鈴木弘明の発言 (環境委員会)
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○鈴木参考人 一般社団法人土壌環境センター技術委員会の委員長を拝命しております鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、土壌汚染の調査、対策の実務の方にかかわる者の一人としてお話しさせていただきたいと思います。
お話しさせていただくポイント、五ポイント挙げさせていただきました。
第一に、法第三条第一項により調査が猶予されている土地の扱いについて、第二に、措置実施計画の創設について、第三に、自然由来汚染土壌の扱いについて、第四に、土壌のトレーサビリティーの向上について、第五に、環境リスクに応じた最小限の規制についてでございます。
まず第一の、法三条第一項により調査が猶予されている土地の扱いについてでございます。
法第三条は、有害物質使用特定施設が廃止された事業場の土地について、土壌汚染状況調査の実施を義務づけるものでございます。
お手元に配付させていただきました資料の二枚目をごらんください。
法第三条の調査義務が発生する有害物質使用特定施設の廃止件数の推移というものを図一の方に示してございます。また、このうち、法第三条一項のただし書きにより土壌汚染状況調査の一時的免除を受けている件数の割合の推移というものを図二に示してございます。先ほどから何回か出たと思いますが、累計で見れば、約七四%の調査の猶予が認められているという状況でございます。
有害物質使用特定施設の廃止は個々の施設で行われます。そのため、工場の廃止とは直接かかわり合いがありません。他の有害物質使用特定施設が使用中である操業中の工場においても法第三条の調査義務が生じてしまうため、調査の猶予が申請されるという事例が多いものと推測されます。もちろん、このような土地においても、三千平米以上の形質変更が行われる場合、法第四条の対象とはなりますが、小規模な形質変更では対象外となってしまいます。
なお、一番下の表一にありますとおり、法第三条の調査が行われた場合、およそ半数で汚染が認められることを留意すれば、調査が猶予された土地において土壌が移動するということは、やはり、汚染土壌の拡散のおそれがあるということから、何らかの対応が必要だと考えます。
したがって、法案の概要一として掲げられておりますが、土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大というのは妥当なものというふうに考えております。
第二に、措置実施計画の創設でございます。
これにつきましては、お持ちの方はですが、調査局環境調査室でつくられた参考資料の三十八ページを見ていただければと思います。
現在の法制度では、基準不適合土壌が存在し、かつ健康被害のおそれが認められるという場合には、要措置区域として指定され、都道府県知事から措置命令が発出されます。その後、措置が実施され、措置の完了内容によって形質変更時要届出区域や区域指定の解除等が行われるということになっております。
このとき、実際に措置を実施するに当たっては、措置の実施内容の詳細について措置実施者が自主的ないしは自治体の要請で報告、相談している事例が多いと思いますが、今回、法案の概要二として挙げられている措置実施計画書の提出が義務づけられるということは、措置の明確化につながることから、好ましいと思っております。
なお、措置実施中にも計画変更の届け出が必要となりますが、この点について、措置が進められている最中ということになりますので、計画変更の範囲等を明確に限ることにより、措置の実施自体に大きな遅延を生じない制度とするべきであるというふうに考えております。
第三に、自然由来汚染土壌の扱いについてでございます。
自然由来汚染土壌は、人為的な汚染ではありませんので、本来、基準不適合土壌と呼ぶべきものです。
御存じのとおり、自然由来基準不適合土壌は、平成十四年の土壌汚染対策法制定時には対象外とされておりましたが、平成二十一年の法改正時に法の対象とされたものでございます。
平成二十三年には、規則改正により自然由来特例区域が創設され、人為的な汚染による区域指定に比較して緩和された区域指定とはなっておりますが、区域外に搬出される土壌については、一般の形質変更時要届出区域と差がない取り扱いとなっております。
さて、お手元に配付させていただきました資料の図三をごらんいただきたいと思います。この図は、国土交通省総合政策局の平成二十四年度建設副産物実態調査結果から引用させていただいているものです。
建設副産物の中で、建設工事に伴い発生するコンクリート塊とか建設発生木材、このような建設廃棄物を除いた土砂、これを建設発生土と呼んでいますが、この図は平成二十四年の建設発生土の搬出及び土砂利用の搬入状況のフローでございます。
発生量を見ていただきたいんですが、およそ三億立米、この二分の一が場外へ搬出されています。1に該当する部分でございます。また、場外搬出された建設発生土のおよそ六割は、一時的にストックされて利用されるということになっております。5に該当する部分でございます。
この中には小規模な工事や岩盤掘削等が含まれておりますので、土壌汚染対策法の対象となっているのはごくわずかでございますが、国内では毎年多量の土壌が移動しているということがわかるかと思います。
また、これらの残土のうち、自治体によっては、通称残土条例と呼ばれているもので、有害物質の基準に照らして搬入の規制が行われているものがございます。
なお、土壌汚染対策法の範疇で行われる基準不適合の搬出は、法により汚染土壌処理施設へ搬出することになりますが、法の適用外である岩石について、自主的な対応が行われている事例について御紹介したいと思います。
図四をごらんください。この資料は、私ども土壌環境センターの技術委員会のもとにあります自主部会の一つが、過去に公表されたトンネル工事等に関する文献を収集し、取りまとめたものでございます。したがって、国内の全ての事例を網羅しているわけではありませんが、左の円グラフ、対策方法をごらんいただくと、遮水封じ込め構造の事例が多いものの、真ん中の円グラフをごらんいただくと、利用方法として、道路盛り土として有効利用されている事例が多いということがわかります。
このように、土壌汚染対策法の範疇で扱われる自然由来の基準不適合土壌についても、環境安全性を確保することはもちろんでありますけれども、適切な維持管理の上で利用していくことは、処理施設の逼迫等を考慮すれば重要なことと考えております。したがって、法案の概要三の2に掲げられておるとおり、特に大量の発生土が生ずる公共事業等においては、自然由来不適合土壌についての利活用の拡大が図られる必要があるものと考えております。
第四として、土壌のトレーサビリティーの向上を挙げさせていただきました。
お手元の資料、図六をごらんください。私ども指定調査機関というものが土壌汚染状況調査を実施するに当たっては、最初に行われるのは、調査対象地の汚染のおそれの把握、いわゆる地歴調査と呼んでいるものになります。
この段階では、特定有害物質の使用履歴、土地の利用履歴を過去にさかのぼって調査、整理して、調査対象地の汚染のおそれというものを区分いたします。表三に区分を示しておりますけれども、汚染のおそれの程度によって現地における試料採取が異なることになります。したがって、この地歴調査の位置づけは、土壌汚染状況調査にとって非常に重要な位置づけになっております。
ここで、地歴調査においては、既往の公開情報を用いるとともに、土地所有者ないしは土地利用者から正確な情報提供を受けることが必須となります。この点において、法案の概要四に掲げられております施設設置者による土壌汚染状況調査への協力というのは不可欠なものと考えられます。
また、地歴調査では、土地の利用履歴として、土地の改変状況の把握というのも行われます。特に形質変更の履歴は明瞭な資料を残していない場合が多く、土壌の移動履歴として正確な記録が望まれるところです。
また、法第三条第一項のただし書きにより調査が猶予された土地についても、その期間、土壌の移動の記録は必要となります。また、区域指定された後、形質変更時要届出区域と指定された区域においても、土壌の移動履歴は、これは法第十六条にかかわる認定調査時地歴調査において必要なものとなっております。
最後になりますが、第五として、リスクに応じた規制の合理化について意見を申し上げたいと思います。
昨年の十二月十二日、中央環境審議会から環境大臣に答申された「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申)」では、「平成二十一年の法改正以降の状況と主な課題」として、「人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制」という言葉が出てきます。
お持ちでしたら、お手元の調査局の環境調査室で作成された参考資料の通しページの七十五ページをごらんいただければと思います。
(1)として「土壌汚染状況調査及び区域指定」に記述されておりますが、平成二十一年の改正法によって、要措置区域と形質変更時要届出区域とに区分することによって、いわゆるリスクに応じた土壌汚染地の管理が進められるようになってきております。
この段階で、最後の文章のところでございますが、「また、工業専用地域の土地の形質の変更については、平成二十七年六月三十日に閣議決定された規制改革実施計画において、人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とする観点から検討し、結論を得る」とされています。臨海部の工業専用地域については、人の健康へのリスクは少ないものと考えられますので、ある程度の緩和は必要かと思います。
ただし、日本の国土では土地利用状況が将来変化することも考える必要があることから、第四として先ほど述べさせていただきましたが、土壌のトレーサビリティーについては十分確保しておく必要があると考えております。
また、その上の段落で、一方と書かれているところで、地下水汚染が到達し得る範囲の設定方法として地下水飲用リスクの評価手法について課題があるという文言があります。
欧米では、土壌汚染について、リスク評価による対応が行われております。また、近年は、東南アジアにおいても、土壌汚染にかかわる法制度を策定する場合にはリスク評価手法が導入されつつあります。日本では、現行制度にリスク評価手法をうまく組み込んでいくという方向性が重要であるというふうに考えております。
当土壌環境センターにおいても、技術委員会のもとにリスク評価手法に関する調査研究を進める部会を設置しておりまして、日本の環境に合ったリスク評価手法を構築することが重要と考えております。当センターでは、既に「リスク評価を活用した土壌・地下水汚染対策の考え方(ガイダンス)」というものを公開しております。また、今後も継続して社会に広くリスク評価の手法を説明していく努力をしていかなければいけないと考えているところでございます。
以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)