の財政状況でございますが、左下、右下両方に書いておりますけれども、こちらは内閣府の中長期試算の結果を見ておりますけれども、二〇一四、一五あたり、プライマリーバランスは緩やかに黒字化の方向に向かっております。二〇二三年度あたりで、ちょうど、経済再生ケースであればプラス・マイナス・ゼロぐらいになるといったところです。
そして、国、地方の公債等残高、長期債務残高のGDP比でございますけれども、二〇一四、一五、一六年度あたり、緩やかに拡大傾向にあったものが、現状、横ばいになっているわけですね。
ですから、非常に微妙な、財政状況としては重要な情勢で、ここで対応を間違えるとまた再び財政悪化の方向に向かってしまうということです。
十ページ目でございますが、ギリシャの事例を挙げております。
ギリシャといいますと、財政が非常に悪いということで、日本としてはギリシャのようにならないようにしないといけない、そういう教訓として挙げられている国だと思うんですけれども、ギリシャ自体は、次をおめくりいただければと思うんですが、プライマリーバランスの名目GDP比といいますのは、二〇〇九年の時期ですとマイナス一〇・二%の赤字だったんですね。二〇一四年になりますと、一・五%の黒字になります。真ん中あたりに書いてありますけれども、黒字になったんですね。五年間で黒字になりました。日本の場合ですと、五年間で三・二%ぐらい減らしたということなんですけれども、ギリシャはプライマリーバランスの黒字化を五年間で達成したんですね。
では、それで何が起こったのか。右の長期債務残高名目GDP比をごらんいただきますと、一二六・二%から逆に一七七・二%まで拡大してしまいまして、この結果から何が言えるかといいますと、要は、プライマリーバランスの黒字化を急ぎ過ぎると、名目GDPが減って失業率は高まり、デフレになり、それによって国民生活は破壊されて、結果として財政健全化も達成できない、こういったようなことがギリシャの事例としてはわかるということでございます。
次の十二ページ目でございますが、軽減税率自体は、これは経済学者のほぼ九割あたりが反対であります。なぜかといいますと、逆進性対策たり得ないからでございます。ここにはいろいろ理由が書いてございますけれども、さまざまな観点から見て軽減税率は愚策である、こういうふうに言わざるを得ないというふうに思います。
そして、十三ページ目ですが、今、株価は大きく低下してきているわけですけれども、二〇一六年、それから一九九〇年、一九九八年、二〇〇八年、二〇一四年、これらは、年初来の株価というのが去年末から比べて大幅に下がった年であります。こうした年といいますのは、大きな経済変動が起きているという年ですね。例えば、九〇年ですとバブル崩壊、それから九八年ですとアジア金融危機、そして二〇〇八年はリーマン・ショック、一四年は消費税増税による景気の停滞、こういう話でございます。
お手元の図表、十三ページの方は、青い線で二〇一六年の株価の動きを見ています。これは、前年末の株価一万九千円をちょっと超えたところを一〇〇にしまして、足元、三十八日ぐらい営業日で経過しているんですけれども、それを見ますと、大体一五%ぐらい下がっている、八五・一ということであります。この株価の推移といいますのは、九〇年、九八年、二〇〇八年、二〇一四年と比べても最も悪いということであります。
もちろん、株価の状況が実体経済に即座に影響するわけではございませんが、ことしは非常に大きな変動が起こる可能性があるということを株価の動きは示唆しています。
最後なんですが、現下必要な財政金融政策ということでお話をさせていただければと思います。
まず、財政政策につきましては、現状、政府は、名目GDP水準目標政策、六百兆円達成という話をやっておりますけれども、これは非常に考え方としては私は真っ当だと思います。ただ、問題は、そのための具体策が全く出てきていないといったところが問題で、特に財政健全化につきましては、名目GDP水準を六百兆達成するということ、これは年当たりの平均の名目成長率を三%強にしないといけないわけですけれども、過去は〇・三%なんです。このためには、財政金融政策、成長戦略、全てを使って成長のために政策を機動的にやっていく必要があります。
ですから、こうした観点からいきますと、私は、近く予定されている増税ですとかそういったものはとんでもないというふうに考えているわけです。
それから、二点目は、増税の凍結という話です。
そして、三点目なんですけれども、私自身は、財政政策のメニューとして、一時的に消費税減税もありかなというふうに考えます。
それはなぜかといいますと、要は、足元の消費というのは非常に低迷しているわけですね。国民としては、わかりにくい経済対策をやっても効果はありません。ですから、先行きの消費税の凍結と、それから、現状、足元を、一時的に消費税を減税してみる。こういったような話は、例えばイギリスですとかもしくはカナダですとか、こういったところでもやられていますので、全くやったことがない話では当然ないんですね。こういうことも一つのメニューであります。
それから、低所得労働者を対象とする給付つきの税額控除、こういったようなものを主なメニューとする経済対策、現状ですと十兆円ぐらい必要かな、こういうふうに思っています。
そして、こういうことを申し上げると必ず財源という話になりますが、この財源は、三・四%の名目成長を前提とした税収増、それから特会整理を通じた歳入改革、国債増発等によって行うということが必要になります。例えば外為特会ですとか、いろいろありますけれども、そうしたような特会の整理ということも重要だと思います。
それから、最後なんですが、公共投資なんですけれども、足元、増発しても人手不足とかそういったような問題もあるかもしれませんが、ただ、重要な点は、中長期的に、緩やかながらも公共投資を拡大しながら必要なインフラ整備をやっていくというスタンスを国会ないしは政府できちんとお示しいただくことだと思うんですね。こうしたことをしますと、建設業者の方もその先の事業展開をしやすくなりますし、仕事もしやすくなる。ですから、こうした公共工事計画の策定、実行というのをぜひやっていただきたいというふうに思います。
金融政策につきましては、時間もあれですので、簡単にお話しさせていただければと思いますけれども、ポイントは、やはり、政府と日銀のデフレ脱却に対するコミットメント、約束というのをきちんと強めていくということが必要になります。
現状、足元では、物価上昇率はゼロ%ぐらいですね、生鮮食品を除く総合で。ただ、これはエネルギーが含まれております。エネルギー価格といいますのは、これは世界経済、世界のマーケットで決まりますので、日本国内ではコントロールできません。現状、例えば中央銀行の幾つかは、食料とエネルギーを除く総合とか、そういったベースで見ております。日銀でも、生鮮食品を除く、エネルギーを除く総合といった指数で基調を見ておりますので、これを目標値にしてもいいんじゃないかなというふうに考えています。
あと、日銀法の改正ですとかこうしたところを通じて、雇用の安定化といったようなものをより強調するような形で中央銀行は変わっていくべきだ、こういうふうに私は考えております。
以上でございます。御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日は、お招きをいただきまして、まことにありがとうございます。二十分程度、私の意見を述べさせていただければと思います。
お手元の方に、「日本経済の動向と財政健全化」、こういう題名の資料がありますけれども、そちらをごらんいただければと思います。
一枚おめくりいただければと思いますが、最初に、アベノミクス以降の日本経済の概観ということで何点か挙げさせていただいております。
日本経済は、二〇一三年以降、株高、円安を起点としまして民間消費と公共投資の回復が進んでいたといったところでございますけれども、二〇一四年四月以降、消費税増税を機に消費が大きく落ち込んだまま回復せず、内需の弱さが露呈した状態でございます。輸出及び設備投資の増加も、現状、マイルドなものにとどまっている、こういったような状況です。
こうした中で、二〇一四年の半ば以降、先ほどお話もありましたけれども、ギリシャ危機ですとか新興国景気の停滞、それからアメリカのFRBの利上げといったようなリスク要因が顕在化、深刻化をしまして、現状、外需頼みの景気回復はなかなか望めない、こういった状況です。
二〇一四年の末に、政府は、消費税増税を延期する、こういう判断をされたわけですけれども、このときのマクロ経済シナリオ自体は、二〇一六年の半ばまでに二%のインフレ目標を達成する、それから二〇一七年四月に消費税増税、そして増税の影響が一服した段階で出口政策を実行する、こういうような形で財政金融政策、ポリシーミックスをしていこうというものであったというふうに考えられるわけですけれども、現状はなかなか物価が二%の目標に届かない、こういう状況でありまして、政策枠組みの変更が必須の状況であるということです。
日本銀行自体は、二%のインフレ目標達成時期を二〇一七年度の前半ごろとしております。一七年度の前半ということですので、二〇一七年の四月以降ということですよね。こうなりますと、ちょうど消費増税のタイミングとバッティングしてしまうわけですね。これは、過去、二〇一四年の四月に増税をしたときと同じことになりますので、今回はこういった愚を繰り返すべきではない、こういうふうに考えています。
以上からは、政府、日銀の経済政策プランを見直すべき段階である、こういうふうに言えると思います。
次をおめくりいただければと思いますが、足元の経済状況というところでございまして、こちらの方は、一番左側が実質GDP成長率、右側の方に消費、住宅投資、設備投資、それから輸入までのGDPの成長率に与える寄与度というものを棒グラフで描いております。
青い棒グラフが二〇一三年度でございますが、これを見ていただくとおわかりのとおり、二〇一三年度は二・〇%であって、そして、民間消費の寄与度というのが一・四%、消費主導で成長率が高まった、こういったところでございます。
ただ、二〇一四年度、実質GDP成長率はマイナスになりまして、これは、消費税増税等々によって消費と住宅投資が大きく落ち込んだ、こういう流れになっております。
二〇一五年度、現状まだ二〇一六年の一—三月期のデータが出ておりませんので、三四半期の平均値をここでは挙げておりますけれども、現状ではマイナス、こういう状況であります。この中で、依然として消費が弱いというのが、先ほどお話ししたとおりの展開になっております。
それから、四ページ目でございますが、GDPの中で落ち込みが非常に深刻であるというところでございますけれども、四つ図表がございますが、まず一番左上をごらんいただければと思います。
現状、足元、二〇一五年度ですけれども、実質GDPの水準はどうなのかといったところでございますが、二〇一五年の十—十二月期が五百二十七・四兆円、こういう状況でございまして、二〇一五年に入って、GDPはほぼ横ばいで、上下しながら推移している、景気は足踏みといったところがこうしたところからもわかるというところでございます。
それから、左下の図をごらんいただければと思いますが、消費が落ち込んでいるわけですけれども、今回、二〇一五年の十—十二月期のデータからは、過去十年間の消費のトレンドから有意に下振れた動きになっているというところが確認できます。
こちらの方は、青い線で実際の家計最終消費支出を並べておりますけれども、それに対して黒い点線といいますのが、二〇〇二年の一—三月期から二〇一二年の十—十二月期までのデータから計算しました家計消費のトレンドです。
前期比の伸び率は〇・二%ぐらいなんですが、一三年に入りまして、このトレンドから青い線が有意に上振れてくるような感じで、要は、前期比〇・二%の伸びからだんだんだんだん家計消費が高まりつつある、こういう状況であったわけですけれども、そこから、一四年の駆け込み需要で、赤い点線、これは統計的にトレンドに入るというところを超えたことを意味しているんですが、そこを越えて上振れるような状態になったんですね。
ただ、消費増税以降、大きく家計消費は落ち込みまして、今度は赤い点線の下限を超えるような形で二〇一五年の十—十二月期が入ってしまった、こういったところがわかります。
では、この家計消費の落ち込みはどういった原因によるのかというところですけれども、右下の図をごらんいただければと思いますが、これは、GDP統計ベースで、耐久財、それから半耐久財、非耐久財、サービス別に家計消費を見たものです。
これを足した合計の伸びというのは当然ながら落ち込んでいるんですけれども、これを見ていただきますと、青い棒グラフ、耐久財の落ち込みというのが深刻であることによって消費が落ち込んでいる、こういったところがわかるというところです。
次の五ページ目でございますけれども、増税と原油安によって後ずれしたインフレ目標達成時期、こういったところでございます。赤い線は、これは消費動向調査から計算できる予想インフレ率なんですが、二〇一三年に入りまして予想インフレ率はぐっと上がっていくといったところが観測されたわけですけれども、二〇一四年の四月以降、がくんと予想インフレ率が落ちまして、それから、原油安等も相まって、今、足元では急速に落ちてきている、こういった状況であります。
それによって物価も、二〇一四年の前半までは、点線で描いております二〇一五年四月に二%インフレを達成する経路を若干超えるような形で推移していたわけですけれども、物価上昇率は落ち込んできている、こういった話になっております。
それから、次の六ページ目でございますけれども、金融政策、財政政策をどう考えるかというところでございますが、私自身は、金融政策は非常によくやっているというふうに思います。ただ、財政的にやや緊縮していますので、それによって金融政策への負荷が非常に高まっている、それによって例えば日本銀行はマイナス金利政策のようなことを導入している、こういう話になっていると思います。
次をおめくりいただければと思いますが、では、財政健全化をどう考えればいいのかというところでございますけれども、七ページ目をごらんいただければと思います。
財政再建の定義といいますのは、債務残高の名目GDP比が安定的に横ばいから減少に転ずることです。これを達成するためには、二つの必要条件がございます。
一つは、プライマリーバランスの名目GDP比を、赤字を減らしていって黒字化していくこと、それから、ドーマー条件というふうに言われますが、名目GDPの成長率が実際の国債の利回りよりも高くなる状態をつくり続ける、この二つであります。この二つを、どちらかないしは両方満たしていけば、長期債務残高の名目GDP比は横ばいから低下にいく、こういう話になります。
現状、日本経済はどうなのかというところなんですが、八ページ目をごらんいただければと思います。
こうしたことを申し上げますと、是が非でもプライマリーバランスを黒字化しないといけない、それから財政を緊縮して健全化を一刻でも早く達成しないといけない、こういう話になるわけですけれども、私自身は、日本経済のフェーズに合わせて回復をしていくことが大事だと。
ここでいろいろフェーズを書いておりますけれども、現状はデフレ脱却期であります。このときには、プライマリーバランスというのは緩やかな黒を目指すということで、現状、政府はそうやっておりますけれども、赤字でも長期債務残高のGDP比というのは改善できます。
なぜ改善できるのかということなんですけれども、成長率と金利の関係でいいますドーマー条件が満たされてくるから、そういった状況になるわけですね。デフレから脱却しますと、名目GDP成長率は伸びます。それから、金利につきましては、日銀の金融緩和によって長期金利は非常に低位に抑えられます、今起きていることでございますが。そうなりますと、ドーマー条件が満たされていくので、プライマリーバランスの黒字化を必ずしも急がなくても長期債務残高のGDP比が減っていく。
ただ、経済が正常化していくあたりになりますと、プライマリーバランスの黒字化は緩やかに必須になるということであります。
次をおめくりいただきまして、そうしたところを考えるに当たりまして、幾つか図表を挙げておりますけれども、日本の特徴、名目GDPは、過去、一九九〇年から二〇一三年までほぼ一貫して横ばいでした。前年比の平均の伸び率でいきますと〇・三%ぐらいですので、これは諸外国と比べますと非常に低率な伸びということがわかります。
それから、金利なんですけれども、名目長期金利自体は世界的に低下傾向であります。その中で、日本は最も低いわけですね。ただ、二〇一三年までは、名目成長率よりも名目の長期金利の方が高い状態が続いていました。ドーマー条件が満たされていなかったわけですが、なぜ満たされていなかったのか。これは、名目成長率が高まらなかったからということになります。
そして、現状の財政状況でございますが、左下、右下両方に書いておりますけれども、こちらは内閣府の中長期試算の結果を見ておりますけれども、二〇一四、一五あたり、プライマリーバランスは緩やかに黒字化の方向に向かっております。二〇二三年度あたりで、ちょうど、経済再生ケースであればプラス・マイナス・ゼロぐらいになるといったところです。
そして、国、地方の公債等残高、長期債務残高のGDP比でございますけれども、二〇一四、一五、一六年度あたり、緩やかに拡大傾向にあったものが、現状、横ばいになっているわけですね。
ですから、非常に微妙な、財政状況としては重要な情勢で、ここで対応を間違えるとまた再び財政悪化の方向に向かってしまうということです。
十ページ目でございますが、ギリシャの事例を挙げております。
ギリシャといいますと、財政が非常に悪いということで、日本としてはギリシャのようにならないようにしないといけない、そういう教訓として挙げられている国だと思うんですけれども、ギリシャ自体は、次をおめくりいただければと思うんですが、プライマリーバランスの名目GDP比といいますのは、二〇〇九年の時期ですとマイナス一〇・二%の赤字だったんですね。二〇一四年になりますと、一・五%の黒字になります。真ん中あたりに書いてありますけれども、黒字になったんですね。五年間で黒字になりました。日本の場合ですと、五年間で三・二%ぐらい減らしたということなんですけれども、ギリシャはプライマリーバランスの黒字化を五年間で達成したんですね。
では、それで何が起こったのか。右の長期債務残高名目GDP比をごらんいただきますと、一二六・二%から逆に一七七・二%まで拡大してしまいまして、この結果から何が言えるかといいますと、要は、プライマリーバランスの黒字化を急ぎ過ぎると、名目GDPが減って失業率は高まり、デフレになり、それによって国民生活は破壊されて、結果として財政健全化も達成できない、こういったようなことがギリシャの事例としてはわかるということでございます。
次の十二ページ目でございますが、軽減税率自体は、これは経済学者のほぼ九割あたりが反対であります。なぜかといいますと、逆進性対策たり得ないからでございます。ここにはいろいろ理由が書いてございますけれども、さまざまな観点から見て軽減税率は愚策である、こういうふうに言わざるを得ないというふうに思います。
そして、十三ページ目ですが、今、株価は大きく低下してきているわけですけれども、二〇一六年、それから一九九〇年、一九九八年、二〇〇八年、二〇一四年、これらは、年初来の株価というのが去年末から比べて大幅に下がった年であります。こうした年といいますのは、大きな経済変動が起きているという年ですね。例えば、九〇年ですとバブル崩壊、それから九八年ですとアジア金融危機、そして二〇〇八年はリーマン・ショック、一四年は消費税増税による景気の停滞、こういう話でございます。
お手元の図表、十三ページの方は、青い線で二〇一六年の株価の動きを見ています。これは、前年末の株価一万九千円をちょっと超えたところを一〇〇にしまして、足元、三十八日ぐらい営業日で経過しているんですけれども、それを見ますと、大体一五%ぐらい下がっている、八五・一ということであります。この株価の推移といいますのは、九〇年、九八年、二〇〇八年、二〇一四年と比べても最も悪いということであります。
もちろん、株価の状況が実体経済に即座に影響するわけではございませんが、ことしは非常に大きな変動が起こる可能性があるということを株価の動きは示唆しています。
最後なんですが、現下必要な財政金融政策ということでお話をさせていただければと思います。
まず、財政政策につきましては、現状、政府は、名目GDP水準目標政策、六百兆円達成という話をやっておりますけれども、これは非常に考え方としては私は真っ当だと思います。ただ、問題は、そのための具体策が全く出てきていないといったところが問題で、特に財政健全化につきましては、名目GDP水準を六百兆達成するということ、これは年当たりの平均の名目成長率を三%強にしないといけないわけですけれども、過去は〇・三%なんです。このためには、財政金融政策、成長戦略、全てを使って成長のために政策を機動的にやっていく必要があります。
ですから、こうした観点からいきますと、私は、近く予定されている増税ですとかそういったものはとんでもないというふうに考えているわけです。
それから、二点目は、増税の凍結という話です。
そして、三点目なんですけれども、私自身は、財政政策のメニューとして、一時的に消費税減税もありかなというふうに考えます。
それはなぜかといいますと、要は、足元の消費というのは非常に低迷しているわけですね。国民としては、わかりにくい経済対策をやっても効果はありません。ですから、先行きの消費税の凍結と、それから、現状、足元を、一時的に消費税を減税してみる。こういったような話は、例えばイギリスですとかもしくはカナダですとか、こういったところでもやられていますので、全くやったことがない話では当然ないんですね。こういうことも一つのメニューであります。
それから、低所得労働者を対象とする給付つきの税額控除、こういったようなものを主なメニューとする経済対策、現状ですと十兆円ぐらい必要かな、こういうふうに思っています。
そして、こういうことを申し上げると必ず財源という話になりますが、この財源は、三・四%の名目成長を前提とした税収増、それから特会整理を通じた歳入改革、国債増発等によって行うということが必要になります。例えば外為特会ですとか、いろいろありますけれども、そうしたような特会の整理ということも重要だと思います。
それから、最後なんですが、公共投資なんですけれども、足元、増発しても人手不足とかそういったような問題もあるかもしれませんが、ただ、重要な点は、中長期的に、緩やかながらも公共投資を拡大しながら必要なインフラ整備をやっていくというスタンスを国会ないしは政府できちんとお示しいただくことだと思うんですね。こうしたことをしますと、建設業者の方もその先の事業展開をしやすくなりますし、仕事もしやすくなる。ですから、こうした公共工事計画の策定、実行というのをぜひやっていただきたいというふうに思います。
金融政策につきましては、時間もあれですので、簡単にお話しさせていただければと思いますけれども、ポイントは、やはり、政府と日銀のデフレ脱却に対するコミットメント、約束というのをきちんと強めていくということが必要になります。
現状、足元では、物価上昇率はゼロ%ぐらいですね、生鮮食品を除く総合で。ただ、これはエネルギーが含まれております。エネルギー価格といいますのは、これは世界経済、世界のマーケットで決まりますので、日本国内ではコントロールできません。現状、例えば中央銀行の幾つかは、食料とエネルギーを除く総合とか、そういったベースで見ております。日銀でも、生鮮食品を除く、エネルギーを除く総合といった指数で基調を見ておりますので、これを目標値にしてもいいんじゃないかなというふうに考えています。
あと、日銀法の改正ですとかこうしたところを通じて、雇用の安定化といったようなものをより強調するような形で中央銀行は変わっていくべきだ、こういうふうに私は考えております。
以上でございます。御清聴ありがとうございました。拍手
宮
安
安藤実#6
○安藤参考人 安藤です。どうぞよろしくお願いします。
お手元に簡単なレジュメをお配りしていると思いますので、それに従って御報告したいと思います。
まず、財政法と公債との関係ですけれども、財政法第四条は公債発行を原則的に禁止しております。これは健全財政の原則とも言っておりますが、なぜ原則的に禁止したかといいますと、これは憲法九条と関係があるんだと。要するに、日本は憲法九条で平和主義をとっているわけですが、戦争しないと。近代の戦争というものは国債なしにはできないんだ、だから戦争と国債というのは非常に関係が深い、だから戦争しないということであれば国債を原則的に禁止してもいい、そういう関連でできたというふうに言われております。
ただ、財政法第四条のただし書きがありまして、例外としまして、公共事業、出資金、貸付金、そういうものについては公債発行を認めておるわけであります。
公共事業、出資金、貸付金と三つ並べているわけですが、この三者に共通な性格というのは一体何か。例えば、出資金であると配当金の収入がある、貸付金であれば利子収入がある、公共事業は、財政法の制定当時は国鉄だとか電信電話事業があったわけで料金収入がある。つまり、それ自体に償還性がある、つまり税金に頼らない、そういうことでただし書きで認めていた、そういう経緯であります。
それで、二番ですが、一九六五年度に戦後初めて国債を発行するわけですが、これは特例公債として発行しております。いわば戦後初めての国債発行が赤字国債の発行であったというわけですが、このときの福田大蔵大臣の説明を見ますと、年度途中で税収が落ち込んだ、それに対して公債を出す、これは歳入補填の公債である、そういう性格の公債だ、だから、財政法第四条の特例として審議をしてもらいたいということであります。これは、赤字国債の発行ということを非常に明確に把握して出した、そういうことだと思います。
それで、翌年の一九六六年度から、財政法四条に基づく公債と言われるいわゆる建設公債というものが発行されます。
この財政法第四条のただし書きの公共事業を、当時の福田大蔵大臣は、資産として後に残るもの、そういう説明をしております。これは、公共事業に自償性がある、料金収入がある、そういうようなことではなくて、資産として残るといわば一種の拡大解釈をしている。そういうことで、その公債を建設公債というふうに呼びました。建設公債あるいは四条債という言い方をしたわけであります。いわば償還性ということに触れていない。償還性ということに触れずに、資産として後に残るということを理由にして建設公債なるものを発行したということであります。
このときに、大蔵省は「財政新時代」という本を出しております。それを見ますと、福田大蔵大臣が一番主張していた点というのは、ここにありますように、政府は借金をする、そして政府が借金をして民間の肩がわりをするんだ、何を目指すかというと、ゆとりある家庭、蓄積ある企業を目指すと。当時、日本の企業というのは借金経営をやっていたわけですが、そこを政府が肩がわりして、ゆとりのある家庭、蓄積ある企業を目指すんだということであります。これが、いわばこの国債政策の目的というふうに言っていいかと思います。
それから、四ですが、財政法の制定から、当時、約二十年たっております。この間、料金収入のある公共事業は公社、公団というふうになりまして、国の一般会計で残っていたのは道路や港湾など単なる資産であった。だから、建設国債というふうに名づけても、その元利償還は租税によるしかない。つまり、租税で元利を償還しなければならないということであれば、これは赤字公債と言わなきゃいけないわけですが、それを赤字公債と言わずに建設公債と名づけたというのが福田大蔵大臣の工夫であったというふうに思います。
当時、一九六五年十二月の参議院大蔵委員会の議事録を見ますと、私ども財政学を研究している者は、大蔵委員会の議事録、この財務金融委員会がそうですけれども、そういうものを非常に資料としてよく使うということをやっております。その中で、当時の社会党の木村禧八郎議員と福田大蔵大臣とのやりとりというものは非常に興味深い内容のものであります。
その中で、ちょっと一部ですが、ここで引用してあります。木村議員の発言です。国の資産として残っても会計上回収性と収益性がない場合は赤字公債であります、赤字公債であるのに建設的だからいいんだ、そういうふうに考えて出す場合は非常に膨張する危険性があるんですと。赤字公債だということをきちんと見ないで、別な何かいい公債であるかのように観念する、それの危険性をここでは指摘しております。
当時、この問題について鈴木武雄東大教授がどういうことを言っているかというのをここで参考として出しました。不況にはむしろ赤字国債を発行するのが筋だ、景気回復に従ってその必要がなくなる、したがって一定の歯どめの効果がある、ところが、公共事業というものはいずれも長期財政計画にのっとってやられたわけですけれども、そういう長期財政計画の一環として建設国債を発行するのは、実質的に赤字国債なのに、それにあたかも健全な装いをさせ、かえって国債を累積するおそれがある、そういうことを指摘されています。これは「日本公債論」という本ですけれども。
それで、五番ですが、一九七五年度から特例公債の発行というふうになります。
一九七五年度中に生じた歳入欠陥というものは、補正予算で建設国債を目いっぱい発行する。目いっぱいということは、建設国債は公共事業を対象経費としてその対象をどんどん広げてきたという経緯がありますけれども、そういう対象経費いっぱいの公債発行ということをやっても足りない、そういうことであります。目いっぱい発行しても追いつかない。
そこで、ついに財政法に特例法を設けての公債発行ということになりました。建設公債主義だというふうに言っていたものが、この段階で破綻したということだと思います。そういうことで、一九七六年度からは、財政運営としては異常な、当初予算からの特例公債発行というふうになります。
異常だというふうに書きましたけれども、その異常の意味は、その後、一九七六年二月の衆議院予算委員会で、渡辺佐平法政大学教授、この方は金融論の学者ですけれども、この渡辺先生が、財政法特例法というものは、年度途中なら結果的に公債発行の限度が示されるが、予算提出の当初に制定するということは、歳出をまず決めて赤字公債の発行額を決めることになる、こういうやり方は赤字公債発行の限度をなくす、そしてこういう財政特例法というものが毎年制定される前例をつくることになると。
つまり、七五年度は年度途中で特例公債を発行しているわけですが、七六年から、当初予算から特例公債というものを予算に組み込んで、そういうような運営をする。そういうことについて、こういうやり方が毎年制定される前例をつくることになる、これは、今日の事態も見通した指摘だというふうに思います。
この渡辺教授は、別の機会に、こういう財政法特例法を年度当初に制定するやり口を恥知らずなことというふうに述べております。これは恥知らずな財政運営。日本人の道徳観としては、恥の意識ということが特徴だというふうに言われておりますが、日本の財政運営がそういう日本独特の恥の意識のない運営になっている、そういうことを指摘されているというふうに思います。
それで、二枚目に移ります。
特例公債の償還については、建設公債の場合は、その対象が資産として残る、物として残っている、だから、それの期限を考えて六十年で償還すればいい、そういう六十年償還というようなやり方をとっておりますが、特例公債の場合は、そういう見合いの資産がないから、期限が来れば、つまり満期になれば全額償還ということで始まっております。
ところが、一九七五年以降発行した特例公債の満期が迫った約十年後、一九八四年に、全額現金で償還するということになると極端な歳出カットに陥る、そういう理由で借換債を発行するということに変更しました。
その際、借換債の償還を、差し当たり建設公債と同じ六十年にしました。差し当たりというのは、ほとんど、暫定的といいますか、このときだけだというような意味合いなわけですが、この差し当たりの措置がそのままずるずると続く、そういうことになっております。日本の財政運営で、差し当たりとか暫時とか、そういう言い方が非常にルーズな使われ方をしている、その例だと思います。そういう意味からいけば、建設公債と特例公債を区分する意味がほとんどなくなっている、そういうふうに考えております。
七ですが、財政法の第五条が形骸化したという問題です。
財政法は、公債の日銀引き受けを禁止しております。しかし、異次元の金融緩和のため国債を買い続けた結果、日銀の国債保有額は急増して、二〇一五年八月現在で二百五十八兆円。国債保有の量的規制たるいわゆる日銀券ルールとか一年ルール、そういうものを破って国債を買い入れている。これはもう財政ファイナンスじゃないか、つまり、事実上の日銀の公債引き受けと変わらない、そういうような声も出ております。
それで、問題の、このたびの公債の発行の特例に関する法律案ですけれども、これは五年先まで特例公債を発行し続ける、そういうことだと思います。これは、予算の単年度主義に反するというだけじゃなくて、財政法違反の赤字公債発行を常態化する、そういうことになるというふうに思います。これは、あえて言えば財政法暗殺法案ではないか、こういうものをこういう議会で認めるということは議会の自殺行為になるのではないか、そういうような言い方をあえて、忌憚なく言えというふうにさっき委員長がおっしゃいましたので、そういうふうに言いたいと思います。
私の提案というのを最後に出しておりますが、これは原因者負担論と公債区分の廃止論であります。
日本は、高度成長の結果、七〇年代の初めに非常に大きな公害問題が発生しました。今、中国はひどいそうですけれども。その公害問題を処理した。処理できたのは、原因者負担原則、つまり、公害の発生源の企業にその処理の責任を負わせる、そういうことが有効だったというふうに思います。
公債累積の問題を解決するためには、公債発行政策を推進し、その恩恵を受けてきた財界がそれ相当の税負担を負う、それが筋だというふうに思います。
そして、公債というのは租税と切り離すことができません。それはある意味で租税の先借りであります。あるいは、租税の変形であります。公債というものを媒介として、大法人や富裕層が負うべき租税負担を大衆の負担に置きかえるというようなことは許されないというふうに思います。そういう意味で、現在進められている逆進性の強い消費税増税路線というものは筋違いだというふうに考えております。
それから、建設公債と特例公債の区分を廃止するという意味は、要するに、建設公債という考え方だと、これは公共事業の目的公債、あるいは公共事業の特定財源という位置づけになります。いわば、国家財政のいろいろな経費の中である特定の経費が財源的に優先経費として扱われる、そういうことになると、例えば財政合理化をする、節減をするという場合にその対象外になってしまう、そういうことではおかしいのではないか。ほかの経費と同じ扱いにする、そういう意味合いからも、建設公債という区分は廃止すべきであるというのが、私の提案というか意見であります。
以上、意見を申し上げました。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →お手元に簡単なレジュメをお配りしていると思いますので、それに従って御報告したいと思います。
まず、財政法と公債との関係ですけれども、財政法第四条は公債発行を原則的に禁止しております。これは健全財政の原則とも言っておりますが、なぜ原則的に禁止したかといいますと、これは憲法九条と関係があるんだと。要するに、日本は憲法九条で平和主義をとっているわけですが、戦争しないと。近代の戦争というものは国債なしにはできないんだ、だから戦争と国債というのは非常に関係が深い、だから戦争しないということであれば国債を原則的に禁止してもいい、そういう関連でできたというふうに言われております。
ただ、財政法第四条のただし書きがありまして、例外としまして、公共事業、出資金、貸付金、そういうものについては公債発行を認めておるわけであります。
公共事業、出資金、貸付金と三つ並べているわけですが、この三者に共通な性格というのは一体何か。例えば、出資金であると配当金の収入がある、貸付金であれば利子収入がある、公共事業は、財政法の制定当時は国鉄だとか電信電話事業があったわけで料金収入がある。つまり、それ自体に償還性がある、つまり税金に頼らない、そういうことでただし書きで認めていた、そういう経緯であります。
それで、二番ですが、一九六五年度に戦後初めて国債を発行するわけですが、これは特例公債として発行しております。いわば戦後初めての国債発行が赤字国債の発行であったというわけですが、このときの福田大蔵大臣の説明を見ますと、年度途中で税収が落ち込んだ、それに対して公債を出す、これは歳入補填の公債である、そういう性格の公債だ、だから、財政法第四条の特例として審議をしてもらいたいということであります。これは、赤字国債の発行ということを非常に明確に把握して出した、そういうことだと思います。
それで、翌年の一九六六年度から、財政法四条に基づく公債と言われるいわゆる建設公債というものが発行されます。
この財政法第四条のただし書きの公共事業を、当時の福田大蔵大臣は、資産として後に残るもの、そういう説明をしております。これは、公共事業に自償性がある、料金収入がある、そういうようなことではなくて、資産として残るといわば一種の拡大解釈をしている。そういうことで、その公債を建設公債というふうに呼びました。建設公債あるいは四条債という言い方をしたわけであります。いわば償還性ということに触れていない。償還性ということに触れずに、資産として後に残るということを理由にして建設公債なるものを発行したということであります。
このときに、大蔵省は「財政新時代」という本を出しております。それを見ますと、福田大蔵大臣が一番主張していた点というのは、ここにありますように、政府は借金をする、そして政府が借金をして民間の肩がわりをするんだ、何を目指すかというと、ゆとりある家庭、蓄積ある企業を目指すと。当時、日本の企業というのは借金経営をやっていたわけですが、そこを政府が肩がわりして、ゆとりのある家庭、蓄積ある企業を目指すんだということであります。これが、いわばこの国債政策の目的というふうに言っていいかと思います。
それから、四ですが、財政法の制定から、当時、約二十年たっております。この間、料金収入のある公共事業は公社、公団というふうになりまして、国の一般会計で残っていたのは道路や港湾など単なる資産であった。だから、建設国債というふうに名づけても、その元利償還は租税によるしかない。つまり、租税で元利を償還しなければならないということであれば、これは赤字公債と言わなきゃいけないわけですが、それを赤字公債と言わずに建設公債と名づけたというのが福田大蔵大臣の工夫であったというふうに思います。
当時、一九六五年十二月の参議院大蔵委員会の議事録を見ますと、私ども財政学を研究している者は、大蔵委員会の議事録、この財務金融委員会がそうですけれども、そういうものを非常に資料としてよく使うということをやっております。その中で、当時の社会党の木村禧八郎議員と福田大蔵大臣とのやりとりというものは非常に興味深い内容のものであります。
その中で、ちょっと一部ですが、ここで引用してあります。木村議員の発言です。国の資産として残っても会計上回収性と収益性がない場合は赤字公債であります、赤字公債であるのに建設的だからいいんだ、そういうふうに考えて出す場合は非常に膨張する危険性があるんですと。赤字公債だということをきちんと見ないで、別な何かいい公債であるかのように観念する、それの危険性をここでは指摘しております。
当時、この問題について鈴木武雄東大教授がどういうことを言っているかというのをここで参考として出しました。不況にはむしろ赤字国債を発行するのが筋だ、景気回復に従ってその必要がなくなる、したがって一定の歯どめの効果がある、ところが、公共事業というものはいずれも長期財政計画にのっとってやられたわけですけれども、そういう長期財政計画の一環として建設国債を発行するのは、実質的に赤字国債なのに、それにあたかも健全な装いをさせ、かえって国債を累積するおそれがある、そういうことを指摘されています。これは「日本公債論」という本ですけれども。
それで、五番ですが、一九七五年度から特例公債の発行というふうになります。
一九七五年度中に生じた歳入欠陥というものは、補正予算で建設国債を目いっぱい発行する。目いっぱいということは、建設国債は公共事業を対象経費としてその対象をどんどん広げてきたという経緯がありますけれども、そういう対象経費いっぱいの公債発行ということをやっても足りない、そういうことであります。目いっぱい発行しても追いつかない。
そこで、ついに財政法に特例法を設けての公債発行ということになりました。建設公債主義だというふうに言っていたものが、この段階で破綻したということだと思います。そういうことで、一九七六年度からは、財政運営としては異常な、当初予算からの特例公債発行というふうになります。
異常だというふうに書きましたけれども、その異常の意味は、その後、一九七六年二月の衆議院予算委員会で、渡辺佐平法政大学教授、この方は金融論の学者ですけれども、この渡辺先生が、財政法特例法というものは、年度途中なら結果的に公債発行の限度が示されるが、予算提出の当初に制定するということは、歳出をまず決めて赤字公債の発行額を決めることになる、こういうやり方は赤字公債発行の限度をなくす、そしてこういう財政特例法というものが毎年制定される前例をつくることになると。
つまり、七五年度は年度途中で特例公債を発行しているわけですが、七六年から、当初予算から特例公債というものを予算に組み込んで、そういうような運営をする。そういうことについて、こういうやり方が毎年制定される前例をつくることになる、これは、今日の事態も見通した指摘だというふうに思います。
この渡辺教授は、別の機会に、こういう財政法特例法を年度当初に制定するやり口を恥知らずなことというふうに述べております。これは恥知らずな財政運営。日本人の道徳観としては、恥の意識ということが特徴だというふうに言われておりますが、日本の財政運営がそういう日本独特の恥の意識のない運営になっている、そういうことを指摘されているというふうに思います。
それで、二枚目に移ります。
特例公債の償還については、建設公債の場合は、その対象が資産として残る、物として残っている、だから、それの期限を考えて六十年で償還すればいい、そういう六十年償還というようなやり方をとっておりますが、特例公債の場合は、そういう見合いの資産がないから、期限が来れば、つまり満期になれば全額償還ということで始まっております。
ところが、一九七五年以降発行した特例公債の満期が迫った約十年後、一九八四年に、全額現金で償還するということになると極端な歳出カットに陥る、そういう理由で借換債を発行するということに変更しました。
その際、借換債の償還を、差し当たり建設公債と同じ六十年にしました。差し当たりというのは、ほとんど、暫定的といいますか、このときだけだというような意味合いなわけですが、この差し当たりの措置がそのままずるずると続く、そういうことになっております。日本の財政運営で、差し当たりとか暫時とか、そういう言い方が非常にルーズな使われ方をしている、その例だと思います。そういう意味からいけば、建設公債と特例公債を区分する意味がほとんどなくなっている、そういうふうに考えております。
七ですが、財政法の第五条が形骸化したという問題です。
財政法は、公債の日銀引き受けを禁止しております。しかし、異次元の金融緩和のため国債を買い続けた結果、日銀の国債保有額は急増して、二〇一五年八月現在で二百五十八兆円。国債保有の量的規制たるいわゆる日銀券ルールとか一年ルール、そういうものを破って国債を買い入れている。これはもう財政ファイナンスじゃないか、つまり、事実上の日銀の公債引き受けと変わらない、そういうような声も出ております。
それで、問題の、このたびの公債の発行の特例に関する法律案ですけれども、これは五年先まで特例公債を発行し続ける、そういうことだと思います。これは、予算の単年度主義に反するというだけじゃなくて、財政法違反の赤字公債発行を常態化する、そういうことになるというふうに思います。これは、あえて言えば財政法暗殺法案ではないか、こういうものをこういう議会で認めるということは議会の自殺行為になるのではないか、そういうような言い方をあえて、忌憚なく言えというふうにさっき委員長がおっしゃいましたので、そういうふうに言いたいと思います。
私の提案というのを最後に出しておりますが、これは原因者負担論と公債区分の廃止論であります。
日本は、高度成長の結果、七〇年代の初めに非常に大きな公害問題が発生しました。今、中国はひどいそうですけれども。その公害問題を処理した。処理できたのは、原因者負担原則、つまり、公害の発生源の企業にその処理の責任を負わせる、そういうことが有効だったというふうに思います。
公債累積の問題を解決するためには、公債発行政策を推進し、その恩恵を受けてきた財界がそれ相当の税負担を負う、それが筋だというふうに思います。
そして、公債というのは租税と切り離すことができません。それはある意味で租税の先借りであります。あるいは、租税の変形であります。公債というものを媒介として、大法人や富裕層が負うべき租税負担を大衆の負担に置きかえるというようなことは許されないというふうに思います。そういう意味で、現在進められている逆進性の強い消費税増税路線というものは筋違いだというふうに考えております。
それから、建設公債と特例公債の区分を廃止するという意味は、要するに、建設公債という考え方だと、これは公共事業の目的公債、あるいは公共事業の特定財源という位置づけになります。いわば、国家財政のいろいろな経費の中である特定の経費が財源的に優先経費として扱われる、そういうことになると、例えば財政合理化をする、節減をするという場合にその対象外になってしまう、そういうことではおかしいのではないか。ほかの経費と同じ扱いにする、そういう意味合いからも、建設公債という区分は廃止すべきであるというのが、私の提案というか意見であります。
以上、意見を申し上げました。どうもありがとうございました。拍手
宮
宮
神
神田憲次#9
○神田委員 おはようございます。自由民主党の神田憲次でございます。
本日は、財務金融委員会の参考人質疑ということでございまして、末澤先生、片岡先生、安藤先生、お三方におかれましては、お忙しい中お越しいただきまして、心から感謝を申し上げます。
特例公債法に係ることはもちろん、経済の動向の見通しなど、お三方の貴重な御意見を拝聴し、本日賜りました御意見をしっかりと理解し、参考とさせていただきたいと考えております。
私は、二〇一二年に初当選いたしまして、まさしくアベノミクスとともに、与党の国会議員として国民の皆様方から御負託をいただいておる立場でございます。今御意見をいただきました特例公債法は、アベノミクスの第一段階の三本の矢、金融政策、財政政策、規制緩和という三本の矢のうちの二本を支える重要な法案だと思っております。
ただいまより二十分ということでございますので、できるだけ参考人の先生方の御意見を伺いたいということに尽きますので、前置きは手短にいたしまして、早速質問に移らせていただきます。
まず、片岡参考人にお伺いしたく存じます。
企業収益は過去最高でございまして、有効求人倍率は御承知のように一・二七倍、それからこの数値が二十四年ぶりの高水準であること、それから、失業率も低減、つまり三・三%ぐらいになっているかと存じます。
そういった良好な数値の一方で、足元では、中国経済の変調などもありまして、国内でも株安が進んでおる。為替レートの部分でも、一時期より円高となっておるわけですが、日本のファンダメンタルズをどのように見ていらっしゃるかをお聞かせ願いたいと存じます。
この発言だけを見る →本日は、財務金融委員会の参考人質疑ということでございまして、末澤先生、片岡先生、安藤先生、お三方におかれましては、お忙しい中お越しいただきまして、心から感謝を申し上げます。
特例公債法に係ることはもちろん、経済の動向の見通しなど、お三方の貴重な御意見を拝聴し、本日賜りました御意見をしっかりと理解し、参考とさせていただきたいと考えております。
私は、二〇一二年に初当選いたしまして、まさしくアベノミクスとともに、与党の国会議員として国民の皆様方から御負託をいただいておる立場でございます。今御意見をいただきました特例公債法は、アベノミクスの第一段階の三本の矢、金融政策、財政政策、規制緩和という三本の矢のうちの二本を支える重要な法案だと思っております。
ただいまより二十分ということでございますので、できるだけ参考人の先生方の御意見を伺いたいということに尽きますので、前置きは手短にいたしまして、早速質問に移らせていただきます。
まず、片岡参考人にお伺いしたく存じます。
企業収益は過去最高でございまして、有効求人倍率は御承知のように一・二七倍、それからこの数値が二十四年ぶりの高水準であること、それから、失業率も低減、つまり三・三%ぐらいになっているかと存じます。
そういった良好な数値の一方で、足元では、中国経済の変調などもありまして、国内でも株安が進んでおる。為替レートの部分でも、一時期より円高となっておるわけですが、日本のファンダメンタルズをどのように見ていらっしゃるかをお聞かせ願いたいと存じます。
片
片岡剛士#10
○片岡参考人 御質問いただきましてありがとうございました。
今の御質問にお答えしたいと思いますけれども、御指摘ありましたように、例えば雇用につきましては、失業率は現在、足元で三・三%になっております。それから、有効求人倍率は一・二倍を超えるような形になっておりまして、これは神田委員の御指摘のとおりだと思います。
他方で、景気の中で、消費、投資、輸出といったところの動きを見ていきますと、先ほど申し上げましたように、消費がなかなか持ち直ってこないといったところで、国内の総需要がちょっと弱い状況ですね。他方で、雇用は改善してきております。その中で、賃金も緩やかながら拡大の状況にありますので、目先、消費が拡大する、こういった期待はあったわけですけれども、なかなか現状、そういった動きが起こってきていない。
その中で、例えば海外要因等々によって、製造業の業況ですとか、こうしたところに少しリスク要因が強まってきている、こういったところが今の足元の現状であります。ですので、この動きが強まっていきますと、例えば賃上げの動きですとか、もしくは設備投資の拡大ですとか、こうしたようなものが今後しぼんではいかないかというふうに心配される状況であるということです。
ですので、今申し上げたような消費の落ち込みの話、それから雇用の改善ないしは企業行動といったところをあわせて考えますと、現状の足元の景気状況というのは横ばいというような格好で、ちょっと方向感を失っているような現状なのではないかな、こんなふうに思っております。
この発言だけを見る →今の御質問にお答えしたいと思いますけれども、御指摘ありましたように、例えば雇用につきましては、失業率は現在、足元で三・三%になっております。それから、有効求人倍率は一・二倍を超えるような形になっておりまして、これは神田委員の御指摘のとおりだと思います。
他方で、景気の中で、消費、投資、輸出といったところの動きを見ていきますと、先ほど申し上げましたように、消費がなかなか持ち直ってこないといったところで、国内の総需要がちょっと弱い状況ですね。他方で、雇用は改善してきております。その中で、賃金も緩やかながら拡大の状況にありますので、目先、消費が拡大する、こういった期待はあったわけですけれども、なかなか現状、そういった動きが起こってきていない。
その中で、例えば海外要因等々によって、製造業の業況ですとか、こうしたところに少しリスク要因が強まってきている、こういったところが今の足元の現状であります。ですので、この動きが強まっていきますと、例えば賃上げの動きですとか、もしくは設備投資の拡大ですとか、こうしたようなものが今後しぼんではいかないかというふうに心配される状況であるということです。
ですので、今申し上げたような消費の落ち込みの話、それから雇用の改善ないしは企業行動といったところをあわせて考えますと、現状の足元の景気状況というのは横ばいというような格好で、ちょっと方向感を失っているような現状なのではないかな、こんなふうに思っております。
神
神田憲次#11
○神田委員 ありがとうございます。
次に、安藤参考人にお伺いしたく存じます。
二〇一二年度のように、万が一、特例公債法が成立いたしませず、特例公債の発行根拠というものを欠いた事態になると、予算執行はもちろん、国債市場などにも悪影響が生じると思います。
その上で、二〇一二年度のような事態を避けるために特例公債法を複数年度化するというふうな対応策となった評価と、今回の特例公債法の成立がおくれた場合について生じる問題点についてお考えを伺わせていただきたいと存じます。
この発言だけを見る →次に、安藤参考人にお伺いしたく存じます。
二〇一二年度のように、万が一、特例公債法が成立いたしませず、特例公債の発行根拠というものを欠いた事態になると、予算執行はもちろん、国債市場などにも悪影響が生じると思います。
その上で、二〇一二年度のような事態を避けるために特例公債法を複数年度化するというふうな対応策となった評価と、今回の特例公債法の成立がおくれた場合について生じる問題点についてお考えを伺わせていただきたいと存じます。
安
安藤実#12
○安藤参考人 私が疑問に思っているのは、数年度にわたってこういうような措置をとるということに反対しているわけで、事情によって、単年度、例えば今年度なら今年度で特例法を出す、そういうことは別に差し支えないというふうに考えております。
この発言だけを見る →神
神田憲次#13
○神田委員 次に、末澤参考人にお伺いしたく存じます。
日銀の金融緩和に加えまして、さきのマイナス金利政策の導入によりまして市場金利が現在大きく低下して、十年物の国債金利もマイナスを記録するなど、政府の資金調達コストというのは一層低下しております。
こうした国債の発行環境も踏まえまして、財政健全化への取り組みを緩めても問題ないのではないかという見方も出てくるのではないかと思いますけれども、財政健全化の必要性について、どのようにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →日銀の金融緩和に加えまして、さきのマイナス金利政策の導入によりまして市場金利が現在大きく低下して、十年物の国債金利もマイナスを記録するなど、政府の資金調達コストというのは一層低下しております。
こうした国債の発行環境も踏まえまして、財政健全化への取り組みを緩めても問題ないのではないかという見方も出てくるのではないかと思いますけれども、財政健全化の必要性について、どのようにお考えでしょうか。
末
末澤豪謙#14
○末澤参考人 今回、先ほど申し上げましたように、日本の長期金利はマイナス圏に入っております。ただ、マイナスと言いますと皆さんびっくりするんですけれども、レベルは大きくはないんですね。四%が二%に低下したわけではございません。
当然ながら、元本の返済は必要でございますし、先ほど申しましたように、日本の場合、足元はまだ、過去、高度成長期、またその後、私どもの先輩方が本当にある面勤勉に蓄えられた資産がございます。ただ、今後、少子高齢化、グローバル化が進展すると、行く行くは相当厳しい状況も想定されるということでございますから、ここでそういう手綱を緩めるということはできない。着実に、財政健全化計画、経済・財政再生計画を実行していくことが重要だというふうに考えております。
この発言だけを見る →当然ながら、元本の返済は必要でございますし、先ほど申しましたように、日本の場合、足元はまだ、過去、高度成長期、またその後、私どもの先輩方が本当にある面勤勉に蓄えられた資産がございます。ただ、今後、少子高齢化、グローバル化が進展すると、行く行くは相当厳しい状況も想定されるということでございますから、ここでそういう手綱を緩めるということはできない。着実に、財政健全化計画、経済・財政再生計画を実行していくことが重要だというふうに考えております。
神
神田憲次#15
○神田委員 ありがとうございます。
続きまして、片岡参考人にお願いしたいと存じます。
内閣府の中長期試算では、名目三%超の成長率を仮定した経済再生ケースでも六・五兆円の赤字が残るとされております。二〇二〇年度にプライマリーバランスの黒字化が達成できないという指摘もあるわけですが、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化についてはどのようにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →続きまして、片岡参考人にお願いしたいと存じます。
内閣府の中長期試算では、名目三%超の成長率を仮定した経済再生ケースでも六・五兆円の赤字が残るとされております。二〇二〇年度にプライマリーバランスの黒字化が達成できないという指摘もあるわけですが、二〇二〇年度のプライマリーバランスの黒字化についてはどのようにお考えでしょうか。
片
片岡剛士#16
○片岡参考人 お答えさせていただければと思います。
二〇二〇年度、確かに現状、内閣府の試算ですと、達成できない、こういう状況になっております。
ただ、一年前の試算によりますと八兆円強の財政赤字だったと思うんですけれども、これ自体、新たな試算が出てきますと、二〇二〇年度のプライマリーバランスの赤字というのがどんどん縮小傾向にあるんですね。今回初めて、二〇二四年度以降になりますとプライマリーバランスが黒字化する、こういうような結果が出てきておりまして、私自身は、是が非でも二〇二〇年度に黒字化しなければいけないという話では必ずしもないんじゃないかと思います。
むしろ、財政健全化、プライマリーバランスないしはドーマー条件に沿った形で緩やかに改善の方向を続けていく、もちろん、その中で政府としては最大限の努力をする必要はあるかと思いますけれども、結果として二〇年度に赤字が残ったからといって、国債金利が急騰するとかそういったような話には決してならない、私はこういうふうに理解しております。
この発言だけを見る →二〇二〇年度、確かに現状、内閣府の試算ですと、達成できない、こういう状況になっております。
ただ、一年前の試算によりますと八兆円強の財政赤字だったと思うんですけれども、これ自体、新たな試算が出てきますと、二〇二〇年度のプライマリーバランスの赤字というのがどんどん縮小傾向にあるんですね。今回初めて、二〇二四年度以降になりますとプライマリーバランスが黒字化する、こういうような結果が出てきておりまして、私自身は、是が非でも二〇二〇年度に黒字化しなければいけないという話では必ずしもないんじゃないかと思います。
むしろ、財政健全化、プライマリーバランスないしはドーマー条件に沿った形で緩やかに改善の方向を続けていく、もちろん、その中で政府としては最大限の努力をする必要はあるかと思いますけれども、結果として二〇年度に赤字が残ったからといって、国債金利が急騰するとかそういったような話には決してならない、私はこういうふうに理解しております。
神
神田憲次#17
○神田委員 続きまして、安藤参考人にお伺いしたいと存じます。
特例公債法において、先ほど来先生おっしゃっておりますように、単年度主義でなければならないというお話なんですけれども、複数年度にわたっての特例公債の発行根拠規定を設ければ財政規律が緩むという不安というか考え方がございますが、こういった見方については参考人はどうお考えでしょうか。
この発言だけを見る →特例公債法において、先ほど来先生おっしゃっておりますように、単年度主義でなければならないというお話なんですけれども、複数年度にわたっての特例公債の発行根拠規定を設ければ財政規律が緩むという不安というか考え方がございますが、こういった見方については参考人はどうお考えでしょうか。
安
安藤実#18
○安藤参考人 恐らく、財政規律は緩むと思います。
要するに、予算というものは、それこそ国民生活を含めて基本なわけですけれども、そういうものについては単年度主義という原則があるわけですね。これは、要するに、納税者の代表がきちんとそれをチェックする、そういう趣旨だと思います。そういうものは毎年きちんとやるべきであって、それをあらかじめ決めてしまうというようなやり方は、いわば有権者の権利を阻害する、それから当然、議員の発言権というものを制限する、そういうことなので、財政民主主義の見地からいって非常に問題だ、そういう考えです。
この発言だけを見る →要するに、予算というものは、それこそ国民生活を含めて基本なわけですけれども、そういうものについては単年度主義という原則があるわけですね。これは、要するに、納税者の代表がきちんとそれをチェックする、そういう趣旨だと思います。そういうものは毎年きちんとやるべきであって、それをあらかじめ決めてしまうというようなやり方は、いわば有権者の権利を阻害する、それから当然、議員の発言権というものを制限する、そういうことなので、財政民主主義の見地からいって非常に問題だ、そういう考えです。
神
神田憲次#19
○神田委員 次に、末澤参考人にお伺いをいたします。
法律で財政健全化目標を政府の方に義務づけなければ財政健全化はなし遂げられないという議論もあるわけなんですが、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
この発言だけを見る →法律で財政健全化目標を政府の方に義務づけなければ財政健全化はなし遂げられないという議論もあるわけなんですが、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
末
末澤豪謙#20
○末澤参考人 過去の経緯で申し上げますと、かつて財政構造改革法が成立しましたが、その後の金融危機によって凍結されたということもございます。
基本的には、法律は、ある面予算と同格でございます。毎年、予算の審議も行われております。そういう意味では、今の状況を考えますと、中長期的な計画を着実に達成することが重要であります。
ちなみに、ドイツにおきましては、二〇〇九年、リーマン・ショック後でございますが、当時大きく膨らんだ財政赤字を縮小するために憲法改正をやっておりまして、そこまでやるのはちょっと別なんですけれども、必ずしも法律で縛る必要が、実効性があるというふうには考えておりません。
この発言だけを見る →基本的には、法律は、ある面予算と同格でございます。毎年、予算の審議も行われております。そういう意味では、今の状況を考えますと、中長期的な計画を着実に達成することが重要であります。
ちなみに、ドイツにおきましては、二〇〇九年、リーマン・ショック後でございますが、当時大きく膨らんだ財政赤字を縮小するために憲法改正をやっておりまして、そこまでやるのはちょっと別なんですけれども、必ずしも法律で縛る必要が、実効性があるというふうには考えておりません。
神
神田憲次#21
○神田委員 私も、財政健全化、つまりプライマリーバランスの黒字化は、現実にアベノミクスで特例公債の発行の減少ということは達成しておるわけですから、日本の財政が国際的な信認を失わないような状況でさらにこの健全化、プライマリーバランスの二〇二〇年度黒字化というのは当然やっていかなきゃならない、それが日本国の信用を維持するための大きな要因であることは十分理解しております。
そこで、これは最後の質問になるかと存じますが、片岡参考人に御質問を申し上げたいと思います。
今回、安倍政権で、六百兆円GDPを達成するという目標を掲げられております。そういう目標に対して、我が国としての取り組み、それから逆に、この思いは国の国力をあらわすわけですから、この数値目標に向かって日本国民みんなの総意でもって努力をしていくというようなことが望まれるのかと存じます。
そうした意味で、これから先、日本がとるべき政策であり、どういう手法が必要であるとお考えか、聞かせていただきたいと存じます。
この発言だけを見る →そこで、これは最後の質問になるかと存じますが、片岡参考人に御質問を申し上げたいと思います。
今回、安倍政権で、六百兆円GDPを達成するという目標を掲げられております。そういう目標に対して、我が国としての取り組み、それから逆に、この思いは国の国力をあらわすわけですから、この数値目標に向かって日本国民みんなの総意でもって努力をしていくというようなことが望まれるのかと存じます。
そうした意味で、これから先、日本がとるべき政策であり、どういう手法が必要であるとお考えか、聞かせていただきたいと存じます。
片
片岡剛士#22
○片岡参考人 御質問ありがとうございます。
名目GDP六百兆を目指す、その中で、アベノミクス第二ステージということで、現状、政府は政策をとられる動きを進めておると思います。先ほど意見陳述で申し上げましたけれども、私はこの政策は正しいと思っています。
ですから、六百兆円といいますのは、失われた二十年における名目GDP五百兆円台を乗り越えるという、非常に強いコミットメントだと思うんですね。ただ、そのためには、財政政策、金融政策、成長戦略、全ての三本の矢をきちんとフルに生かしていくことが必要で、この間においては、行き過ぎた、例えば増税とか緊縮策とか、そういったようなものをとってしまうと、景気を悪化させてしまいますので、当然届かなくなるであろうなというふうに思います。
ですから、財政政策につきましては、現状、より緊縮を強めるという話もございますけれども、緊縮を強めるのであれば、例えば政府資産の売却整理とか、こういったような国民生活に直接余り関係のないところを中心として財政の削減を進めること、他方で、足元の景気に対しましては、特に家計の懐を暖めるような財政支出が必要だ、こういうふうに考えています。
そして、五年間という話がございましたけれども、五年間の中ではいろいろございます。当然、景気の悪いときもあるし、景気のいいときもあります。ですから、景気の悪いときに、例えば、予定どおり歳出を絞っていくとか増税をやっていかないといけない、これを決めてしまったから是が非でもやるということではなくて、ぜひ、景気の状況に合わせて、中長期的な観点に立った財政健全化と成長というものを両立させていただきたい、こんなふうに思っています。
あと、名目成長拡大のためにはデフレ脱却が不可欠です。ですから、そのためには、二%のインフレ目標の達成、こういったものが政策のもう一つの柱になると思います。そのために、国民が、これからも緩やかながらも成長していくんだ、こういった期待の持てるような政策を、さまざまな観点からぜひやっていただきたい、こういうふうに思っています。
この発言だけを見る →名目GDP六百兆を目指す、その中で、アベノミクス第二ステージということで、現状、政府は政策をとられる動きを進めておると思います。先ほど意見陳述で申し上げましたけれども、私はこの政策は正しいと思っています。
ですから、六百兆円といいますのは、失われた二十年における名目GDP五百兆円台を乗り越えるという、非常に強いコミットメントだと思うんですね。ただ、そのためには、財政政策、金融政策、成長戦略、全ての三本の矢をきちんとフルに生かしていくことが必要で、この間においては、行き過ぎた、例えば増税とか緊縮策とか、そういったようなものをとってしまうと、景気を悪化させてしまいますので、当然届かなくなるであろうなというふうに思います。
ですから、財政政策につきましては、現状、より緊縮を強めるという話もございますけれども、緊縮を強めるのであれば、例えば政府資産の売却整理とか、こういったような国民生活に直接余り関係のないところを中心として財政の削減を進めること、他方で、足元の景気に対しましては、特に家計の懐を暖めるような財政支出が必要だ、こういうふうに考えています。
そして、五年間という話がございましたけれども、五年間の中ではいろいろございます。当然、景気の悪いときもあるし、景気のいいときもあります。ですから、景気の悪いときに、例えば、予定どおり歳出を絞っていくとか増税をやっていかないといけない、これを決めてしまったから是が非でもやるということではなくて、ぜひ、景気の状況に合わせて、中長期的な観点に立った財政健全化と成長というものを両立させていただきたい、こんなふうに思っています。
あと、名目成長拡大のためにはデフレ脱却が不可欠です。ですから、そのためには、二%のインフレ目標の達成、こういったものが政策のもう一つの柱になると思います。そのために、国民が、これからも緩やかながらも成長していくんだ、こういった期待の持てるような政策を、さまざまな観点からぜひやっていただきたい、こういうふうに思っています。
神
宮
伊
伊藤渉#25
○伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。
きょうは、早朝より、末澤先生、片岡先生、そして安藤先生には、当委員会にお運びをいただきまして、大変にありがとうございます。
二十分間という限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
まず、今回の参考人質疑の本質は、いかに財政再建をなし遂げていくか、この議論に尽きると考えています。その一つの、今回議題になっている特例公債、あるいは復興のための、歳入のための公債の発行の法律の議論をしている、こういうことだろうと思います。
よって、財政再建に向けて、三人の先生方から大事なポイントを御指導いただきたい、そんな思いでこれから御質問をさせていただきますので、いずれの質問も三人の先生方にお答えを頂戴したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
まず、これまでの我が国の財政再建を含む取り組みを俯瞰的に確認させていただきたいと思います。
歳入歳出の推移を見れば明らかなとおり、一九九〇年代初頭より、我が国では歳出に見合った歳入が得られておりません。要因の一つは、長期的な時系列で見た場合に、欧州に比べまして、直接税と間接税の割合の見直し、つまり間接税である一般消費税の導入時期がおくれたことが挙げられると考えております。
ヨーロッパでは、一九五〇年代半ば、フランスから一般消費税の導入が始まりました。日本では、一九七〇年代後半から議論が始まるものの、現に導入ができましたのは一九八〇年代後半、一九八八年、昭和六十三年の竹下内閣における消費税法成立を待たなければなりませんでした。欧州に比べて約三十年、一般消費税の導入がおくれたと言えるのではないかと思っております。
ちなみに、当時の社会保障研究所、これは日本ですけれども、社会保障給付費の将来推計が一九八四年からスタートをしておりますから、当時から社会保障給付費が将来に増大をしていくであろうことはある程度予測ができていたもの、こう思っております。
また、日本における一般消費税の導入時期がバブル崩壊期に重なったことも、歳入と歳出のバランスが直ちに改善するに至らなかった理由の一つとも言えるのではないでしょうか。税制改正の経済への影響、先ほど来、片岡先生がおっしゃっておられますけれども、経済への影響というものもよく考えなければならない一つの大きな事例と捉えることもできると考えております。
こうした経過を踏まえ、この二十年で試行錯誤を繰り返しながら、やっと状況の改善のめどが立ちつつある、現時点はこうした局面にあると思っております。本来なら、歳出に見合った歳入が得られる税制を整備しなければならないことは当然でございますけれども、そのタイミングを間違えると、歳入の増、そして財政再建につながらないところに難しさがあると言えます。
そこで御質問ですけれども、まず、直近の目標である二〇二〇年のプライマリーバランスの黒字化に向けて、経済財政政策全般、そして、それらを具現化する税制改正並びに予算編成において留意すべきポイントについて、三人の先生方にそれぞれ御所見をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →きょうは、早朝より、末澤先生、片岡先生、そして安藤先生には、当委員会にお運びをいただきまして、大変にありがとうございます。
二十分間という限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。
まず、今回の参考人質疑の本質は、いかに財政再建をなし遂げていくか、この議論に尽きると考えています。その一つの、今回議題になっている特例公債、あるいは復興のための、歳入のための公債の発行の法律の議論をしている、こういうことだろうと思います。
よって、財政再建に向けて、三人の先生方から大事なポイントを御指導いただきたい、そんな思いでこれから御質問をさせていただきますので、いずれの質問も三人の先生方にお答えを頂戴したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
まず、これまでの我が国の財政再建を含む取り組みを俯瞰的に確認させていただきたいと思います。
歳入歳出の推移を見れば明らかなとおり、一九九〇年代初頭より、我が国では歳出に見合った歳入が得られておりません。要因の一つは、長期的な時系列で見た場合に、欧州に比べまして、直接税と間接税の割合の見直し、つまり間接税である一般消費税の導入時期がおくれたことが挙げられると考えております。
ヨーロッパでは、一九五〇年代半ば、フランスから一般消費税の導入が始まりました。日本では、一九七〇年代後半から議論が始まるものの、現に導入ができましたのは一九八〇年代後半、一九八八年、昭和六十三年の竹下内閣における消費税法成立を待たなければなりませんでした。欧州に比べて約三十年、一般消費税の導入がおくれたと言えるのではないかと思っております。
ちなみに、当時の社会保障研究所、これは日本ですけれども、社会保障給付費の将来推計が一九八四年からスタートをしておりますから、当時から社会保障給付費が将来に増大をしていくであろうことはある程度予測ができていたもの、こう思っております。
また、日本における一般消費税の導入時期がバブル崩壊期に重なったことも、歳入と歳出のバランスが直ちに改善するに至らなかった理由の一つとも言えるのではないでしょうか。税制改正の経済への影響、先ほど来、片岡先生がおっしゃっておられますけれども、経済への影響というものもよく考えなければならない一つの大きな事例と捉えることもできると考えております。
こうした経過を踏まえ、この二十年で試行錯誤を繰り返しながら、やっと状況の改善のめどが立ちつつある、現時点はこうした局面にあると思っております。本来なら、歳出に見合った歳入が得られる税制を整備しなければならないことは当然でございますけれども、そのタイミングを間違えると、歳入の増、そして財政再建につながらないところに難しさがあると言えます。
そこで御質問ですけれども、まず、直近の目標である二〇二〇年のプライマリーバランスの黒字化に向けて、経済財政政策全般、そして、それらを具現化する税制改正並びに予算編成において留意すべきポイントについて、三人の先生方にそれぞれ御所見をお伺いしたいと思います。
末
末澤豪謙#26
○末澤参考人 先ほど、お時間の関係で御説明できなかった点をちょっと補足させていただきたいんですが、私の資料で二十七ページをごらんいただきたいと思います。
なぜ一九九〇年以降、日本の財政が悪化したか。当然、バブルの崩壊、いろいろな、さまざまな要因がございますが、一つ、実は、人口動態的に試算しますと、こちらに書いておりますが、二十七ページ左下でございますけれども、日本のいわゆる実効為替レートのピークはいつかと見ますと、名目は二〇一二年一月、一方、実質面で見ますと、赤色でございます、これはちょっと逆になっておりますが、実質の方は一九九五年四月、阪神・淡路大震災の直後がピークだった。つまり、二〇一二年、大震災の後、名目的には最も円が買われているんですけれども、物価等をより反映した実質で見ますと、九五年がピークだ。
つまり、これはバブル崩壊後ではございますけれども、ちょうど日本の生産年齢人口が九五年にピークになっておりますので、いわゆる人口動態の影響が相当背景にあるのではないか。それが、総人口がピークをつけた二〇〇八年以降、より本格化している。
そういう意味では、二ページ飛んでいただいて二十九ページでございますけれども、今後、日本の財政の持続可能性を高めるためには、私は実はアンチエージングという言い方をしているんですけれども、やはり少子高齢化対策は最も重要だ。つまり、日本の企業さんはなぜ設備投資をしないかというと、日本の将来の消費市場が行く行く縮小していく、このもとではなかなか投資ができない。
そういう意味では、今回、一億総活躍政策にも掲げられておりますけれども、希望出生率一・八を実現していく、これが最も重要でございますし、やはり次元の異なる成長戦略、我が国にしかできないものをつくる。また、対外投資の運用利回りを向上するとともに、中長期的な財政再建プランを実行していく、これが極めて重要というふうに考えております。
この発言だけを見る →なぜ一九九〇年以降、日本の財政が悪化したか。当然、バブルの崩壊、いろいろな、さまざまな要因がございますが、一つ、実は、人口動態的に試算しますと、こちらに書いておりますが、二十七ページ左下でございますけれども、日本のいわゆる実効為替レートのピークはいつかと見ますと、名目は二〇一二年一月、一方、実質面で見ますと、赤色でございます、これはちょっと逆になっておりますが、実質の方は一九九五年四月、阪神・淡路大震災の直後がピークだった。つまり、二〇一二年、大震災の後、名目的には最も円が買われているんですけれども、物価等をより反映した実質で見ますと、九五年がピークだ。
つまり、これはバブル崩壊後ではございますけれども、ちょうど日本の生産年齢人口が九五年にピークになっておりますので、いわゆる人口動態の影響が相当背景にあるのではないか。それが、総人口がピークをつけた二〇〇八年以降、より本格化している。
そういう意味では、二ページ飛んでいただいて二十九ページでございますけれども、今後、日本の財政の持続可能性を高めるためには、私は実はアンチエージングという言い方をしているんですけれども、やはり少子高齢化対策は最も重要だ。つまり、日本の企業さんはなぜ設備投資をしないかというと、日本の将来の消費市場が行く行く縮小していく、このもとではなかなか投資ができない。
そういう意味では、今回、一億総活躍政策にも掲げられておりますけれども、希望出生率一・八を実現していく、これが最も重要でございますし、やはり次元の異なる成長戦略、我が国にしかできないものをつくる。また、対外投資の運用利回りを向上するとともに、中長期的な財政再建プランを実行していく、これが極めて重要というふうに考えております。
片
片岡剛士#27
○片岡参考人 お答えいたします。
私の資料の八ページ目をごらんいただければと思うんですが、私自身、財政健全化は非常に重要なポイントだと思うんですけれども、ただ、重要な点は、日本経済のフェーズに合った形で再建を図っていく、こういったところだと思うんですね。
先ほど、過去三十年間といいますか、二、三十年間の動きの話を御紹介いただいたかと思いますが、この時期といいますのはデフレ期でございまして、デフレが続く状態ですと、プライマリーバランスはほぼ必ず赤字であるということですね。それから、名目成長率が非常に低い状態、金利よりも低い状態ですので、こうした状況ですと、長期債務残高のGDP比というのは拡大し続ける状態で発散してしまう、こういう状況なんですね。
ですから、財政健全化の鍵は長期債務残高のGDP比を低下させることでございますけれども、このためには何をやらなければいけないのか。次の九ページ目をごらんいただきますとおわかりいただけますように、九〇年代以降横ばいが続く日本の名目GDPを、諸外国と同じように安定的に、緩やかながらでもいいので増加していくということが必要である。
特に、日本の場合はデフレでしたから、デフレから脱却すること、それから実質成長を緩やかに高めていくこと、こうしたところを通じて、とにかく名目GDPの方が金利よりも高い状態をつくるということがポイントだと思います。
そして、現状ですが、デフレ脱却ということでございまして、成長率の方が金利よりも高い状態が続いております。ですから、このことにもよりまして、例えば国の一般会計の歳入を見ても、これも九二年あたりのところまで改善をしておりますので、ですから、足元は悪くなっているというより、よくなってきているんですね。よくなってきている中で、ただ、足元の景気は余りよくありません。
ですから、そうしたところを考えつつ、財政健全化のペースを緩めるのではなくて、成長率を高めないと財政健全化には結びつかないから、そのために、きちんと経済対策をやりながら健全化と両立させていくということが必要なのかなというふうに私は思います。
最終的にはプライマリーバランスの黒字化といったところを達成する必要はありますけれども、ただ、これも、では、十兆、二十兆、三十兆とどんどんどんどん黒字幅を拡大していけばいいのかということではなくて、安定的に少しの黒字をずっと維持していくということが重要であります。
ですから、こうやっていきますと、長期債務残高のGDP比は緩やかに低下傾向に入ってくる、こうなると健全化という話になるというふうに私は理解しています。
以上です。
この発言だけを見る →私の資料の八ページ目をごらんいただければと思うんですが、私自身、財政健全化は非常に重要なポイントだと思うんですけれども、ただ、重要な点は、日本経済のフェーズに合った形で再建を図っていく、こういったところだと思うんですね。
先ほど、過去三十年間といいますか、二、三十年間の動きの話を御紹介いただいたかと思いますが、この時期といいますのはデフレ期でございまして、デフレが続く状態ですと、プライマリーバランスはほぼ必ず赤字であるということですね。それから、名目成長率が非常に低い状態、金利よりも低い状態ですので、こうした状況ですと、長期債務残高のGDP比というのは拡大し続ける状態で発散してしまう、こういう状況なんですね。
ですから、財政健全化の鍵は長期債務残高のGDP比を低下させることでございますけれども、このためには何をやらなければいけないのか。次の九ページ目をごらんいただきますとおわかりいただけますように、九〇年代以降横ばいが続く日本の名目GDPを、諸外国と同じように安定的に、緩やかながらでもいいので増加していくということが必要である。
特に、日本の場合はデフレでしたから、デフレから脱却すること、それから実質成長を緩やかに高めていくこと、こうしたところを通じて、とにかく名目GDPの方が金利よりも高い状態をつくるということがポイントだと思います。
そして、現状ですが、デフレ脱却ということでございまして、成長率の方が金利よりも高い状態が続いております。ですから、このことにもよりまして、例えば国の一般会計の歳入を見ても、これも九二年あたりのところまで改善をしておりますので、ですから、足元は悪くなっているというより、よくなってきているんですね。よくなってきている中で、ただ、足元の景気は余りよくありません。
ですから、そうしたところを考えつつ、財政健全化のペースを緩めるのではなくて、成長率を高めないと財政健全化には結びつかないから、そのために、きちんと経済対策をやりながら健全化と両立させていくということが必要なのかなというふうに私は思います。
最終的にはプライマリーバランスの黒字化といったところを達成する必要はありますけれども、ただ、これも、では、十兆、二十兆、三十兆とどんどんどんどん黒字幅を拡大していけばいいのかということではなくて、安定的に少しの黒字をずっと維持していくということが重要であります。
ですから、こうやっていきますと、長期債務残高のGDP比は緩やかに低下傾向に入ってくる、こうなると健全化という話になるというふうに私は理解しています。
以上です。
安
安藤実#28
○安藤参考人 大問題というのか、非常に難しい問題ですが、私は、やはり建設公債主義に固執しているということが一つあると思います。それからもう一つは、税制改革が筋違いであったというふうに考えております。
これは、日本の場合は、ヨーロッパ各国とは違って、消費税というものについて非常に違う感覚を持っている。その大きな原因の一つは、戦後間もなく導入した取引高税です。取引高税の失敗というのがずっと根強く残ってきた。そういう土台の上に消費税を導入して、それをメーンの税にしようというのがやはり間違っているのではないか。
やはり税制というものはそれぞれの国民性というものがありまして、そういう日本の国民性とか歴史とか、そういうことを踏まえてやるべきだ、そういうふうに考えております。
この発言だけを見る →これは、日本の場合は、ヨーロッパ各国とは違って、消費税というものについて非常に違う感覚を持っている。その大きな原因の一つは、戦後間もなく導入した取引高税です。取引高税の失敗というのがずっと根強く残ってきた。そういう土台の上に消費税を導入して、それをメーンの税にしようというのがやはり間違っているのではないか。
やはり税制というものはそれぞれの国民性というものがありまして、そういう日本の国民性とか歴史とか、そういうことを踏まえてやるべきだ、そういうふうに考えております。
伊
伊藤渉#29
○伊藤(渉)委員 ありがとうございました。
難しいことをお聞きしているのは承知の上で、ただ、このことが我が国において最も大きな課題であり、解決をしていかなければならないことでございますので。
もう一つ、また非常に難しいことをお伺いしたいと思います。
過去の我々の先人がそうであったように、私たちも今議論をしていることは、将来の子供や孫たちによい国を残していくために、今やるべきことを着実にやらなければならない、こういうことなんだろうと思います。
そう考えたときに、二〇四〇年、これから二十四年後です。どういう状態になるか。今は、いわゆる団塊の世代の方々が皆さん前期高齢者になり、二〇二五年で皆さんが後期高齢者になる。そして、二〇四〇年というのは、いわゆる第二次ベビーブーム世代の皆さんがほぼ全て前期高齢者になる、こういう時代でございます。ここに向けて我々は今大きなかじ取りを任されている立場にある、こう理解をしております。二〇四〇年から二十年間、二〇六〇年までが、人口構成上、現在の推計によれば、生産年齢人口の割合が最も低くなる状況でございます。
今でも高齢化は大きな課題であります。私は、いつもこの話をするときに気をつけていることは、ただ、世界で冠たる長寿国になったこと自体はすばらしいことだと思っています。高齢化自体を否定するような発言が見受けられることを大変危惧しておりまして、これ自体はすばらしいことだと思います。であれば、それでもなお皆さんが快適に暮らせる国づくりということを今考えていかなければならない。
これも非常に難しいことを聞いているのは重々承知の上ですけれども、こうした状況、今から二十四年後、それから二十年ですから、ここから先五十年を俯瞰したときに、今なすべきこと、これは現在、現に取り組んでいること以外に御提案があれば、ぜひ三人の先生方にお知恵をおかりしたいと思います。
この発言だけを見る →難しいことをお聞きしているのは承知の上で、ただ、このことが我が国において最も大きな課題であり、解決をしていかなければならないことでございますので。
もう一つ、また非常に難しいことをお伺いしたいと思います。
過去の我々の先人がそうであったように、私たちも今議論をしていることは、将来の子供や孫たちによい国を残していくために、今やるべきことを着実にやらなければならない、こういうことなんだろうと思います。
そう考えたときに、二〇四〇年、これから二十四年後です。どういう状態になるか。今は、いわゆる団塊の世代の方々が皆さん前期高齢者になり、二〇二五年で皆さんが後期高齢者になる。そして、二〇四〇年というのは、いわゆる第二次ベビーブーム世代の皆さんがほぼ全て前期高齢者になる、こういう時代でございます。ここに向けて我々は今大きなかじ取りを任されている立場にある、こう理解をしております。二〇四〇年から二十年間、二〇六〇年までが、人口構成上、現在の推計によれば、生産年齢人口の割合が最も低くなる状況でございます。
今でも高齢化は大きな課題であります。私は、いつもこの話をするときに気をつけていることは、ただ、世界で冠たる長寿国になったこと自体はすばらしいことだと思っています。高齢化自体を否定するような発言が見受けられることを大変危惧しておりまして、これ自体はすばらしいことだと思います。であれば、それでもなお皆さんが快適に暮らせる国づくりということを今考えていかなければならない。
これも非常に難しいことを聞いているのは重々承知の上ですけれども、こうした状況、今から二十四年後、それから二十年ですから、ここから先五十年を俯瞰したときに、今なすべきこと、これは現在、現に取り組んでいること以外に御提案があれば、ぜひ三人の先生方にお知恵をおかりしたいと思います。