鈴木邦彦の発言 (厚生労働委員会)

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○鈴木参考人 日本医師会の鈴木邦彦でございます。
 本日は、参考人として発言させていただく機会を与えていただき、ありがとうございます。
 私は、公益社団法人日本医師会の常任理事を務めながら、地元茨城県北西部の常陸大宮市では、中小病院、介護保険施設、通所・訪問サービス事業所などの経営を行っております。
 常陸大宮市は、人口約四万二千人ですが、この五年間に約二千人減少し、高齢化率は約三三%と、これから我が国が迎える超高齢社会が一足先にやってきている地域です。
 農業を中心に古くからこの地で暮らす方がほとんどで、年金生活者の中で基礎年金だけの方が三分の二を占める地域の中で、かかりつけ医機能を持つ中小病院を中心とした法人として、地域に密着した医療、介護を提供させていただきながら、市の地域包括ケアシステムの構築に協力するとともに、少子化対策、人口減少対策、地域活性化対策を通じ、町づくりにも貢献させていただきたいと考え、積極的な取り組みを行っております。
 また、日本医師会では、地域包括ケアシステムの構築には、地域住民を支えるかかりつけ医の役割が重要であると考えています。かかりつけ医は、従来より地域の中で診療などの医療的機能と健康相談や各種健診などの社会的機能を持つものですが、日本医師会としても、かかりつけ医が地域において、みずからが有する機能をさらに発揮していただくために、さまざまな取り組みを行っております。
 本日は、こうした立場から、今国会に提出されている、いわゆる地域包括ケア強化法案について意見を述べさせていただきます。
 まず、在宅医療・介護連携の推進について、資料右下の一ページ目をごらんください。
 超高齢社会が進展していく中で、地域で暮らす高齢者を支えるためには、医療と介護は一体的かつスムーズに提供されなければなりません。地域包括ケアシステムを構築するためには、まず医療と介護が連携する仕組みを構築し、さらにきめ細かい対応をするため、自助、互助の取り組みを活発化させていくことが重要です。
 資料二ページをごらんください。
 介護保険制度においては、平成二十六年介護保険法改正により、在宅医療・介護連携推進事業として市町村が取り組むこととなりましたが、これまで地域の医療行政は都道府県が主体となって行われてきたことから、これらの経験や郡市区医師会との連携が進んでいない市町村もあり、こちらの資料に示されたデータを見ても、都道府県ごとに進捗状況に差があることがわかります。
 資料三ページをごらんください。
 在宅医療・介護連携推進事業では、八つの事業を全て郡市区医師会などへ委託することも可能であり、こちらの資料の右のグラフのように、委託先の八割前後が郡市区医師会、または一部病院・診療所というデータも示されております。
 日本医師会では、市町村と地域の医療体制を担ってきた郡市区医師会が連携することがこの事業を進めるポイントであると考えておりますが、取り組みのおくれている市町村では、郡市区医師会など関係者との連携について、まだ手探りの状況ではないかと考えられます。こうした状況を改善するためには、都道府県と都道府県医師会が連携し、市町村と郡市区医師会をしっかりと支援していくことが重要です。
 資料四ページをごらんください。
 また、元気な高齢者をふやすため、高齢者の自立支援に向け、介護予防・日常生活支援総合事業の充実が必要です。これらの事業においても医療と介護の連携が必須ですが、例えばこちらの資料のように、地域リハビリテーション支援体制について、都道府県と都道府県医師会がリハビリ専門職の派遣体制を構築し市町村を支援することで、市町村において円滑に事業実施が可能となります。
 資料五ページをごらんください。
 かかりつけ医には、医療や介護だけでなく、保健や福祉など幅広く対応するとともに、元気な高齢者の就労や社会参加とともに、仕事と子育ての両立による次世代の育成まで、より地域や社会に目を向けることが求められております。
 資料六ページをごらんください。
 日本医師会では、かかりつけ医機能を充実強化するため、昨年四月より日医かかりつけ医機能研修制度を開始しましたが、初年度は延べ九千三百九十一名の医師が研修を受講しております。
 資料七ページをごらんください。
 このように、都道府県、市町村において、医療と介護の連携を進めるには、行政と医師会が車の両輪となって、お互いに連携しながら取り組んでいくことが必要であると考えております。
 今回の法案では、都道府県による市町村支援を努力義務とすることが明記されました。制度的に位置づけられることで、都道府県が都道府県医師会と緊密に連携して、市町村における在宅医療と介護の連携を支援し、地域包括ケアシステムの構築が推進されることを期待しております。
 次に、介護医療院について、資料八ページをごらんください。
 二〇二五年に向け、慢性期の医療と介護の必要性の高い方の増加が見込まれる中、入院については、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の機能分化が進められております。
 また、在宅医療や介護の分野においても、中重度の要介護者を支えるサービスの整備が進みつつある状況の中で、現行の制度では、入院医療と在宅医療の中間に当たる、医療の提供を受けながら長期に療養できる生活施設がないと感じておりました。
 例えば、特養や有料老人ホーム、サービスつき高齢者向け住宅については、生活施設であるものの、医療への対応は困難であり、老健施設については、医療提供に一定の制限が設けられているとともに、在宅復帰を目的とする施設であるため、長期療養を目的とすることは困難であります。
 こうした状況の中、昨年七回にわたり開催された社会保障審議会療養病床の在り方等に関する特別部会においては、私も委員として参加させていただきましたが、喀たん吸引や経管栄養、褥瘡の管理などといった日常的な医学管理やみとりやターミナルケアなどの医療提供施設としての機能と、長期療養が必要とする方にふさわしい環境である生活施設としての機能を兼ね備えた新たな介護保険施設として、介護医療院が提案されました。
 慢性期の医療と介護のニーズをあわせ持つ高齢者への対応、そして地域包括ケアシステムの理念でもある住みなれた地域で最期まで暮らし続けることを真に実現するためにも、この介護医療院の創設が大いに期待されており、今国会に提出されている法案の成立が望まれています。
 最後に、地域共生社会の実現について意見を申し上げ、終わりにさせていただきたいと思います。
 資料九ページをごらんください。
 冒頭にも申し上げましたが、私は地域医療を実践する中で、医療機関を中心とした町づくりを進めることは地域の活性化にも有用であると感じております。
 世界でもトップクラスの長寿大国となり、国を挙げて健康寿命の延伸に向けた取り組みが進められている現在では、高齢者イコール弱者という考え方ではなく、地域住民として、みずからが町づくりを担う一員であるという意識のもと、住みなれた地域で暮らし続けるために、みずからの自立に向けた活動へ積極的に参加していただくとともに、さらに、元気な高齢者には支える側に回っていただくことは、超高齢社会を乗り切るために重要な視点であると思います。そのためにも、医療、介護といった公的なサービスのみならず、プロとアマチュアの中間のプロボノやボランティアを育成して、地域の拠点を中心に、創意工夫によるさまざまな取り組みを行っていくことが求められます。
 例えば、私の法人には、医療や介護サービスの提供に加え、こちらの資料のように、職員の町づくりのためのプロボノ組織や地域住民に気軽に利用してもらえるコミュニティーカフェがあります。このカフェは、憩いの場としてだけでなく、さまざまなネットワークの構築や、保健事業や介護予防の場としても機能しており、何よりも、ここに来れば地域の人と交流できるという気持ちが人々の生きがいになり、健康で自立した生活を送ろうというモチベーションにつながっています。
 資料十ページをごらんください。
 こうした地域の拠点を提供することで、高齢者や障害者も一緒に町づくりに参加していただいたり、医療や介護といった分野以外とのさまざまなネットワークの構築により、起業する人の増加やさまざまなイベントの開催による地域の活性化、高齢者が最期まで安心して暮らせる町づくりが進んでほしいと願っております。高齢者が住みやすい町は全ての人が住みやすい町でもあります。
 ところで、日本の最大の課題は少子化がとまらないことだと考えております。
 資料十一ページをごらんください。
 医療機関や介護施設は、地方でもまだ若い人材が集まりやすく、我々の分野は、資格が同一であれば男女平等で女性が働きやすい職場ですので、積極的に産休、育休、保育所、短時間勤務による仕事と子育ての両立に取り組み、少子化対策にも貢献したいと考えております。ただし、我々の職場は人員基準が決められている場合が多く、常に人手不足の専門職を補充する必要があり、事業者の負担も重いため、事業者への支援も必要です。
 資料十二ページをごらんください。
 このように、地域包括ケアシステムは、人口減少社会から仕事と子育ての両立を通じた少子化対策、障害児者の支援、子供の貧困対策など、高齢者だけでなく、子供や障害者も対象とした全世代、全対象型へと深化させていき、高齢者にあと二十年頑張っていただいている間に次世代を育成する再生を目指す社会づくりが必要であり、それこそが地域共生社会であると考えています。
 今回の法案では、地域共生社会の実現に向けて、我が事・丸ごとの理念に基づき、地域の課題について住民や関係者が把握し、その解決に向けて行政や関係機関との連携が積極的に行われることを目指すことや、市町村が包括的な支援体制づくりに努めることが明記されております。これらの法律の整備により、地域の医療機関などがこれまで行ってきた町づくりのための取り組みがより一層進むこととともに、多くの地域でこのような取り組みが始まることを期待しております。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 鈴木邦彦

speaker_id: 7128

日付: 2017-04-11

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会