田島優子の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(田島優子君) 弁護士の田島でございます。本日は、参考人としてこの場にお招きいただき、ありがとうございます。
 今回は、労働政策審議会の委員としまして、法案策定の議論に参画してまいりました雇用保険法と育児・介護休業法を中心に意見を述べさせていただきます。
 まず、雇用保険法について申し述べます。
 今回の改正につきましては、近年大きく雇用情勢が改善しました中で、リーマン・ショック時に創設した雇用保険の暫定措置が本年度末に期限を迎えること、また昨年の雇用保険法改正後の状況も踏まえ、給付と負担の両面をどうすべきかという点について議論いたしました。
 第一の論点は、基本手当についてです。
 基本手当は、労働者が失業した際、再就職までの生活を支える最も基本的な給付金であり、リーマン・ショック時に創設された暫定措置が本年度末で期限を迎えることを踏まえて議論を行いました。
 まず、リーマン・ショック時に創設された暫定措置の扱いにつきましては、これまで二回延長されていますが、そもそも、これは厳しい雇用環境下で措置されたものであり、雇用情勢が大きく改善している現在も暫定措置として続けるべきものなのか、果たして今も必要なのか、どのような効果が上がったのか、雇用情勢いかんによらず必要なものであるならば、むしろ暫定措置を続けるのではなく恒久措置とすべきなのではないかといったことを議論いたしました。
 具体的には、現在でも一定の支給実績があることから終了すべきではないという意見があった一方で、給付日数の拡充により就職活動時期が後ろ倒しになるといった弊害があるため、このまま終了すべきという意見もありました。
 議論の結果、暫定措置が厳しい雇用環境下で措置されたものであることを踏まえ、暫定措置については所期の目的を達成したものとして一旦終了した上で、別途、雇用の実態を踏まえ、セーフティーネットの観点から必要な手当として、倒産、解雇等により離職した者で被保険者期間が一年から五年の三十歳から四十五歳の層について所定給付日数を拡充すること、震災により離職した者については給付日数を六十日から百二十日延長できるようにすることなどを恒久措置として手当てするとともに、現行の雇用情勢の下でも更に状況を見極める必要がありますことから、雇用情勢の悪い地域に居住する者の給付日数を六十日延長する暫定措置を五年間実施すること、雇い止めされた有期雇用労働者については所定給付日数を倒産、解雇等による離職者並みに拡充する暫定措置を五年間実施することという結論になりました。
 これらの措置につきましては、失業している全ての方々の給付日数を単純に延ばすというものではなく、これまでの給付による効果等を踏まえ必要な部分について措置したもので、妥当な結論であると考えております。
 第二の論点は、教育訓練給付の拡充です。
 教育訓練給付につきましては、今回、専門実践教育訓練給付の拡充を行うという結論となりました。少子高齢化が進む中で、労働者の職業能力の開発、向上が必要ということにつきましては、恐らく誰にも異論がないと思います。
 一方で、専門実践教育訓練給付は、給付額が場合によっては百万円以上という大きな額になります。他方、基本手当につきましては、離職前の賃金額や被保険者期間によりますが、それほどの額にならない場合もあります。
 雇用保険部会におきましては、雇用保険制度は失業時の生活の安定や再就職の促進が最も基本的な目的であることから、基本手当とのバランスに留意する必要があることや、教育訓練給付の濫給となることがないようにすべきとの意見が出されました。今後は、専門実践教育訓練給付の実施状況をしっかりと把握し、能力開発そして労働者のキャリアアップに資するものであるか否か、検証していくことが必要であると考えます。
 第三の論点は、財政運営です。
 財政面では、今回、雇用保険料率と国庫負担の時限的な引下げを行うこととなりました。雇用保険が失業の際のセーフティーネットであることを考えれば、その財政運営の状況は雇用情勢、経済情勢に大きく左右されます。経済情勢が悪く失業が多発するような状況下にありましては、労働者だけではなく企業にも余裕がありません。そうしたときに財政が悪化すれば保険料を上げざるを得なくなりますが、非常な困難を伴います。そうしたことをできるだけ避けるために保険料の残りを積み立てておくのが積立金であり、これはやはり過去の経験から見ましても一定規模必要です。
 ところが、雇用情勢の改善により、昨今は積立金が一定額積み上がっているのも事実です。過剰な積立ては不要ですから、その部分を還元すべきという考え方にも一理あり、そのためには保険料を下げることになります。今回、必要な給付面での手当てを行っても財政的に安定運営が見込まれるとの大前提の下で、保険料率を更に千分の二引き下げ、労使の負担軽減を行うことといたしました。こうした前提から、この保険料率の引下げは三年間に限定した措置となっております。
 またあわせて、国庫負担につきましても、過去に雇用保険料率と併せて一定程度軽減してきた例があることも踏まえますと、その軽減を行うことはやむを得ないという結論に至りました。もちろん、国庫負担を速やかに本則に戻すべきであるとの考え方が変わるものではなく、これにつきましては、雇用保険部会においても、国庫負担の引下げは三年間に厳に限定すべきであるとの強い意見が示されていることを申し添えます。
 引き続き、育児・介護休業法について申し述べます。
 今回の改善につきましては、平成二十八年八月二日に閣議決定されました未来への投資を実現する経済対策を踏まえ、雇用の継続に特に必要と認められる場合の育児休業期間の延長等を含めた両立支援策について雇用均等分科会で議論いたしました。議論の前提として念頭に置きましたことは、大きく二点ございます。
 一点目は、約八割の市区町村において待機児童数がゼロであるものの、都市部を中心に待機児童が多く見られることが今回の育児休業期間再延長の議論の背景であり、育児休業を取得した労働者が安心して職場復帰できるよう、何よりも保育所等の整備を早急に推し進めることが重要であること。
 二点目は、安倍政権の最重要課題の一つが女性が輝く社会の実現であり、女性活躍推進法が施行されて、多くの企業が女性活躍に向け積極的に取り組み、女性労働者もできるだけ早く職場復帰して様々な両立支援制度を利用しながらキャリアを積むようになり、企業もそれを支援している最中にこの流れを止めることになってはならないことです。
 この二点を大前提としまして、雇用の継続に特に必要と認められる場合の育児休業期間の延長について議論しました結果、保育所等に入所できず離職せざるを得ない労働者も少数ながら存在することを踏まえまして、緊急的なセーフティーネットの一つとして、保育所に入れない場合等に最長二歳までの育児休業期間の再延長を認めることといたしました。
 この延長は、継続就業のために真に必要な期間として利用されることが望ましいですし、あくまでも緊急的なセーフティーネットであり、労働者本人の希望の時期に職場復帰できるよう、保育所等に係る時宜を得た情報提供がなされることが重要です。加えて、必要とされる保育所等の整備がなされれば育児休業期間の再延長は不要となりますので、施行二年後を目途に必要性の検証と見直しを行うことが望まれます。
 なお、育児休業期間の延長に併せまして、育児休業給付の支給期間も最長二歳まで延長されることといたしました。育児休業期間の再延長を認めた場合、現状を鑑みれば、女性が取得する可能性が高いと目されます。このことと男性の育児休業取得率が低い現状を踏まえまして、育児休業にかかわらず、男性が休んで育児をすることを促進していく必要があることが審議会の場でも何度も意見として出されました。これを踏まえて今回の法案に盛り込まれましたのが、育児目的休暇の設定と育児休業等の対象者への事業主の個別周知の努力義務です。また、パパ・ママ育休プラスの利用率が非常に低い現状を踏まえ、パパ・ママ育休プラスの周知徹底と使いにくい要因分析の必要性についても確認されました。
 男性も育児をすることが必要かつ重要ですが、男性も育児をするのが当たり前の社会をつくり上げていくためには、育児休業に限らず、平日も育児ができるような働き方の改革が大事だと考えております。
 雇用均等分科会の場では、このほかに、労働者自身のキャリアを考えると育児休業からの早い職場復帰が望ましいこと、国が労働者本人のニーズに応じて育児休業中や復帰時に活用できる能力開発プログラムの開発や調査研究を行うべきことなどが意見として出されたことも申し添えます。
 労働政策は、何よりも労使において議論を尽くし、その合意を得て行うことが、政策の実効性を確保することから最も重要なことと考えます。今回の雇用保険法改正法案につきましても、労使が議論を尽くして合意に達し、それを基に作成されたものでございます。是非ともその点に御留意を賜りますようお願い申し上げます。
 私も、今後とも労使と議論を重ねながら、より良い労働政策の実現のために力を尽くしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 田島優子

speaker_id: 15978

日付: 2017-03-28

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会