柿沢未途の発言 (予算委員会)
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○柿沢委員 景気回復の実感はないというのが八割に上っている今の現実の数字について、昔は調べていなかったんじゃないか、こういう話がありましたが、後ほど触れる予定だったんですけれども、厚労省の調査で国民、庶民の生活実感を調べている統計がありまして、今、苦しいと答えている数字が六二・四%で、これは過去最高なんですね。生活が苦しい、景気回復の実感がないと感じている方は多いというのが現実なんじゃないかと私は思います。ここは、うそだとかいうふうに言われてしまうと、今、何かいろいろな方々の答弁や質問がどうなのか、こういう話が出ておりますけれども、こういうやりとりに総理との間でなってしまうのかなというふうに思います。
それで、私、アベノミクスで金融の量的緩和をやって、いわゆる異次元緩和を実行した上で、一時的にせよどうであるにせよ、物価上昇が見られて、円安が進んだ、そのことは事実として、効果としてあったと思うんです。アベノミクスが成功するシナリオというのは、円安によって輸出がふえていったり、あるいはデフレの脱却によって実質賃金ベースでも賃金が上昇していったり、国民、庶民にとってもそれがめぐりめぐって景気の実感のある回復につながっていく、こういう経路だったと思うんですよ。このアベノミクスのシナリオに、私はいささか誤算が生じているのではないかと思います。
大まかに言って二つ私はあると思っています。一つは、今言った、円安なのに輸出の数量がふえていかないということです。
円安ということは、日本が、何か製造業がつくって輸出した製品のドル建ての価格が安くなる、逆に言えば、同じ価格で売れば円建ての収入がふえる、こういうことになるわけですよね。安くなるということであるとすれば輸出の数量はふえていくはずだったんですけれども、円安なのに輸出の数量は、ごらんのとおり、こういう状況になっているわけです。横ばいをずっと続けている、こういうことになっているわけですね。
経済学者の野口悠紀雄先生が、先日、分析を披露されておられました。結局、この円安によって潤っているのは、主としてやはり大企業なんですよ、輸出が多い。トヨタが一万ドルの車を売れば、円建て八十円だったものが一台売って百二十万円入ってくるわけですから、これは、輸出数量がふえなくても、収益は一台当たりそれだけ上がるわけです。
一方で、中小零細企業はどうかというと、どちらかというと、業態としては、原材料を海外から輸入して、それを製品にして国内市場に売る、こういう形の業態をやっているのが中小零細企業では多い。つまりは、それだけ輸入物価が高くなって、売上原価がふえて収支を圧迫している。
野口先生のデータに基づいて申し上げれば、これによって収支が圧迫をされた中小企業は何をやって収支を合わせているかというと、人件費を切り詰めているんですよ。
結局、中小零細企業は、賃上げしようとしたって、今、まさにアベノミクスの結果もたらされた円安で売上原価が上がって、人件費を下げざるを得なくなっているんですよ。ですから、こういう形で総理が幾ら賃上げしようとしたって上がらない、上げられない、これが現実なんじゃないかと思います。
法人税を引き下げる、こういう話になっているわけですけれども、法人税を下げても、その恩恵を受けるのはやはり大企業です。中小零細企業はそもそも法人税を負担されていないところが多いわけです。だから、幾ら法人税の税率を引き下げたって、中小零細企業のまさに人件費をむしろ切らざるを得ない。つまり、正規から非正規に回していくとか、そういうやり方で切り詰めている状況は変えられないというふうに思います。これは、私は、自民党の先生方も今聞いていただいていますけれども、やはり皆さんの選挙区の地域を回って耳にするような実感に近い感覚なんじゃないかと思うんです。
安倍総理、安倍総理はこれについてどういう御感想をお持ちでしょうか。