安倍晋三の発言 (環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会)
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○安倍内閣総理大臣 農業は、これは江藤委員がたびたび指摘をされるように、さまざまな機能を持っております。
一つは、もちろん産業としての機能を持っています。前半言われました、我々が今進めている改革の方向性は、この産業としての側面においては徹底的に強化をしていこう、今まで余りやっていなかった輸出にも十分目を向けながら、そして、その力がある、その力をさらに磨いていこうということであります。そして、中心になって頑張っていく担い手には、その意欲に合わせて、彼らが農地を獲得できる、あるいは事業を獲得できる、そういう仕組みをつくっていこうということであります。
しかし一方、農業というのは、工業と違いまして、地域や天候に大きく左右されるわけであります。そして、長年の伝統と文化を守ってきた、地域を守ってきた、水を涵養してきた、さまざまな多面的な機能があるわけであります。そこを大切にしていく、これは当然のことなんだろうと思います。
例として挙げられた棚田。私の地元にも美しい棚田が広がっています。この棚田に向かって規模を拡大しろ、生産性を上げろ、これはそもそも無理な話であります。だから、やめろという話ではもちろん全くありません。こういう棚田があってこその日本なんだろうと私は思います。この息をのむほどの美しさがあって、棚田が守ってきた地域があって、村があって、環境があって、文化があって初めてそれは日本なんだろう、私はこう思うわけであります。
決して、こうした棚田が耕作放棄地となることは望んでいません。そういう地域、中山間地域が今相当高齢化していますが、何とか後継者が出てくるようにしていくことも私たちの大きな仕事なんだろう、こう思います。
幸い、今、四十歳以下で新たに就農する人が二万人を八年ぶりに超えました。こういう方々、大規模だけではなくてこういう棚田も守っていこうという若い人たちがあらわれてくれば、これにまさる喜びはないんだろう、こう思う次第でございます。
中山間地域の困難な状況の中でも創意工夫を発揮し、付加価値の高い農産物の生産や六次産業化等に取り組む意欲ある農業者であれば、家族、法人経営の別を問わず積極的に支援してきたところでありますが、これからさらにしっかりとそういうところに目くばせをしながら、そういう農家の声に耳を傾けながら、例えば、今、意欲という話をしましたが、多くは高齢者です。安倍さん、そんなことを言ったってなかなか大変だよ、でも俺は守っていきたいんだよと。そういう方々にもしっかりと、その地域地域の状況に合わせながら対応していきたい、こう思う次第でございます。
ちなみに、私の地元の長門市においては、かなり六次産業化を進めておりまして、棚田の持つ美しさを生かして観光客を呼んだり、棚田を背景にさまざまなイベント、例えばファッションショーのようなものをやって、これは結構、海外にも発信をされて、海外からも観光客がちらほら来始めているという状況にもなっているわけでございます。
いずれにいたしましても、さまざまな中山間地域の耕作困難な不利地域においても立ち行くことができるように、きめ細かな、江藤委員たち専門家の皆さんが知恵を出し合っていただいて、それを政府としてもバックアップしていきたい、このように考えているところでございます。