松浦一夫の発言 (憲法審査会)
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○松浦参考人 お答えになるかどうかわかりませんが、その立法事実がない、要するに、憲法に緊急事態条項を導入する必要性を裏づける社会的な事実がないという点については永井参考人の方から御指摘があったわけなんですが、先ほども申しましたように、戦後我々が経験してきた従来の災害であるとか、戦争はもうしておりませんから、災害緊急事態、こういったものについて、法律レベルで枠組みができているということについては何の異論もございません。また、武力攻撃事態、戦争はしないにしましても、まだ武力攻撃を受ける可能性はありますから、それについての備えをしているということも、これは異論はございません。
ただし、災害というのはやはり想定外のことが起こり得るわけで、やはり、東日本大震災の後で災害対策基本法が改正されたりという必要が生じたのも、発生当時、そうした対応に法的な不備があったから後で直したわけでありまして、災害発生当時に法的な不備があったことは、これは間違いないんだろうと思います。後でそれを十分に検討して修復していくということは、これはそれまでも努力してまいりましたし、徐々に完備されていくものなんだろうと思います。
しかし、東日本大震災のようなときに憲法が支障にはならなかったといいましても、先ほども申しましたけれども、南海トラフ地震の被害想定というものは、これはもう東日本大震災や阪神・淡路大震災の規模とは格段に違います。しかも、首都機能や、あるいは中央官庁の機能等にも損害が生じるというようなことは従来の枠組みでは想定できなかったことでありまして、それに対して柔軟に対応するということは立法事実の問題とはまた別の問題なんだろうと思います。
一応、最悪、想定外をなくすということで政府も被害推計を出しているわけでありまして、それに応じて予想できることを法律で整備していくという努力は当然必要になってくるだろうと思います。
ただ、その発動の枠組み、これは議員任期の問題とか議院解散権の制限であるとかも含めまして、憲法の例外を認めるべきだという点に関しましては、やはり憲法改正が必要なんだろうと思います。どういう被害を想定するか、その規模がどの程度のものであるか、また憲法の規定にその措置が抵触する可能性がないのかどうかということをやはり検討する上から、緊急事態条項というものが必要なんだろうということであります。