樋口美雄の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(樋口美雄君) 非常に難しい御質問だろうというふうに思いますが、客観的に考えたときに、転職率、企業間の移動というものについて見ますと、国際的にはやっぱり低いというのは事実だろうというふうに思います。ただ、それが若者を中心に上がってきた、あるいは、例えば情報関連の分野においては、IT関連の分野においては、専門的な仕事において流動性というのは必ずしも低いわけではないというようなことというのもあるかというふうに思います。
 その上で、雇用の流動性というのがやはり産業構造の中での問題点ということではあるかというふうに思うんですが、日本全体の経済力あるいは生産性を向上させるのかというようなところについてはそう短絡的には考えられないんじゃないかというふうに思っておりまして、といいますのも、今想定されているのは、生産性の低いところから労働者が高いところに移動することによって全体の生産性が向上するんじゃないか。
 ところが、現在考えてみますと、どこが雇用をつくり出しているんだろうかということを考えますと、御指摘のように、医療、介護といったものは非常に大きなウエートを占めるようになってきました。ここの分野というのは、例えば保険制度とかということが強く関連するようなところでございまして、必ずしも自由経済だけでは動いているわけではないというようなことから、そこについての改革をどう進めていくのかというようなことがあるかなというふうに思います。ですから、単に労働市場が流動化すればそれによって日本の全体の生産性が向上しますというふうに胸を張って言えるような状況ではないんではないかというふうに思います。
 それと、先ほど御指摘のように、製造あるいは建設というのが雇用を減らしてきた。建設の方はほかの国では必ずしもそうではないというところは、一つは、民間とそれと公的な投資に伴う比率を考えますと、日本の場合かなり公的な比率というものが建設需要の中で多かった、公共事業だというふうに思いますが、それがずっと財政の削減の中においてウエートを下げてきたということが建設全体の需要の低下というものに日本ではなっていたというふうに思います。ここのところその様相が大分また変わってきたというようなことから、逆に建設のところで人手不足というようなものが起こっているというようなことがあるかと思います。
 それとの関連でいいますと、こういう男の比率の高い産業、要は建設とか製造の場合、男性の比率が社員の中で圧倒的に高い。ここが雇用を減らして、逆に医療、介護のような、あるいはサービス業のような女性の比率の高いところが雇用を増やしていくと。その結果として、日本では、最近見ますと、男性の雇用の伸びというのはほとんど起こっていない、逆に女性の雇用が拡大していくということで、いつの間にか、アメリカと日本を考えますと、アメリカの方は女性の就業率がずっと落ちてきている、この十年間で五%落ちました。その結果、日本の方は逆に上がったということで、日米が逆転したというようなことがここ三年ぐらい公的統計で確認されます。それがゆえに、アメリカではもっと雇用をというような動きというのがあるんだろうと。それが失業の増加ではなく非労働力化という形で起こっている。
 要するに、職探しもしない人たちが増えるという形での問題があるわけでありまして、ただ、女性の比率、女性の働く人たちが増えているという、その圧倒的なところはやっぱりパート、非正規雇用の増加という形で起こっているわけでありまして、ここの意欲と能力をいかに高めていくのか。そのためには、やはり長時間労働というのが正社員になりたくないというような人たちを増やしているというようなことも事実でありますので、それについて働き方を考えていくという必要があるのではないかということだと思います。

発言情報

speech_id: 119314324X00320170222_023

発言者: 樋口美雄

speaker_id: 1884

日付: 2017-02-22

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会