武久洋三の発言 (厚生労働委員会)
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○武久参考人 丹羽委員長、委員の皆様、参考人にお呼びいただきまして、ありがとうございます。私で最後ですから、もうしばらく御辛抱をお願いしたいと思います。
私は、日本慢性期医療協会の会長をさせていただいておりますけれども、慢性期医療ということで、医療と介護のちょうど接合部のところを担当している現場からの現場感というものもお話をしたいと思っております。
基本的に、このたび上程されました介護保険の改正については賛成でございますけれども、皆さん御存じのように、二割を三割にするとか総報酬制にするとか収支を小手先でさわっても、将来どうなるか。きょうの日経のトップにありますように、どおんと人口は減るわけですよね。だから、何かもっと大きなことをしないといけないのではないかなというふうに私は常に思っております。
私は、四国の徳島という地方でも病院をやっておりますし、東京でもやっておりますので、地方と都会の違いというのは非常によくわかっているつもりでいます。また、病院も、介護施設、特養もやっておりますので、その辺の関連も、現場からの感じとして、データとしてお出ししたいと思っております。
それでは、参考資料の、ブルーの表紙のものに沿ってお話をしたいと思います。
一ページからです。当たり前ですけれども、医療の後に介護があり、介護の後に医療があり、一人の人が医療から介護の間を行ったり来たりしているということでございます。
二ページのように、基本的に、今、一般病床と言われる病床が九十万床ぐらいありまして、慢性期と言われる病床が三十万。平均在院日数が短い急性期が、平均日数の長い慢性期の三倍もあるということは一体どういうことか。これは、やはり急性期と言われるところに慢性期がいっぱい入っているんじゃないかということが言えると思います。
医療保険と介護保険のスムーズな連携というのが常に必要ですけれども、四ページのように、後期高齢者は、千六百四十一万人でございましたけれども、これからどんどんふえていきまして二千四百万を超えるということであります。このうちの四・二%が今現在入院されております。この四・二%の入院がそのまま続くとしますと、二〇五五年には百万人の後期高齢者の入院がある。
精神病床を除きますと約百二十万の病床がございまして、そのうちの九十何万床に入院されておりますけれども、そのうちの七十万人が後期高齢者。これは約八割ですね。これはどんどんどんどんふえて九割になるでしょう。だから、医療はまさに後期高齢者のための施設になってしまうんじゃないか。
五ページのように、医療費をどんどんどんどんふやしていきますと、とてもじゃないけれども、ちょっと収支が難しいんじゃないか。
六ページに介護のことも書いてございますけれども、二〇二五年には、何と二〇一五年の約倍ぐらいになっちゃう。これでいいのかなと。
そうなってきて、いろいろなことで皆さん方も御苦労されて、官僚の方も御苦労されていろいろお考えいただいておりますけれども、例えば、医療保険の財政が減額されても、その分が介護保険に行くのであれば、介護保険料が高くなる。介護保険の担当の人は、これは嫌だと言う。お互いに嫌だと言っているような暇はないので、八ページのように、やはり総額としていかに効率化するかということですから、今回の来年の同時改定のまさにテーマでございます。
九ページのように、一人の患者さんが医療保険と介護保険を行ったり来たり、また、同時併用するわけですから、より効率的なシステムが必要で、使いやすいということも必要です。
十ページ、グラフにしてみますとまさに象徴的で、六十五歳の人はまだ二百二十万人いらっしゃるんですね。八年後には七十八万人しか生まれない、こういうような時代。
そうすると、税金を払う人が減って、税金を使う人がふえる。単純に言うと、日本の予算はどうなるのか。一国民として心配する次第でございます。
十二ページのように、自己負担率を上げたり介護保険料を上げたりして介護保険の収支を安定させるには限度があるので、どこをどう変えないといけないか。
十三ページにございますように、明らかに日本は寝たきりが多いんですね。何とアメリカの五倍。ほかの文明諸国に比べても五倍から六倍。これは一体どうするのか。寝たきりが多ければ、特養や老健も要るし、介護保険料も要るし、医療保険料も要りますよね。どこに原因があるのか、皆さんはどう思っているかと思いますけれども。
十五ページを見ていただくと、病院に入院している平均在院日数がこんな状態なんですね。二〇一二年ということは、御存じかと思いますが、特定除外患者というのがありますが、一般病床に三カ月以上入院していると、ある一定の条件を満たせば何年でも七対一に入院できている、こういう制度がまだこのときはございましたので、このときは平均在院日数に入れなくていいということでございました。これを見ても、やはり五倍から六倍、ほかの国に比べて入院している期間が長い。これは、アメリカの五倍というと、日本の寝たきりの患者と何か似ているんじゃないですか。
かつて、一般病床の中の特定除外の患者さんの状態は、介護療養病床の患者さんよりも重症の人が少なくて、軽症が多かった。
十七ページが、ゼロ歳から百歳までの一人当たりの国民の医療費ですけれども、七十五歳ぐらいから、このブルーの入院の部分が多くなってきております。
これが医療保険部会に提出されましたので、私が、この入院医療費は急性期病院の分と慢性期の病院ではどのぐらいの割合ですかと御質問をさせていただきましたところ、十八ページのようなデータが厚労省から出てまいりました。八十歳までは、何と五万円以上かかっているのが非常に多いわけですね。大体、九十歳までが数としては多いんですけれども、健康保険では、何と八割までが四万円以上ぐらいの医療費がかかっている。
十九ページのように、ちょっと概算をしてみましたところ、平均すると、後期高齢者、七十五歳以上の入院患者さん一人当たり、一日当たり四万五千円以上かかっている。これはどうしたことか。療養病床では、慢性期の病床では一日二万円です。地域包括ケア病棟では三万円です。だから、半分ずつ入ったとしても二万五千円で済むんです。
二十ページのように、我が国における七十五歳以上の後期高齢者人口は千六百四十一万で、七十万人が入院している。これは、超慢性期から急性期の病床に現在入院している数ですね。こうなってくると、七十万人のうち二十万人が高度急性期というふうにして、のけてみても、この五十万人掛ける差額の二万円掛ける三百六十五日で、何と三兆六千五百億円の効率化ができる、しかも、よりよい治療効果が出てくる。
ということを考えますと、どうやら、寝たきりは急性期医療の治療中と治療後の継続入院中に主につくられるんじゃないか。
そこで、二十二ページのように、調べてみました。そうすると、急性期病院で一カ月未満しか入院していない人は、その後のリハビリ病院等でも、やはり一カ月以上入院している人より早く退院することができるということがわかりました。しかも、リハビリの点数も高い。
二十三ページのように、寝たきりを、アメリカ並みにしなくても、せめて半分にすれば、特養、老健も半分になり、介護保険も、オーバーに言えば半分になるんじゃないかということが想定されます。
また、二十四ページのように、急性期病院での平均在院日数を減らすということは、寝たきりをつくらないという意味でも、また、医療費の効率化という面でもプラスではないか。
この効率化した費用は、高度急性期や医学研究、在宅医療や居宅介護をさらに評価するというふうに持っていけばいかがかと提案する次第でございます。
後期高齢者の患者は、多臓器の身体合併症を抱えているために、高度急性期の臓器別専門医の治療より、むしろ総合診療医が必要となってきます。入院患者の九割近くが後期高齢者となっていこうということですから、総合診療医が大量に必要になってくるということでございます。
残念ながら、私は地方と都会で地域急性期と慢性期の病院をやっていますけれども、急性期病院から紹介の患者は状態が悪くて、多くは低栄養と脱水ですね、これらが改善できぬまま慢性期にやってくる。
二十九ページのように、今はやりのフレイル、体重減少、これは全部、水分不足と栄養不足からくる。
三十ページのように、老化に伴って慢性的に徐々に進行するというよりは、むしろ、急性期治療、病気になったときに十分な対応ができずに急速にフレイルに陥る場合が結構多い。したがって、いかにこのフレイルを回復させるかということが個人の回復にはプラスです。
三十三ページです。というのは、ターミナルということが盛んに言われます。治療しても見込みがない人にいつまでも治療しても仕方がないというのはわかりますけれども、ではこのターミナルの定義は何かということになってきます。
国のきちんとしたターミナルの定義を決めないと、単に低栄養、脱水でもターミナルにされてしまうのではないか。
三十五ページのように、三万七千人の入院患者の初日の検査値でも、脱水が四割、低栄養が六割、血糖値が高いのが六割、貧血が五割以上と非常に重症の人がある。その分析は三十六、三十七にございますので、またごらんになっておいていただければ。これらの患者さんは、ほとんどが急性期からの紹介であります。
我々現場の医師は、三十八ページのように、治る病気は治してさしあげるのが我々の仕事だ。そのためには、どうも急性期にリハビリが少な過ぎる。病気になったすぐその段階でリハビリを集中的にやっていただければ、我々の慢性期の現場では非常に短期間な入院で済むのではないか。
三十九ページのように、急性期リハビリや、がんリハビリについて提案をしております。
四十ページのように、私は、介護医療院への病床転換、病床転換を介護医療院にするということは適切な政策と思います。
四十一、四十二にあるように、介護療養病床は、医療の必要度は少なくても、非常に高度な要介護度、右端でも四・五近くですね。特養、老健とは明らかに差がある。医療区分については多少軽いですけれども、そういう意味で、この機能をそのまま対応してほしい。要するに、介護医療院は重度障害者を継続的に入院できるようにしてほしいなということでございます。
介護医療院の三つのパターンは、いずれも病院内なので、病状急変の場合にも非常に安心であるし、院内には医療設備と医療スタッフがすぐそこにいる。
我々現場では、在宅療養患者が入院すると、できるだけ三日から五日で帰すようにしているんですね。長くても一週間。そうでないと、家族が患者のいないことになれてしまって、いや、もうちょっと病院に入院させてくださいといって、在宅療養がもうできなくなっちゃうんですね。誰でも家が一番いいわけですし。
在宅療養を進めるためには、逆に、病状が悪化したらすぐ病院に入院して、すぐ治療して、すぐ帰る。在宅モンロー主義は私は不適切だと思います。というのは、在宅が一番であって、病院なんかに入ったら大変だと言う人も一部いらっしゃいます。
要介護状態の改善についてより評価していただけたらと思うんですが、残念ながら、要介護認定審査会を私は十七年もやっていますけれども、要介護状態が軽くなると御家族、本人が悲しむんですね、サービスが受けられなくなると。それで、周りの認定審査会の委員も、この人はヘルパーを何回もやっているから、これはちょっと、よくする、軽くするのは悪いんじゃないか、そんな感じで認定審査会をやっているようなこともありまして。これはやはり、よくなるということはいいことだということで、それに対するインセンティブなんかをつけていただけたら非常にありがたいかなと思います。
良質な慢性期医療がなければ医療も介護も十分でないと思いますので、皆さん方の適切な御配慮をお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。(拍手)