細見正明の発言 (環境委員会)
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○細見参考人 東京農工大学の細見と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、先ほどの大塚先生のメモにありますが、これまで、土壌汚染対策法の改正につきまして、あるいは制定につきまして、この大塚先生のメモをおかりすると、二番目以降、ずっと一緒にこの委員会、土壌制度について議論してまいりました。
特に、昨年十二月十二日に、「今後の土壌汚染対策の在り方について」の第一次答申をさせていただきました。その際に、いろいろな方向性を提案いたしました。それに対して、実に、パブリックコメントで、百五の団体から四百二十一の御意見を賜りました。これを大まかに見てみますと、非常に、厳しくしろという御意見と、もう少しやはり緩和すべきであるという御意見、両方あったということは、非常に私は、この土壌制度小委員会で議論してきた内容が実にふさわしかったのではないかというふうに考えています。
その意味で、今般の法律改正案につきましては、このあり方について、第一次答申に基づいて反映されていると私は強く思っております。
本日、三つの観点からまずお話をさせていただいて、最後、法案審議、直接の審議というよりは、技術者、研究者の立場から、将来的な課題というのを述べさせていただきたいというふうに思っております。
まず、一番目ですが、土壌汚染状況調査が猶予されている土地の形質変更時の届け出義務と、それに伴います土壌汚染状況調査の実施でございます。
土壌制度のあり方についていろいろな形で検討してまいりましたけれども、人の健康を保護する上で、土壌汚染対策によるポイントというのは、土壌汚染に基づくリスクを的確に把握し、そのリスクに対して適切な管理を行うということが重要でございます。しかしながら、土壌汚染というのは、目に見えない、あるいはにおわないので、土地の所有者等は契機を捉えて土壌汚染調査をする必要があります。まず、リスクの把握というのが重要になってまいります。
これまで、廃止された有害物質使用特定施設のうち、約半数の土地で土壌汚染が見つかっております。しかしながら、操業中あるいは一時的免除中により、廃止された有害物質特定施設の約七四%で土壌汚染状況調査が猶予されてまいりました。すなわち、一時免除中及び操業中の土地については汚染土壌が存在する可能性が高い。汚染の程度や範囲、帯水層が不明な状態であります。そういった土地の形質変更や土壌の搬出などが行われた場合、地下水の汚染あるいは汚染土壌の拡散という懸念がございます。実際に、運び出されて、搬入場所で土壌汚染が見つかった例もございます。特に、汚染調査が行われないで汚染土壌が系外に残土として搬出されると、汚染の拡大につながりますし、また、その際の復旧、原状復帰の対策費用は莫大になると考えられます。
個人的にも、地下水汚染の未然防止に関して、構造基準とか定期点検のマニュアルの作成にかかわりました折にも、なぜ地下水汚染を未然防止するのかという観点では、もし汚染が見つかると、その対策費用、浄化費用に膨大なお金がかかるということで、あらかじめ未然防止するという観点は非常に大事だというふうに思っております。
このため、三千平方メートル未満の土地の形質の変更の場合でありましても、一定規模以上の土地の形質の変更を行う場合には土地の形質変更時に届け出義務を課すことは、土壌汚染の適切なリスク管理の上で非常に合理的であると考えております。
もちろん、一定規模の要件、調査対象となる敷地の明確化、これについては環境省令で具体的に決める必要がございます。特に規模の要件につきましては、都道府県の条例等の規制あるいは土地の形質の変更実態を踏まえて関係者の間で検討すべきと考えております。
さらに、こうした土地の形質変更の届け出に基づいて、都道府県知事が土地の所有者に対し、指定調査機関に土壌汚染状況調査をさせてその結果を報告するということを命ずるというのは、土壌汚染対策法におけるリスク管理を行う上で必要不可欠であると考えています。
次に、都道府県知事による汚染の除去等の措置命令制度の改善でございます。
土壌制度小委員会でも報告されてまいりましたように、要措置区域におきましては、措置の計画段階や措置完了時に措置の実施内容が都道府県等によって確認されていないケースがございました。これは先ほど大塚参考人が述べられたとおりでございます。
これを受けて、今般提案されましたこのたびの都道府県知事による汚染の除去等の措置命令制度の改善に関する事項というのは、これまで定められていなかった、メモでは要措置の要が平仮名になって恐縮ですが、要措置区域における汚染除去等の措置に関する手続を円滑に進めるものと考えております。
三番目、臨海部の工業専用地域において形質変更時要届出区域における土地の形質変更の届け出制度の整備についてでございます。
臨海部の工業専用地域は、一般の居住者による地下水の飲用、飲み水として利用するリスク、さらには土壌の直接摂取のリスクというのは非常に可能性がない。したがって、土地の形質変更に伴う人への健康リスクは低いと考えられます。
次も、方という字は法律の法にさせていただきたいと思いますが、法第四条や第十二条の形質変更での規定におきまして、その都度調査あるいは届け出が必要で、その手続に時間とコストを要しているという要望がございました、実態を報告されました。一方で、産業活性化や土地の有効利用からの考慮も必要である。人の健康リスクに応じた必要最小限の規制とする観点も必要だと規制改革実施計画にうたわれております。
すなわち、人の健康リスクの可能性が認められない、かつ自然由来か埋立材由来の汚染である臨海部の工業専用地域に位置する土地では、例外的な措置として、汚染土壌由来のリスクを自主的に管理する方針を認めることは妥当であると考えています。ただし、この自主管理の方針につきましては、都道府県知事により確認されていることが必要であります。
特に、私は、土壌の系外への搬出に際しては、十分なチェック体制が図られていることが担保されなければならないと考えております。今回の法案においては、形質変更時要届出区域内の土壌の搬出届け出などの規制がかかることになりますので、趣旨に沿う形になっていると考えています。
こうした考え方に基づき、対象の土地の形質変更を事後の届け出、年一回程度とすることで、産業活性化や土地の有効利用を図りつつ、都道府県知事が認めた自主管理方針に従ったリスク管理を行うことができると考えています。仮に当該工業専用区域が将来別の土地利用に変更されるといった場合には、こうした自主管理の方針に基づいた土壌の移動とか工事等の履歴、形質変更の経緯でございますけれども、これが資料として残されているはずですので、地歴調査の際、こうした汚染のおそれの程度を判断できると考えております。
最後に、技術者、研究者として、課題という面で二つの点から述べさせていただきたいと思います。
一つは、土壌汚染と地下水汚染との関係でございます。
平成二十八年、昨年の三月、土壌環境基準項目に設定された1・4ジオキサンというのは、地下浸透しやすい、かつ水溶解度が非常に高い、非常に特徴的な物質で、第一種の特定有害物質に採用されています表層土壌ガスによる調査は困難であるということで、特定有害物質には設定されませんでした。すなわち、現行の土壌汚染対策法では、1・4ジオキサンの土壌汚染に対処することはできないということになります。
一方、水質汚濁防止法の、地下水の常時監視、計画のもとで、仮に1・4ジオキサンが環境基準を超えて検出された場合、どのような対策を講じていくのか、何らかのガイドラインなどで検討していく必要があるのではないかと考えます。
また、二十八年の三月には、クロロエチレン、これは別名塩化ビニールあるいは塩化ビニールモノマーといいますが、このクロロエチレンが土壌環境基準項目に、そしてさらに第一種特定有害物質に指定されまして、この四月から施行されております。
クロロエチレンが仮に工場などから漏出する場合には、これまでの表層の土壌ガス調査で可能と考えられますけれども、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンからの分解生成物としてクロロエチレンが地下水中にのみ存在し、かつテトラクロロエチレンとかトリクロロエチレンといった親物質が分解されていた場合、表層の土壌ガス調査で把握することができるのかといった疑問も残ります。したがって、地下水調査を含めたさらなる調査検討が必要であると考えています。
二番目は、ダイオキシン類対策特別措置法と、特定有害物質を対象とした土壌汚染対策法であります。
ダイオキシン類対策特別措置法では、誰でも入れるような公共的な土地に対して、ダイオキシン類は人の健康に重大な影響があるために、土地の所有者、管理者、あるいは原因者、誰かにかかわらず早急な対策が必要であるという観点から、都道府県知事が対策地域を指定して、対策計画を策定し、この対策計画に基づく対策事業を実施します。いわば公共事業型で対策事業を実施します。都道府県知事は、公害防止事業費事業者負担法に基づき、汚染原因者に対策事業の費用を請求することができます。ただし、工場等の私有地に対しては適用されない。
一方、人の健康リスクにおいて、直接摂取の経路の観点から、土壌中のダイオキシン類濃度を、含有量基準として環境基準が千ピコグラムTEQ・パー・グラム以下とされました。これを超えると何らかの対策を講じなければなりません。もちろん、汚染の除去対策や、例えば覆土などの対策でありますが。
こういった直接摂取のリスクの観点から含有量基準が採用されましたことで、後に制定されることになりました土壌汚染対策法におきましても、第二種特定有害物質、これは重金属類ですけれども、これに対しては含有量基準が適用されております。
一方、土壌汚染対策法におきましては、農用地以外の、住宅地だとか工場等の土地に適用されます。
次の、有害特定物質は特定有害物質のちょっと間違いで、修正をお願いいたします。特定有害物質による土壌汚染は、人の健康リスクを回避するために、土地所有者等が調査、対策を実施する。実際には、調査するのは指定調査機関であります。汚染状況調査の結果、特定有害物質ごとの指定基準、これは溶出量基準、含有量基準、に適合しなければ、要措置区域か形質変更時要届出区域かに区域指定され、土地所有者等がそれらの区域のリスク管理を行うことになります。汚染の除去等の対策に要する費用負担は、土地所有者等が原因者に請求することができます。
最近におきましては、ダイオキシン類汚染土壌は工場等の私有地でも発見されておりますが、ダイオキシン類汚染対策特別措置法がそこには適用されません。そこで、私有地におけるダイオキシン類の汚染につきましても、特定有害物質と同様に、土地所有者等が調査、対策を自主的に実施するためのガイドラインの作成の検討が必要なのではないかというふうに考えております。
なお、ダイオキシン類対策特別措置法の対象外のダイオキシン類基準不適合土壌につきましては、どのように処理を行えばよいかに関する基本的な考え方と、適正に処理をするために必要な施設の構造、維持管理等の措置を既にガイドラインとして取りまとめておられます。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)