更田豊志の発言 (議院運営委員会)
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○更田参考人 更田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、原子力規制委員会の委員となる前、およそ二十五年間にわたって、事故時の核燃料挙動などを中心に、原子炉の安全研究に携わってまいりました。長年原子力にかかわってきた者の一人として、あのような事故に至ってしまったことに対し、強い衝撃とともに、事故以前に強く声を上げることはできなかったのかという後悔と反省を覚えました。
その後、原子力規制委員会発足とともに委員に任命され、東京電力福島第一原子力発電所事故のような原子力災害を二度と起こさないとの決心のもとに、新規制基準の策定、原子力発電所の審査などに当たってまいりました。
田中現委員長は福島県出身ということもあって、福島の県民の方々に寄り添う気持ちを強く持って委員長としての職務に当たっていることを、私もこの四年半余り、近くでずっと感じていました。たとえ委員長がかわっても、原子力規制委員会にとって、福島に対する強い思いを持ち続けることが重要であると考えております。
福島第一原子力発電所では、困難な廃炉作業が続いています。今後、作業の困難さは一層高まるものと思われます。
一方で、現場の方々の努力によって、海側遮水壁の完成、海水配管トレンチの処理、汚染水の処理や滞留水の汚染低減などの進展も見られており、プラントのリスクは事故当初に比べると大幅に低減されていると考えています。
しかしながら、事故の傷跡をさらし、おびただしい数のタンクが並んでいる福島第一原子力発電所には、多くの方々が不安を感じています。原子力規制委員会が、福島第一原子力発電所の現状とリスクとを、可能な限り正確にわかりやすく情報発信する努力を強めていきたいと考えています。
福島第一原子力発電所に加え、「もんじゅ」、東海再処理工場などの廃止措置についても、原子力規制委員会は、安全で効率的な作業が進むよう、科学的に合理的な規制を進めていく所存です。
原子力発電所や再処理施設などの新規制基準への適合性審査に当たっては、そのプロセスの透明性を維持しつつ、科学的、技術的知見に基づいた厳正な審査を進めてまいります。また、新規制基準や審査ガイドについても、常に最新の知見に学ぶ姿勢を忘れず、必要かつ適切な改善に努めます。
IAEAによる規制レビュー、IRRSの指摘に基づき、検査制度の革新、RI規制の強化などを目指した法改正を今国会で御審議いただき、お認めいただきました。新しい検査制度のもとで原子力施設に対する監視を強化、効率化するためには、人材の育成はもちろんのこととして、安全文化の醸成、リスク情報の活用、適度な緊張感を持った事業者とのコミュニケーションを進めることが重要だと考えています。
原子力規制委員会は、福島第一原子力発電所事故の教訓に基づき、独立した規制機関として設置されました。これまで、高い透明性の確保や国内外で起きた教訓事例、最新知見の規制への反映に努めてきました。福島第一原子力発電所事故の記憶はいまだに鮮明であり、原子力規制委員会の活動が高い注目を集めてきたこともあって、委員長、委員、規制庁職員の使命感、責任感は高いレベルで維持されてきたと思っています。
しかしながら、人間は忘れやすい存在だということも事実です。原子力規制委員会は、福島第一原子力発電所事故の教訓を個人の記憶のみにとどめず、組織的な記憶にしていく必要があります。安全の追求に終わりはないという初心を忘れず、常にみずからに問いかけ、慢心を戒める姿勢を組織として保つには、強いリーダーシップを持って取り組むべきであると考えております。
私は、原子力規制委員会の委員長を拝命した場合には、他の委員、規制庁職員と協力し、原子力規制委員会設置法にのっとり、独立性と透明性の確保を基本として、国内外から信頼の得られる原子力の安全規制の実施に最善を尽くしてまいる所存であります。
どうもありがとうございました。