西村まさみの発言 (本会議)
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○西村まさみ君 民主党・新緑風会の西村まさみでございます。
私は、ただいま議題となりました平成二十七年度補正予算二案に対し、会派を代表して、反対の立場から討論を行います。
安倍総理は、年頭、六十年前の経済白書の表現を用い、もはやデフレではないと宣言されました。しかし、個人消費や実質賃金の回復が見られない現在、果たして本当にデフレから脱却したのか、国民の生活は本当に良くなったのか甚だ疑問であります。
平成二十六年度の実質GDPは前年度比一・〇%減と五年ぶりのマイナス成長に転落し、二十七年四―六月期も〇・五%減とマイナス成長が続きました。また、第二次安倍政権の三年間で実質賃金は減少し続け、最新公表分の平成二十七年十一月においても前年比マイナスという状況にあります。
私は歯科の開業医であります。診療所や病院のほとんどが公的価格である保険診療でなりわいを立てています。二十四年、二十二年と、診療報酬改定で二回連続で民主党政権時は全体のプラス改定を実現しました。ところが、平成二十八年診療報酬改定では、全体でマイナス〇・八四%、消費増税分の補填があった平成二十六年に続いて実質は二回連続のマイナス改定であり、昨年十一月に公表された医療経済実態調査においても、歯科の診療所を始め医療機関の経営状態は改善しておらず、厳しい経営状況の中で、日々、国民に必要な医療を提供するために大変な思いで診療されている全国の医療関係者の悲痛の声を多く聞きます。
国民にとってこのように厳しい経済情勢が続く状況においては、本質的な景気回復に向けた補正予算を編成すべきであり、それにもかかわらず、盛り込まれた施策の多くは平成二十八年度当初予算の概算要求・要望に含まれていたものの前倒しであります。当初予算を見かけ上圧縮する一方で、時間的制約から査定が甘くなりがちな補正予算での安易な予算計上を助長するものであり、財政規律を大きく損なう手法との批判は免れません。
国民生活の厳しい現状を直視せず、有効で具体的な経済政策を打ち出せない安倍内閣に猛省を促し、以下、本補正予算案の反対する主な理由を申し述べます。
反対の第一の理由は、平成二十七年度補正予算が緊急性の低い予算であるという点にあります。
そもそも補正予算とは、財政法第二十九条により、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出又は債務の負担を行うために編成できるものとされています。一億総活躍社会の実現に向けた対策やTPP関連の施策が盛り込まれておりますが、これらは果たして補正予算で対応するべきものなのでしょうか。
そして、待機児童の解消や介護施設の整備といった社会保障に関わる重要な施策は、制度全体と財政規模を俯瞰して、その優先順位を吟味した上で恒久的な施策として当初予算に計上するべきものと考えます。
また、保育、介護の現場では人手不足が大きな問題となっています。依然として保育、介護に従事する人たちの処遇改善は不十分です。そこで働く人がいなければ全く意味はありません。人への投資が何より重要であり、一人一人が働きたい分野で安心して活躍できる社会こそ実現すべき社会なのではないでしょうか。
TPP協定についても、参加国が大筋合意した段階にすぎず、発効の時期はまだ決まっておりません。政府は、平成二十七年秋に総合的なTPP関連政策大綱を決定したものの、より具体的な内容は二十八年秋をめどに詰めるとしており、本補正予算に関連対策を計上する必要性を見出すことは到底できません。さらに、過去のウルグアイ・ラウンド関連対策において、毎年度の補正予算で措置する手法が国会でも度々批判されてきたにもかかわらず、今回もその轍を踏もうとしていることを見過ごすこともできません。そもそも、秋の臨時国会を開かず、TPPの議論を避けておいて、今になって予算だけ通せとは、誠に勝手な話ではありませんか。
反対の第二の理由は、過去の経済政策の失敗を直視せず、ばらまきを繰り返している点にあります。
安倍総理は、昨年九月に突如、新三本の矢を掲げましたが、元々の三本の矢である金融緩和、財政政策、成長戦略の成果をしっかりと見極めたのでしょうか。物価上昇率は年率二%に達せず、成長戦略も芳しい効果が見られない現況を直視すべきであると考えます。新たなスローガンを次々と打ち出して拙速に予算を付ける前に、これまでの三本の矢が失敗したことを率直に認めることが必要です。
また、一億総活躍予算のうち三割以上を占めることとなる三万円の低所得年金受給者向けの臨時福祉給付金の目的を、政府は、賃上げの恩恵が及ばない年金受給者への給付によって消費を喚起することとしています。しかし、臨時給付金の消費への効果は極めて疑わしい。
かつて麻生内閣が平成二十一年に定額給付金を支給した際の消費拡大効果は、受給額の僅か二五%にしかすぎませんでした。政府が過去の失敗を反省していれば、同様の政策を繰り返そうとするはずがありません。仮にこの補正予算が成立しても、この給付金の執行のほとんどは来年度に繰り越され、年金生活者の方々が実際に受け取るのは五月、六月となります。つまり、これは合理的な政策とは程遠く、ひとえに夏の参議院選挙対策であることは誰の目にも明らかであります。
安倍内閣は、昨年六月に経済・財政再生計画を策定し、年金、医療等のいわゆる自然増を毎年〇・五兆円程度に抑制するとの目安を設定いたしました。これを踏まえ、平成二十八年度予算における社会保障関係費の伸びは、概算要求時点から約二千億円が削減され、目安の範囲まで抑制されたのであります。安倍総理は削減額がありきではないと説明をしていますが、これは、小泉内閣において国民から厳しい批判を受けた年間二千二百億円の社会保障の機械的な切捨てと実質において何ら変わりはありません。
かつて社会保障費の一律カットが、産科、小児科、救急医療の医師を不足させたり、救急搬送のたらい回しを生じさせ、地域医療の崩壊につながり、国民が必要な医療を受けることができなくなったことを、昨年の五月の本会議質疑において総理にも財務大臣にも厚生労働大臣にも私は申し上げましたが、その認識がいまだにないのでしょうか。
当初予算で社会保障関係費の切り詰めをする一方、補正予算で選挙対策のばらまきをしようとする財政政策は、断じて容認できません。
第三の理由は、税収の上振れ分や前年度の剰余金を借金の圧縮ではなく歳出拡大に回し、財政健全化から目を背けている点であります。
この補正予算においては、約四兆円に上る税収増や前年度剰余金の多くが新たな歳出に充てられ、公債発行の減額は僅か四千億円余りにとどまっています。日本の国と地方の債務残高は名目GDPの二倍を超えており、財政健全化を進めるというのであれば、増収分は歳出増ではなく新たな借金の抑制や返済に充てるのが筋であります。
政府は、国と地方の基礎的財政収支対GDP比を平成三十二年度に黒字化する目標を立てる一方、内閣府の中長期試算において、その目標が達成できない見込みであるということを示しています。歳入増の多くを歳出増に充てる放漫な財政運営を続けていけば、財政再建目標の達成が更に困難になることは明白であります。
以上、補正予算に反対する主な理由を述べさせていただきました。
政策の緊要性や実効性を吟味せず、安易な歳出拡大に終始している本補正予算は、私は断じて容認できません。一億総活躍社会の実現の看板の下に十分な検討のないまま思い付きのように並べられた政策、見切り発車のTPP国内農業対策、若年者、子育て世帯をないがしろにした選挙対策のばらまき、果たして持続可能な経済成長が可能なのでしょうか。
私たちは、未来への責任を果たすべく政治に向けて全力で取り組むという決意を申し上げ、私からの反対討論を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)