武見敬三の発言 (厚生労働委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○武見敬三君 アジアにおける急速な高齢化というのにこれから高齢化先進国である日本がどのように貢献できるかという視点から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、お手元の資料を御覧いただきますと、エージングソサエティー、すなわち六十五歳以上人口というのが全体の七%を占めるようになった社会から、エージドソサエティーという、それが一四%まで増えてくるまでの期間というのが横棒の棒グラフで示された表がございます。
 これを御覧いただきますと、日本はこのエージングソサエティーからエージドソサエティーまでの期間というのが一九七〇年から一九九六年の二十六年間ですね。これと比較してアジアの国々見てみますと、中国が二〇〇〇年から二十六年、それからシンガポールが、これは二〇〇〇年から十九年間、それから韓国が、これが二〇〇〇年から十八年間、それからタイが二〇〇二年から二十二年間、それからベトナムはこれは早いですね、二〇一六年から十八年間、インドネシアが二〇二五年から二〇五〇年ですから二十五年間。これを見てみますと、日本とちょうどワンジェネレーションぐらいずれた形でこうした国々が実は日本よりもより速いスピードで高齢化社会に突入していくという状況が見えます。
 そして、次の表の従属人口指数、これは十五歳未満と六十五歳以上の人口が全体のどれだけを占めているのかを示した図表ですけれども、この折れ線グラフ見てみますと、日本なんか一九六〇年ぐらいの半ばぐらいから従属人口指数が底辺打っているんですが、横ばいでずっと二〇〇〇年ちょっとまである、すなわち人口ボーナス期間が日本は非常に長かったんですね、恵まれている。
 これと比べてみますと、アジアの国々のまさにこれから従属人口指数というのが確実に増えていく、すなわち、高齢化社会がどんどん増えて高齢者人口が確実に増え続けていくという傾向にこれからアジアの国々がなることを示しています。それを、中国をも含めてアジア太平洋全体の従属人口指数の変化というのを出した平均指数見てみますと、もうまさに二〇一六年ぐらい、去年から今年ぐらいがちょうど頂点なんです。ここ、人口ボーナス期間で働く生産労働人口が増え続けてきたのはまさに今年ぐらいまでで、今年から平均値を取るとアジア全体の高齢者人口数が確実に増えていくというまさに転機にアジアがなっているということが分かります。
 加えて、こうした高齢者が実際にどの程度同居して若い世代の人たちと住んでいるのかというのを見てみますと、これは六十歳以上の人口のうち単独世帯若しくは夫婦のみで世帯がある、その占める割合というのを見てみますと、ドイツなんかはもう既に男女共に九割ぐらい実際に単独世帯になっているんです。日本の場合には五〇%前後なんですね、中国が四〇%ぐらいですけれども、実は、アジアの国々も確実にこうした単独世帯の高齢者が都市化、核家族化によってより増えていく傾向にあることが示されています。
 そういうことは一体どういう社会問題を引き起こすのかということをまた考えなければなりません。実際のところ、昨年の九月、国連総会で、持続可能な開発、SDGsというのの三で、実際に、より健康的な生活と福祉というものを保障するということが定められ、目標が設定されましたけれども、その中で初めて分野横断型の政策概念としてユニバーサル・ヘルス・カバレッジという考え方がその中で確認をされ、目標達成の一つになってきました。
 これは、全ての人々が予防を含む適切な医療にアクセスすることができるという、そういう定義になっているわけでありますけれども、アジアの人口構造の変化を見てみますと明らかなことに、二〇三〇年までにこのユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成しようとする前の段階で先に高齢化社会に突入し始めてしまっていて、要は、これからそういった皆保険制度や適切な医療の提供体制をきちんと整備しようとするときに、その過程でいち早く、今度は増え続ける高齢者人口にどうその制度設計の中で対処していくかを同時に考えて解決していかなければならないという日本以上の難しい問題にこれからアジアの国々が突入していくんだと、こういうことがまさにこういう人口構造の変化の中から読み取れる。
 アジアの国々はこれから大変だと思います。そういうときに、日本は最も成熟した、こうした経験を全てもう既に経験をして、かなりの程度まで解決をする、そういう仕組み、制度、そしてそれらを支えるビジネス、産業、そして技術、こういったようなものを持っているアジアで唯一の国であります。
 このような日本の高齢化先進国としての立場から、こうした難しい問題に直面するアジアの国々に対してどのような協力ができるであろうか、そして、そういう協力をする意思が果たして日本の国にはあるのだろうかということがこれから問われるようになります。
 そのとき、その中心に立たれるのが私は厚生労働省だと思う。果たして厚生労働省が、こういうアジア全体を考えながら、自らの役所としてのこうした役割というものを認識しておられるのかどうか、それをまず厚生労働大臣にお聞きしたいと思います。

発言情報

speech_id: 119014260X02020160519_013

発言者: 武見敬三

speaker_id: 849

日付: 2016-05-19

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会