赤石千衣子の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(赤石千衣子君) ありがとうございます。赤石でございます。
 この度は、貴重な機会をつくっていただき、本当にありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの理事長をしております。私は、団体の運営とともに、各地、本当に都道府県半分ぐらいの自治体にお邪魔して講座や研修の講師をし、そこでいろいろなシングルマザーのお話を聞いております。
 今日は、資料に沿ってお話ししたいと思います。
 まず、しんぐるまざあず・ふぉーらむの活動についてです。当事者中心の、シングルマザーと子供の支援団体でございます。相談事業、交流事業、セミナー、そして子供支援としては、学習支援とともに昨年度初めて入学お祝い金事業をしました。これは、御寄附の中から二十六人のお子さんに入学準備金として三万円をお渡ししました。入学準備、制服代その他で非常にお金が掛かります。ですので、これを早めにお渡しして、入学の準備金に充てていただくということで安心していただくためのものでございます。
 昨日、その一人のお母さんにお会いしました。うつ病がひどくて働けず、児童扶養手当と児童手当月額五万円余で暮らして、もう一年以上暮らしておられます。自死念慮、まあ自殺願望があったために、私たちが食料支援をずっと続けたことでだんだん元気になってこられ、お子さんの中学の入学の準備もできたわけなんですけれども、今もお子さんは、お母さんが死んでしまうのではないかと夜中に飛び起きてしまうというようなことを昨日語っておられました。今日この機会にお話ししてもいいですかということで御許可をいただいております。お母さんは部活動の費用が不安だと言っておりました。そして、お肉は何年も食べたことがないというふうにおっしゃっていました。納豆と卵だけで過ごしているということです。児童扶養手当という制度がどれだけ重要かということが分かると思います。
 今日は、こういう一人親家庭の貧困というのはなぜ起こるのか、そしてまた二〇〇三年以来の母子家庭の支援策というのを振り返ってどう評価するのか、さらに残った児童扶養手当の問題、支給回数その他、そして最後に一人親支援策のちょっと細かい事例もお話ししたいと思います。
 一人親家庭の現状というのは、二枚資料がございます。子供の貧困問題の中で一人親家庭の貧困、大変大きな問題となっておりますが、なぜ一人親家庭は貧困なのでしょうか。一人親家庭の親は福祉に依存し怠けて働いていないから貧困なのでしょうか。データが示すものは違います。日本の一人親、特にシングルマザーは世界でも類例を見ないほどよく働いている、にもかかわらず就労収入が少ない。このことをまずきちんと押さえていただきたいと思います。そしてさらに、それを補うだけの社会保障が届いていない。養育費も、島崎委員がおっしゃってくださったとおり、なかなか取得できていないということが根本的な問題でございます。
 では、その中で何がこれまで政策で行われてきたのかということです。
 ちょっと先に行きまして、「ひとり親家庭への支援施策の体系」というページを御覧いただきたいと思います。二〇〇三年以来、母子、まあ一人親になったんですけれども、施策は改革が行われて、子育て・生活支援、就業支援、養育費の確保支援、経済支援の四本柱で行われてきました。その中で、児童扶養手当は減額されてきたわけでございます。
 では、その就業支援施策、十数年たっておりますが、どのように評価できるのでしょうか。効果が上がったと言えるのでしょうか。
 労働政策研究・研修機構の周燕飛氏によりますと、この十数年行われてきた、主に母子世帯の母に対する就労支援については、高等職業訓練促進費、これは非正社員から正社員への就業移動に積極的な効果があったと評価しているものの、そのほかの自立支援教育訓練給付金制度、母子自立支援プログラム策定、母子家庭等就業・自立支援センターについては就業効果や賃金上昇効果は観察されなかったという報告を出しております。このことは重く受け止めた方がよろしいのではないかというふうに思っております。
 周氏の報告によりますと、効果が上がらない理由としては、名前が変わり周知度が低い、見切り発車によって現場が混乱している、次の資料ですね、母子世帯のニーズがくみ上げられていない、事業の効果検証が行われていないということを挙げておられます。費用対効果、ここに何百億も投じているわけですから、検証が必要というふうに私は思います。一人親施策に、エビデンスに基づく施策にしていただきたいということがございます。
 あと、就業支援ということを力を入れますと、どうしても長時間働くことになります。別の調査によりますと、一人親、母子世帯、父子世帯の不登校の出現率は有意に高い、父子世帯は特に一九%に上っております、経験率が。そういうことですので、働くということだけに力を入れるとお子さんが本当に健全に育つことが難しくなるという、このバランスの中で親はどちらに重きを置くのか、いつも揺れながら頑張っておられる、ここを理解していただきたいと思います。
 続いて、児童扶養手当の今回の改正でございます。
 第二子、第三子の加算額というのが最大一万円、最大六千円ということで改正案が出て、大変私どもは有り難く思っております。当事者の声を御紹介します。子供の人数が多ければその分お金も掛かります。今回の増額は本当に有り難い。子供が一人ずつ買ってあげられなかったワークブックを一人ずつに買ってあげます。少し食事におかずが増やせます。こういう声が聞こえてきます。この感謝の声を皆さんにお伝えしたいと思います。
 では、次に残る問題として、児童扶養手当額の加算の推移ということから、私は、この加算というのが三十六年ぶりになったわけですけれども、どういったルールで今後改定が行われるのかということの基準というのが少し心配になりました。
 児童扶養手当額の推移、これは、児童扶養手当、特別児童扶養手当の法令通達集からコピーしてきたものを四枚お付けしております。昭和三十六年の発足時、これは一人目と二人目の差が二対一だったんですね。八百円と四百円でございました。その後も割とそのような割合で推移していたんですが、昭和五十五年にそれがかなり離れた数字になっております。その後三十六年、第二子が上がらなかったわけなんですが、こういった制度のルールがないと、この次一体いつ額を決めるのかということがちょっと心配になりましたので、この四十年、もっとですね、五十年の資料を付けさせていただきました。是非御議論いただければと思っております。
 その次に、支給回数の問題に行きたいと思います。
 棒グラフの図を見ていただけますでしょうか。支給回数は今、児童扶養手当は四か月に一度、四月、八月、十二月の大体十一日頃に支給されることになっております。そうしますと、家計管理が困難であるということはもう本当に実態でもございます。
 例えば三月ですね、入学・進学時期に困難が押し寄せます。制服代、体操服代で十万、十五万円掛かるわけです。そのときが一番お金がない。本当に卒業アルバム代も払えないので、もらえない。代引きで制服をいただく、なので、代金が払えないので制服が手に入らない。こういった御家庭のお話を聞きます。では、七月末から八月初めはどうでしょうか。夏休みになります。お子さんは給食がありません。この時期に御飯とふりかけだけで過ごしているような一人親もおります。
 やはり電気代、それからガス代、携帯料金、こういったものは全て月払です。皆さんも、お給料が四か月に一度入れば非常に困難を伴うことは御想像できると思います。
 是非、支給回数は毎月支給にしていただきたい。また、自治体で意欲を持って毎月支給に変えたいという自治体があるやに聞いておりますので、是非裁量に任せられるような仕組みをお願いしたいと思います。
 また、児童扶養手当は、五年間支給後、半額に削減されることが条文で決まっております。現在は、一部支給停止適用除外届という複雑な届けを出しますと継続的に支給されます。しかし、この仕組みが理解されないために、三千人余の方が一部支給停止になっております。
 是非、この方たちを、本当に要らないのか、あるいは法の理解が進んでいなくて手続できていないのか、ここを救う手続が必要だと思います。
 続いて、児童扶養手当というのが相談にどう連携するのかということで、「相談窓口のワンストップ化の推進」という資料をお示ししております。
 今回、自治体は一人親をどういう名簿を把握しているかというと、児童扶養手当受給者名簿を持っているわけですね。それで、そこに働きかけているんです。では、そこの相談連携をするというのは非常に効果が上がると思うので、今回こういうことをお示しいただけたのはよかったと思います。
 しかし、気になるのは、次のページ行ってください、児童扶養手当受給者は百七万人です。そのほかの年金受給者、死別の方、障害年金の受給者、あるいは本人が所得制限を超えている方、また親族の所得制限が超えているために受けられないシングルマザー、シングルファーザーの方、別居中の方、また事実婚の疑いを掛けられている方はここから漏れます。
 しかし、この方たちも職業訓練を受けたりいろいろな相談支援が必要だとしたら、どうやって情報を届けるのか、ここが必要になってきます。情報を届けるためにはホームページ等必要ですが、実際のところ、やっぱりまだちょっと努力不足かなと思います。
 例えば、県の一人親施策を書いてあるページがございます。しかし、リンク先を見ると、委託先団体の新年会の日本舞踊の写真が出てくる、資料にお示ししておきました、これではいけないんですね。やっぱりきちんと施策が示されるようなリンクを貼っていただきたいと思います。
 最後に、不正受給監視と社会的排除は表裏一体であるということを述べさせていただきたいと思います。
 衆議院の審議でも、不正受給を監視するという言葉が何度も飛び交いました。児童扶養手当は事実婚の規定というのを持っておりまして、同居以外でも、訪問が頻繁であるとか仕送りがあるとか、こういう場合には事実婚であると認定して排除することになっております。
 しかし、このために誤解をされてしまい、窓口が嫌になってしまう方、あるいは近所に通報されたということで御近所との敵対関係になってしまう方、本当にいろいろな方がいらっしゃいます。実際に事実婚であったとしても、そこからDVを受け虐待事例になって、死亡事故も起こっております。
 ですので、私は、この事実婚の規定を甘くしてくださいとは申し上げません。適切に運用していいと思いますが、一方で、相談につながり続けられないとお子さんたちの社会的排除になってしまうんです。つまり、不正受給監視と社会的排除は表裏一体なんです。そのことを私どもは相談の中で非常に感じております。
 そのほか、寡婦控除のみなし適用問題、日常生活支援事業についてお話ししたかったんですが、ちょっと時間がないのでまとめに入りますが、今既存の枠組みでも、一人親家庭の支援はきちんとやればもう少し効果が上がるものがございます。本当にやっぱり真剣に効果が上がるような施策を官民一体で進めていただけたら大変有り難いです。
 以上です。

発言情報

speech_id: 119014260X01620160426_005

発言者: 赤石千衣子

speaker_id: 24509

日付: 2016-04-26

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会