大石美奈子の発言 (経済産業委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○参考人(大石美奈子君) ただいま御紹介にあずかりました大石と申します。
本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
私は、先ほど最初に御発言いただきました山内先生と同じ、俗に言う貫徹委員会の委員として参画しておりました。今日のお話は原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の一部を改正する法律の案についてということではありますが、その基本となりました貫徹委員会の中に参加した消費者の代表としての意見を述べさせていただきたいと思います。
それでは、お手元にお配りしてあります資料をおめくりいただきますでしょうか。
もう既に衆議院の方は通ってしまったということではあるんですけれども、私は、そもそも今回のこの電力システム改革の中での貫徹委員会の結論というのは大変大きな問題を抱えたままでいるというふうに認識しております。
まず、そもそも第一番目の問題として、私たち消費者は、今回、電力システム改革というものに大変大きな期待を持って臨んでおりました。今まで自分の使う電気の電源、これを我々は選べないできたわけですけれども、この電力システム改革の一つの大きな目的として、電気事業者を選ぶことができる、自分が使う電源も選ぶことができるということを大きな期待を持って見ておりました。
一方、事業者の方も今までは参入できなかった発電部門及び小売部門に対して参入ができるということで、これをもって自由な競争が起きて、それがひいては電気料金の低減又は多様なサービスの提供ということで消費者への利益が増すものというふうに期待しておりました。
ところが、今回の貫徹委員会での結果をもちますと、廃炉費用、原子力発電所の廃炉費用の積立て、これが不足した場合に原子力発電所が破綻するというおそれがある、この事態を防ぐためには廃炉会計という、私たち消費者にとっては幾ら説明を受けても理解し難い理屈ではあるんですけれども、原子力を使わないことを選択した消費者にも託送料金で廃炉費用の負担を求めるという内容になっております。消費者は、自分が選びたい電力を選んだとしても、最終的には原子力発電所の廃炉費用というのを負担し続けなければいけないと。それから、参入する小売事業者にしても、自分たちは消費者の意向を受けて原子力を使わない電気を消費者に小売していこうと考えても、やはりそこで原子力の廃炉の費用というのを払わなければいけないという、そもそもの電力システム改革の目的に大きく反する内容になっていると思っております。
それから、二枚目ですけれども、今回、先ほど山内先生のレジュメの中では四つの論点があったというふうに書いてありましたけれども、その上の三つを私は今回取り上げてあります。
現在停止・稼働中の一般の原子力発電所の廃炉の費用の問題、それから一方、この大きな事故ですね、福島第一原子力発電所の廃炉の費用の問題、それから事故の賠償費用の問題、この三つが論議されたわけですけれども、今回同じ議場で論議されてはしまいましたけれども、この一番と二番、三番というのは、これはまさしく別に議論すべきものであったと思っております。なぜならば、やはり国民は今回の福島の事故に対して大変心を痛めております。費用を払うというときに嫌だと言うのはとても倫理的に反するということで、なかなか声を上げられないという実情があると思います。
一般廃炉の費用というのは、これは託送料金ではなく、原子力発電所を持つ各発電事業者が売電、電気料金の中で回収すべきものであって、もしそれで廃炉の費用が足りないというのであれば、電気料金を値上げして事業の中で賄うべきものだというふうに思っております。
一方、二番、三番の福島第一の事故の責任というのは、これは先ほど橘川先生のお話にもありましたように、東京電力若しくは国に第一義的な責任はあるとはいえ、やはりこれだけ大きな事故ですから、事故炉の廃炉それから賠償の費用が今後足らなくなるというのはもう今の時点で明らかです。それを全てどこかに押し付ければいいというふうには国民は思っておりません。復興のため、税金なのか賦課金なのか、これはこれからの議論になると思いますけれども、広く国会の場で議論をして、本当に国民全体としてどうやってそこをみんなで担っていくかということをきちんと議論すべきだというふうに思っております。
それから、三番目として、今回の議論の進め方ですけれども、消費者団体からいろいろなパブコメですとか意見も出されたわけなんですけれども、余りにも拙速。昨年の九月から始まって、十二月にはもうほぼ結論が出ておりましたし、パブコメを一応取りましたけれども、そのパブコメの内容というのが中間とりまとめにはほとんど反映されないということで、かなり国民の声を無視した拙速な進め方で決められたということに対して大変不満を持っております。
まず、貫徹委員会財務ワーキングでは消費者代表というのは私一人でした。それから、非公開で開催された東電委員会と並行して開催されて、その影響を受けつつ、短い時間で決着をしてしまった。それから、そもそも私たち、例えば何かの費用を払わなきゃいけないというときは、例えば住宅を買うにしても、自分が幾らの住宅を買って、それを支払っていくためにはどれだけの期間どういう方法で支払っていくかということを考えるわけなんですけれども、今回、その負担すべき費用というのが提示されたのはパブコメ直前の最後の委員会でした。ですので、回収の方法だけを先に議論して、じゃ実際に幾ら払わなければいけないかという数字が出されたのが最後であったということからも、今回の議論というのはとても難しかったというふうに思っております。それから、先ほども申し上げましたように、議論の途中、私以外の消費者団体ですとかNPO、NGOの多くの市民グループから何度も意見書が出されましたけれども、それについては全く取り上げられなかったことも大変残念に思っております。
ということで、今回、託送料金を使われるということに対してやはり消費者はとても大きな不安と不満を持っておりますので、その内容について述べさせていただきたいと思います。
まず、一般原子力発電所の廃炉の費用ですけれども、これ、通常炉の廃炉というのは、これを託送料金で取るというのはこれは全く本末転倒の話で、発電事業者がやはり電気料金の中で回収するのが正当であるというふうに思っております。
着実な自由化が進みますと、新電力に移る消費者が増えて着実な費用の回収の見込みが立たないので、自由化の中でも規制料金として唯一残るこの託送料金の仕組みを利用して回収することが妥当というふうな結論が出されたわけですけれども、そもそも託送料金というのは、これは託送のための費用に使われるべきであって、発電事業者の費用として回収されるというのは間違っているというふうに思っております。
発電事業者というのは別に原子力一つ持っているわけではありません。原子力二つ、三つ持っていらっしゃるところもありますし、それからそれ以外の火力、水力、いろいろな発電所を持っているわけで、その中のたった一つの原子力発電所の廃炉の費用が足らない、なのでそれを国民から託送料金で回収するというのはどうなのかというふうに思います。
廃炉をするかしないかというのは最終的にはその発電事業者が決めることであって、廃炉会計を利用したからといって必ず廃炉に結び付くというものではないと思っております。そういう意味では、もう廃炉会計のあるなしにかかわらず、やはり再稼働をするというときであれば、やっぱりそれは事業者としてはある程度の収益の見込みがあるから再稼働をするのであり、また費用を掛けて再稼働するのは事業として成り立たないと思うから廃炉を考えるのでありますから、よって、託送料金でこの費用を回収するというのは全く本末転倒だというふうに思っております。
それから、次のページになりますけれども、原子力事故に備えて確保されておくべき賠償の備え、先ほど山内委員長からもお話がありましたけど、この過去分という考え方、これについても全く消費者は納得しかねます。
通常の経済活動では、過去に積み立てておくべきだった費用を現在、未来の消費者に求めるということはあり得ないわけです。以前、話が出たと思いますけど、レストランで食事をしたときに、使っていた調味料の代金が高くなったので、あなた、その分賄ってくださいよということを決して事業者は言わないと思います。
過去分というのであれば、では、これから払っていかなければならない未来の消費者、一度も原子力を使っていない未来の消費者にはこれをどのように説明していくのか、納得いく説明ができるのかということを大変疑問に思っております。
現在、もう既に託送料金の中には託送料金以外のものが入っているのも事実です。バックエンド費用でありますとか電源開発促進税というのが含まれていることは周知のものでありますけれども、これはきちんと国会で議論されて法律で定められた中でこの送配電の部分に乗せようということが決まったのであって、今回の場合は、経済産業省の中だけですね、省令の中で議論が進み、自由にこれは省令だけで変更できるというのは、全く消費者にとっては不安以外の何物でもありません。
それから、最後のところになりますけれども、原子力発電所の事故処理費用の一部を送配電部門に賄わせるという話ですね。これについても託送料金を利用するということになっているんですけれども、この部分についても消費者としては納得ができません。送配電部門が独立し、中立的な運営をすることが求められる、これが電力システム改革の大きな一つの目的であったはずです。それを、値下げをしないのだからいいだろうと、その値下げのしない分を託送料金で回収して廃炉の、賠償の費用に充てようというのは、これはやはり値上げをしているのと全く同じことだというふうに思っております。
もっと言うならば、東京電力パワーグリッドの経営合理化分を東京電力ホールディングスの廃炉費用に充てるということは、託送料金の不正使用であって、違法ということも言いかねないというふうに思っております。
ということで、次の八ページになりますけれども、託送料金で回収することの問題点として、やはり託送料金というのはそもそも送配電事業者が送配電事業のために使うべきものだというふうに思っております。
昨年十月十二日、霞が関も影響を受けたと思いますけれども、新座洞道の火災事故が起きたことは記憶に新しいところですけれども、今後、自由化によって送配電分離をした場合には、こういう送配電部門の点検費用ですとか保守費用というのが更に掛かってくると思います。そういう意味では、託送料金というのはその託送の費用のためだけに使われるべきだと思っておりますし、あと、電気料金の四割を占めるのが託送料金なんですね。ということで、消費者にとってはこの託送料金というのは大変電気料金への影響が大きく、消費者委員会からも厳格な託送の見直しをこれまでも求められてきております。そういう意味では、今後この託送料金の適正さをどれだけ厳格に検証できるのかというところ、大変消費者としては気になっております。
また、先ほども申しましたけれども、今回のこの託送料金というのは経済産業省の省令のみで変更ができると。もし一度この仕組みが認められたならば、必要な金額が増えたという場合には、また、あってはならないことですけれども、再度このような大きな事故が起きた場合には、青天井で託送料金の中に転嫁されるということにならないかということを大変懸念しております。
そういう意味で、本当にこれが必要な金額であるということであれば、国会で論じて、税金として回収すべきであるというふうに思っております。常に国民が福島のことを忘れずに一緒にいるためにも、必ずこれを見える形で、国民に見える形で徴収していただきたいというふうに思っております。
最後に、まとめとしまして、今までお話ししてきました三つの費用ですね。今回、一般原子力の廃炉の費用にも、それから福島第一の事故炉の廃炉の費用にも、それから損害賠償の費用にも、みんなこの託送の仕組みを使って回収するという案が出されました。けれども、これはどれを取っても託送が適当であるとはどうしても思えません。一般廃炉については、これは電気料金で発電事業者が回収すべきですし、二番、三番の事故炉の廃炉の費用、それから損害賠償の費用については、これは広くやはり国会で再度議論をして、税金で求めるべきというふうに思っております。
最後になりましたけれども、事故の処理費用というのは、日本経済研究センターのまとめによりますと、さらに五十兆円から七十兆円になるとの報告も出されております。国家予算に匹敵する、百兆円の国家予算に匹敵するようなこの費用を国会の議論を経ずにここで決定してもいいものかということを疑問に思っております。このままもし強行することになれば、国民からの行政への不信感、また原子力神話ですね、今まで安い、安全だと言われてきてそれを信じてきた国民の不信感というのが更に増大することになるというふうに思っております。これから何十年、何百年と続く廃炉のものについては、将来世代にもきちんと説明できるよう、再度国会できちんと議論をしていただきたいと思っております。
以上です。