環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会

2016-11-15 参議院 全333発言

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会議録情報#0
平成二十八年十一月十五日(火曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月十四日
    辞任         補欠選任
     高野光二郎君     こやり隆史君
     相原久美子君     藤田 幸久君
     舟山 康江君     川合 孝典君
     河野 義博君     谷合 正明君
    佐々木さやか君     高瀬 弘美君
     片山虎之助君     石井 苗子君
     山本 太郎君     福島みずほ君
     和田 政宗君     中野 正志君
 十一月十五日
    辞任         補欠選任
     こやり隆史君     高野光二郎君
     藤田 幸久君     相原久美子君
     大門実紀史君     岩渕  友君
     辰巳孝太郎君     井上 哲士君
     石井 苗子君     石井  章君
     行田 邦子君   アントニオ猪木君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  芳正君
    理 事
                石井 準一君
                二之湯武史君
                福岡 資麿君
                三宅 伸吾君
                山田 修路君
                小川 勝也君
                大野 元裕君
                浜田 昌良君
                紙  智子君
    委 員
                こやり隆史君
                古賀友一郎君
                佐藤  啓君
                佐藤 正久君
                進藤金日子君
                高野光二郎君
                高橋 克法君
                滝波 宏文君
                中西  哲君
                中西 祐介君
                平野 達男君
                藤木 眞也君
                堀井  巌君
                舞立 昇治君
                松川 るい君
                山田 俊男君
                吉川ゆうみ君
                渡邉 美樹君
                相原久美子君
                石上 俊雄君
                江崎  孝君
                川合 孝典君
                田名部匡代君
                徳永 エリ君
                浜口  誠君
                藤田 幸久君
                熊野 正士君
                高瀬 弘美君
                谷合 正明君
                平木 大作君
                井上 哲士君
                岩渕  友君
                大門実紀史君
                石井  章君
                儀間 光男君
                福島みずほ君
              アントニオ猪木君
                行田 邦子君
                中野 正志君
   国務大臣
       内閣総理大臣   安倍 晋三君
       外務大臣     岸田 文雄君
       厚生労働大臣   塩崎 恭久君
       農林水産大臣   山本 有二君
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(消費者
       及び食品安全)
       )        松本  純君
       国務大臣     石原 伸晃君
   副大臣
       農林水産副大臣  齋藤  健君
       経済産業副大臣  松村 祥史君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        藤田 昌三君
       常任委員会専門
       員        宇佐美正行君
       常任委員会専門
       員        大川 昭隆君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       増田 和夫君
       内閣官房内閣審
       議官       澁谷 和久君
       内閣官房東京オ
       リンピック競技
       大会・東京パラ
       リンピック競技
       大会推進本部事
       務局企画・推進
       統括官      多田健一郎君
       内閣府国際平和
       協力本部事務局
       長        宮島 昭夫君
       外務省経済局長  山野内勘二君
       厚生労働省医薬
       ・生活衛生局生
       活衛生・食品安
       全部長      北島 智子君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   山口 英彰君
       農林水産大臣官
       房総括審議官   水田 正和君
       農林水産大臣官
       房政策評価審議
       官        塩川 白良君
       農林水産省消費
       ・安全局長    今城 健晴君
       農林水産省食料
       産業局長     井上 宏司君
       農林水産省生産
       局長       枝元 真徹君
       農林水産省農村
       振興局長     佐藤 速水君
       農林水産省政策
       統括官      柄澤  彰君
       林野庁長官    今井  敏君
       水産庁長官    佐藤 一雄君
       経済産業省通商
       政策局通商機構
       部長       渡辺 哲也君
       観光庁審議官   瓦林 康人君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○委員派遣承認要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○環太平洋パートナーシップ協定の締結について
 承認を求めるの件(第百九十回国会内閣提出、
 第百九十二回国会衆議院送付)
○環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関
 係法律の整備に関する法律案(第百九十回国会
 内閣提出、第百九十二回国会衆議院送付)
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林芳正#1
○委員長(林芳正君) ただいまから環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、和田政宗君、片山虎之助君、高野光二郎君、舟山康江君、河野義博君、佐々木さやか君、相原久美子君及び山本太郎君が委員を辞任され、その補欠として中野正志君、石井苗子君、こやり隆史君、川合孝典君、谷合正明君、高瀬弘美君、藤田幸久君及び福島みずほ君が選任されました。
 また、本日、辰巳孝太郎君が委員を辞任され、その補欠として井上哲士君が選任されました。
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林芳正#2
○委員長(林芳正君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案につき、現地において意見を聴取するため、来る十七日、北海道及び茨城県に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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林芳正#3
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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林芳正#4
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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林芳正#5
○委員長(林芳正君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の審査のため、来る十八日午後一時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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林芳正#6
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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林芳正#7
○委員長(林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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林芳正#8
○委員長(林芳正君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結について承認を求めるの件及び環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案件を一括して議題といたします。
 本日は、TPPと我が国の経済・国民生活等についての集中審議を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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佐藤正久#9
○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。
 質問の機会を与えていただき、本当にありがとうございます。昨日に続きまして、参議院らしい中身の充実した審議に努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 総理、やはり多くの私の知り合い等と話しても、今一番関心が高いのはTPPとアメリカの議会の承認の行方、これが一番関心が高いようであります。ただ、実際上、アメリカがTPPに入らなければこの協定は発効しないという現実もあります。
 TPPに反対する人の中には、日本が途中から参加したことに対して米国追従だと批判した人がいましたが、今度は、日本が早期承認をして率先して米国の承認を働きかけようとすると、拙速だ、米国の状況をもっと見極めるべきだという批判をする人もいます。どっちがどっちか分からない。反対反対と言って国民の暮らしが豊かになるなら、私も思いっ切り反対します。やはり対策が必要です。
 国民の暮らしを豊かにするためには、守りだけではなく、攻めの政策も必要だと考えます。私は、今こそ日本外交がリーダーシップを発揮をして、その真骨頂を見せる時期だと思います。
 米国ではトランプ氏が大統領選挙で勝利し、上院、下院とも共和党が多数を持ちました。これでTPPは終わったとの論調が一部にありますが、本当にそうでしょうか。そもそも、オバマ大統領がTPP推進の理由を、中国のような国々に世界経済のルールを作らせるわけにはいかないと述べて、アメリカが世界経済の秩序、これを形成するんだということを述べておられました。この主張は共和党の主張にも合致しますし、アメリカ・ファースト、米国国益を第一とするトランプ氏の主張にも合うところが多いと思います。
 ただ、トランプ氏は選挙戦で、TPPからの離脱を表明してまいりました。離脱とはどういう意味なのか、実際、私にはよく分かりません。TPP協定を米国政府は行政府として今署名をしています。次に議会にかける段階です。
 政府参考人にお伺いします。協定の発効前に離脱という規定はあるのでしょうか。
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澁谷和久#10
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。
 TPP第三十章第六条は、TPP協定からの脱退につき規定しておりますが、この規定はTPP協定が発効をしなければ効力は持ちません。協定発効前のTPP協定からの離脱、脱退については取決めはございません。
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佐藤正久#11
○佐藤正久君 そうなんですよ。協定発効前の離脱の規定はないんです。
 議会の承認後に、協定が発効した後に米国が離脱するというのは分かりますけれども、事前の、議会承認の前の離脱は規定がありません。ということは、議会の承認を待っているという状態が続くということに実態上はなります。よって、トランプ氏の次の大統領が議会に承認をかける可能性もあれば、トランプ氏が途中で米国にとってTPPはメリットが大きい、アメリカ・ファーストにかなうというふうに考えれば、前言を撤回し、一年後ぐらいに議会に承認を求める可能性もゼロではないというふうに思います。海外には賢い者は変わるが愚か者は変わらないという言葉があるように、君子豹変すという言葉があるように、それは可能性はあると思います。
 リーダーが方針を変更した例は日本にもございます。普天間飛行場の移設を県外、国外、最低でも県外と言った鳩山総理も、海兵隊の抑止力を学べば学ぶにつけ大事だというふうに理解をして辺野古案に戻しました。トランプ氏が破棄すると言ったオバマ・ケアの一部も、オバマ大統領との会談によって多くの人が恩恵を被っているということを受けて、一部オバマ・ケアを受け入れるという話もございます。リーダーは国益と現実を考え、変わるものだと思います。
 総理、リーダーが変わるということについてのお考えをお聞かせください。
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安倍晋三#12
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 君子豹変す、これは、まさに自分のために、自分の保身で豹変するのではなくて、それが国や国民のためになるという判断の中で、言わばメンツを捨てて判断する、それが我々指導者に求められる姿勢ではないかと、このように思う次第でございます。
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佐藤正久#13
○佐藤正久君 やっぱりそれがリーダーなんですよ。やっぱり国民の暮らしと命を守る、これが一番原点だと思います。
 資料四、これを見てください。これは、TPPあるいはRCEPが次第にFTAAPというものに移行するという資料です。(資料提示)
 このTPP、この右下のものですけれども、これはまさに日米豪、これが中心としてTPPというものを形作っております。アメリカにとって日本もオーストラリアも同盟国です。同盟というのは三つを共有しないと同盟とは言えないという話もあります。一つは価値観の共有、二つ目は負担の共有、三つ目がリスクの共有です。まさにその三つを共有した日米豪、これはGDP的にも大きな日米豪が中心になってこのTPPを形作っている。そこに今、韓国やフィリピン等が参加の動きを見せている。
 これ、仮にTPPが発効されなければ、この韓国やフィリピン等、今から入ろうとしている五か国も、TPPに入るのではなく、逆にRCEPの方に傾く可能性もあります。中国が入ったRCEPや日EU・EPA、これが加速されて、まさにアメリカが自由貿易経済の圏内からどんどん外されていくという懸念もあると思います。これは共和党の政策にも反すると思います。この絵をトランプ氏の移行チームが見れば、TPPが米国ファーストにかなう部分が多いということも理解すると思います。
 米国のこのTPPの離脱が経済圏構想からアメリカが孤立するということを理解したのか、あるいはTPPのメリットがやっぱりあるんだということを理解したのか、このトランプ氏側の公式サイトが週末にアップデートされ、選挙公約であったTPPからの離脱の表現は削除され、雇用を米国外に流出させた数十年にわたる政策を反転させるとの表現に改まりました。総理の感想をお聞かせください。
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安倍晋三#14
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この今お示しになった地図を見ても、TPP、TPPがなかなか進まないということになれば、これ、重心は、軸足はRCEPに移っていくのは間違いないわけであります。RCEPには米国が入っていないわけでありまして、そこのGDP世界最大の国は米国ではなくて中国になっていくわけであります。
 例えば、TPPにおいては国有企業に対しては厳しい制限が課せられるわけでありますが、RCEPで果たしてそうなっていくのか、あるいは知財の保護については、TPPにおいてはしっかりとルールによって守られる、では果たしてRCEPについてはどうなのかということはこれから交渉次第でありますが、その意味におきましては、TPPが一つのモデルにならなければならないというのは確かなことではないかと、こう思う次第でございます。
 いずれにいたしましても、我々としては、日本としてはしっかりとこの委員会の場で御議論をいただき、TPPの目的、意義について世界に発信をしていく、米国にも発信していく、そのことによって今のこの保護主義の流れを変えていく、そして、やはりTPPのような志の高い自由で公正な四割の経済圏をつくっていくことがそれぞれの国や地域には利することになっていく、こう我々は示していくことが求められているんだろうと、このように思います。
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佐藤正久#15
○佐藤正久君 ありがとうございます。
 まさに、このTPPがなくなれば重心がRCEP、中国の方がリードする可能性はゼロではありません。それはやっぱりアメリカにとってメリットが少ないということから、TPPからの離脱という表現が削除されて、方針変換ということもあるかもしれません。
 実際にある専門家は、トランプ氏は政治家というよりもビジネスマンの色彩が強い、よって、彼の選挙での発言というのは結論というよりも提言に近いものだと、よって、状況によってはそれが修正される可能性はあるという批評をする人もおられますので、引き続き私はアメリカとの交渉というのは非常に大事だと。実際に、ほかの参加国も日本のこの動向に注目していると思います。まさに日本のリーダーシップが大事だと思います。
 そういう意味におきまして、まさに十七日の安倍総理とトランプ氏との会談や、あるいはペルーでのAPECの機会を捉えてのオバマ大統領との二国間会談や、あるいはほかのTPP参加国との首脳会談は極めて重要な機会と捉えますが、総理の意気込み、覚悟を伺いたいと思います。
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安倍晋三#16
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 十七日にトランプ次期大統領と会談を行うことになります。
 これは、もちろん、まだトランプ次期大統領は大統領でもございませんから、国同士の首脳会談にはならないわけでございまして、大統領が二人いるという状況にはしてはならないと思っているわけであります。そういう前提条件の中で会談を行いたいと思います。
 そこで、私といたしましては、様々な課題、経済や貿易やあるいは安全保障について、そして日米関係、同盟関係について忌憚のない意見交換を胸襟を開いて行っていくことによって信頼関係を築いていきたいと、このように思います。その際にも、これはトランプ大統領も重々承知だろうと思いますし、共和党の党是と言ってもいい自由貿易の大切さ等についても私の考えを述べたいと、こう思っている次第でございます。
 そして、APECで行われるTPP参加十二か国の首脳会議におきましては、首脳同士でしっかりとこのTPPを発効させようという意思を確認し合う、そして国内手続を進めていこうという一致を見て、それを発信していきたいと、こう考えているところでございます。
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佐藤正久#17
○佐藤正久君 非常に大事な大事なトランプ氏との会談、そしてAPECだと思いますので、結果を楽しみにしております。
 次に、国民と話すと、もう一つTPPに関しまして言われることは、やっぱりどういうメリットがあるのかまだまだよく分からないと。その中で、特に中小企業の方々、農林水産業の方々がどういうメリットがあるかという部分がまだまだ伝わっていないような感じがします。
 総理、北ヨーロッパにノルウェーという国があります。今回のTPP、これを議論するときに一つモデルになるような国だと思っています。
 ノルウェーの面積は日本とほぼ一緒です。人口は僅か五百万人ですが、二〇一四年の水産物の輸出総額は一兆円を超えました。一五年は一兆三千億まで行っています。日本の水産品、これは、二〇一四年、いまだ一兆円に届かず、二千四百億程度です。
 ノルウェーは、日本を含め海外の市場調査をやり、プロモーション等営業努力もしております。総理も回転ずしの方に行かれたことがあると思いますけれども、日本はすしが好きだ、特にサーモンが好きだ、サーモンはとろサーモンが好きだ、であればとろサーモンを作ってしまえと、とろサーモンを作ってしまいました。さらに、成田空港と関西空港のそばにサーモンの加工工場までノルウェーは造りました。今、回転ずしのとろサーモンはノルウェー産が多いと聞きます。私は、京都の福知山連隊長をやりました。福井の若狭地方や京都北部、あるいは兵庫県北部の方の産品として、へしこというサバのみそ漬けがあります。そのサバも、脂が乗ったノルウェー産が今多く使われております。
 私が、二十年前アメリカに留学した際に、お店に行くと、キッコーマンのしょうゆが置いてありました。調べてみたら、キッコーマンの会社の方が一軒一軒お店を回って、肉を焼いてしょうゆを掛けて食べてもらって、おいしいという評価を得ながら販路を広げていったようです。
 私は、もうこのような企業努力、これも大事ですけれども、やはりこのTPPというものをにらんだ上で政府がやっぱり関与する、官民挙げてこういう中小企業の海外進出や農林水産品の輸出拡大、これに関与する、これはまさに安倍総理のリーダーシップに懸かっていると思いますが、御所見をお願いしたいと思います。
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安倍晋三#18
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が例として挙げられたノルウェーも、一時は水産業、大変厳しい時期があった。それを乗り越えるために改革をして、船も大型化し、生産性を上げ、そして様々な市場調査をしていく中において大きな成功を収められたと、こう承知をしています。
 TPPによってはもう、まずもちろん工業製品の関税が撤廃されるわけでありますが、同時に、今までも、日本の中小企業や私の地元もそうですが、小規模事業者が海外に出ていこうと海外に進出していきます。でも、多くの企業は実は結構ひどい目に遭うんですね。せっかく技術をつくってそれを売ったら、直ちに模倣品が出てくるということがあります。同時に、技術移転しろということを言われ、技術移転をした後はもう出ていけという態度に変わっていく、税のルールも途中で変えられてしまうということはよくあるわけでありまして、もう海外は懲り懲りだというそういう気持ちになっている企業は大変多いわけでありますが、そういう皆さんはしかし黙っている場合が多いんですね。成功した人が、俺、成功したぞと言っていますが、結構成功しているのかと思うと実は失敗をしている例が相当多くあるわけであります。
 しかし、TPPが発効すれば、このTPPの圏内においてはしっかりとその知財が守られるわけであります。昨日の議論で、例えば電子商取引を行う場合も守られるわけでありまして、サーバーを向こうで設置しろと、そんなことを言われないようになってくるわけでありまして、十分にメリットが、海外展開をしていくことが可能だろうと思います。
 しかし、じゃ、自分たちでどんどん出ていけといっても、それはなかなかちゅうちょするんだろうと思います、大きな企業のように海外に支店を置くというそういう体力はないわけでありますから。そこで、例えば、今年二月に設立した新輸出大国コンソーシアムを通じてこれまで全国津々浦々の二千社を超える中堅・中小企業に支援を始めています。そういう出ていこうという企業を個々に支援をしてまいります。
 おいしくて安全な日本の農水産物にとって、またTPPは輸出拡大のチャンスでもあります。このため、本年五月に農林水産業の輸出力強化戦略を決定し、民間の意欲的な取組を加速するための多様な施策を講じています。
 具体的には、需要の掘り起こしに向けたプロモーション、そして販路開拓のための相談や商談会出展等への支援、そして物流の高度化への支援、また輸出先の輸入規制の緩和、撤廃等、輸出環境の整備等に取り組んでいるところであります。今回の補正予算では、輸出基地・輸出対応型施設の整備、国際競争力のある産地の形成などを支援することとしております。
 例えば、福島の産品については輸入規制があるところがあります。もう随分これは輸入規制撤廃されてきました。しかし、加盟国においては、科学的根拠がないところは、それをなくさなければ、輸入を解禁しなければいけないわけでありますし、また輸入制限をして、科学的理由なしに例えば福島の農産品を輸入規制しているところに対しては、そういう国は新たにTPPには入れませんよということになっていくということもあるわけであります。
 いずれにせよ、きめ細かく支援をしていきたいと、このように考えております。
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佐藤正久#19
○佐藤正久君 資料一をお願いします。
 まさにそうなんですよ。多くの中小企業等も、チャンスと捉えてもその海外進出のノウハウがやっぱり少ない。そこで、今総理が言われた輸出大国コンソーシアム、これにつきまして、経産副大臣、御説明をお願いします。
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松村祥史#20
○副大臣(松村祥史君) 佐藤委員から、新輸出大国コンソーシアムについてのお尋ねがあったかと思います。総理からも詳しくお話がございましたけれども、今回、TPPをきっかけに海外展開を目指したいという企業は多数いらっしゃいますが、なかなかその情報がなく、ちゅうちょしていらっしゃる方もたくさんいらっしゃると、このように理解をしております。
 そこで、海外ビジネスに精通をいたしましたジェトロでありますとか、最寄りの自治体や商工会議所、商工会、地域金融機関などが一体となりまして、そういった相談に乗りまして支援を行う体制でございます。現在、九百八十八の方々に参加をいただいて、支援機関をつくっております。
 具体的には、支援企業のニーズというのはそれぞれございますので、まず、海外展開の計画書の策定、市場調査、現地での商談会、そしてバイヤーの選定でありますとか、また現地に出ていったときの店舗の立ち上げ、また基準や認証制度への対応、その企業の進出の方々のそれぞれの段階において伴走型の支援をやっていこうという体制で臨んでおります。十一月十一日時点で二千百六十九社に対して支援を開始しているところでもございます。また、こういった情報を御存じない方が多数いらっしゃいますので、現在、四十七都道府県で百二十回にも及ぶ説明会を行いまして、情報の提供に努めているところでございます。
 引き続き、きめ細やかな支援体制を全力で取り組んでまいりたいと、このように考えております。
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佐藤正久#21
○佐藤正久君 非常に分かりやすい説明をありがとうございます。
 このまさに専門家が大事なんです。専門家がいかに相談に乗るか、その体制を充実してほしいと思いますが、この写真の例にあるシンガポールに進出した納豆、これは納豆だけあって粘り強いPRで今回販路を拡大した。まず、フリーズドライの納豆、これが人気があるようです。さらにもう一枚、エビの加工機械。これは、エビというのは見栄えを良くするために筋を切って真っすぐに伸ばします。それは今まで人手でやっていたのを自動化して、さらにパン粉を付けるまで一連を自動化にした。まさにTPPによって水産物が取引が増えれば、この機械も多分輸出が増えるだろうという期待を持っている。これを今支援しているのが新輸出大国コンソーシアムです。
 今後、コンビニエンスストアの数が増えれば、当然そこに置かれる日本の商品も増えますし、日本食のレストランが増えれば、そこに置かれる日本酒の量も増えます。いろんな面で可能性は無限ですので、しっかり取組をお願いしたいと思います。
 次、資料二、これをお願いします。
 ただ一方、農林水産品の方が若干体制が弱いような感じがします。この資料二にあるように、やっぱり海外での拠点をつくってニーズを発掘すると同時に、国内の方でも農家任せではなくしっかりとした商品開発、これも大事だと思いますし、先ほど総理が言われたように、いい品種がどんどん流出していってしまう、国際条約というもののための登録をしていないために、ブドウやあるいはイチゴ、いいものはどんどんまねされて作られている、それを止めることができないという懸念事項もあります。
 今後の輸出体制の強化について農林水産大臣の見解をお伺いします。
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山本有二#22
○国務大臣(山本有二君) これまで我が国の生産農家は国内市場への出荷しか考えられなかったわけでありますが、海外輸出という新たな選択肢を得ることができました。しかし、経験のないことでございますので、大切なのは先生御指摘のような適切なアドバイスということではないかと思っております。
 農林省とジェトロが一緒になりまして食品輸出の相談窓口を設けたところ、窓口には年間一万件を超える御相談が寄せられることになりました。それだけ意欲ある輸出への期待を持った農家がいらっしゃるということではないかというように思っております。
 特に、例えば九州の小さな小芋は出荷されずに畑にたたき込んでおったわけでございますが、香港では逆に小さなカンショの方がいいということで、捨てておったものが商品になったという例もございます。そんな意味では、海外市場のニーズ、これに合わせた生産及び商品開発、こういったことによって輸出が促進されるだろうというように思っております。
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佐藤正久#23
○佐藤正久君 是非とも中小企業の海外進出と農林水産業の輸出拡大、これは非常にみんな期待が高い反面、非常に悩んでいる方が多いので、しっかり政府がやっぱり主導して取り組むということが、このTPP発効をにらんで今からやることが大事だと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、資料五、お願いします。
 ただ、その一方で、やっぱり海外における危機管理体制の構築も、これも併せてやらないといけないと思います。米国は全ての大使館に海兵隊員を配置しておりますが、私は、少なくともTPP締約国の十二か国を含む環太平洋の在外公館等には自衛官や警察出身の武官や警備員、警備対策官を増員して、進出企業への警備情報の提供とか相談、訓練支援を強化すべきだと思います。
 資料五にありますように、実際、TPP参加国十一か国の大使館のうち武官がいるのは、常駐しているのは僅か五か国だけで、特に南アメリカ大陸はもうTPP未参加国のブラジルに一名いるだけです。警備対策官、これは二百三十五公館等のうち三十一公館等に未配置であり、警備対策官が領事を兼務しているのは十八公館もあります。日本へのビザ発給等、領事業務が忙しくなれば、警備官業務、これが十分できなくなるのは明らかであります。本来は別々に配置すべきだと思います。この警備対策官の未配置と領事兼務の計四十九公館等に課題があると思います。これは全体の二〇%強になります。
 憂いあれども備えなしでは、やっぱり、外務大臣、駄目です。もうこれだけやっぱり海外での邦人が巻き込まれる事案が増えているという状況、さらにこれから海外進出の強化をするのであれば、この辺りの対策が必要だと思いますけれども、外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
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岸田文雄#24
○国務大臣(岸田文雄君) 今後、TPP等によって中小企業を含む日本企業の海外進出が進むということを考えますときに、こうした危機管理、安全管理、大変重要な観点であると認識をいたします。平時及び緊急事態発生時、こうした事態に際しましても十分な対応ができますように体制を整備していかなければならない、このように認識をいたします。
 その中で、この防衛駐在官の派遣につきましては、派遣元の防衛省とも協議の上、外交上必要に応じた適切な配置となるよう努力を続けてきましたが、今後、国際的な安全保障環境の変化を踏まえ、限られたリソースの中で適切な配置になるよう引き続き努力を続けていきたい、このように考えます。
 そして、警備対策官についても御指摘をいただきました。この警備対策官、これは在外公館の警備の要であります。危機管理の専門家として、あるいは警備の企画立案、情報収集、さらには日系企業関係者等への安全対策指導、こうしたものも行っております。
 こうした重要性に鑑みまして、今兼務につきまして御指摘もいただきましたが、是非、警備対策官の増員にも取り組み、適切な配置が行われ、そしてこの領事につきましても適切な配備に努め、より実践的な取組が可能になるように努力を続けていきたい、このように考えます。
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佐藤正久#25
○佐藤正久君 是非ともよろしくお願いします。
 次に、TPPと東北の復興支援の関係について総理に伺います。
 私の出身は福島県の福島市の西部の方で、石原大臣には私の実家の近くまで行っていただき、あづま運動公園があるようなところなんですけれども、非常に中山間地域です。私の出た小学校は今全校生徒がもう二十六名という、市内でもそういう状況です。
 特に福島の場合は、やっぱり風評被害に加えて、お米の全袋検査に見られるように、やっぱり残留放射能検査もしないといけない。さらに、資料の三お願いします。先ほど来話があるように、外国の輸入規制というのもまだ現実に残っている。さらに、中山間地に行けば、元々平地が少ないとか、あるいは少子高齢化というハンディキャップもあります。
 今回のTPPによって被災地は取り残されてしまうのではないかという懸念がやっぱり一部に、総理、ございます。やはり、TPP発効をにらみながら、いかにして被災地、とりわけ福島のような中山間地域、これを支援するかという部分も大事だと思います。実際に、福島の阿武隈山系、これは平地が少ないために酪農とか葉たばこ農家が多いです。実際に、今全村避難を強いられている飯舘村やあるいは川俣町の山木屋地区もそうです。
 やはり、TPPによってこういう地域に光を当てるんだと、TPPの恩恵を被災地に届けるんだという総理からのメッセージを被災地に向けて一言お願いしたいと思います。
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安倍晋三#26
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 被災地においても、このTPPを見据えて既に動き出している中小企業があります。先ほど申し上げました新輸出大国コンソーシアムを通じて、これまで、宮城県で五十九社、そして委員の御地元福島県の三十社、岩手県の八社を含め、全国津々浦々の二千社を超える今中堅・中小企業に支援を始めておりますが、この被災地におきましては、今申し上げました五十九社、三十社、八社ということになっておりますが、もっともっときめ細かく相談を展開しながら数を増やしていきたいと、こう思っています。
 被災地においては、例えば被災地水産加工の販路回復に資するよう、復興庁において被災地水産加工品等の輸出を視野に入れた先進的な取組を後押しするなど、輸出に取り組む事業者への一層の支援に努めています。また、原子力災害で被災された福島県の中小事業者一社一社を福島相双復興官民合同チームが戸別に訪問をして、様々なニーズに応える支援メニューを御紹介をし、活用をいただいています。言わば個々それぞれ状況が違いますから、戸別訪問、戸別訪問というのは基本でありますが、いろいろな面で基本でありますが、この戸別訪問をしながらしっかりと対応しているということでありまして、被災中小事業者に寄り添った支援に努めてまいりたいと、こう思っている次第でございます。
 原発事故から五年以上が経過しても、先ほど申し上げましたように、事故を理由に日本産食品等に対する厳しい輸入規制を設けている国があるのは大変残念なことであります。TPPが発効すれば、先ほど申し上げましたように、参加国は、SPS章というものがあります。このSPS章にあるルール、これは科学的根拠なしに輸入規制を掛けてはいけないということでありますが、このルールに基づく対応を求めることができますし、このため、新しく参加を希望する国に対しては、TPP参加を希望している国の中には輸入禁止している国があります。そういう国に対しては、これやめなければTPP入れませんよということは明らかになるわけであろうと思います。
 昨年十一月に取りまとめました総合的なTPP関連政策大綱に基づいて、今後とも、TPPの効果を我が国の経済再生、そして地方創生、そして被災地の復興にしっかりと役立てていきたいと、このように考えております。
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佐藤正久#27
○佐藤正久君 力強いメッセージありがとうございます。
 戸別訪問は本当に基本だと思います。私も全国比例区の議員ですけれども、戸別訪問することによって、本当に目からうろこのような、現場のことが分かる、非常に大事な視点だと思いますので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、TPPは地域の安全保障にとっても重要だという議論がこれまでもなされています。本日、もう一つ、地域の安全保障上大事な閣議決定がなされました。これは、南スーダンPKOにおける駆け付け警護等の新たな任務付与に関してのものであります。
 まず、自衛隊派遣の意義についてお伺いいたします。
 南スーダンは世界で最も若い国の一つであり、PKOの当初の目的が国づくり支援であったように、国際社会の支援なくして統治機構や経済、インフラ整備もままなりません。南スーダンが更に不安定化すれば、周辺国とのバランスが崩れて更に難民が増大し、アフリカや世界にテロが拡散する可能性すらあります。すなわち、南スーダンの安定というのは、一国のみならず、周辺国の平和と安定、ひいてはアフリカ全体の平和と安定につながるものと考えます。
 私も二度南スーダンを訪れましたが、PKOにも六十か国以上の国々が要員を派遣し、治安が不安定な中、責任感を持ってスーダンの国づくりに汗を流している姿をじかに見てまいりました。
 一方、今朝、南スーダンがカオスに陥るという極めて現実的な見通しに関する、国連事務総長が強く懸念している等の記述が含まれる国連事務総長報告が発出されたというふうに聞いておりますが、国際社会として南スーダンの安定に向けた取組を継続すべきということは言うまでもありません。
 日本も国際社会の中でしっかりとその責任を果たしていくべきだし、自衛隊の派遣は文民支援共に日本の貢献を具現化する上で極めて大事だと思いますが、総理の御認識をお伺いします。
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安倍晋三#28
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 南スーダンは最も新しい国連加盟国であり、独立してから間もない世界で一番若い国と言ってもいいんだろうと思います。独立をして、しっかりといい国をつくっていこうという中で、ただ、様々な状況、厳しい状況の中でもがいていると言ってもいいんだろうと思います。反政府勢力の存在や部族間の対立があること、また、約二十年にわたるスーダンとの武力紛争を経て独立に至りましたが、その間に使用された多数の武器が国内に出回っていることなどから、治安情勢は極めて厳しいのは事実であります。
 このような厳しい状況の中で、南スーダンは、自らの力だけでは平和と安定を確保することができません。だからこそ国連による平和維持活動が行われており、我が国も、専門的な教育訓練を受け、厳しい環境でも活動できる自衛隊を派遣し、自衛隊にしかできない仕事を行っています。
 国連の旗の下、国際社会が協力して南スーダンの平和と安定のため力を合わせています。地域ごとに見ても、アジア、アフリカ、南北アメリカ、ヨーロッパ、南太平洋の島国など、まさに世界のあらゆる地域から六十か国以上が部隊等を派遣し、南スーダンのために力を合わせているわけであります。
 南スーダンは、六か国と国境を接し、アフリカ大陸を東西南北に結ぶ極めて重要な位置にあります。南スーダンの平和と安定は、南スーダン一国のみならず、周辺諸国の平和と安定、ひいてはアフリカ全体の平和と安定につながるものであります。また、テロや難民問題も含め、アフリカの多くの国が苦しんでいる不安定と治安の問題を解決するという意味において、アフリカ全体の希望につながるものであります。
 このような意味で、自衛隊派遣は大きな意義があると考えています。このような自衛隊派遣は、南スーダン政府や国連を始め、国際社会からも高い評価を得ていることは我々にとっても誇りと言ってもいいんだろうと思います。
 今この委員会においては自由貿易について議論をしているわけでありますが、自由貿易というのは、この前提は、地域の平和と安定、自由な航行、移動ができなければそれは担保されないわけであります。これはまさに、南スーダンやその地域だけではなくて、世界にとって重要なことだろうと私は認識しております。
 南スーダンでは、現在も地方を中心に武力衝突や一般市民の殺傷行為が度々生じています。自衛隊が展開している首都ジュバについても、七月に大規模な武力衝突が発生し、今後の状況は楽観できず、引き続き注視する必要がありますが、現在は比較的落ち着いています。七月の衝突事案の後も、治安を理由に部隊を撤退させた国はありません。むしろ、国連は新たに四千人の地域保護部隊を創設をし、増派を決めるなど、国際社会は取組を強化しているわけであります。
 このような情勢認識については、稲田防衛大臣や柴山総理補佐官はUNMISSのロイ代表と会談し、同代表の認識が我が国の情勢認識と基本的に異なることはないことを確認をしています。
 そこで、今、佐藤委員から御紹介をいただいた、本日国連が公表した報告書の治安情勢の部分の内容も、実は同様に我が国と基本的に異なるものではないと認識しています。これは、言わば治安情勢の部分は私たちの認識と同じであります。
 そして、今、報告書の末尾には、事務総長の所見としてニューヨークにおいて書き加えられたものでありますが、ニューヨークにおいて潘基文事務総長の意見が記述されていますが、その内容は報告書全体の治安情勢の評価と一致しない部分があり、その趣旨、真意等を国連側に照会をいたしました。確かに、カオスというのは、随分これは強い表現であります。実際にカオスであれば我々は考えなければいけないわけでありますが、それについて我々は国連に照会をいたしました。
 その結果、国連側からは、当該部分の表現は、安保理が行動を取らなければ状況が深刻になるという趣旨であり、現在の南スーダンの状況がカオスであるという趣旨ではない旨、及び治安情勢の悪化が起きているのはジュバ以外、特に西部及び北部であり、ジュバは比較的安定している、ただし、引き続き情勢を注視する必要がある旨の回答を得ているところでございます。
 これに加えまして、他の安保理理事国や要員派遣国にも直接確認したところ、いずれも我が国とおおむね同様の認識をしているということで確認をしているところであります。
 いずれにせよ、まずは情勢認識については我々と変わらない。しかし、ニューヨークにおいて国連事務総長が付け加えた所見において強い表現があったので、それに対して我々は、これ果たしてどうなんですかと言ったら、正確性を期して向こう側から今言ったような説明があったわけでありまして、私といたしましては、今後、国連がこうした情勢について発表する以上、しっかりと正確なものを、分かりやすいものをちゃんと発表していただきたいと、こう思っている次第であります。
 政府としては、今後とも現地情勢について緊張感を持って注視をしていくわけであります。その上で、南スーダンにおいて、自衛隊の安全を確保し、意義のある活動が困難であると判断する場合には撤収をちゅうちょすることはありません。この点は明確に申し上げておきたいと思います。
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佐藤正久#29
○佐藤正久君 まさに、冷静に情勢を判断しながら対応するということが大事だと思いますが、ただ、最近の国会やテレビの議論を聞いていると、南スーダンの治安情勢が厳しいことを理由に、法律で言う武力紛争が発生しているのではないかという主張が聞かれております。これは、派遣継続の二つの判断要素、すなわち実態面の判断と法的判断を混同している議論だと思います。判断要素は、一つに、要員の安全を確保した上で意義ある活動を行えるかという実態面の判断とPKO参加五原則を満たしているかという法的な判断、すなわち、実態面の判断と法的な判断は異なった判断要素であり、両者を区別して考える必要があります。
 民主党政権時代にも、ゴラン高原PKOにおいてPKO五原則は維持されておりましたが、要員の安全を確保した上で意義ある活動を行うことが困難になったという判断から自衛隊を撤収させております。このように二つの判断要素を分けて考えることは民主党政権時代を含め政府の一貫した考えだというふうに思いますが、現在、この二つの要素を混同した議論が見られることは派遣隊長経験者としても非常に残念に思います。
 実際に、法的判断にしていえば、民主党政権時代の二〇一二年四月、スーダン軍が南スーダンを繰り返し空爆するなど大規模な武力衝突が発生しましたが、その際も、私が提出した質問主意書に、野田政権は武力紛争は発生していないとの答弁書を閣議決定しています。
 ぎりぎりの判断だと思いますが、撤収せずに踏みとどまっているのは正しい判断だと思います。改めて総理から、南スーダンに自衛隊を派遣し活動を継続するに当たっての判断要素について説明をしていただきたいと思います。
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