美原融の発言 (内閣委員会)

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○参考人(美原融君) 大阪商業大学の美原でございます。
 本日は、IR並びにIR法案に関しまして私の思うところを意見を述べさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、IR法案でございます。
 マスコミではカジノ法案と言っていますが、これはIR推進法案、IRとカジノ、カジノを含むIRというのは実は全く別の考え方でございます。これをちょっとまず最初に御説明しようかと思います。
 IRとは、既にこの審議の中において様々御議論されたことでございますが、会議場、展示場などMICE施設、あるいは宿泊施設、劇場などのレクリエーション施設、飲食施設、あるいはショッピングモール、カジノなどを一体として整備して運営する施設をいいます。一体として整備するということが極めて重要でございます。
 大都市の場合、数千億円あるいはそれ以上にわたる民間の投資を要求することになると思います。もちろんこれは、税を使わない地域振興あるいは地域再開発の一つの方法でもあるわけです。大都市の場合、巨額な投資を必要とするとともに、恐らく数十万平米以上の展示場、あるいは一万人以上を収容できる会議室、こういったものが恐らく自治体の意向によって必置施設になるのではないかというふうに想定されているわけでございます。これのみで直接雇用は数万人を下らないかもしれませんです。あるいは、我が国にはいまだに存在しない施設という形で注目を集めるアイコニックな施設整備になるのではないかというふうに考えられているわけでございます。
 ビジネス客、観光客あるいは地元客、こういった様々な機能を集約しながら多くの顧客を集約して消費のシナジーを獲得する、こういったものが一つの大きなポイントでもあるわけです。カジノはその一つの要素で、かつ収益のエンジンとなり得る施設でございますが、IRはカジノに来る顧客のみで成立しているわけではございません。考えてみてください。一万人の会議室あるいは数万人のコンベンション、こういったものを都度開催して、たくさんの内外の観光客あるいはビジネス客を招致しない限り、この施設そのものの採算が合わないわけでございます。そういった意味においては、ビジネス、観光、エンターテインメントという機能の集約化は内外の多様な来訪客を集めることを可能にするわけでございます。にぎわいの創出というものは消費のシナジーをもたらすことができる。
 この経済効果というのは、まず第一に巨額な民間資金による建設資金需要でございます。また、単一施設でも、間接雇用を含めますと数万人の雇用を確保することができるとともに、これがもたらす財・サービスの消費あるいは税収、こういったものが観光振興、地域振興、地域経済活性化に貢献する施設群になるということが想定できるわけです。また、施設がもたらす効果とは、それとともに、スピルオーバー効果と申しますが、その施設以外にも様々な効果をもたらすことが想定できるわけでございます。
 さて、一国で新しいカジノ施設、新しい賭博種であるカジノをその中に包含するIRを実現する場合、恐らく、従来充足されなかった需要を満たすことになりますので、カジノだけでも本来一定期間成功を収めることが想定できるわけでございます。ただし、カジノ単体施設ないしはカジノ単体若しくはホテルの組合せというのは、中長期的にはやはり魅力を失い顧客を喪失する、あるいは競争市場において劣後することが最近の事例で分かってきております。
 例えば、米国ニュージャージー州のアトランティックシティーなどは、競争の結果劣後してしまった。それは、不断の継続投資と顧客を魅力する様々な設備投資、こういったものに欠けていたためにサービスが不足して顧客を喪失したと、こういうことになるんではないかと思います。魅力ある施設群あるいは競争力の高い集客施設というのは、高い多様な顧客のニーズを満たすアメニティーとか施設群を兼ね備えた施設になり、継続的な設備投資を行って常に顧客に対するサービスを改善して初めてこういった施設が価値をもたらすことになるわけでございます。
 こういったカジノ施設でございますが、一九八〇年代に萌芽的に生まれて、その成功と実績に基づいて、様々な国の為政者がこの枠組みを税を使わずに観光振興、地域振興あるいは地域再開発を実現する効果的な手法として採用されてきたというのが実態でございます。現在に至るまで、米国の様々な州、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールなどで採用され、実践されているというのが実態ではないかと思います。
 カジノは既に斜陽産業ではないかと、こういう御見解が国会でも審議されました。資料に若干データを付けましたので、これを後ほど見ていただきたいと思いますが、現在に至るまで、米国を始め先進諸国においてカジノ自身が衰退している、あるいは斜陽産業であるという、こういう兆しはほとんどどこにも見られないわけでございます。
 また、このカジノの業としての特色でございますが、やはり金銭の所有権とも言えるチップを胴元と顧客との間で頻繁にやり取りすることから、ここから様々な問題が生じてくるのではないかというのが実は歴史的な過去の経緯でございます。一九六〇年代までは、カジノというのは組織悪と悪、不正との戦いでございました。一九七〇年代、八〇年代を通じて、米国を始めとして完璧かつ厳格な規制のシステムができ上がるによって初めて上場企業がこの産業に参入してくることになり、悪、組織悪は現在では完璧に根絶されているというのが実態ではないかと思います。
 カジノの業としての規制というのは、カジノの運営事業者及びその構成員全てにライセンスの申請、清廉潔癖性に関わる背面調査、ライセンス交付を義務付けることになるとともに、使用する機材、ツール、システムを全て認証の対象にして、かつ、ゲームが行われるカジノ施設の主要区域を制限区域といたしまして、その中における全ての行為を規制し監視する、かつ監視テレビで常時モニターする、こういう厳格なシステムの下において初めて公正さ、透明さが貫徹されるカジノ施設となってくるわけでございます。
 現代社会においては、カジノというのは、健全、安全かつ公平公正な空間として、いわゆる犯罪とかというのは無縁の世界になっているというのが現実ではないかと、こういうふうに思います。
 もちろん、これは社会規制でございますので、国の、一国の歴史、背景、風土、制度次第で様々な国がございます。この制度が不十分な国があります。それは、まずカジノありきで、精緻とした制度とか規制の仕組みをつくらなかった国でもございます。こういった国の事例もある。
 ですけれども、我が国においては、恐らく、期待いたしますのは、参議院、衆議院、国会におきまして十分なる審議を尽くしていただいて、精緻な規制と制度の枠組みをつくることによって初めてカジノというものは安全、健全な空間となる施設というふうにすることができるんではないかと思います。
 一般的に、カジノというのは様々な社会的な否定的なインパクトを与えるのではないかと、こういうことが喧伝されているわけでございます。
 賭博行為がもたらし得る否定的要素の認識というのは、実は一九六〇年代まではほとんどございませんでした。一九八〇年頃、やはり市民の意識、国民の意識、消費者の意識、こういったものが起こってくるにつれて、やはり肯定的な側面は否定できない、大きな経済効果、雇用効果、税収効果があるにもかかわらず、やはり一部の社会的否定的な側面に関しては国が責任を持って何らかの形で対処すべきであって、かつ、事業者も責任ある施行という形でその影響力の低減に貢献すべきである、こういう考え方が出てきたのが一九八〇年代から九〇年代でございます。
 現代先進諸国において賭博種を新たに制定する場合、こういう経済的好機を求めるとともに、同時並行的に社会的な否定的な要素を封じ込める政策を取ることが先進国での立法行為としての通例になりつつあるというのが現在の世界の在り方ではないかと思います。
 我が国においても、既にこの参議院、あるいは衆議院でも御議論になったところでございますが、やはり賭博依存症あるいは国民の懸念に思うところに関しましては、十分過ぎるほどの手当てと規制並びに制度の在り方が求められると、こういうことが実態ではないかと思います。
 社会的弱者、特に若年層、あるいは環境の悪化、そういったものは恐らく完璧に処理することができます。これらの施設は年齢付写真IDがなければ入れない施設となります。子供たちは一切入れません。この施設は単純な町中にできるカジノホールではございません。全国に数か所、しかも高規格の施設になりますから、ドレスコードを設定することにより、例えば変な人は入れない、変な環境は周りに起こらない、こういったことが想定できるわけでございます。経済的好機というものはそれに見合うバランスを取った社会政策というものが同時に施行されて初めて機能するということが様々な先進諸国において実践されている考え方でもあるわけです。
 カジノがもたらす社会的否定的な側面を何ならば定量的に測定して、定性的、定量的な評価でもって比較してその是非を論ずるべきではないか、こういう御議論もあることも承知しております。
 ですけれども、残念ながら、社会的に否定的な行為というものは定量化がかなり難しい。現代経済学において、しっかりとした精緻のある経済モデルとしてはまだなっていないというのが現状ではないでしょうか。もちろん、我が国においてどういうインパクトがあり得るのかに関しては、是非とも今後、実施法を検討する過程におきまして、国会におきましても十分なる御審議をお願いしたいと、こういうふうに思ってくるわけでございます。
 カジノを含むIRというものは変な話ではございません。地域社会に大きな経済効果をもたらし、雇用効果をもたらし、これを民間主体の力で実行するという考え方になります。
 この考え方は手挙げ方式でもございますので、地方公共団体と民間事業者が精緻な枠組みで取引を取り決めることになると思います。当然のことながら、投資のコミットメント並びに社会に対する治安対策の問題あるいは周辺インフラの問題、こういったものも地方公共団体と民間事業者が共同して問題を解決しながらこのIRを実現する、そういう枠組みを提供するものでもあるわけでございますね。
 このIR推進法案ができたところで、カジノはできません。あくまでも皆さんの御判断によって、今後IR実施法と呼ばれる違法性を阻却する制度的な枠組みができて初めてこの国にカジノを含むIRが実現できると、こういうふうに判断しております。
 是非とも、この推進法案、肯定的な面、否定的な面、両方ございますが、こういったものを今後の御審議、十分御審議を尽くされて、また実施法の過程でも十分御審議されて御判断を仰ぎたいと、こういうふうに思うわけでございます。
 ちょうど時間になりましたので、私の説明は以下で終わらせていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 美原融

speaker_id: 1185

日付: 2016-12-12

院: 参議院

会議名: 内閣委員会