小川秀樹の発言 (法務委員会)
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○小川政府参考人 お答えいたします。
諾成的消費貸借では、契約の成立後、実際に目的物が交付される前に借り主の側において目的物を借りる必要がなくなることもあり得るわけでございまして、そういたしますと、借り主に必要もないのに借りる債務を負わせることは行き過ぎということになって、借り主に契約から離脱する手段を与える必要があると考えられます。そこで、改正法案におきましては、目的物を受け取るまでは、借り主は契約の解除をすることができることとしております。
もっとも、貸し主の方からいたしますと、費用をかけて、貸す債務を履行するための準備に着手している場合があることから、御指摘がありました第五百八十七条の二第二項後段におきまして、借り主が契約の解除をした場合において、これにより具体的な損害が生じていたときは、貸し主は借り主に対して損害賠償請求をすることができることとしております。
そして、諾成的消費貸借の借り主に目的物を借りる債務を負わせないために特別の解除権を付与したという趣旨に鑑みますと、この場合に損害賠償を請求することのできる損害としては、貸し主が金銭などを調達するために負担した費用相当額などにとどまるものと解されまして、現実に目的物の交付を受けていないにもかかわらず、例えば弁済期までの利息相当額が損害となるなどと解する余地はないものと考えられます。
すなわち、例えば、シンジケートローン契約などのように、企業活動に係る多額の融資に係る諾成的消費貸借が成立した場合において、金融機関が他の金融機関からコストをかけて貸し付け用の資金を調達していたときの調達コストなどしか実際上は損害として想定されないというふうに考えられます。
なお、貸し主が金融機関であり、借り主が消費者であるようなケース、先ほどありましたようなケースですが、こういったものにつきましては、借り主の解除により貸し付けができないこととなったとしても、貸し付けを予定していた資金を他の貸付先に流用することになるので、そもそも具体的な損害自体も発生していないと考えられます。
したがいまして、第五百八十七条の二第二項後段の規定を設けることが消費者などの被害につながるものではないと考えておりまして、その趣旨は十分に周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。