水野和夫の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○参考人(水野和夫君) それでは、最初にまず、二〇一〇年を境に格差が、資産でいう格差が広がってきた、その理由についてなんですけれども、これは二十一世紀の初め、二〇一〇年の前ですね、リーマン・ショックの前まではBRICSの台頭ということで、このときはカップリング論とデカップリング論が対立。デカップリング論というのは、もうBRICSが独自で成長していくんだという、これがデカップルですね、先進国と新興国はもう別々だという、そういう議論が一つあって、もう一つは、いや、そんなことはなくて、やっぱりカップリングですよと、先進国が成長して、それで新興国が追いかけていくんですよという当時対立があったと思うんですけれども、このストックなんですけど、ストックの格差というのはフローの格差が累積していくということですから、成長率にもほぼ置き換えられると思いますので、そうすると、二〇一〇年以降、今の時点で振り返ってみればやっぱりカップリング論が正しかったんだと、先進国が成長しないとBRICSも高度成長が続けられないんだということが今の結論だと思うんですね。
 二〇〇八年のリーマン・ショックで、その後、二〇〇九年に中国が四兆元の景気対策、日本円で当時四十兆円ぐらいだったと思いますが、四十兆円ぐらいの景気対策で一応中国が世界を救ったということになったんですけれども、その後、中国がじゃ持続的な成長経路に乗っているかというと、今、中国の成長率は六・七ぐらいでずっと停滞ぎみということですので、この理由は、先進国が成長していかないと、やっぱり新興国は独自で内需発展のモデルでは成長できなかったということだと思うんですね。
 何で、じゃカップリングなんだ、カップリング論が振り返って今から正しいんだとすると、世界全体の成長というのは、結局いつの時代もそうだと思うんですけれども、全部が成長したことなんて一度もないんですね。特にどの時代も、二十世紀も十九世紀も、もうずっと遡ると、成長する人とそうでない人、フランス革命の後は成長する人が圧倒的に増えたんですけれども、でも、それでもやっぱり第三世界で取り残される人たちがいたということですので、そうすると、二〇一〇年以降というのは、元々、資本主義が持っていた成長する人としない人、それがリーマン・ショックによってより明らかになってきたということじゃないかなと思います。それから、資本主義が七十二億人を、今でいえば七十二億人を全員豊かにするシステムではないということが大きな原因だと思います。
 後半の、今八人で日本円に換算すると一人六兆円ぐらいになるんですね。八人が四十八兆円持っていますので、一人六兆円。その八人の分布を見ると、多い人で八兆円、少ない人で四兆円でした。全部が欧米の人ですね、アマゾンとかザッカーバーグとかビル・ゲイツですね、こういう人たち。でも、日本はその八人の中に入らないかというと、ちょっと不確実ですから余り特定の名前はあれですけど、たしか二兆円持っていらっしゃる、資産で、人はいらっしゃると思いますので、これは株高が進めばすぐに二兆が三兆、これは三万円にならないといけないのかも、日経平均がですね、ならないといけないと思いますが、あと何年かたつと、日本でも八人の中に一人入ってくる可能性は十分あると思いますので。
 日本の格差は、所得では生じないと思うんですけれども、資産の継承ですね、相続によって資産格差がどんどん広がっていくという状況だと思いますので、格差による、貯蓄率ゼロなのに、マネーストック、八百兆円のマネーストックでいつも三、四%増えているという、二十数兆円が増えているんですよね。
 だから、この二十数兆円というのは、勤労者所得ではもう発生しないはずなのに二十兆から三十兆円預金が増えていくというのは、一つは資産、資産市場、資産価格をいっぱい持っている人、それを売却して預金に換えるということが一つと、それからもう一つは、六千万円以上あるのに一律年金が年数百万円、使い切らない、一生、預金口座、年金の移動が全くない人ですね、そういう方が金融機関にはかなり存在するということですから、それが世代交代のときに次世代に渡るということですので、日本の格差は私は資産格差で生じているんじゃないかなと。日本でも資産格差については広がっていると思います。

発言情報

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発言者: 水野和夫

speaker_id: 9924

日付: 2017-02-08

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会