坂元雅行の発言 (環境委員会)

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○参考人(坂元雅行君) ありがとうございます。
 改正法案による業者に対する監督強化の最も大きなポイントは三つになります。
 第一に、届出制に代わる事業登録制の適用によって、事業登録時と登録の更新時に登録拒否事由の確認が行われることです。これは、適正な管理を実行できる業者の選別を狙ったものだと思います。
 第二は、現行法上、任意の制度とされている管理票作成を義務化したことです。私のカラー資料の十ページを御覧ください。この絵が描いてあるページですね。
 登録業者が適法に取得した象牙を分割して新たな分割牙を得た場合は、その入手経緯を記載した管理票を作成することを義務付けられます。さらに、その分割牙を譲渡する際は管理票とともにすること、手元には管理票の写しを保存することを義務付けております。つまり、登録業者に分割と取引の経過を記録、保存させるわけです。この管理票の仕組みは、全形牙のように一本一本規制されていない分割牙についても一定のトレーサビリティーを確保することを狙ったものだと思われます。
 第三に、登録事業者に対する厳しい行政処分の権限を定めました。これまでの届出事業者に対する指示は措置命令に格上げされ、業務停止命令も期限の上限が三か月から六か月に延びました。処分事由も拡大されています。さらには、事業の禁止をもたらす登録取消しも導入されました。
 では、これらの措置により、象牙業者の日々の業務の中で密輸象牙や出所不明の象牙が排除されていくことが本当に期待できるのかということであります。私は、残念ながら実際には厳しいと考えております。
 カラー資料の九ページを御覧いただきます。先ほど申し上げた第一の事業登録時及び更新時に登録拒否事由が確認されるという点についてであります。
 改正法案の附則によりますと、新法施行の際、既に旧法に基づいて届出をしている業者は施行日に事業登録を受けたものとみなされ、登録事業者に自動移行することとされています。登録拒否事由を初めてチェックされるのは最初の登録更新時、早い事業者で改正法施行日から一年六か月後、その他の業者については施行日から三年後となります。
 調査室資料の九十六ページ、資料十六によりますと、現在届出を行っている業者は約一万四千以上ということですけれども、その大部分の業者がチェックされるのは、今からカウントすれば約四年後ということになります。これでは、適正業者の選別は随分先のこととなります。登録拒否事由のチェックがこれだけ先になってしまいますと、当然駆け込み届出が増えます。先ほどの資料十六によれば、二〇一六年の届出数が二〇一五年から倍増して千件以上の届出となっておりますが、この中には一部駆け込みが含まれると想定されます。今から施行日までの一年の間に、更に駆け込み届出は増えるのではないかと考えております。
 再びカラー資料の十ページを御覧ください。管理票作成の義務付けについてですね。
 まず、そもそも個々の分割牙のトレーサビリティーを確保するためには、それぞれの分割牙を何らかの方法で識別できなければなりません。しかし、そのための措置が改正法には盛り込まれておりません。その結果、同じような部位から切り出した同じ重さの分割牙同士は管理票の記載からは区別不可能です。したがって、管理票の付け替えをしてもまず露見することはありません。赤枠内に①と記載した問題点です。
 また、分割牙を譲渡する際は管理票とともにすることを義務付けておりますが、全ての分割牙についてではありません。改正法施行時に既に分割されていた牙は、分割時に管理票が作成されておりません。現行法上は任意の制度だからです。しかも、この扱いには期限はありません。このように、管理票が添付されていない分割牙を合法的に流通させるということになりますと、そこに違法な分割牙を紛れ込ませる大きな法の抜け穴をつくることになります。その点がこの②に示した問題点です。
 さらに、この分割牙のトレーサビリティーの確保、監視、これを考えましたときにはタイムリーな追跡情報の把握と分析が不可欠です。しかし、管理票の作成、移動、保存は全て登録業者の手元でなされますので、その実態は主務官庁には可視化されません。赤枠内の③と記載した問題点です。それにもかかわらず、改正案には、管理票の写しを譲渡しごとに提出させたり、短期のスパンでまとめて定期報告させる仕組みの定めはありません。
 最後に、第三の行政処分の強化についてです。
 確かに、かなり厳しい行政処分のメニューとなっております。しかし、主務官庁が登録業者に対してこれだけの厳しい行政処分を実際に行うかどうかについては、相当不安を持っております。
 資料の十一ページを御覧ください。現行法上の拘束力が弱い指示ですら、一九九五年の制度施行から二十一年以上の間、実績がありませんでした。二〇一六年九月と二〇一七年、今年の三月の二件だけであります。業務停止命令の実績に至っては一件もございません。従来よりはるかに厳しい行政処分が実際に執行されるかどうかについては、大きな注意を持って見ていく必要があると思っております。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 坂元雅行

speaker_id: 18120

日付: 2017-05-18

院: 参議院

会議名: 環境委員会