熊谷晋一郎の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(熊谷晋一郎君) 私は、中間層が没落している今のタイミングというのは、一方では連帯のチャンスだと思っているんですね。つまり、あした障害者になるかもしれないというリアリティーを、少なくとも潜在的には中間層を含めた多くの国民が感じ取っている、不安を感じている。ところが、その不安が防衛機制というか、ちょっと転化されてしまって、その不安を無視するかのように、より弱い人を排除したりですとか、小さくなりつつある椅子取りゲームを奪う他者に暴力を振るったりですとか、そういう方に向かってしまっている。ですから、ベースはもしかするとかつて以上に連帯のチャンスであるような構造がある。実は、その障害者が以前から抱えてきた不安と地続きの不安を中間層も含めて共有し始めている兆候なんじゃないかというふうに考えているんですね。
その先どうやって中間層を取り込むかという、つまりこの問題を普遍主義化するかというのは私もいつも頭をひねっていて、私は対話の力というものをやはりすごく重視しているので、例えば暴力の加害をしてしまう人たちと当事者研究をしたりですとか、そういった不安を見詰める作業ですよね、人に暴力的に転嫁する前にちょっと立ち止まって自分の不安を見詰め直すような文化というものをあまねく広めていきたいというふうに、力不足ではあるんですが、細々とやっているような状況なんですね。
そういう意味では、当事者研究の普遍化という、これまでは障害者が当事者研究をやる担い手だと思われてきたんだけど、最近はサラリーマンの当事者研究とか非正規の当事者研究やホームレスの当事者研究も始まっていて、少し他者に攻撃のやいばを向ける前に自分を振り返ってみようというふうな、そうすることで少し連帯とか共感という回路が開かれるんじゃないかというふうなことを今考えているところです。