福島靖正の発言 (厚生労働委員会)
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○政府参考人(福島靖正君) まず、個人的な見解ということについては差し控えさせていただきたいと思いますけれども、まず、公衆衛生とは、ウィンスローの定義が一番有名でございますけれども、共同社会の努力を通じて疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的健康と能率を向上させる科学であり技術であるというふうに定義をされております。同時に、ウィンスローは、全ての住民の生来の権利である健康と長寿を得させようとするためのものとも述べておるわけであります。また、我々国家公務員は憲法に従って仕事をしておりますけれども、憲法二十五条に規定する生存権は全ての国民に保障されているものであって、これを実現するために、国は、公衆衛生についても、その向上及び増進に努めなければならない、こういうふうにされておるわけでございます。
公衆衛生は、確かに集団全体、社会に働きかけて集団全体の健康状態の向上を目指すものではありますけれども、その目指すところはやはり国民一人一人の健康のためであって、個人と向き合うことと最大多数の幸福を目指すことは本来は対立すべきものではないというふうに考えております。
また、全体の健康水準を向上させるだけではなくて、その集団における構成員それぞれの健康格差、これをいかに小さくしていくのかということも重要な課題でありまして、地域や職業あるいは経済的な背景等によって健康格差が生じることがあるわけでありますけれども、これをいかに小さくしていくのか、そのための社会環境を整備していくこと、これが重要であると考えます。
しかしながら、確かに、御指摘のように、公衆衛生の実際の場面においては個人と集団の利害とが相反する場合も生じます。そういう場合にどういうふうに対応していくかということが非常に重要な課題でございます。例えば、感染症対策において、一類感染症などに罹患した場合に、その感染症の蔓延を防ぐために法律の強制力をもって入院していただく場合もございますけれども、これはまさにその集団の、社会全体の安全、利益のために個人の権利を一定制限するというわけでありますけれども、この場合であっても、やはり人権尊重の観点から、その強制的な措置は必要最小限にとどめておるわけでありますし、また適切な説明を行うための配慮も行うと。
ワクチンの接種、例えば麻疹のワクチンのように集団全体の免疫が必要なもの、九五%抗体を持っていなければ流行を阻止できませんので、こういうものについてのワクチン接種については、やはり一人一人の御理解を得て進めていく、高い接種率を確保する必要があると思います。ただ、その場合に、やはり不可避的なリスクとしてのいろいろな健康障害の問題もございます。そういうために予防接種法においては健康被害救済制度を設けたわけでありまして、そういう面で、それぞれ一人一人の問題とそれから集団の利益が相反するような場合であってもその調整をしてきておるわけでありますし、また、その集団全体の利益向上を目指すことが、最終的にはやはりお一人お一人の利益につながる、あるいは健康につながっていく、そういうことを公衆衛生は目指していると思っておりますので、こういう公衆衛生の考え方、理念というものを国民の皆様に対して丁寧に説明して、そして御理解いただく、そういう取組を私どもは地道に行っていきたいと、そういうふうに考えております。