伊豆見元の発言 (安全保障委員会)
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○伊豆見参考人 ありがとうございます。東京国際大学の伊豆見でございます。
本日は、貴重な機会を与えていただきまして、大変光栄に存じております。特に、山口委員長からお声をかけていただいたということは、私にとっては非常に喜ばしいことでございますので、できるだけ、私の考えていますこと、これまでそれなりに研究をしてきましたことの一端を御披露させていただきまして、皆様との御議論をさせていただければと思います。
御案内のように、ことし、北朝鮮は、一月六日と九月九日、二回核実験を行いまして、それ以外、弾道ミサイルということですと、短距離から中距離、準中距離を二十数発、二十四発ぐらいですか、発射をするということがございまして、十月二十日を最後にして今ちょっと静かになっております。
しかし、一月から十月までの間、そういう挑発行為がずっと続いてきたわけでありますが、なぜ、ことし、そこまでのことをやったのか。北朝鮮側の理由といいますか要因といいますか、それについて、簡単に、私が考えていますことを申し上げさせていただきたいと思います。
もちろん、幾つも理由があって、それの複合的な理由のもとで北朝鮮はこういう行為を行った。大きく分ければ、もちろん軍事的な要因がありますし、非軍事的な要因があるということになりますし、あとは、外向け、国際社会に向けての意味合いというものがあると同時に、国内に向けて、国内上必要なものがあって行ったということだろうと思います。
軍事的に言いますと、もちろん、彼らの核能力及びミサイル能力の向上、強化というものを図る。基本的には、核兵器の小型化というものを進め、極めて信頼に足る、極めて安定した、十分に統制のとれた弾道ミサイルの能力を開発のみならず確認する。そして、この二つをくっつければ、御案内のように、核ミサイル、小型化されて弾頭化された核兵器を弾道ミサイルに装着、装填すれば核ミサイルとなるということでありますので、もちろんこれが大きな目標であったかと思います。
実は、三回目の核実験を行った後は北朝鮮が核兵器の小型化に成功したと見る、これはとりわけアメリカの核の技術の専門家の見方だと思いますけれども、その中では、もう三回目で十分小型化が成ったという声が大きかったと思いますが、ただ、中国の核の専門家、すなわち核兵器製造に携わっているような人たち、そういう人たちの話は、まだ三回目では無理じゃないかと言っておりました。ただ、ことし、四回目、五回目を行いましたので、誰が見ても北朝鮮が小型化には成功したということにはなっているのであろうかと思います。ですから、まず核ミサイルを手にするということが大事。
しかし、そのミサイルでおもしろいことは、やはり短距離、そして中距離、準中距離までを今回やった。ムスダンというものに手をつけまして、恐らく三千キロから四千キロの射程を持ちますから、グアムがその射程の中に入るというものを、今まで発射実験を一度もやったことがないものをことしは六回やりましたかね。成功したのは一回だけ、六月二十二日に一発だけ成功いたしました。そのムスダンまで手をつけたということで、韓国、日本、そしてグアム、そこの米軍基地全てを射程の中におさめるということをやった。
しかし、もう一つ我々が注目すべきは、本来、アメリカ本土に届くような、アメリカ本土への攻撃力というものをきちっと持たないと、抑止という面からすると欠ける、不足している面があるのは当然でありますが、この長距離弾道ミサイル、ICBM、大陸間弾道弾といったものの開発については、決して北朝鮮はことし積極的でなかったということが私は大事な点だろうと思います。
一つは、確かに、二月に衛星と称するミサイルの発射をいたしましたが、本来ですと、その後に、九月に少し大型出力のエンジンの実験をいたしまして、それは衛星の第一段目に使うんだと彼らは言っておりましたので、それに基づいて、もう一度衛星と称するミサイルの発射がある可能性というものを専門家は見ておりましたが、結果的に北朝鮮はそれを行いませんでした。
ですから、ICBM能力を持つことについて北朝鮮が積極的だとはその点からも見られませんし、もう一つ、我々が恐らくICBMだろうと感じているKN08というコードネームで呼んでいるミサイルがありますが、これも一回も飛ばしたことがないわけですね。ですから、まだまだ、ICBM能力を持つことについて北朝鮮が非常に積極的、あるいは非常に時間を短縮してやろうとしていることではないということも我々は考えておくべきだ。
ただし、日本からすれば、当然、日本は全て北朝鮮の核ミサイルの射程内に入ったと考えざるを得ないわけでありますので、我々にとっての脅威が相当大きく増したんだと、総理が次元の異なる脅威とおっしゃるのはまことに正しい認識をお示しだと思いますが、それほど厳しいことになっているということだと思います。恐らく北朝鮮はそこで満足している部分が私はあるんだろうと思っております。
それはまた、短距離、中距離、準中距離までの、すなわちスカッドからノドン、そしてムスダンと至るところまでのミサイル能力を持つことは、将来、核についての、あるいはミサイルを含めての国際社会との、あるいはとりわけアメリカ、韓国との交渉、ディール、取引の際に北朝鮮がまた求めているのは、朝鮮半島及び朝鮮半島周辺からの核あるいはミサイルの脅威、彼らからする脅威の除去でありますので、そのためにも自分たちが同じような能力を持つ。
そういうのは、かつてSS20が持ち込まれたときにパーシングを持ち込んでチャラにしたという例が八〇年代にございましたが、同じようなことを北朝鮮が考えている可能性が一つあるであろうかと思います。
済みません、お時間がほとんどないので、もう一つ、非軍事的な要因ということでいえば、これはやはり、金正恩の権威を構築するということが一番大きな目的であろう。
金正恩という人は、二〇一一年の十二月十七日に父親の金正日が亡くなって、突然トップの地位についたわけですが、その時点で二十代後半です。何の経験もないし、若過ぎるということもありまして、権威がほとんどない人が突然ナンバーワンになる。
では、その権威をどうやってつけるかというときに、一番いいのは、核兵器を開発し、核兵器の能力を持ち、核ミサイルを持った、アメリカに十分対抗できる、アメリカの脅威を全て抑止できると言い、すなわちアメリカと十分渡り合えるという能力を示すことが一番速成で、一番短時間において彼の権威を固めるということに役に立ったことは間違いありませんし、そのことを北朝鮮は念頭に置いて、ことし、二回の核実験、あるいは二十数回に及ぶ弾道ミサイルの発射というものに踏み切ったのであろう、そのように考えております。
ちょうどいただいたお時間になりましたので、あともう少し、申し上げたいことがまだたくさんございますが、それはこの後の議論の中でお話をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)