服部万里子の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(服部万里子君) 日本ケアマネジメント学会で副理事長をしております服部でございます。
お手元にカラーの本日の参考人の資料を配らせていただきましたので、それに沿って説明をさせていただきます。
実は、申し訳ないんですけれども、ちょっとミスがありますので、先に訂正をお願いいたします。一枚開いた三ページというところの上のところなんですけれども、そこに赤の文字で金額が書いてあります。そこの単位が百億円となっていますけど、億を万に変えていただきたいんです。右と左と両方、百億円の億を百万円の方に変えていただきたいと思います。
それでは、私は、現場で利用者と向き合っている視点から意見を申し上げます。
まず、一ページ目に戻っていただきまして、介護保険の現在の受給者約五百二十万人で、それに関して、その年齢を見ていただきたいと思うんですけれども、四十歳から介護保険は使えます。でも、実際、四十から六十四歳で使っているのは全利用者の中の三%です。八十歳を超える方が利用者の七三%、三分の二は八十歳以上、八十五歳以上が半分という超高齢介護保険というのが実情でございます。
次のページをお願いいたします。
まず、介護保険の一人当たりの受給額というのは下がっているということをお話をさせていただきます。これは厚生労働省の介護給付費実態調査からですけれども、介護保険が始まった二年後、平成十四年の一か月十六万七千九百円から右の平成二十七年十五万七千円まで、一人当たりの利用金額が増えているわけではありません。人数が増えているわけです。この人数の増える割合は厚生労働省の想定内であって、想定以上に高齢化が進んでいるわけではありません。
そして、その下を見ていただきたいんですけれども、介護保険は今国が公表している十五年間ではずっと黒字が続いております。平成十二年の歳入の三兆八千億に対して歳出の三兆五千億、一番下に参りまして平成二十六年度、歳入の九兆六千億に対して歳出の九兆四千億という形で、ずっと一貫して黒字であります。
特に、平成十八年度を見ていただきたいんですけれども、赤丸が付いているところでございます。このときに介護保険は地域支援事業という、今まで介護保険のサービスというのは介護が必要になった人のサービスに使っておりました。それを介護が必要になる前の全六十五歳以上の方の介護予防に介護保険の財源を広げたものであります。このときは目的外使用であるということが随分言われましたけれども、このときの一千十八億円から平成二十六年の一千八百四十九億円まで、いわゆる介護保険の対象がここまで広げられているということであります。介護保険の財源が足りないと言われながら、このような使われ方をしているのが実態であります。それでもなおかつ介護保険は黒字が続いております。
次に、三ページの上を見ていただきたいと思います。
もう一つ注目すべきところは、先ほど財源のお話が出てまいりましたけれども、上の資料は、介護保険が始まって一年たったときの介護保険の使われ方の内容を、従来の老人福祉であった介護保険、介護福祉から移ったものと、従来医療保険で払われていた財源が介護保険で替わったものを比べたものでございます。
老人福祉で払われたものは左です。これの一千七百四十一億円から、また右は、今までは医療保険で払われたものです。それを介護保険に財源を付け替えたもの、これが一年たって一千五百十四億円です。つまり、介護保険の財源の四六・五%は、介護サービスで増えているのではなくて、医療保険から介護保険に財源を付け替えたということで介護保険の財源が増えているものであります。この内容をしっかり熟知した上で財源論を展開すべきであると私は思います。
それでは、具体的な介護保険の内容に従って意見を申し上げます。
まず第一点、保険者機能の強化、自立支援に成功をしたところに税制インセンティブを与えるという項目であります。
市町村の第七期介護保険事業計画に介護度の改善目標を設定させる。そして、地域ケア会議、これは前回の介護保険で義務化されたものです。そして、地域ケアマネジメントの標準化は、今年二月の閣議決定でこれが三千万円のお金が付いたものであります。これを通じて、いわゆる市町村に、介護度の改善を地域ケア会議、ケアマネジメントの標準化で具体化させる、そしてその結果の公表を義務化させる、地域別、年齢別、介護認定別の市町村の結果を公表させ、成果が上がった市町村にお金を付ける、これが税制インセンティブと言われる中身でございます。
さて、これに関して、次の四ページを見ていただきたいと思います。
介護保険の目的が変えられているというふうに私は思います。まず、介護保険の対象というのは、加齢に伴う様々な変化で要介護状態になった者が介護保険の対象者です。ここに保険者機能が発揮をされております。保険者が介護が必要と認定した者でなければ介護保険が使えません。そして、その目的は、能力に応じた自立した日常生活を営めるようにする、介護が必要になったとしても、自立して生活が営めるように様々の福祉サービス、医療サービスを使うんだ、これが介護保険の目的であります。この介護保険の目的を介護度の改善というところに一面化するということに関しては、介護保険の内容がここでゆがめられているというふうに私は考えます。自立支援を一面化するということは、逆に問題を含んでおります。
四ページの下を見ていただきたいと思います。
もし、介護保険の理念を自立ということに一面化をしていきますと、またそれにお金を付けるということになりますと、市町村が介護認定を厳しくすれば、介護度は落ちます、介護度別に支払われる金額は下がります。でも、それを市町村がしてしまっていたらば、自らの保険者機能をゆがめることにつながります。また、サービスの事業者さんにとっても、改善する可能性があるかどうかで利用者を選別することにもつながります。また、利用者さんにとっても、自立が強要されることによって事故を起こすということにもつながります。特別養護老人ホームの職能団体の老施協もこれに関しては反対声明を出しているところであります。
さて、次に五ページ目に移っていただきたいと思います。
介護保険の二点目に関して、介護療養型を介護医療院に変更する、これが二点目であります。このことについて私は反対するものではありません。しかし、その具体的な中身に関して、病医院を持ち、それを廃止し病床数を減らし介護医療院を開設する場合には病院等に類する文字を引き続き用いることができる、よく分からないこの表現ですけれども、これは例えば、永田町病院介護医療院という、こういう名前が付けられるということだけではありません。これは、介護保険の療養型以外の病床も、病床を減らしたりすれば介護医療院に変えることができるということを言っております。
既に御承知のように、各都道府県ごとに病床削減計画が出され、特に療養病床なり急性期病棟が多いんだということを国は言っております。こういう中で、このようになっていけば、介護医療院は、今の介護療養型六万床よりも増えていくものというふうに私は想定をいたします。このことの問題というのは、医療保険から介護保険に財源を付け替えて施設としていわゆる医療行為をやる病院を残すということにつながりかねないと思います。
三点目の問題を言わさせていただきます。
五ページの下なんですけれども、地域共生社会の実現ということで、我が事・丸ごと地域共生社会、これが、介護保険の中では共生型サービスの創設ということがうたわれております。例えば、障害者総合支援法の障害者事業所又は児童福祉法の児童福祉の事業所、これに介護保険の訪問介護やデイサービス等居宅サービスの指定を行うことができるということであります。
介護保険は保険制度です。介護保険の指定を受けた事業所が介護保険でお金を支払われることにつながります。ここにも財源を、障害者福祉、児童福祉から介護保険に財源を付け替えるということが具体化されると思います。
さらに、これは、次からは生活困窮者自立支援にもこれが使われるということが言われております。また、今は行わないかもしれませんけれども、保険というのは保険料を払っている方しか利用できないというものが原則であります。このことをきっかけとして、介護保険の支払年齢を引き下げるということにつながるのではないか、こういう懸念を私は持っております。
そして、四点目の中身に関してでございます。
六ページの上、六十五歳以上の介護保険の利用を三割負担にするということであります。介護保険は、そもそも所得に応じた保険料、必要に応じた給付というものが理念であります。それを介護保険の支払に関しても所得に応じて支払を変えるということには、私は、まず理念に反する。
例えば、私は東京の渋谷区でケアマネジャーをやっておりますけれども、渋谷区は十四段階に介護保険料を設定しております。一番下の二千五百三十三円から十四段階の三万三千七百八十三円まで介護保険料で十三・三倍の差が付いております。このように、保険料で差を付けているにもかかわらず、介護が必要になる状態に関してはその方のいわゆるお金によって介護が変わるわけではありません。にもかかわらず、そこにも介護保険の財源を持っていくことは理念に反すると私は思います。
あわせて、総報酬制に関して、下にありますように、共済組合の五千百二十五円が七千九十七円、自分のところで健康保険組合を持っている大手さんが五千百二十五円が五千八百五十二円。実は、これは今年からこの総報酬制が導入されます。私は、介護保険は三年ごとに市町村が介護保険の保険料を決めてそれで運営しているので、なぜ今年から上げるんだろうということが疑問でした。でも、それは、この財源は、このお金、増やしたお金は介護保険の給付が増えるわけではないということが明らかになりました。
その右側に介護保険の財源の構成を書いておりますけれども、その介護保険の一号、二号被保険者の中の上に第二号被保険者、協会けんぽに対する公費負担、ここの削減のためだけに今回のものは使われます。したがって、介護給付が増えるわけではない。国の財源を減らす目的にいわゆる総報酬制が導入されるということは、その理念も含めて妥当ではないと思います。
あわせて、次のページにお願いします。
今回の介護保険法と併せて、生活援助の見直しがうたわれております。生活援助に関しては介護度に関係なく介護報酬改定時に検討ということが言われております。ということは、大幅に生活援助が、介護報酬が下げられるだろうと思います。もしそれが行われれば、介護サービスを提供する事業所が減ります。事業所が減れば、それを必要とする利用者さんが、受ける方、受ける量が減ったり回数が減ります。そして、足りない分は自費で補えということになります。でも、それを払えない人はどうするのか。介護保険は、四十歳から保険料を支払って必要なときに受けられるというのが制度であります。その困っている方が受けられないということに関しては大きな問題があるということで私は指摘をさせていただきたいと思います。
あわせて、今回の介護保険の見直しの中でケアマネジャーに一割負担の導入ということもうたわれております。でも、直接の排せつ介助や入浴介助とソーシャルワークということは全く意味が異なります。その方の心身の状態とか介護度の原因とか、又はどう悪化しないようにするかとか、又は地域資源の活用、経済的な課題への対応、このようなソーシャルワークは直接サービスと違うものであって、一割負担の導入というものは全く妥当ではないと思います。そして、八ページに行きます。介護保険の利用者さんの七三%は居宅でサービスを利用されております。そして、居宅でサービスを利用されている方の負担というものを、少し飛びますが九ページに行って見ていただきたいと思います。介護保険の居宅サービスの利用者というのは、介護度別に利用額が決まっております。これが上限です。介護度五は三十六万に対して利用しているのが二十三万、六四・六%、介護度四の方は三十万に対して十八万、六一%、要支援一、要支援二の場合にはそれぞれ四割も利用しておりません。これは平成二十七年の平均利用額です。つまり、一割負担もありますし、その方がぜいたくにサービスを利用されているわけではないということを申し上げたいと思います。
そして、今、国は、自宅が無理ならサービス付き高齢者住宅ということを言っております。でも、そこには家賃が発生をします。できるだけ在宅で暮らすようにする、これが介護保険の基本的な理念であり、介護保険の報酬の削減につながるというふうに私は思います。
以上で発言を終わらせていただきます。ありがとうございました。