原澤英夫の発言 (環境委員会)

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○参考人(原澤英夫君) 国立環境研究所の原澤でございます。よろしくお願いいたします。
 お手元に資料を用意しましたので、資料に沿って御説明いたしたいと思います。
 表紙に、下の方ですけど、二ページ目、内容ということで、温暖化の影響、対策の国際あるいは対策の国内、最後に改正案について意見を述べたいと思います。
 一枚めくっていただきまして、スライドの三枚目でございます。私、研究としては温暖化の影響を中心にやってまいりましたということもございますので、若干その辺の資料を用意いたしました。三ページ目は、大気中のいわゆる温室効果ガスの濃度の推移でございます。私どもの研究所も二か所で測っておりますし、世界的にもいろいろなところで測っておりますけれども、四〇〇ppmを超えるような状況になっておるということでございます。それが図に描いてございます。
 下の四ページ目につきましては、温暖化が進行しているということでございますので、世界の年平均気温がどんどん上がってきているということであります。一旦九八年から二〇一二年の間には気温上昇が止まったようなハイエイタスというような現象も見られたわけでありますけれども、ここ数年また気温が上昇しているということで、継続的に温暖化が進んでいるということでございます。
 温暖化が進んでおりますと、スライドでいいますと五枚目ですけれども、いろんなところに影響が出てきております。これは北極海の海氷についての記録でございますが、夏ですと北極海は九月に氷が最小になるということで、二〇一二年には最小を記録したということでありますけれども、かなり海氷が影響を受けているということでございます。
 六ページの、下の方でございますけれども、温暖化が進みますと極端現象ということでハリケーンあるいは台風が強大化するということで、御存じの方も多いと思いますけど、ハリケーン・カトリーナ、ちょっと前ですけれども、あとは台風三十号、ハイエンというのがフィリピン・レイテ島に上陸したということで、いずれも九百ヘクトパスカルを下がるような非常に大きな台風が発生しております。研究では、こういった台風は温暖化とともに強大化するというようなことも分かってきております。
 一枚めくっていただきまして、スライドの七枚目でございます。日本においてはどんな影響が出ているかということで、これは環境省の資料をお借りしてきましたけれども、農業への影響、あるいは、日々の降水量が増加しているということで、一時間五十ミリを超えるような降雨が増加している傾向にあります。また、ヒトスジシマカといったデング熱を媒介するような蚊も北上をしておりまして、現段階では青森辺りまで来ているというようなことが研究の成果という形で分かってきております。
 八枚目、COP21、パリ協定についての意見でございますけれども、今回、パリ協定という形で二〇二〇年以降の新しい枠組みができたということで、事前にはなかなかやはり調整が付かずに決定されないのではないかという若干不安もありましたけれども、結果、パリ協定という形で今後の温暖化のいわゆる指針ができたということで、非常に私としては評価しております。かつまた、歴史上初めて全ての国が温暖化対策に関わるということで、公平な合意ではなかったかと思います。
 二度目標が共通の認識になったということでございまして、これはIPCC始め優良な科学的な知見を十分酌んでいただいて二度目標が共通の認識になった。さらに、途上国の状況を考えますと、一・五度まで努力目標という形で言及されたと。一・五度目標は、研究面では余り想定していなかったわけですけれども、今後IPCCが特別報告書という形で一・五度目標の位置付け、さらにそういった経路はあるかどうかについて検討されると聞いてございます。
 ③でございますけれども、枠組みを決めた、決まっただけではあれでして、削減目標を五年ごとに提出、更新する、いわゆるPDCAサイクルを国際的に回すという意味でも画期的な合意になったのではないかと思います。
 四番目でございますけれども、二〇三〇年の中期目標だけではなくて、長期的に温暖化ガスの低排出発展戦略を作成、提出を各国に要請したということでありますので、長期を見据えて短期、中期で対策を進めるというのが国際的な枠組みとなったということであります。
 さらに、影響をやっておりますと、適応策が非常に重要になってきたわけでありますけれども、適応についても言及があったということがあります。
 六番目は、グローバルストックテークということで、対策の進捗状況を国際的にも見ていくという仕組みができ上がった。
 さらに、七番目につきましては、JCMと。これは日本発の市場メカニズムが認められたということで、私はこのJCMにつきましては非常に有望な市場メカニズムではないかと思っていますので、今後とも国際的に展開できるのではないかと思っております。
 それで、九ページ目に参ります。こちらはIPCCの第五次報告書、二〇一四年に出た報告書でございますけれども、二つ図がございます。右側の図が工業化前から世界の平均気温が何度上がったかという、そういう温度計になっております。今の二度目標といいますのは、赤い点線で引っ張ったところまで上がってしまうとどういう影響が総体的に世界に起きるかということで、五つに分けて示しております。
 一つは独特で脅威にさらされているシステムということで、これは温暖化に対して非常に脆弱な生態系などを念頭に置いた評価であります。色が黄色からダイダイ、赤になるにつれてリスクが高くなってくるということで、温度計を見ていただきますと、二〇〇三年から二〇一二年のところに印が打ってございますけど、現在はまだここだということでございますけれども、もう生態系等あるいは極端な気象現象等には影響が現れてリスクは増えていると。さらに、それが二度になりますと、影響の分布、これは弱いところ、強いところがございますので、そういった分布が変化してくるのと、世界総合的な影響につきましても黄色になってくるということでリスクは高まるということであります。まだ黄色の状況でありますけれども、大規模な特異現象ということで、例えばグリーンランドの氷床が解けるとかいうような、ちょっと今の段階では想定できないようなことも起きてくるということであります。ということで、二度目標というのはこういったいろいろな知見を基に共通の認識になったと理解をしております。
 その下の十ページ目に参ります。地球温暖化対策計画ということで、パリ協定を受けまして我が国も対策計画を作ったということでありまして、この辺につきましては中環審の地球環境部会の委員としても議論に加わらせていただいたということを踏まえまして意見を述べさせていただきたいと思います。
 対策計画そのものは温暖化に関する総合的な計画となっているということでありまして、②番の中期目標、二〇三〇年に二六%は当然設定されることになったわけですけれども、加えまして、長期的な目標として二〇五〇年八〇%を目指すということが、文言を盛り込みました。ということで、長期を見据えて中期で対策を打っていくという基本的な方向性が示されたと考えてございます。
 ③ですけれども、この計画につきましても、三年ごとに計画を見直し、実は毎年進捗点検はしておりますけれども、三年ごとに計画を見直して目標の検討等ができるということで、PDCAサイクルがしっかり盛り込まれた計画になっていると考えております。
 ④でございますけれども、対策、施策のいろんな検討もされておりまして、特に、私は、省エネ技術等々の積み上げについては従来に比べて非常に詳細な議論がされて、いい成果になってきているのではないかと思います。
 ⑤でございますけれども、業務部門と家庭部門を四〇%削減という大変厳しい目標でありますけれども、これまでのいろいろな検討を踏まえますと達成は可能でございますし、後で法改正の方でも、国民運動という形でこの四〇%を目指して行動を後押しできるということでございますので、達成可能ではないかと考えております。
 ⑥でございますけれども、パリ協定で要請されている低排出発展戦略、いわゆる長期的なビジョン、長期的な検討をやはりしっかり我が国としてもやっていくべきでありますし、それをやはり国際的にもアピールしていくべきではないかということで、低排出発展戦略を早急に構築していくべきと考えてございます。
 一枚めくっていただきまして、十一ページになります。適応計画が昨年の十一月に閣議決定を受けました。その前の二年間ぐらいにつきましては、影響研究者が六十人以上集まって、温暖化の日本への影響という冊子を取りまとめております。それをベースにして適応計画ができているということで、影響に関する日本の科学的な知見が集約化されて適応計画に至ったと考えております。
 こちらについても、まだ分野によっては非常に知見が少ない部分がございます。農業ですとか自然災害については比較的研究成果はございますけれども、産業への影響とか国民生活への影響についてはまだまだ科学的な知見が必要であるということで、更に研究を進展させる必要がございますし、また適応計画の場合は五年ごとに見直しがされるということでございますので、こちらについてもPDCAサイクルはしっかり回ると考えております。
 影響も出ているということでございますのは④でございますけれども、影響モニタリングといったことも観測の一環として非常に重要になってきておりますし、一部では既に実施されてきております。
 また、適応計画の場合は、温暖化の影響は地域ごとによって変わってまいります。日本ですと北海道と九州では影響の出方が違ったりしますので、今後は地域あるいは自治体レベルでの適応策というのが重要になってきますが、若干そのまだ研究成果が乏しい場合もありますので、そういったところの研究は進めていくつもりでございます。
 また、研究の成果を、特に影響とか適応についてはまだ認知度が低いということがございますので、積極的に見える化をして、国民へ情報提供するとともに、一緒に考えていくというようなことが重要ではないかと考えております。
 十二枚目でございますが、今回の地球温暖化対策推進法の改正案について、意見ということで三点挙げております。
 一つは、普及啓発の強化ということで、これまでもいわゆる国民運動として進めてきたわけなんですけれども、パリ協定あるいは温暖化対策計画を踏まえまして、更に一歩進めていく必要があるだろうということであります。特に、業務部門と家庭部門の四〇%削減という非常に厳しい目標ではございますけれども、省エネが大分導入されているということもありまして、この辺を危機意識を高め、あるいは当事者意識を高めることによって、普及啓発の強化を踏まえて、対策がうまく進んでいくのではないかと思います。
 二番目のポツでありますけれども、ただ、一人一人の意識を変えると同時に、やはりその理解と支持がなければいけないということで、そういう意味でも、先ほど御紹介したようないろんな影響ですとか研究の成果も見える化をして積極的に提供することによって、対策を進める一つの強力な支えになるのではないかと考えております。
 三つ目のポツにつきましては、多様なステークホルダーが連携しないといけないということで、関係省庁、関係業界、NGOも含めて、そういった横のつながりも普及啓発という意味で重要になってきているのではないかと思います。特に、企業の認識なんかも、やはり温暖化が進んでいるということ、影響が出た場合の適応策なんというのも非常に重要な指針になっていくのではないかと思います。
 四つ目のポツでございますけれども、国民運動をやれやれと言っただけではなかなか動かないところがありますので、やったことによってどんなメリットがあるのかというようなところも、具体的には、光熱費を削減できたりとか、あるいは高断熱住宅によって快適さも得られると。これになりますと、いわゆる温暖化対策の緩和策と適応策両方がうまく導入できるような余地もあるのではないかと考えております。
 最後のページ、十三ページでございますけれども、国際協力の強化ということで、こちらについてはパリ協定でいろいろな要請が来ております。それに対してしっかり応えると同時に、特に、やはり長期的なビジョンづくりを早急にやっていくべきではないかと考えておりますし、また、日本発のJCMをしっかり育てていく、これはクレジットの問題もさることながら、発展途上国に日本の省エネ技術をしっかり伝えることができて、いわゆる途上国の持続的な開発にも資する、そういった施策になっているのではないかと思います。こういったものを、二国間の協力ですとか日中韓、ASEANプラス3、G7などでも議論があるようでございますけれども、やっぱり世界をリードすることが日本の役割として重要になってきているのではないかと思います。
 ③でございますけれども、地域における対策の強化。温暖化の対策は地域、さらに適応策も地域というキーワードが出てきますが、やっぱり地域がいかに温暖化対策あるいは推進法の趣旨を得て行動を進めていくかというのが重要になってまいります。今回の場合は、実行計画の共同策定ができるということで、例えばですけれども、自治体をまたぐようなバイオマス発電ですとかあるいは公共交通の拡張ですとか、そういったことが可能になってきたということで、これは今後非常に対策を進める上で大きな力になっていくのではないかと思います。
 また、コンパクトシティーにつきましては、前からいろんな計画等に反映されているわけなんですけれども、今回は法の中でコンパクトシティーといったような比較的長期な時間が必要な対策なども位置付けられたということで、これは単に温暖化対策だけではなくて少子高齢化対策といったようなことにも併せて同時に進めることができるのではないかと思いますので、大変時宜を得たものではないかと私自身は考えております。
 以上で私の意見を述べさせていただきました。どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 原澤英夫

speaker_id: 1380

日付: 2016-05-17

院: 参議院

会議名: 環境委員会