佐藤速水の発言 (国際経済・外交に関する調査会)

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○政府参考人(佐藤速水君) お手元の青表紙の農政新時代というタイトルの資料に基づきまして御説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきますと、一ページ目でございますが、大筋合意の概要ということで全体の状況を書いてございます。
 上の表を御覧いただきますとおり、日本以外の全ての国がほぼ一〇〇%の関税を撤廃する中におきまして、我が国の撤廃率は九五%となっております。上の図の二段目には農林水産物の関税率がまとめられております。他の十一か国の撤廃率は、最低のカナダでも九四%でございますが、日本の撤廃率は八一%ということでございます。下の図にありますとおり、関税撤廃の例外とされました四百四十三品目は全て農林水産物でございます。
 二ページ目から五ページ目にかけまして、主要品目の交渉結果をまとめてございます。時間の制約もございますので、かいつまんで御説明申し上げます。
 二ページ目の最初の四つが米と麦でございます。米、麦につきましては、国家貿易制度を維持するとともに、枠外税率を維持いたしました。その上で、米につきましては、米国に七万トン、豪州に八千四百トン、また、小麦につきましては、米国に十五万トン、カナダに五万三千トン、豪州に五万トンという限定的な数量の枠を設定いたしました。なお、麦につきましては、国が徴収するマークアップを九年目までに四五%削減するということでございます。
 その次の五つが甘味資源作物でございます。砂糖、でん粉につきましては、現行の糖価調整制度を維持いたしました。その上で、加糖調製品や一部のでん粉につきまして一定量の関税割当て枠を設定してございます。
 三ページの牛肉でございますが、これにつきましては、米国が近年結んだFTAでは全て関税撤廃とされている品目でございますが、十六年目に最終税率を九%として関税撤廃を回避いたしました。また、輸入急増に対するセーフガードを措置してございます。
 豚肉につきましても米国から強い関税撤廃要求がありましたが、差額関税制度を維持するとともに、分岐点の価格を維持するということでございます。十年目までの長期の削減期間を設けまして、従価税は撤廃しますが、従量税はキロ五十円までの削減ということでございます。また、輸入急増に対するセーフガードを措置いたしております。
 乳製品につきましては、バター、脱脂粉乳につきまして、国家貿易制度を維持いたしております。生乳換算で七万トンの枠を設定もいたしております。この数量は、最近の追加輸入量の範囲内で設定しております。チーズにつきましては、日本人の嗜好に合うモッツァレラ、カマンベール等の関税は維持いたしておりまして、撤廃するものにつきましても長期の撤廃期間を確保してございます。
 四ページでございますが、畑作物、果樹についてまとめてございます。
 一番上のコンニャクイモ、それと下から二番目のパインアップル缶詰につきましては、関税は一五%の削減にとどめてございます。その他の品目は関税撤廃というふうになりますが、品目の事情に応じた撤廃期間を設けております。また、オレンジにつきましてはセーフガードを措置してございます。
 五ページの林産品に関しましては、合板、製材につきまして、輸入額の多い国、近年の輸入額の伸びの大きい国からの輸入につきまして、十六年目までの長期の関税撤廃期間と国別セーフガードを措置いたしております。
 水産品につきましては、魚種に応じて、アジ、サバ等に長期の撤廃期間を設けるとともに、特にセンシティビティーの高い海藻類につきまして一五%の削減にとどめているというところでございます。
 七ページでございます。七ページ以降、品目ごとの農林水産物への影響についてまとめてございます。TPPの交渉の結果につきましては品目ごとに異なるために、品目ごとに影響分析を行ったところでございます。
 具体的には、国内価格ですとか国際価格、輸入量などの客観的なデータを基にいたしまして、現在の輸入相手国の状況や置き換わりの可能性、国家貿易制度の下での輸入の可能性、過去の輸入量の推移、そういったものを踏まえながら影響の精査、分析を行っております。
 一の総括表でございますが、品目ごとの農林水産物の影響ということで、影響分析を行った品目について、特段の影響は見込み難いですとか、影響は限定的と見込まれる、あるいは国家貿易以外の輸入の増大は見込み難いといった影響ごとに区分をした上で、それぞれに該当する品目、それらについての対応方向について整理をいたしております。
 次の八ページでございますが、八ページから個別品目ごとの影響分析を掲載をしております。
 例示的に八ページの上の米について申し上げます。結果分析の欄を御覧いただきますと、米につきましては、これまでの基本的な輸入の枠組みは変更せず、現行の国家貿易制度の維持、枠外税率の維持など、多くの例外措置を獲得したところでございますので、国家貿易以外の輸入の増大は想定し難いということでございます。
 他方、国別枠によりまして輸入米の数量が拡大いたしますと、国内の米の流通量がその分増加することになりますが、そうなれば国産主食用米全体の価格水準が下落することも懸念されますので、備蓄運営による外国産米の主食用米生産に対する影響の食い止めの検討ですとか、更なる競争力の強化が必要と、こういうふうに分析をいたしております。
 以下、個別品目ごとに影響分析を掲載しておりますが、時間の関係で説明は省略させていただきまして、十六ページを御覧いただきたいと思います。
 昨年の十一月二十五日に、政府のTPP総合対策本部におきまして大綱が決定されました。大綱の三本柱のうち、農政新時代について御説明申し上げます。
 なお、十六ページの一番下になりますが、今後の進め方といたしまして、農林水産分野の財源については、TPP協定が発効し、関税削減プロセスが実施されていく中で将来的に麦のマークアップや牛肉の関税が減少することにも鑑み、既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保すると明記をされております。今後も政府としてしっかり予算を確保していくということを記述をしております。
 十七ページでございますが、農政新時代につきまして三つの目的を記述しております。生産者の不安の払拭、成長産業化に取り組む生産者の力の最大限の発揮、夢と希望の持てる農政新時代の創造という三つの目的、その目的を実現するために、経営安定・安定供給のための備え、攻めの農林水産業への転換、検討の継続項目という三つの施策の柱が掲げられております。
 十八ページ目でございますが、具体的な対策の中身でございます。次世代を担う経営感覚に優れた担い手の育成ということで、具体的には、意欲ある農業者の経営発展を促進する機械・施設の導入、無利子化等の金融支援措置の充実、十九ページに移りまして、農地の更なる大区画化、中山間地域等における担い手の収益力の向上、こういったことを推進することとしております。
 二十ページ目に移りまして、国際競争力のある産地イノベーションの促進ということで、具体的には、①にあります産地パワーアップ事業ということで、全ての農作物を対象として総合的に支援する事業を創設いたしますし、また、水田の畑地化、畑地・樹園地の高機能化を支援することとともに、二十一ページにございますとおり、新たな国産ブランド品種や生産性向上などの戦略的な革新的技術の開発などを実施することとしております。
 二十二ページでございます。畜産、酪農関係でございますが、畜産クラスター事業の拡充につきましては、補正予算で基金として六百十億円を計上いたしまして、複数年度にまたがる事業実施など弾力的な運用を可能としております。また、②として畜産クラスターの取組を後押しする草地整備、和牛の生産拡大、二十三ページに移りまして、畜産物のブランド化等の高付加価値化等々の施策を実施するということにいたしております。
 二十四ページに移りまして、我が国農林水産物の輸出等需要フロンティアの開拓でございます。高品質な国産農産物の一層の輸出拡大、輸出阻害要因の解消、六次産業化・地産地消による地域の収益力強化等によりまして攻めの農林水産業を推進することといたしております。
 二十六ページでございます。二十六ページの林業につきましては、原木供給の低コスト化を含めて合板、製材の生産コストの低減を進め、合板、製材の国際競争力の強化を図りたいと思っております。
 二十七ページの水産業でございますが、浜の広域的な機能再編等を通じて収益性の高い操業体制への転換を進めるということにしてございます。
 二十八ページ目でございますが、消費者との連携強化でございます。消費者の国産農産物・食品に対する認知度を一層高めるというような施策を打っていきたいというふうに考えてございます。
 以上の対策につきましては、二十九ページにありますとおり、二十七年度補正予算に所要の経費を計上いたしたところでございます。
 三十ページ目でございますが、これは経営安定、安定供給のための備えということで、重要五品目関連につきまして、協定発効に合わせて経営安定対策の充実等の措置を講じるということでございます。
 米につきましては、毎年の政府備蓄米の運営を見直しまして、国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れるということで、国別枠の輸入量の増加が国産の主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断するということでございます。
 三十一ページの麦につきましては、経営所得安定対策を着実に実施するということでございます。
 甘味資源作物につきましては、加糖調製品を今回新たに糖価調整法に基づく調整金の対象といたしまして、国内で生産される砂糖の製品価格を引き下げ、輸入加糖調製品に対する競争力を強化するということでございます。
 三十二ページの牛肉でございますが、いわゆる牛マル緊事業の法制化や補填率の引上げ等の見直しを行うことにしております。
 三十三ページの豚肉につきましても、豚マル緊の法制化や補填率の引上げを考えてございます。
 乳製品につきましては、液状乳製品を加工原料乳生産者補給金制度の対象に追加をいたしまして、補給金単価を一本化した上で、将来の経済状況の変化等を踏まえて単価を適切に見直すということにしてございます。
 三十四ページが検討の継続項目ということで、成長産業化を一層進めるために必要な戦略といたしまして十二項目につきまして検討を進めて、本年秋を目途に政策の具体的内容を詰めるということにしてございます。
 三十五ページ目からが生産額への影響でございます。
 農林水産物の生産額への影響につきましては、平成二十五年三月にも行っておりました。そのときは、全ての関税が即時撤廃され、米の国家貿易やその他の国境措置も全て撤廃し、また追加的な国内対策も行わないと仮定をして試算したものでございました。そうした仮定の下で、品目ごとに、輸入品と競合する国産品は原則輸入品と置き換わるという単純化した前提を置いたものでございました。
 今回は、TPP交渉の結果、国家貿易、関税割当て、差額関税制度等の国境措置が維持されましたし、また長期の関税削減期間やセーフガードの設定といった影響緩和のための多様な措置を獲得したところでございます。また、交渉で獲得したこのような措置と併せて、政策大綱に基づく国内対策を着実に進めるということになってございます。
 したがいまして、今回は、三年前の試算時とは異なって再生産が確保されるように、交渉で得られた措置と併せて国内対策を着実に実施することとしているといったことを踏まえて試算を行っております。
 試算の結果につきましては、関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少は生じるものの、体質強化対策による生産コストの低減ですとか品質向上、経営安定対策などの国内対策によりまして、引き続き生産や農家所得が確保されて、国内生産量は維持されるものというふうに見込んでございます。その生産額でございますが、約一千三百億円から二千百億円の減少ということになってございます。
 三十六ページから三十八ページまでは各品目ごとの生産減少額や今回の試算の考え方につきまして記載をしておりますが、時間の関係もございますので、説明は割愛させていただきます。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 佐藤速水

speaker_id: 26928

日付: 2016-02-10

院: 参議院

会議名: 国際経済・外交に関する調査会