山田智の発言 (厚生労働委員会)

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○山田参考人 民医連の副会長の山田でございます。
 東京・中野にあります中野共立病院の理事長で、回復期リハ病棟に勤務しているリハ医でございます。
 委員長、それから委員の諸先生方に発言の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。よろしくお願いします。
 タイトルをめくって、「はじめに」と書いてありますスライド、原稿を見てください。
 三月二十八日、衆議院本会議において、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法の一部を改正する法律案の趣旨説明を行い、現在、スライドにありますような内容で審議中です。これらに対し、一五年改定の影響をまず明らかにすべきでは、また、事業者に支払われる、影響が、引き下げられることで要支援者に適切なサービスが提供されなくなるのではなどの懸念も出されています。そこで、今回、まず一五年改定の影響調査を報告し、その結果をもとに改定法案への意見を述べさせていただきます。
 スライド、次をお願いします。特養入所者に関して一五年改定の影響です。二十一世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会の調査結果です。
 左、円グラフをごらんください。特養の入所申し込みが原則要介護三以上になりましたが、一五年改定以降、要介護一、二の方の申し込みに変化がありましたかの問いに対し、特養の入所申し込みが以前より減ったが五六%と最も多く、待機者数が減少したと言われていますが、要介護一、二をカウントしなくなった結果と思われました。要介護一、二の申し込みは受け付けていないの一九%は見過ごせませんが、受ければ経営的に困難がある、手続が難しいなどが背景にあります。
 右上段。具体的な影響では、半数に影響が出ていました。利用料の滞納、二百六名。支払い困難で退所、百一名。配偶者の生活苦、三百十一名も重大です。多床室への移動、その結果、個室が埋まらないなど、ベッド管理に影響を与えていました。
 右下、ごらんください。この影響は、負担が二割や、補足給付など、これまで低所得者が排除されない仕組みが維持されていたものが、改定により脅かされる結果となりました。補足給付を受けるために二組の高齢者夫婦が離婚せざるを得なかったことも報告し、補足給付の制度はもとに戻すようにお願いいたします。
 スライド、次をごらんください。次に、老人福祉・介護事業所の倒産です。
 ごらんになってわかりますように、マイナス改定のたびに倒産がふえているのがわかると思います。特に一五年の影響で、二〇一六年の一年で過去最高の百八カ所が倒産となりました。加算中心の改定であったため、取得できない小規模事業所が多く、倒産件数の七割となりました。
 左上段を御注目ください。これまでの改定を合わせますと、額面どおりの場合でも、また、実質改定をとればさらにマイナスです。介護事業の維持なくして介護保険の維持は困難です。改善をお願いしたいと思います。
 次、スライドをお願いします。軽度者に関連し、介護給付費実態調査から見た介護保険利用者の割合と、居宅サービス利用者別の要支援、要介護の割合です。
 現在、介護保険のサービス利用者は単月で約五百万人であり、施設と居住施設を除いた三百五十三万五千人が居宅介護サービスを利用しています。介護度別では、要支援一から要介護二までが七三%であり、これらを市町村事業に移せば、利用者の混乱、事業者の経営悪化ははかり知れないものになるのでは。最も多い要介護一は、認知症の自立度が二以上か、半年以内に悪化が明らかな不安定、がん末期などであり、二番目に多い要介護二は、一人で外出できない人、入浴の困難な方です。悪化することが予想される要介護者は、ボランティアでないプロフェッショナルの介護が必要と考えます。
 次をごらんください。厚労省の要介護、要支援状態区分別に見た年間継続受給者の変化の割合です。
 平成二十六年四月と平成二十七年三月の比較で、調査は七割が変化なかったとしていますが、介護度の軽いものほど重度化しやすい傾向にあるのではないでしょうか。地域包括ケアシステムの深化、推進においては、重度化防止は重要な課題にもなっています。重度化防止のためにも、リハスタッフなどの専門職の介入が必要と考えます。
 次をごらんください。私たち民医連介護困難事例調査です。
 目的ですが、介護保険制度の見直しのターゲットとされていますいわゆる軽度、要介護一、二問題、利用料の引き上げに焦点を当て、見直しが実施に移され、生活援助、福祉用具、通所介護の利用が制限されたり、自己負担化や総合事業、ボランティアへの移行のことです、利用料が引き上げられた場合、本人、家族にどのような影響、困難を生じるのか、現状で抱えている困難、予測される事態を明らかにすることを目的としました。
 対象と方法です。利用者の性、年齢、世帯構成、要介護度、上記の四つの予想される困難、そして影響に関しては状態の悪化など、そして抱えている困難などについて、ケアマネジャー、ヘルパー、相談員に回答を得ました。抱えている困難に関しましては、利用者、家族、ケアマネに一言カードに記入してもらいました。
 調査期間は、二〇一六年の十月から二〇一七年二月末日としました。
 スライドをごらんください。結果です。
 小さくて済みませんけれども、平均年齢八十・八歳、男性三百四十七名、女性五百九十八名、計九百四十名であり、後期高齢者が、女性八割、全体の七五・四%。要介護一、二を合わせると八〇%となっていました。
 スライドです。影響が出ると考えられるサービス内容の影響者数と、利用料二割へ増加の影響者数です。
 これは複数回答です。生活援助が自己負担になったり、回数や内容が減らされることが考えられる、四百六名。福祉用具が自己負担になり利用できなくなる、四百二十二名。通所介護が総合事業に移った場合、回数が減ったりボランティアにかわる、三百九十三名。現在の利用料が一割から二割になった場合、サービスの利用や家計への影響が出る、四百二十二名でした。
 スライドにはありませんが、最も多かった二割になった場合の困難として、八十歳男性、要介護一、夫婦のみ、利用料が二割負担になり、妻のショートステイ利用を中止した。九十歳男性、要介護二、既婚子と同居、高齢者住宅、有料老人ホームへの入居を希望していたが、利用料が二割で諦めた。九十歳女性、要介護二、未婚子と同居、家屋を処分し、収入が三百万円程度あり、二〇一六年八月から介護保険負担割合が二割へ、デイサービスと特殊寝台レンタルが困難となった。今回の調査は、二割負担の影響の重大さを最も明らかにする結果になりました。このような中で、給付削減と負担増は困難と考えられます。
 次のスライドをごらんください。
 影響三千九十四件の内容は、「状態の悪化」、これは重度化につながるのではないでしょうか。「会話・コミュニケーションの減少」、認知症の進行につながると思います。「外出の機会の減少」、フレイルの進行になるのではないでしょうか。「家族介護負担」、介護離職につながるなどが挙げられていました。介護離職ゼロとは反対の内容でした。調査が明らかにしたもう一つの特徴となりました。
 次のスライドをごらんください。
 利用者本人四百九十六名、利用者家族百九十六件、事業所職員百二十五件の一言カードですけれども、カードの中で多いものは、経済的困難、介護の質低下が気になる、サービスを減量せざるを得ない、介護負担などでした。
 福祉用具にかかわる共通事例を紹介します。九十歳女性、年金収入のみの低所得者。福祉用具があるからこそ、身の回りのことが自立しています。自己負担サービスになると支払えなくなります。レンタルだからこそ、状態に合わせて機種の変更もできるし、定期的なメンテナンスも受けることができて、安全に実用的に使っています。介護保険で対応させてほしいです。
 次のスライドをごらんください。二〇一三年十一月の結果ですが、介護保険利用者の収入状況です。
 低所得対策の対象となる第一段階—第三段階の所得層は、全集計で半数を超え、五四・一%でした。特に独居、男性四八・六%、女性六六・八%と高率で、ひとり暮らしの女性が経済的により厳しい状態にある結果でした。介護保険利用者は経済的な困難者で、さらに困難が広がるのではないでしょうか。
 スライド、次をごらんください。
 総合事業の一部をボランティアなどに委託するための講習会が始まっています。ボランティアのなり手が少ないことが心配です。自治体によって講習会の回数ややり方も異なり、質の担保も問題です。医師を含む専門家の講義も義務づけてはいかがでしょうか。
 スライドです。
 介護医療院の施設基準に関してのお願いです。介護医療院は、要介護者の心身の状況などに応じて適切なサービスを提供するとともに、みずからサービスの質の評価を行う、その他の措置を講ずることにより、常にサービスを受ける側の立場に立ってこれを提供するように努めなくてはならないとしていますが、介護の現場では、人が足りない、医療密度のアップに追いつかない。そのため、表に示しますように介護事故が多くなり、賠償の費用は医療を超えるとも言われています。安全な施設基準づくりをぜひお願いしたいと思います。
 スライドです。
 地域包括ケアの主戦場となる在宅医療に関し、東京都の在宅患者の推計値です。二〇一五年から二〇四〇年に大幅に増加します。
 スライドの次です。
 これに対して、在宅の支援診療所のない自治体が三割、支援病院は七割が準備できていません。訪問看護も三割です。
 スライド、次です。
 訪問診療を行う診療所、病院はふえましたが、十分ではありません。
 スライド、次をお願いします。
 在宅みとりを行う医療機関は、病院、診療所とも五%にとどまっています。
 スライド、次です。少し古いですが、私ども民医連の在宅医療調査の結果です。
 一事業所当たり六十四・六件を三・一名の医師で訪問。みとりは年間平均八・四件。連携型のみとりありの施設が、全体数が当然多いのですけれども、平均すると単独型の方が多く、連携の機能を強めなくてはいけない、そういう結果になっておりました。
 次のスライドです。
 年齢別に見た在宅患者さんの割合です。若年者の在宅療養者が多くなると考えます。対応できるスタッフづくりが必要です。
 次のスライドです。
 地域包括ケアは住まいが重要になります。一般財団法人高齢者住宅財団が行った医療・介護ニーズがある高齢者等の地域居住のあり方に関する調査結果です。入院後、退院先は持っているお金で決まってしまう。
 次のスライドです。
 低所得者が安心して入所できる特養はやはり必要なのではないでしょうか。
 次のスライドです。
 地域共生社会に関連して、就労を支援し、自立を目指す共同作業所全国連絡会の調査結果です。一万四千七百四十五名を対象にしています。昨年五月の調査結果です。
 障害者の支援は介護保険だけでは間に合いません。上限まで使い、さらに支給を受けている方が七割です。この方たちに応益負担を願うのでしょうか。本人、家族の不安は強くなっています。
 次のスライドです。
 障害者の方の多くは低所得者です。一律に応益負担を求めれば、むしろ障害者の自立阻害につながるのではないでしょうか。個人の多様性が尊重される社会を目指すのが地域包括ケアではないでしょうか。
 次のスライドです。
 四十歳を過ぎても、生活を親に頼らなくてはいけないのが実態です。地域共生社会なら親に頼らなくとも生きていける社会を実現していきたいと思います。
 最後になりますが、今回の改定法案に対し、私の見解を述べさせていただきます。
 改定内容は、制度の維持のため、給付の適正化の名のもと、介護保険の将来像として、要介護三以上を全国一律の基準による給付に、要介護二以下は総合事業へ移行し、全体として介護費を削減する提供体制づくりと考えますが、認定者の七割が要介護の二以下のもとで、これらの人が総合事業になれば、在宅生活は困難と考えます。また、事業所の経営困難は必至だと考えます。そのため、制度そのものが成り立たなくなるのではないでしょうか。よりよい制度の見直しをお願いします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 山田智

speaker_id: 22828

日付: 2017-04-11

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会