三浦雅生の発言 (国土交通委員会)

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○三浦参考人 御紹介いただきました弁護士の三浦です。
 私は、一昨年、政府部内に設置されました「民泊サービス」のあり方に関する検討会に構成員として指名され、また、座長代理として議論に参画してまいりました。
 今回の本法案は、この検討会で報告された報告書に基づいて作成された経緯があることから、以下、その概要と、私が考える本法案への反映の中身について御説明したいと思います。
 まず、検討会の構成メンバーなんですが、御承知かと思いますが、防災、都市計画、一般刑事法、シェアリングエコノミー等を専門とする大学教授の先生方、宅建取引法、旅行業法を専門とする実務的な法律家、弁護士ですが、そういう方、管理関係ということで不動産業界の代表者の方、それから、当然のことながら、不利益を受けるかもしれない旅館業界の代表者の方々、それから、利用者の立場ということで消費者団体の代表者の方、そういった方が構成員となって、かなり積極的な議論が行われました。
 民泊について、検討会の基本的な認識としては、インターネットによるマッチングシステムを採用して、それによって個人の遊休資産をシェアするという、いわゆるシェアリングエコノミーの一態様である、そういった観点から見るべきではないかという意見が大勢を占めました。
 そうしますと、旅館業との関係でいけば、同じ宿泊サービスではないかという疑念があるわけですが、住宅の活用という観点からいうと、やはり、類似のサービスではあるけれども異なったものだということで、単に旅館業法違反ということで切って捨てるのではなくて、新しい態様の取引として、積極的に、明確なルールのもとでコントロールしていくべきではないかというのが検討会の結論であります。
 ただ、検討会の議論の過程の中で、幾つかの心配な点、負の側面が指摘されました。私なりに整理しますと、五点ほどあります。
 一点目が、本来、宿泊のサービスを提供する事業者というのは、その事業遂行に伴って何らかの不利益があった場合には、それを当然、事業者として負担すべきはずなのですが、いわゆる違法民泊においては、宿泊者が勝手にごみを捨てる、あるいは騒音を出すということについて、その不利益を甘受せず、近隣の住民がそれを負担するという、いわゆる外部不経済の問題が生じています。
 それから、二番目が、民泊の中でテロの犯罪者が何らかの共謀を働くというような事柄とか、あるいは麻薬取引を行うというようなことが行われては困るということで、そういった犯罪の防止の問題があります。
 三点目が火災の問題であります。不特定多数の方々が使うという意味では旅館業と類似していますので、防火、消防のための措置を講ずるということです。
 四番目が感染症の予防ということです。これもやはり、不特定多数の方々が集まりますので、感染症の方がいたときに、その感染ルートをはっきりとさせる必要があるということです。
 五番目が住専地域の問題です。住宅専用地域について、住宅を活用するという観点からいきますと、論理的には住専地域でも営業を認めざるを得ないということで、それが果たして地域との整合性を保てるのかという問題がありました。
 これらについて、検討会の報告書では、そういった問題を、具体的な方法をある程度示して報告書の中に盛り込まれました。
 この五つの論点というのは、基本的には、この民泊が、いわゆるアンダーテーブルのもと、つまり違法な状態で行われているために、行政庁から実態がつかめないという前提があってこの五つの問題が生じているという関係がありますので、まず一つは、テーブルの上にのっける必要があるだろうということで、できるだけ容易な形で宿泊事業を行う方たちが法制度の上に乗っかれるようにする必要があるだろうということで、まず、住宅を持っている方の届け出という一番簡易な行政手続を採用することにしました。
 その前提で、実態把握ができるということになれば、まず一番目の外部不経済の問題については、住宅提供者が宿泊客に対して、日本のごみ出しの問題、それから住宅の使用の仕方の問題、騒音の問題等を説明して、積極的に防止策をとるべき義務を課したということです。
 それから、二番目のテロ、犯罪等の防止については、旅館業と同様に宿泊名簿の作成義務を課すことによって本人確認ができるような状態にすることで、その点は防止できるのではないかというふうに考えました。
 それから、三番目の防火、消防の関係についても、本法案の中に具体的な規定が盛られたのと、省令事項でそういった措置の義務内容を具体化しています。それから、消防法の適用においては、旅館業と同じように適用するというふうに伺っております。
 それから、感染症の抑止については、感染症が生じたときに、その感染ルートを探る必要があるわけですが、これは、先ほど言った宿泊名簿の作成によって可能になるだろうということが考えられます。
 そういった意味で、今回の法案は、旅館業法とは別の法案として宿泊サービスの提供を許したわけですが、安全面については旅館業とほぼ同等のレベルの規制を維持しているというふうに私は理解しております。
 それから、検討会の議論の中で一番問題となったのは、遊休資産とはいえ、個人の住宅を用いて宿泊サービスを提供するという業態は初めてのことなので、一体どういう要件を課したらそれが許されるというふうにすべきなのかということが大きな議論になりました。これについては、当然のことながら、民泊に参入したいという不動産業界の方々、それから既存の業界の利益を守りたいという旅館業界の利益が真っ向から対立するような議論であったわけですね。
 これに対しての検討会の考え方は、原点に戻ろうということです。つまり、住宅を活用するという法案である以上は、住宅としての事業性を超えない、事業ではあるけれども、あくまでも住宅として活用しているんだというところまでの限度を設けようということになりました。これがいわゆる日数制限の問題です。上限百八十日の程度を守っていただければ、事業性はあるけれども、なお住宅としての使用として認めても構わないのではないかという考え方です。
 それから、最後に残った論点として、地域の問題です。先ほど言った、住宅専用地域で営業を許していいのかというのが、都市計画の専門の先生方からかなり厳しい御意見が出されました。ただ、住宅の活用という前提でいく限りは、論理的に、そこはだめなんだというのはちょっと難しい話なんですね。
 ここはやはり、住宅としての管理がきっちりと行われる、住宅の管理業者の登録のところでプロの業者の方たちが入っていただいて、住宅としての管理を全うしていただく。あるいは、居住型であれば、個々の所有者の方たちに責任を持っていただくという観点。それから、地方自治体が、地域の実情に応じて区域を限定して、期間を制限することができるような条例で具体的に規制ができるだろうと。そういった形で、地域住民との調整を、最も近い行政庁である地方自治体に任せることでそれが全うできるのではないかという考えに落ちつきました。
 最終的に、この法案は、かなり利害の対立の中ででき上がった法案で、法律家の私の目から見ても相当すれすれの部分でつくられているとは思いますが、かなり考え抜かれた、検討会の考え方を、観光庁が、あるいは厚労省の方たちが、大変短い時間の中で工夫された結果だろうと考えております。
 できれば、施行後に、三年後に再度見直すという条項が附則にありますので、ぜひその段階で真剣に見直していただいて、恐らく、最終的には、民泊の関係でいけば、チェックイン手続の代行業務、あるいはリネンサービス等の清潔を図る業務の代行という新しいビジネス分野ができ上がることで、既存の旅館業の方たちも新しい分野にどんどん入っていくということが私は予想できると思います。そういう意味で、いずれは、融合した一つの宿泊業界という形になるのではないかというふうに考えております。
 以上、私の意見とします。(拍手)

発言情報

speech_id: 119304319X02120170530_002

発言者: 三浦雅生

speaker_id: 13697

日付: 2017-05-30

院: 衆議院

会議名: 国土交通委員会