安倍晋三の発言 (環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会)
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○安倍内閣総理大臣 我が党の当時の、野党時代の方針は、聖域なき関税撤廃を前提とする以上、我々はTPP交渉には参加をしないということでありました。
江藤議員はそれを絶対に堅持すべきだという強い信念を持っておられた。ですから、総理に就任し、訪米し、オバマ大統領との首脳会談が終わった後、私は、江藤議員にワシントンから電話をいたしまして、聖域なき関税撤廃ではないということをオバマ大統領から言質をとったので、この上においては、TPP交渉参加に向けて準備を進めてもらいたいとお願いさせていただいたことを今でも覚えているわけでございます。
そこで、なぜそもそも必要かという話であります。
さきの大戦の前は、いわば領土の広さ、あるいは植民地をどれぐらい持っているか、これが経済の規模につながってきた、国力につながってきたのであります。しかし、戦後は、御承知のように、日本とドイツは大きく版図を縮小した、失ったのであります。しかし、であるにもかかわらず、戦前を上回る経済規模になった。それは、ひとえに自由貿易が確保されたことによるところが大きいと思うわけであります。自国の国民以外の多くの人々が日本やドイツの商品を消費する、このたくさんの消費者をかち得たところにあるんだろうと思います。
日本は、残念ながら、人口はしばらくは減っていく、ということは消費者が減っていくわけであります。その中で、しかし、しっかりとした社会保障を維持していくためには、経済を成長させ、税収を上げ、保険料を上げ、この制度を確かなものとしていかなければなりません。そのために、経済を成長させていく自由貿易が決定的に必要であります。
そして、新たにこのアジア太平洋地域に生まれる世界のGDPの四割を含む四割経済圏、ここは物や人や知財、さまざまなものが自由に飛び交い、しっかりとしたルールの中で貿易が行われる、ここに入ることは間違いなく日本の将来に向けて必要なことだろう、このように思います。
これは、大企業だけに利益を与えるのではなく、中小企業やあるいはまた農家においても、手間暇かけた付加価値をつけた製品を輸出すれば、そのノウハウを奪われることなく、保護されながら、手間暇かけた付加価値が正しく評価されるという、いわば市場をかち得ることができるわけでございます。その努力を我々はしっかりと支援していきたい。もちろん、初めて輸出をする中小企業、小規模事業者は大変だと思います。ましてや、農家はそうです。しっかりと国や地域がそれを支援していくことが当然であろう、このように思う次第でございます。
そしてまた同時に、基本的な価値を共有する国々が経済のきずなを深めていけば地域は安定します。経済を超える戦略的な意義もある、こう考えるわけでございます。当然、その中で、農業は国の基である、この考え方はきっちりと中心に据えなければならない、こう考えているわけであります。
まだまだ不安を持っておられる方々がたくさんいらっしゃるのは事実でありまして、十分にその不安を解消し得ていないことは私も総理大臣として申しわけない、こう思っています。これからもしっかりと、私たちの対策がいかに農家にとって有効であるか、大切なものであるかということを説明しながら、不安を解消していくべく汗を流していきたい、このように考えております。