環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会

2016-10-17 衆議院 全305発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成二十八年十月十七日(月曜日)
    午前八時五十八分開議
 出席委員
   委員長 塩谷  立君
   理事 うえの賢一郎君 理事 江藤  拓君
   理事 菅原 一秀君 理事 西村 康稔君
   理事 森山  裕君 理事 今井 雅人君
   理事 篠原  孝君 理事 上田  勇君
      あべ 俊子君    赤澤 亮正君
      池田 道孝君    大西 宏幸君
      加藤 寛治君    勝沼 栄明君
      黄川田仁志君    北村 誠吾君
      小泉進次郎君    坂井  学君
      坂本 哲志君    新谷 正義君
      武部  新君    武村 展英君
      寺田  稔君    中川 郁子君
      中村 裕之君    中山 展宏君
      野中  厚君    ふくだ峰之君
      福田 達夫君    福山  守君
      古川  康君    前川  恵君
      牧島かれん君    宮川 典子君
      山田 美樹君   山本ともひろ君
      渡辺 孝一君    青柳陽一郎君
      岸本 周平君    後藤 祐一君
      近藤 洋介君    佐々木隆博君
      玉木雄一郎君    初鹿 明博君
      福島 伸享君    升田世喜男君
      村岡 敏英君    稲津  久君
      岡本 三成君    中川 康洋君
      池内さおり君    大平 喜信君
      畠山 和也君    小沢 鋭仁君
      松浪 健太君
    …………………………………
   内閣総理大臣       安倍 晋三君
   財務大臣         麻生 太郎君
   外務大臣         岸田 文雄君
   文部科学大臣       松野 博一君
   厚生労働大臣       塩崎 恭久君
   農林水産大臣       山本 有二君
   経済産業大臣       世耕 弘成君
   環境大臣         山本 公一君
   国務大臣         松本  純君
   国務大臣         石原 伸晃君
   農林水産副大臣      齋藤  健君
   国土交通副大臣      末松 信介君
   内閣府大臣政務官     武村 展英君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君
   政府参考人
   (内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官)  多田健一郎君
   政府参考人
   (総務省行政管理局長)  山下 哲夫君
   政府参考人
   (外務省経済局長)    山野内勘二君
   政府参考人
   (財務省主計局次長)   可部 哲生君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口 英彰君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水田 正和君
   政府参考人
   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君
   政府参考人
   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君
   政府参考人
   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君
   政府参考人
   (林野庁長官)      今井  敏君
   衆議院調査局環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別調査室長      辻本 頼昭君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十七日
 辞任         補欠選任
  池田 道孝君     新谷 正義君
  武部  新君     小泉進次郎君
  前川  恵君     山田 美樹君
  宮川 典子君     野中  厚君
  山本ともひろ君    坂井  学君
  佐々木隆博君     後藤 祐一君
  福島 伸享君     初鹿 明博君
  村岡 敏英君     青柳陽一郎君
  笠井  亮君     池内さおり君
同日
 辞任         補欠選任
  小泉進次郎君     武部  新君
  坂井  学君     山本ともひろ君
  新谷 正義君     池田 道孝君
  野中  厚君     中山 展宏君
  山田 美樹君     前川  恵君
  青柳陽一郎君     村岡 敏英君
  後藤 祐一君     佐々木隆博君
  初鹿 明博君     福島 伸享君
  池内さおり君     大平 喜信君
同日
 辞任         補欠選任
  中山 展宏君     牧島かれん君
  大平 喜信君     笠井  亮君
同日
 辞任         補欠選任
  牧島かれん君     宮川 典子君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件(第百九十回国会条約第八号)
 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百九十回国会閣法第四七号)
     ――――◇―――――
この発言だけを見る →
塩谷立#1
○塩谷委員長 これより会議を開きます。
 第百九十回国会、内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案件審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局企画・推進統括官多田健一郎君、総務省行政管理局長山下哲夫君、外務省経済局長山野内勘二君、財務省主計局次長可部哲生君、農林水産省大臣官房総括審議官山口英彰君、農林水産省大臣官房総括審議官水田正和君、農林水産省消費・安全局長今城健晴君、農林水産省食料産業局長井上宏司君、農林水産省生産局長枝元真徹君、農林水産省農村振興局長佐藤速水君、農林水産省政策統括官柄澤彰君、林野庁長官今井敏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
塩谷立#2
○塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
この発言だけを見る →
塩谷立#3
○塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江藤拓君。
この発言だけを見る →
江藤拓#4
○江藤委員 おはようございます。自由民主党の江藤拓でございます。
 私は、この特別委員会を、TPPの実像、こういったものが国民の皆様方に理解されるその機会としたいと思っておりますので、総理には総論的な質問をさせていただきます。そして、細かい点につきましては担当大臣に御質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 さて、TPPは、二〇〇六年に、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリ、この四カ国で結ばれた経済連携協定、P4から始まりました。その後、米国が交渉に参加を表明したことを契機に、二〇一〇年に八カ国によるTPP交渉が開始をされました。
 そして、二〇一一年、ホノルル宣言が発表されました。これが大変大事なのでありますが、その内容は、関税並びに物品・サービスの貿易及び投資に対するその他の障壁を廃止する、このことが合意されました。これは、簡単に言えば、原則として関税は撤廃するということであります。
 その後、民主党政権となったわけでありますが、その間のことについては、私からは特に今回は何もコメントすることは避けたいと思います。
 総理は、四年前の総裁選におきまして、TPPの聖域なき関税撤廃反対ということを総裁選の公約にきちっと盛り込んで勝利をし、そして政権交代を果たし、総理大臣に就任をされました。二〇一三年二月、訪米をされ、オバマ大統領と日米首脳会談を行い、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することは求められない、このことをオバマ大統領に約束させました。
 私は、その一報を受けたとき、本当にびっくりしました。なぜなら、後から日本がTPPに参加するということであれば、このホノルル宣言は当然受け入れなければならない、ずっとそう思っていたからであります。私ごとでありますが、それから私自身の葛藤が始まったわけであります。
 そして、今回のTPP、交渉としてはぎりぎりの線で踏みとどまったというふうに私は思っています。しかし、対策は不可欠であります。合意から一年、全力を挙げて、私も全国を歩いてまいりましたし、行政も頑張りました。しかし、生産者の不安、そして自由民主党に対する不信感、これを払拭するにはまだまだ至っていないというのが現状であります。
 私も、自民党のTPP交渉における国益を守り抜く会の会長として、責任を重く感じています。そして、私と同じそういった苦しい思いを共有している議員が自民党の中にはたくさんいるんだということを、総理にはぜひこの機会にわかっていただきたいというふうに思います。
 ですから、総理、重ねて申し上げますが、万全で息の長い対策、関税撤廃に時間がかかるわけですから、これをどうぞよろしくお願いいたします。
 そこで、総理に改めてお伺いをしたいと思います。そもそもなぜ日本にTPPは必要なんでしょうか。国民の皆様方にわかりやすく、大局的な立場に立って説明をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
この発言だけを見る →
安倍晋三#5
○安倍内閣総理大臣 我が党の当時の、野党時代の方針は、聖域なき関税撤廃を前提とする以上、我々はTPP交渉には参加をしないということでありました。
 江藤議員はそれを絶対に堅持すべきだという強い信念を持っておられた。ですから、総理に就任し、訪米し、オバマ大統領との首脳会談が終わった後、私は、江藤議員にワシントンから電話をいたしまして、聖域なき関税撤廃ではないということをオバマ大統領から言質をとったので、この上においては、TPP交渉参加に向けて準備を進めてもらいたいとお願いさせていただいたことを今でも覚えているわけでございます。
 そこで、なぜそもそも必要かという話であります。
 さきの大戦の前は、いわば領土の広さ、あるいは植民地をどれぐらい持っているか、これが経済の規模につながってきた、国力につながってきたのであります。しかし、戦後は、御承知のように、日本とドイツは大きく版図を縮小した、失ったのであります。しかし、であるにもかかわらず、戦前を上回る経済規模になった。それは、ひとえに自由貿易が確保されたことによるところが大きいと思うわけであります。自国の国民以外の多くの人々が日本やドイツの商品を消費する、このたくさんの消費者をかち得たところにあるんだろうと思います。
 日本は、残念ながら、人口はしばらくは減っていく、ということは消費者が減っていくわけであります。その中で、しかし、しっかりとした社会保障を維持していくためには、経済を成長させ、税収を上げ、保険料を上げ、この制度を確かなものとしていかなければなりません。そのために、経済を成長させていく自由貿易が決定的に必要であります。
 そして、新たにこのアジア太平洋地域に生まれる世界のGDPの四割を含む四割経済圏、ここは物や人や知財、さまざまなものが自由に飛び交い、しっかりとしたルールの中で貿易が行われる、ここに入ることは間違いなく日本の将来に向けて必要なことだろう、このように思います。
 これは、大企業だけに利益を与えるのではなく、中小企業やあるいはまた農家においても、手間暇かけた付加価値をつけた製品を輸出すれば、そのノウハウを奪われることなく、保護されながら、手間暇かけた付加価値が正しく評価されるという、いわば市場をかち得ることができるわけでございます。その努力を我々はしっかりと支援していきたい。もちろん、初めて輸出をする中小企業、小規模事業者は大変だと思います。ましてや、農家はそうです。しっかりと国や地域がそれを支援していくことが当然であろう、このように思う次第でございます。
 そしてまた同時に、基本的な価値を共有する国々が経済のきずなを深めていけば地域は安定します。経済を超える戦略的な意義もある、こう考えるわけでございます。当然、その中で、農業は国の基である、この考え方はきっちりと中心に据えなければならない、こう考えているわけであります。
 まだまだ不安を持っておられる方々がたくさんいらっしゃるのは事実でありまして、十分にその不安を解消し得ていないことは私も総理大臣として申しわけない、こう思っています。これからもしっかりと、私たちの対策がいかに農家にとって有効であるか、大切なものであるかということを説明しながら、不安を解消していくべく汗を流していきたい、このように考えております。
この発言だけを見る →
江藤拓#6
○江藤委員 総理、ありがとうございました。極めて率直で心のこもった御答弁をいただきまして、感謝をいたします。
 言質をとったと総理はおっしゃいました。しかも、これを文書にされました。私は外交のことは詳しくありませんが、文書に起こすということがどれだけ大きなことであるかということは、私なりに理解をしているつもりであります。国民の皆様方にも総理の思いはきっと伝わったのではないか、そういうふうに思います。
 ここで、ちょっとの間だけお許しをいただいて、昔の話をさせていただきたいと思います。
 昭和六十三年六月、日米の間で最大の懸案事項でありました牛肉・オレンジの自由化問題が決着をいたしました。このときも、衆議院、参議院両院で、牛肉・オレンジ自由化反対、この決議が全会一致で行われております。
 ちなみに、このときの自民党の幹事長は、総理のお父上、安倍晋太郎先生でした。私の父、江藤隆美も、総合農政調査会長として、たびたび米国を訪問しまして、ブロック通商代表などと、まあ、あの性格ですから、机をたたいて、本当にけんか腰の激しい交渉をしておったのを私も記憶しております。
 そして、これが決着後は、肉用子牛生産者補給金制度を創設し、総額で一千五百億円もの国内対策を取りまとめました。しかし、その後に行われた総選挙におきましては、私の父は、現役の運輸大臣でありながら落選してしまいました。そして、私も今、いろいろな思いをこの胸に秘めながらこの場に立っております。これもめぐり合わせというものなのかなというふうに今感じております。
 最近は、私、地方を歩いておりますと、TPPばかりがどうも農家の不安の原因ではないなということを感じます。それは、最近の農政においては、どうも何かというと規模の拡大それから法人化、競争力の強化、輸出、そういったことばかりが強調される余り、方向性は間違っていないんですよ、強調される余り、家族経営や中山間地域など条件不利地域の人たちは、自分たちは切り捨てられてしまうんじゃないかという不安を感じているからであります。
 総理は、施政方針演説でよく御地元の、息をのむほど美しい棚田について言及をされます。日本の原風景として触れられます。
 ここで改めて、総理の農村それから里山に対する思い、これを聞かせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →
安倍晋三#7
○安倍内閣総理大臣 農業は、これは江藤委員がたびたび指摘をされるように、さまざまな機能を持っております。
 一つは、もちろん産業としての機能を持っています。前半言われました、我々が今進めている改革の方向性は、この産業としての側面においては徹底的に強化をしていこう、今まで余りやっていなかった輸出にも十分目を向けながら、そして、その力がある、その力をさらに磨いていこうということであります。そして、中心になって頑張っていく担い手には、その意欲に合わせて、彼らが農地を獲得できる、あるいは事業を獲得できる、そういう仕組みをつくっていこうということであります。
 しかし一方、農業というのは、工業と違いまして、地域や天候に大きく左右されるわけであります。そして、長年の伝統と文化を守ってきた、地域を守ってきた、水を涵養してきた、さまざまな多面的な機能があるわけであります。そこを大切にしていく、これは当然のことなんだろうと思います。
 例として挙げられた棚田。私の地元にも美しい棚田が広がっています。この棚田に向かって規模を拡大しろ、生産性を上げろ、これはそもそも無理な話であります。だから、やめろという話ではもちろん全くありません。こういう棚田があってこその日本なんだろうと私は思います。この息をのむほどの美しさがあって、棚田が守ってきた地域があって、村があって、環境があって、文化があって初めてそれは日本なんだろう、私はこう思うわけであります。
 決して、こうした棚田が耕作放棄地となることは望んでいません。そういう地域、中山間地域が今相当高齢化していますが、何とか後継者が出てくるようにしていくことも私たちの大きな仕事なんだろう、こう思います。
 幸い、今、四十歳以下で新たに就農する人が二万人を八年ぶりに超えました。こういう方々、大規模だけではなくてこういう棚田も守っていこうという若い人たちがあらわれてくれば、これにまさる喜びはないんだろう、こう思う次第でございます。
 中山間地域の困難な状況の中でも創意工夫を発揮し、付加価値の高い農産物の生産や六次産業化等に取り組む意欲ある農業者であれば、家族、法人経営の別を問わず積極的に支援してきたところでありますが、これからさらにしっかりとそういうところに目くばせをしながら、そういう農家の声に耳を傾けながら、例えば、今、意欲という話をしましたが、多くは高齢者です。安倍さん、そんなことを言ったってなかなか大変だよ、でも俺は守っていきたいんだよと。そういう方々にもしっかりと、その地域地域の状況に合わせながら対応していきたい、こう思う次第でございます。
 ちなみに、私の地元の長門市においては、かなり六次産業化を進めておりまして、棚田の持つ美しさを生かして観光客を呼んだり、棚田を背景にさまざまなイベント、例えばファッションショーのようなものをやって、これは結構、海外にも発信をされて、海外からも観光客がちらほら来始めているという状況にもなっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、さまざまな中山間地域の耕作困難な不利地域においても立ち行くことができるように、きめ細かな、江藤委員たち専門家の皆さんが知恵を出し合っていただいて、それを政府としてもバックアップしていきたい、このように考えているところでございます。
この発言だけを見る →
江藤拓#8
○江藤委員 ありがとうございます。大変深い理解を里山に対してしていただいているということがよくわかりました。
 棚田があってこそ日本だという言葉は、私の胸には大変響きました。ありがとうございます。そして、目くばせをしていくことも大切だということもおっしゃっていただきました。
 そういうことであれば、この機会に、私には一つ提案をさせていただきたいことがあります。
 私の宮崎県は、五ケ瀬、高千穂、日之影、西米良、そして日南市で十一カ所が棚田百選に選ばれております、指定をされております。英国のイングランドでは、農村の伝統的な景観を保全する取り組み、石垣を直すとかそういったことですね、これについては農業環境支払いの対象になっています。そういった実例があるわけであります。
 ですから、日本でも、単に景観を守るというような視点ではなくて、インバウンド、今、観光に触れていただきましたが、そういったことも含めて、棚田を次の世代に継承していく、こういったことはとても大切だと思います。
 これは大臣問いになっておりますから、総理にも一言だけ頂戴できればありがたいんですが。
この発言だけを見る →
安倍晋三#9
○安倍内閣総理大臣 やはり、インバウンドを呼び込んでいく、そういう大きな力があるだろうと思います。
 我々も、例えばフランスに行って、パリの市内だけではなくて農村地帯に行くと、そこには美しい農村地帯が広がっているわけであります。まさに今、観光新時代を迎えまして、東京や京都だけではなくて、ゴールデンルート以外を訪問する、宮崎県の棚田地帯に行く、そういうことをしっかりと進めていくことによって、そこの農産品を売っていくということも含めて、農地を維持していきたい、そのための支援もしていくべきなんだろうと思います。
 先ほど私が棚田の例として挙げました長門市油谷町には元乃隅稲成神社というのがありまして、ここは鳥居が海に向かってずっと続いているんですね。非常にへんぴなところで、誰も行かなかったところなんですけれども、CNNがたまたまこれを映し出したところ、世界じゅうから観光客が来るということが起こりまして、去年、そこの宮司さんが、私は初めてドイツ人を見た、こう言っていました。今や、どういうわけか、コインをその鳥居の上に載せているんですかね、世界じゅうのコインがそこに行くと、とりに行ってもらっては困るんですが、そこに世界じゅうのコインが載っているという状況が起こっています。
 こうしたことも活用しながら地域のブランドを高めていく、こういうことも求められている。それを国もしっかりと支援していくべきではないのかな、こう思います。
この発言だけを見る →
山本有二#10
○山本(有)国務大臣 この棚田百選には、総理の御地元の長門市の油谷町、あるいは江藤委員の宮崎県高千穂町の尾戸の口、また私の地元の檮原町の千枚田、それぞれ百選に選ばれておるわけでございます。
 私は、あえて御披露させていただきたいことがございます。司馬遼太郎の「街道をゆく」というところに、まず、棚田の景観美について、こういう記述がございます。見上げる山々は、耕して天に至るという棚田である。棚は数十層もある。いわゆる千枚田である。この傾斜の風景は、声を上げたくなるほど美しかった。
 そして、司馬遼太郎さんがもう一つ指摘しているのは、この棚田における日本人の高い精神性。山の傾斜に石垣を築き、棚をつくるようにして水田を築造するやり方は、上代から行われていたに違いない。今に至るまで各地に残っている石垣に投入された祖先の努力の総計と石の量は、大阪城の石垣の比ではなく、エジプトのピラミッドをもはるかにしのぐものであっただろう。これによって、徳、和、これをたっとぶ日本人の努力の精神、これが残っているのが棚田であって、これを守るのが日本人の役目であろう、こういうことでございます。
この発言だけを見る →
江藤拓#11
○江藤委員 総理大臣からこれだけのことを言っていただいたら私は大いに期待をさせていただきますので、具体的にぜひよろしくお願いしたいと思います。
 しかし、環境保全ということであれば、私は環境省でいいと思うんですよ。そして、観光支援、インバウンドの支援ということであれば観光庁、国土交通省でいいと思います。別に農林水産省の予算に縛られる必要はありません。内閣を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 さらに言わせていただきます。宮崎県は、高千穂郷・椎葉山地域が昨年、世界農業遺産に登録をされました。登録されたら、やはり地域の方は、何が何でもこれは守らにゃいかぬ、そういう熱い使命感に燃えています。しかし、何の支援策もありません。現場は大変苦労をしているわけであります。
 ひがんで言うわけではありませんが、一方、世界文化遺産に登録された富岡製糸場に対しては、文化庁から、文化遺産を活かした地域活性化事業という国庫補助があるわけであります。どうも不公平感があるかなというふうに思うわけであります。
 ですから、こういうことも考えて、世界農業遺産に対しても、CNNが来るように、ぜひ何らかの配慮を国としてすることが必要ではないかと思いますが、大臣の御答弁を求めます。
この発言だけを見る →
山本有二#12
○山本(有)国務大臣 世界農業遺産は、次世代に継承すべき伝統的な農林水産業システムを営んでいる地域を、国連食糧農業機関、FAOが認定する制度でございます。現在、世界十五カ国三十六地域が認定されておりまして、我が国では、御指摘の宮崎県高千穂郷・椎葉山地域など八地域が認定されております。
 世界農業遺産につきましては、地域の人々がみずからの地域資源の価値を再認識し、誇りと自信を取り戻すとともに、農業や地域の振興に向けた取り組みが活発になるといった意義を有するものと考えております。
 このため、農林水産省といたしましては、農山漁村振興交付金等によりまして、世界農業遺産を核とした観光振興等の地域活性化の取り組みを支援してまいっているところでございます。
 今後とも、地元の意向を踏まえつつ、関係省庁と連携をいたしまして支援を行ってまいりたいと存じております。
この発言だけを見る →
江藤拓#13
○江藤委員 大臣の御答弁はわかるのですが、指定と直接リンクはしておりませんので、ぜひ指定されたら手厚くということを私は申し上げたいわけであって、よろしくお願いしております。
 今私が一番懸念していることを申し上げます。TPPについて余りにも悲観的な観測が流れる、このことによって生産者の皆さん方が将来を悲観して、今まさに育ちつつある担い手の方々が希望を失ってしまう、意欲を失ってしまう、このことが一番問題だと思っています。
 私の地元では、Uターンや、それからIターンがふえています。この間、地元の西都市で意見交換会をしました。大体一時間半の予定で、百人ぐらいでやったんですけれども、みんな担い手の若い人たちばかりでした。気がつけば三時間を過ぎている。そして、それでも時間が足りなくて、その次の週ももう一回やりました。それは、生産者の方々、担い手の皆さんがそれだけ自分たちで地域を守ろう、そして農業に夢を持っているということをあらわしている、そういう姿に私は触れたわけであります。
 二百四十五万ヘクタールの田んぼをフル活用する、そして四百五十万ヘクタールの農地の多面的機能をきちっと評価して日本型の直接支払いを導入しました。しかし、農地が守られたとしても、担い手がいなくなっては、これは何にもなりません。ですから、今、特に必要なことは、優良な、意欲を持った担い手を育てることだと私は考えております。
 そこで、大臣にお尋ねをします。今回、TPPの合意以降、関連対策を一生懸命私もやってまいりましたが、これは、生産者の実情を踏まえた上で、将来につながる、そういったものになっていると私は思っています。大臣はどのように感じていらっしゃるか、御見解を伺います。
この発言だけを見る →
山本有二#14
○山本(有)国務大臣 TPPの関連対策につきましては、新たな国際環境のもとにおいても生産者が安心して再生産に取り組めますように、交渉結果やその国内への影響について、地方説明会を四十六回開催するなど、可能な限り現場の声を聴取した上で、昨年十一月に総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめているところでございます。
 具体的には、攻めの農林水産業への転換として、産地パワーアップ事業や畜産クラスター事業などの体質強化対策を集中的に講じますとともに、経営安定、安定供給のための備えとして、協定発効に合わせ、牛マルキン、豚マルキンの法制化などの経営安定対策の充実等を講じることとしております。あわせて、農林水産業の成長産業化を一層進めるため、検討の継続項目として掲げました十二項目につきまして、本年秋を目途に具体的内容を詰めていくことにしております。
 このうち、体質強化対策につきましては、平成二十七年度補正予算におきまして、攻めの農林水産業への転換に向けた緊急対策として三千百二十二億円を確保し、現在、各地域において具体的な取り組みが進められているところでございます。また、先日、十月十一日に成立いたしました二十八年度第二次補正予算におきましても、産地の国際競争力の強化などの対策として三千四百五十三億円を確保したところでございます。
 次世代を担う生産者が、新たな国際競争のもとでも、あしたの農林水産業に夢と希望を持って経営発展に積極果敢に取り組み、所得の向上を図ることができますように、今後とも万全の対策を講じてまいりたいと存じております。
この発言だけを見る →
江藤拓#15
○江藤委員 ありがとうございました。予算のきちっとした裏づけがあるということを御紹介していただきました。
 その中で、畜産クラスター事業それから産地パワーアップ事業、これも大変増額をいたしました。しかし、それでも全然全国の御要望には応え切れない、それが現状であります。
 ここで念のために申し上げておきますが、これはばらまきなんかでは決してありません。農家の負担も相当額発生するわけであります。それでもやるということは、生産現場にはやる気のある人がそれだけ多いということの証左であります。
 そして、これらの事業の具体的な効果はどんなものなのかということを少し紹介させていただきます。
 宮崎はキュウリの生産日本一であります。田野町にキュウリのつるおろし栽培に取り組んでいる三十代の担い手の方がいらっしゃいます。宮崎県のキュウリの平均収量は十アール当たり大体十七トンであります。これでも高いんですよ。高いんですが、この農家は、国の事業で、炭酸ガス発生装置、それから施設内の環境センサー、こういったものを導入することによって、何と、県の平均を大きく上回る二十七トン、直売もありますから、多分二十九トンぐらいの収量を実現しています。効果があるんです、こういうことをやれば。
 また、先ほど私は担い手について触れさせていただきましたけれども、担い手がどうすれば育つのかということを我々は真剣に考えなければならないというふうに思っています。
 先進的な技術、ICTとかいろいろなものがそろったところで研修することも一つの方法だと私は思います。思いますけれども、独立するときには、やはり小規模からみんな始めるわけですから、ちょっとそこにはギャップが生じるんじゃないかなということを心配しています。
 それよりも、家族農家で頑張っているところ、そういうところで、そういう農家の方々と寝食をともにして、土壌の管理、育苗、定植、施肥、防除、摘果、収穫、そして出荷まで全てを経験して、それによって農業というものの喜びそしてそういった苦労を経験することによって、本当に担い手は育っていくのではないかと私は思っております。
 そういった観点からいっても、この紹介しました産地パワーアップ事業、畜産クラスター事業、これは、総理がいつもおっしゃっている未来への投資、この未来への投資にまさにふさわしい内容になっていると私は考えております。
 時間がないので、ちょっと飛ばさせていただきます。
 畜産に関して、影響をお尋ねさせていただきます、大臣。
 関税削減による影響はあります。もちろんこれはあります。今回のTPP合意では、牛肉については、関税率は、十六年先、大分先ではありますが、最終的には九%まで、三八・五%から下がります。豚肉についても、差額関税制度は維持され、セーフガードは措置されています。しかし、従価税は十年目に廃止をされます。従量税も十年目にはキロ当たり五十円まで下がります。この数字を見れば、特に現場に不安が強いのは牛肉、豚肉であることは容易に理解できるわけであります。
 しかし、今回の関税削減が日本の畜産の競争力を大幅にダウンさせてしまう、シェアをとられてしまうというふうに私は考えていません。その見方は少し一面的ではないかというふうに思っています。実際に価格がどうなるか、そういったことは、品質の差、為替、それから輸出国の生産動向、ほかの輸入国の買い付け状況、そういったものが複合的に絡まって決まると思っているからであります。
 そこで、大臣にお尋ねします。今回のTPPで関税が下がるわけでありますけれども、牛肉、豚肉の生産にどのような影響を与えると御認識されていらっしゃるのか、お尋ねいたします。
この発言だけを見る →
山本有二#16
○山本(有)国務大臣 牛肉、豚肉の関税引き下げについて一つの大きな示唆あるいはヒントになるものは、日豪EPAについての話ではないかと思っております。これはつとに委員御指摘のとおりでございます。
 平成二十七年一月に発効をいたしましたこの日豪EPA、直近一年間、平成二十七年九月から二十八年八月の牛肉需給動向を、発効直前の三年間、平成二十四年一月から平成二十六年十二月の動向と比較いたしました。当該期間中、為替が九十二円八十銭から八十四円九十銭へと円高・豪ドル安に変動しているにもかかわりませず、豪州からの牛肉輸入量は六%減少しております。また、豪州産牛肉の輸入価格は二七%上昇しております。国産牛肉の卸売価格は四二%から五七%上昇しております。
 この結果を捉えて考えていきますと、日豪EPA発効に伴う影響はこれまでのところ特段あらわれていないと考えております。
 また、国産牛肉につきましては、和牛、交雑種は、霜降りなど、品質、価格面で輸入牛肉と差別化を完全にされておりますし、国産豚肉につきましても、鮮度のよさや地産地消を意識した消費者の国産志向に支えられまして、輸入食肉とは異なった評価を受けているところでございます。
 このような状況に加え、我が国以外の世界の牛肉、豚肉需要が急激に伸びる中で、他の輸入国との買い付け競争が一層激しくなる可能性を踏まえてみますと、TPPにつきましては、発効後も当面は輸入の急増は見込みがたいと考えております。
 しかしながら、関税削減等によりまして、長期的には国産牛肉、豚肉の価格が低下することも懸念されるため、政策大綱におきまして、生産コスト削減、あるいは体質強化対策、こういったものを講じるとともに、セーフティーネットとしての経営安定対策の充実強化を図ることとしておるところでございます。
 セーフガードなど交渉により獲得した措置とあわせ、これらの対策を講じることによりまして、関税削減後におきましても、外国産牛肉や豚肉と競争し、確実に再生産を確保していくことが可能になっている、そう考えておるところでございます。
この発言だけを見る →
江藤拓#17
○江藤委員 大臣から、極めて具体的で、今現在何が起こっているのかわかりやすく御説明をいただきました。ありがとうございます。
 私は、日豪EPA合意のとき、農林水産の副大臣を実はやらせていただいておりました。牛肉については、F1、交雑種は大丈夫かなと何となく感じておりました。しかし、乳雄それから廃用牛、この値段はもしかしたら下がってしまうかな、対策が必要かなと実は大変心配していたわけであります。
 しかし、今大臣の御説明でわかったように、私の予想はいい方向で見事に外れたということであります。
 日本橋に乳廃牛を熟成して提供しているお店があります。私も行ってまいりました。大変おいしかったです。総理もぜひ行っていただきたいと思いますが、混んでおりますから早目の予約をお勧めいたします。生産者は付加価値をつけるそういった努力をちゃんとやっているのであります。
 しかし、その一方で、不安材料がないわけではありません。私が懸念していることは、和牛を生産する繁殖雌牛、この頭数が少なくなっているという現場の状況であります。酪農においても、後継牛それから初妊牛、そういったものの確保が大変困難になっていることも大変懸念されます。
 現在のように八十万円を全国平均が超えるというのは、極めて、今まで経験のないことであります。その原因は、もちろん、和牛に人気がある、引き合いが多いということが一番の原因ではありますけれども、それよりも、やはり雌牛が減って、子牛の数そのものが減ってしまっているというのが、需給バランスが崩れていて、価格が高騰しているわけであります。このような状況を放置しておきますと、肥育農家の経営に大きな影響が出ることが容易に想像されます。
 ですから、大臣、お尋ねをしますが、効果的な増頭対策が急がれると思いますが、御見識を伺います。
この発言だけを見る →
山本有二#18
○山本(有)国務大臣 委員御指摘のとおり、肉用子牛価格が高騰しております。繁殖雌牛の増頭など、肉用牛の生産基盤強化は重要な課題でございます。
 このため、政府といたしましては、優良な繁殖雌牛の増頭や導入に対する奨励金の交付、繁殖雌牛の増頭に必要な畜舎等の整備、繁殖雌牛等の預託の取り組みに対する支援、畜産クラスター事業を活用し、子牛の育成部門を外部化して増頭を可能とするためのキャトルステーション等の整備、さらに、乳用牛への和牛受精卵移植技術を活用した肉用子牛の生産拡大を図る取り組みへの支援など、さまざまな施策に取り組んでおります。
 これら施策の展開によりまして、繁殖雌牛の頭数は、最新の畜産統計、二十八年二月一日現在で六年ぶりに増加に転じました。回復の兆しが見え始めたところでございまして、今後とも、引き続き肉用牛生産基盤の強化に努めてまいりたいと存じております。
この発言だけを見る →
江藤拓#19
○江藤委員 それでは次に、輸出について質問させていただきたいと思います。
 TPPの議論をしますと、関税削減等はあるわけでありますから、日本の農林水産業にとってマイナスの影響、こればかりが強調される傾向があります。
 しかし同時に、海外へとマーケットを拡大していくプラスの側面もあるということもわかっておく必要があると思います。
 例えば、ルール分野。急送貨物については、到着から六時間以内に許可することが取り決められました。これによって、青果物等の通関手続がスムーズになります。新鮮で高品質な我が国のこういった品物がベストな状況で顧客のところに届くことになりますから、これはビジネスチャンスが確実に広がります。
 そして、肉のことも申し上げます。
 米国への牛肉の輸出につきましては、今、二百トンしか無税枠がないんですが、これが三千トンに即時広がります、三千トン。ちなみに、直近の米国への輸出量は二百六トンしかありません。そのうち九十八トンを宮崎県が頑張っております。そして、この三千トンの無関税枠は年々年々拡大していって、十五年目には対米輸出は完全無税ということになるわけであります。念のため申し上げておきますが、そのときも、日本への牛肉の輸入関税九%は残るのであります。
 そこで、農林大臣にお尋ねをいたしますが、TPPの合意を踏まえて、これから輸出にどのように取り組んでいかれるおつもりなのか。ちょっと時間がなくなりましたので、少し短目にお願いいたします。
この発言だけを見る →
山本有二#20
○山本(有)国務大臣 日本は、農林水産物の生産額は世界十位でございます。けれども、輸出額は世界六十位でありまして、この意味では、実力があるのに、まだ輸出について実力を発揮していないというように思っております。
 平成三十一年の輸出額一兆円の目標に向けまして、本年五月に策定した農林水産業の輸出力強化戦略に掲げた施策を着実に実施していけば、私は必ず輸出は軌道に乗るというように思っております。
この発言だけを見る →
江藤拓#21
○江藤委員 ありがとうございます。
 これまでの質疑の中で、やはり生産基盤の強化は不可欠だ、そして、いろいろ高齢化が言われますけれども、担い手は育ちつつあるんだということを申し上げてきました。
 私は、国内市場において現在輸入品にとられているシェアがあります、これを奪還する、そういった視点はとても大事だと思います。私は、できると思っています。日本の農林水産業にはそれだけの底力があるというふうに私は信じて疑いません。
 それでは、十分を切りましたので、ちょっと飛ばしまして、予算委員会でも、SBS、これについては大変議論となっておりますので、私の方からも触れさせていただきたいと思います。
 農林水産省の報告でも明らかになりましたが、この金銭のやりとり、この主たる目的は落札から調達までのコストの調整でありまして、商取引です。一部の報道ではあたかも国家ぐるみの価格偽装とされていますが、それは余りにも言い過ぎだと私は思っています。
 私の認識で偽装というのは、産地を偽装する、米の等級を偽装する、それから、もっとひどいのは飼料用米を主食用米として流通させる、こういうのを偽装と言うのであって、今回の件とは全く性質が違うということを言っておきたいと思います。
 それでは、近年のSBSについて、どんな状況にあるか、簡単に触れたいと思います。
 生産者が大変御努力をいただいて、国産米の需要に応じた生産が進んでおります。その結果、この三年間、SBS、十万トンの枠はあります、しかし埋まっておりません。三年間の平均では、三万四千トンということになっております。
 この内訳を見てみますと、加工用に用いられる砕精米、それからモチ米、これが一万七千トンです。そして、我が国ではほとんど生産されていない、タイ料理、インド料理に用いられるインディカ米、これが四千トン。そして、こだわりの黒米、リゾット用の米、これが百八十トンということになっています。これらのものは、そもそも、国産の主食用米とは全くリンクしません。価格に影響を与えるはずがないわけであります。
 国産の主食用米と競合し得るとすれば中粒種、短粒種ということになりますけれども、これは三万四千トンのうち約一万三千トンです。このような量、これは評価があると思いますが、国産米の価格を引き下げるようなインパクトがあるとは私には考えられません。
 しかし、農林水産省は、こういった事実を丁寧に説明をして、米生産農家の皆様方の不信感、それから不安、こういったものを取り去る努力をする責任があると思いますが、農林大臣にお尋ねします。
この発言だけを見る →
山本有二#22
○山本(有)国務大臣 SBS米の価格につきまして、いわゆる業者間の金銭のやりとり、調整金によって価格に影響があったのではないかという疑いが発生しました。そこで、我々は、そんなことがあるのかないのか、これを念のためにきちっと確認する必要がある、こう思いまして、調査をいたしました。
 今回の調査では、SBS米の買い受け業者、輸入業者などへのヒアリング及び関連データの分析などに取り組んできたところでございますが、この結果、民間事業者間の金銭のやりとりはある程度あったものの、SBS米が国産米の需給、価格に影響を与えている事実は確認できませんでした。
 特に、SBS米と国産米の価格の関係につきましては、買い受け業者においては、SBS米の価格が国産米価格に影響を与えるという認識はありません。関連データと照らし合わせてみましても、国産米の価格水準を見据えてSBS米の価格形成がなされていることが逆に確認できました。
 SBS米が国産米の需給及び価格に影響を与えていることを示す事実は確認できなかったものの、今回の調査を踏まえまして、SBS入札に関する不信感が生じないよう、今後、国と落札業者との間の契約内容を改善することといたしました。
 また、TPP合意のもとで、協定発効から十三年目以降、合計最大七万八千四百トンと、国内消費量の一%程度の数量のSBS方式の国別枠が設置されることになりましたが、備蓄運営の見直しによりまして国内の需給及び価格への影響を遮断いたしまして、確実に再生産が可能となるようにしていくことにつきまして、米農家など生産現場にしっかり説明させていただきたいと考えております。
この発言だけを見る →
江藤拓#23
○江藤委員 ありがとうございました。しっかり努力をしていただきたいと思います。
 次に、再交渉について、石原大臣にお尋ねをさせていただきます。
 その前に、ちょっと一点、指摘をさせていただきます。
 最近よく聞くのは、米国のオバマ大統領在任中のレームダック期間の承認は現実的にあり得ない、米国の出方がわからないうちは待つべきだというような意見であります。
 しかし、本当にそれでよいのでしょうか。自分としては、何かにつけて米国の顔色をうかがう、そういったことは間違っているというふうに私は思います。他国がどうのこうのということではなくて、我が国が独立国として独自に判断する、これは当たり前のことであります。待っていて、米国にあたかも譲歩する用意があるというふうに見られるとすれば、これは最悪であります。
 そこで、大臣にお尋ねしますが、米国から再交渉を求められても決して応じることはない、また、七年後の再協議においても、他国から見直しを求められたとしても、国益に反するような見直しには断じて応じない、このことを大臣に確認させていただきます。
この発言だけを見る →
石原伸晃#24
○石原国務大臣 まず、冒頭のお話でございますが、日本が率先してやるというのは独立国として当然であるという江藤委員の御指摘は、まさに私は意を得たものだと認識をしております。
 そして、再交渉についてでございますけれども、これはやはりTPPというのがマルチの交渉で分野が多岐にわたっている、これを一つ変えるということは全体の合意が崩れ去る。ですから、再交渉は行わないということは、さきに十二カ国の大使がケネディ駐日米大使のもとに集まりまして確認をさせていただいた中でもその話が出まして、再交渉は行わないと。
 一方の再協議でございますが、これはいろいろなEPAの中に入っております。七年目の再協議という形でこのTPPには入っておりますけれども、再交渉をしても、国益を害するようなことは合意をしませんから、心配、御懸念はないものだと私は承知をしております。
この発言だけを見る →
江藤拓#25
○江藤委員 ありがとうございます。しっかりとした覚悟を聞かせていただいたものだと私は評価をさせていただきます。
 あと一分となりましたので、最後に締めのことを若干述べさせてもらいます。大分話を飛ばしてしまいました。
 さきの参議院選挙で全国の投票率を見ますと、宮崎県の中山間地域にある西米良村、これが全国の一位でありました、投票率九一%。諸塚村が第四位。椎葉村も、ベストテンには入りませんでしたけれども、上位でありました。
 私の父は、どんな山間僻地といえども政治の恩恵があっていいのではないか、このことをいつもいつも言っておりました。私もその遺志を継ぐものであります。
 農林水産業を支えるのは、あくまでも現場で頑張る生産者であります。その生産者の背中をもう一歩前に踏み出せるように押すのが政治の役割だと私は思っています。また、中山間地域を含め日本の農林水産業を維持発展させていくことは、これは日本国民全体の利益にかなう、そういうことだと私は信じています。
 アベノミクスは何が何でも成功させなければなりません。農林水産業は言うまでもなく産業の一つであります。どんなに頑張っていいものをつくっても、景気が悪ければ買ってもらえません。農林水産業にかかわる者はもちろん、国民全体でアベノミクスの成功を願っています。総理、頑張ってください。
 これで質問を終わります。
この発言だけを見る →
塩谷立#26
○塩谷委員長 次に、小泉進次郎君。
この発言だけを見る →
小泉進次郎#27
○小泉(進)委員 御紹介いただきました自民党農林部会長の小泉進次郎です。
 きょうは、総理、二十分でありますが、よろしくお願いします。
 一年前、私は自民党農林部会長になりましたが、正直言って、そのときは驚きました。私は、横須賀、三浦という神奈川県の都市農業、そしてキャベツ、大根の一大産地が地元ではありますが、農業、林業、これを専門にやってきたわけではない。そんな中で、このTPPを迎えたタイミングで農林部会長になったことは、当初、どこから勉強したらいいのか、そこから私は戸惑うほど驚きましたが、一年たった今、心から感謝をしています。
 農業ほど国民の生活に近い、そんな政策分野はないと思います。私たちは、生きるためには食べなきゃいけない。その食べるものを生産して、つくってくれているのが農家の皆さんです。その農家の皆さんのTPPに対する不安、そして、漠然とした、これからの日本の農業はどうなっていくのか、こういったことに対する不安に、きょうは短い時間でありますが、質問をしたいと思います。
 まずは、TPPに対してです。
 今、私が農林部会長として取り組んでいる骨太の方針をつくるというこの改革に対して、全国で説明会を開催しています。先週から関東ブロックが始まって、おとといが名古屋で東海ブロック、そしてきのうは富山で北陸ブロックと説明会を開催いたしましたが、きのう、説明会の後に富山の農協関係者の幹部の皆さんとお話をしたところ、話題になったのは、TPPの審議で話題になった、あの黒塗りの資料の問題であります。
 正直言って、全く現場には伝わっていません。この黒塗りが何に対しての黒塗りなのかさえも伝わっている印象はありません。
 総理から、きょう、全国の農家の皆さん、不安を持っている全国の皆さんにはっきりとお伝えいただきたいのは、あの黒塗りは、TPPの交渉の結果に対する黒塗りではなくて、交渉の過程に関する情報の開示のあり方に対する結果である、このことをはっきりともう一度、全国の皆さんにお伝えいただく必要があると思います。
 これは、野党の皆さんもわかっていると私は思います。交渉の過程の中で、どこどこの国の誰々という交渉官がどんなカードを切って何を言ったか、日本の交渉官が途中でこういうカードを切ったとか、そういったことを明かして通商交渉、外交交渉が成り立つわけがないというのは、私は野党の皆さんもわかっていると思う。
 なので、改めて、今回のTPPにおいては、TPPの交渉の結果については全て開示をしているということ、これを全国の農家の皆さんにも、その他多くの皆さんにも改めてはっきりと御説明いただく必要があると思いますので、総理から答弁をお願いします。
この発言だけを見る →
安倍晋三#28
○安倍内閣総理大臣 大変いい御指摘をいただいたと思います。
 私も、もっとしっかりと、国民にわかりやすく結果について開示すべきではないですかという意見をいただいたことがあるんです。そこで、私は、結果についてはしっかりと開示をしていますよと。そもそも結果について開示がなければ審議ができないのは当然のことであります。これは、どんな交渉においても、条約においても、審議する内容はまさに結果であります。
 しかし一方、条約を結ぶに当たっても、さまざまな協議をします。そのさまざまな協議については、相手との関係がありますから、その協議の途中の過程を開示するということであっては、そもそもこれは交渉自体が成り立たないわけでありまして、今まで、外務委員会等で交渉過程を開示してそれを議論したということはほとんどないわけでありまして、基本的には結果について、条文について議論をするということであります。
 そこで、昨年の十月の大筋合意後、国会や約三百回実施してきた説明会等で、合意内容に関しては、情報を全て提供し、丁寧に説明をしています。この過程において、協定の内容等に関する各種資料、分野別の中小企業向けの資料など、約四千ページ以上に及ぶ資料を公表しています。四千ページ以上の資料を公表しているのに、それをここで議論せずに、問われても開示できない交渉途中の経過について黒塗りだからおかしいと言うのは、これは全く議論として間違っている。つまり、中身についてしっかり議論しないための議論としか私は言えないんだろうと。
 真面目に、国民の皆さんにどういう影響があるか、それはまさに交渉の結果が影響するわけでありますから、交渉の結果がどういうものだったかということをしっかりと、我々も交渉の結果についてはお示しをしておりますし、皆さんに御説明もしておりますし、この議会において御議論をいただきたい、こう思う次第でございます。
この発言だけを見る →
小泉進次郎#29
○小泉(進)委員 今の総理の答弁で、改めて、今回のTPPの交渉の結果について全て開示されていると。このTPPの特別委員会においても、まさに全て結果に対しての情報は開示されているわけですから、その開示された結果についてしっかりとした審議がこれから続いていくこと、それを私も野党の皆さんにもお願いしたいと思います。
 一方で、大変興味深かったのは、きのう、おととい、名古屋と富山で各ブロックの農業関係者の皆さんにお集まりをいただいた場で、二時間以上にわたる意見交換をやりました。その場でTPPに対する質問は、名古屋ではゼロ、富山でもゼロ、全くありませんでした。
 そして、きのうの富山で、私と同世代の若い農家が非常に前向きな意見を述べてくれて、それがすごく印象的だったものですから、きょう、この質問の前に電話をして、これからの日本の農業の不安は何か、どんなことに不安を持っているかを聞いてみました。その彼は、不安がないと言いました。
 私は、全国を回っていて、今後の日本の農業、また自分がやっている農業に不安がないという方の共通点があると思っています。
 山形県に行ったときも、農家レストランをやっている農家の方が、何か不安がありますかと言ったら、私はないですと言いました。何で不安がないんですか、私のもとには不安だ不安だという声の方が大きい、なぜあなたは不安がないんですかと聞いたら、小泉さん、私は誰に売っているかわかっていますから、自分の顧客がありますからと。市場に出して、どこに行ったかわからない、誰に買ってもらっているか、誰に食べてもらっているかがわからないわけではなくて、私は、誰に買ってもらっているか、どんな野菜、どんな果物が求められているか、それを考えながらやっているから、これからも常に選んでもらえる、そんな農業を続けていこう、とにかくそこを考えているから私は不安はありませんという声でした。
 きょうの朝、私が話した石川県金沢市のレンコン、お米をやっている、私と同世代の農家の方も不安がないと言いました。一方、その他多くの方に不安があるのはそのとおりでしょうということをその方も言っていました。
 その多くの方の不安はTPPから来ているのでしょうか。私は違うと思っていますよ。その同世代の農家の方が言っていたのは、これから日本の農業はどうなっていくんだろうかということに対する漠然とした不安をみんな持っているんだと。そのことに対して日本の国が、政府が、行政が、そして国民が、日本の農業をどうやってこれからも位置づけていくかをしっかりと示してもらえれば前向きにやっていけるだろう、そんな声をいただきましたので、私は、そのこれからの日本の農業はどうなっていくかという漠然とした農家の皆さんが持っている不安に少しでも応えるべく、残りの時間はあと十分、そこだけ質問をさせていただきます。
 私は、日本の農業の持っている力は胸を張って世界に誇れるものだと思います。現に、和食が世界遺産になったことも、日本の農業の力が和食を世界遺産にした大きな礎だったと思っています。
 しかし一方で、それでは、今までと同じように日本の農業をやっていればそれで日本の未来は明るいのかと言われれば、私はそれは違うと思います。
 現に、このTPPの話が出るはるか前から、日本の農業の総産出額はこの二十年間で十一兆から八兆に減り、農家の皆さんの総所得も五兆円台から二兆円台に減り、そして耕地面積は五十万ヘクタール失われました。そして、平均年齢は、農家の皆さんは六十七歳、米農家の平均年齢は七十歳。
 つまり、一言で言えば、私は、今の日本の農業の状況は持続可能性を失ったと思います。その持続可能性を取り戻すことこそが今から我々がやらなければいけない、言葉をかえると、農業の構造改革をやらなければいけないと思います。
 そこで、TPP、農業の構造改革、アベノミクス、これは全てつながっていると思います。そういった中、私は今、今までの日本の農業で主役の一人としてこの日本の農業を引っ張ってきてくれたJAグループ、その皆さんと向き合いながら、これから農協の皆さんが、特に農家の皆さんが使う肥料、農薬、家畜の餌、段ボール、ハウス、農業機械、こういったものを農家の皆さんに売って、そしてまた農家の皆さんが生産したものを一円でも付加価値をつけて有利に販売するという、いわば商社のような機能を持っている全農の皆さんと対話を重ねています。
 このあり方も新しい時代に合わせて抜本的に見直していただく必要があると考えて、来月の取りまとめに向けてさまざま議論を重ねています。今までの大きなプレーヤーである全農の皆さん、さまざまな思いはあると思いますが、私は、このタイミングで抜本的に変える必要がある、その覚悟が政治にも求められていると思いますが、総理の農業の構造改革に対する決意のほどをお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
← 戻る