安倍晋三の発言 (環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 南スーダンは最も新しい国連加盟国であり、独立してから間もない世界で一番若い国と言ってもいいんだろうと思います。独立をして、しっかりといい国をつくっていこうという中で、ただ、様々な状況、厳しい状況の中でもがいていると言ってもいいんだろうと思います。反政府勢力の存在や部族間の対立があること、また、約二十年にわたるスーダンとの武力紛争を経て独立に至りましたが、その間に使用された多数の武器が国内に出回っていることなどから、治安情勢は極めて厳しいのは事実であります。
このような厳しい状況の中で、南スーダンは、自らの力だけでは平和と安定を確保することができません。だからこそ国連による平和維持活動が行われており、我が国も、専門的な教育訓練を受け、厳しい環境でも活動できる自衛隊を派遣し、自衛隊にしかできない仕事を行っています。
国連の旗の下、国際社会が協力して南スーダンの平和と安定のため力を合わせています。地域ごとに見ても、アジア、アフリカ、南北アメリカ、ヨーロッパ、南太平洋の島国など、まさに世界のあらゆる地域から六十か国以上が部隊等を派遣し、南スーダンのために力を合わせているわけであります。
南スーダンは、六か国と国境を接し、アフリカ大陸を東西南北に結ぶ極めて重要な位置にあります。南スーダンの平和と安定は、南スーダン一国のみならず、周辺諸国の平和と安定、ひいてはアフリカ全体の平和と安定につながるものであります。また、テロや難民問題も含め、アフリカの多くの国が苦しんでいる不安定と治安の問題を解決するという意味において、アフリカ全体の希望につながるものであります。
このような意味で、自衛隊派遣は大きな意義があると考えています。このような自衛隊派遣は、南スーダン政府や国連を始め、国際社会からも高い評価を得ていることは我々にとっても誇りと言ってもいいんだろうと思います。
今この委員会においては自由貿易について議論をしているわけでありますが、自由貿易というのは、この前提は、地域の平和と安定、自由な航行、移動ができなければそれは担保されないわけであります。これはまさに、南スーダンやその地域だけではなくて、世界にとって重要なことだろうと私は認識しております。
南スーダンでは、現在も地方を中心に武力衝突や一般市民の殺傷行為が度々生じています。自衛隊が展開している首都ジュバについても、七月に大規模な武力衝突が発生し、今後の状況は楽観できず、引き続き注視する必要がありますが、現在は比較的落ち着いています。七月の衝突事案の後も、治安を理由に部隊を撤退させた国はありません。むしろ、国連は新たに四千人の地域保護部隊を創設をし、増派を決めるなど、国際社会は取組を強化しているわけであります。
このような情勢認識については、稲田防衛大臣や柴山総理補佐官はUNMISSのロイ代表と会談し、同代表の認識が我が国の情勢認識と基本的に異なることはないことを確認をしています。
そこで、今、佐藤委員から御紹介をいただいた、本日国連が公表した報告書の治安情勢の部分の内容も、実は同様に我が国と基本的に異なるものではないと認識しています。これは、言わば治安情勢の部分は私たちの認識と同じであります。
そして、今、報告書の末尾には、事務総長の所見としてニューヨークにおいて書き加えられたものでありますが、ニューヨークにおいて潘基文事務総長の意見が記述されていますが、その内容は報告書全体の治安情勢の評価と一致しない部分があり、その趣旨、真意等を国連側に照会をいたしました。確かに、カオスというのは、随分これは強い表現であります。実際にカオスであれば我々は考えなければいけないわけでありますが、それについて我々は国連に照会をいたしました。
その結果、国連側からは、当該部分の表現は、安保理が行動を取らなければ状況が深刻になるという趣旨であり、現在の南スーダンの状況がカオスであるという趣旨ではない旨、及び治安情勢の悪化が起きているのはジュバ以外、特に西部及び北部であり、ジュバは比較的安定している、ただし、引き続き情勢を注視する必要がある旨の回答を得ているところでございます。
これに加えまして、他の安保理理事国や要員派遣国にも直接確認したところ、いずれも我が国とおおむね同様の認識をしているということで確認をしているところであります。
いずれにせよ、まずは情勢認識については我々と変わらない。しかし、ニューヨークにおいて国連事務総長が付け加えた所見において強い表現があったので、それに対して我々は、これ果たしてどうなんですかと言ったら、正確性を期して向こう側から今言ったような説明があったわけでありまして、私といたしましては、今後、国連がこうした情勢について発表する以上、しっかりと正確なものを、分かりやすいものをちゃんと発表していただきたいと、こう思っている次第であります。
政府としては、今後とも現地情勢について緊張感を持って注視をしていくわけであります。その上で、南スーダンにおいて、自衛隊の安全を確保し、意義のある活動が困難であると判断する場合には撤収をちゅうちょすることはありません。この点は明確に申し上げておきたいと思います。