今村都南雄の発言 (総務委員会)
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○今村参考人 一連の地方自治法本体の一部改正とあわせて、御承知のとおり、地方独立行政法人法、この改正が提案されております。
私は、まずはこの冒頭陳述では、地方独立行政法人法の一部改正、この問題を中心に意見を述べさせていただきたいと思います。
申しおくれましたが、私の専攻は行政学でございまして、これまで、国の行政改革との関連では、かつて、ちょっと古い話になりますが、総理府に置かれておりました行政改革委員会の官民活動分担小委員会の参与として、いわゆる官民関係のあり方について調査審議する機会がございました。また、地方自治との関係では、小泉内閣時代に、地方制度調査会の委員を二十七次と二十八次、二期務めた経験がございます。
さて、御承知のとおり、我が国の独立行政法人制度は、イギリスのエージェンシー、いわゆるエグゼクティブエージェンシー、これがモデルでございました。
その導入、制度化に先駆けて、これまた古い話になりますが、ちょうど私が行革委員会の官民活動分担小委員会にかかわっていたころでございますが、当時の総務庁長官武藤嘉文国務大臣みずからがエージェンシーの調査のために英国に出かけられまして、その調査結果の概要を記したペーパーなどが資料として提供されたことがございます。
ところが、その年、といいますのは一九九七年のことでございますが、その年の暮れ近くに、御承知のとおり、行政改革会議最終報告におきまして、日本版エージェンシー、独立行政法人制度の制度設計が出されたわけですけれども、これは率直に申し上げて、行政のスリム化を急ぐ余り、イギリスのエージェンシーとは似て非なるものになってしまいまして、いわばエージェンシー化の外国産モデルをつまみ食いするところにとどまってしまったのではないか、そういう印象を私は持ちました。
その結果として、私見では、我が国の独立行政法人制度、これは一般国民にとって非常にわかりにくいものになっている。一部では、ぬえ的な存在になっている、正体不明だと。実は、そのことは、独立行政法人通則法及び地方独立行政法人法の定義規定、今度の法律案関係資料におきましても二条は参考の中に入っておりますけれども、見ましても、そもそものこととして、なぜ独立の法人格を有する独立行政法人なのか、そのことがすんなりと理解できないわけでございます。
しかし、今さらながら恐縮でございますけれども、我が国の独立行政法人制度は、独立の法人格を有する独立行政法人、これを設立するところに最大の特徴があるわけでして、イギリスのようなエージェンシーではございません。だからこそ、制度の名称自体に、独立行政法人、この用語が用いられているわけでございますから、この点に鑑みましても、地方独立行政法人法に即して申し上げますと、地方独立行政法人とは何か、このことに関して、その設立の主体たる地方公共団体の方々も含めて、なぜ当該普通地方公共団体とは別個に独立の法人格を有する独立行政法人を設立する必要があるのかということを十分に自治体関係者に理解していただくことが出発点ではないか、そのことが肝要ではないか、このように考えるわけであります。
このことと関連しまして、といいましても、定義規定の第二条、これは、この法律案関係資料では地方独立行政法人法第二条に関しましては四十一ページですかにございますので、それをごらんいただければと思いますが、この定義規定の第二条は改正の対象になっておりません。おりませんけれども、今度の一部改正で一つの焦点となる対象業務、すなわち窓口関連業務について、公権力の行使に係る事務も含めて、包括的に新設の申請等関係事務処理法人にその業務を行わせることの当否、これを取り上げさせていただきたいと思います。
地方独立行政法人とは何か。このことに関する地方独立行政法人法第二条の定義規定との関連で見ますと、このたびの法改正、具体的には、別表、改正法律案の百十三ページ以下に一括して掲げられておりますが、この申請等関係事務について、それを地方独立行政法人の業務の範囲に新しく追加する、法の二十一条の第五号がそれでございますが、さらに、新設の、申請等関係事務処理法人に関する特例を定めた、これは第八章の二の諸規定、これに従って、同法人にその業務を行わせることとする。そうなりますと、法文上、それらの業務は、定義規定、二条で言うところの「地方公共団体が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、」そこに含められてしまうことになります。
しかしながら、現時点でそうなることを前提にすることができない個別の地方公共団体におきましては、そうした窓口業務が果たして地方公共団体がみずから主体となって直接に実施する必要のないものなのかどうなのか、それを判断しなければなりません。
ですから、本来でありますと、この第二条の条文につきましても、地方独立行政法人とは何かに関する定義規定でございますが、一部修正をすることがせめてものこととして必要ではないかと私は考えまして、地方公共団体がみずから主体となって直接に実施する必要のないものと認めることが、認めることができるもののうちぐらいですね、語を差し挟まないと、地方公共団体は、これは自分の問題として受けとめかねる問題ではないか、こういうふうに思うわけです。
ここでは、その点、ひとまずおきますが、一体、このたびの改正が時宜を得た改正であるかどうか、この点を問題にさせていただきたいと思います。
窓口業務の現場に行ってみれば一目瞭然のことでございますけれども、とりわけ基礎自治体の各部署で現に行われている窓口業務は、来庁した住民の求めに応じてぱっぱと処理できるような、単なる定型的な事務ばかりではございません。個別の申請をきっかけにして、定型的な事務処理にはなじまない住民側のさまざまな事情を察知して、各部署の協力を得ながら対処しなければならないことが少なくないわけであります。
昨今では、このことをアウトリーチという片仮名用語で表現することが多くなっているようでございますが、元来それは、行政分野でいいますと、福祉行政の分野で、通例の業務範囲を超えてアウトリーチ、手を差し伸べることが必要になる場合にその言葉を使いますけれども、まさにそのアウトリーチが、昨今では福祉行政以外の他分野でも非常に多くなっております。
要は、自治体の窓口業務は、定型的な申請事務処理であっても、申し上げたアウトリーチの必要性を察知するアンテナ機能、これが殊のほか重要になっているわけです。したがって、定型的な申請事務処理を一括して外部委託するとか、あるいは申請等関係事務処理法人に委ねるとかいったことは、現場の実情を見ますと簡単にはまいりません。
このようなことから、窓口業務に関するこのたびの法改正が果たして時宜にかなっているのかどうか、ましてや、人口減少社会における自治体間の連携強化、その連携強化の方策としてそれを役立てようとする狙いが戦略的に有効なものであるかどうか、これらの点について慎重に考える必要があるのではないかと思う次第でございます。
最初の意見陳述は以上でございます。(拍手)