上野明子の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)
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○参考人(上野明子君) グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン事務局次長の上野明子です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
お手元に配付資料がございます。こちらの二ページに記載されていることにつきまして、これからお話し申し上げます。
三ページ、GCNJの設立の経緯へ参ります。
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、略してGCNJは、二〇〇三年に任意団体として国連広報センターの内部に組織化され、その後独立しまして、二〇一一年から一般社団法人として活動しています。会員は順調に増え続けておりまして、今年度三月末で二百四十一団体になっております。
四ページを御覧ください。
GCNJのようなローカルネットワークと呼ばれる組織が世界に八十ほどあります。我々の役割は国連グローバル・コンパクトの十原則に、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、そして腐敗の防止とSDGsの実践を通じてサステーナビリティー戦略の実践を目指す企業や組織に対して、学習、協働、発信を促す場として機能することです。
少々飛ばしまして、次に七ページの方に参ります。
どのようなSDGsに関して活動しているかということをまず歩みとして挙げております。二〇三〇アジェンダ採択からこれまで、主なことだけでもここに記載していることをいろいろやっておりまして、ただ企業向けの勉強会だけでなく、NGOや政府、アカデミアと連携した活動をたくさん行っています。直近では、地球環境戦略研究機関、IGESと一緒にSDGsの実態調査、動き出したSDGsビジネスというものを発行しておりまして、この間のSDGs推進本部円卓会議でも配付しております。
それでは次に、SDGsに関わる活動の主なものを御紹介します。八ページを御覧ください。
GCNJは、昨年から、このSDGs、まだ日本での認知度が低いものですから、この認知度を上げるということに加え、実践を促す活動に重点をシフトしてあります。その中の一つの大きな役割を負っていますのは、会員企業の有志で構成されるタスクフォースというもので、ここの八ページに記載されているようなことをやっております。
次に、九ページの方を御覧ください。
いろいろやっているということを記載しておりますけれども、ここで認知を上げるために会員向けでなく一般向けにもSDGsとは何なのかというセミナー、シンポジウムをしておりまして、この一年間でも国連広報センター、KPMGジャパン、日経BP、日本経済研究センター、SDGs市民社会ネットワーク、JICAなど様々なアクターと一緒に共催を行って、認知度を上げるように努力してきております。
続きまして、十ページを御覧ください。
このSDGsの実践のためにはコミュニケーションツールというのも大変重要だと考えておりまして、国連グローバル・コンパクトが出版したSDGコンパスやSDGインダストリーマトリックスというものを邦訳して公開することで関連セクターのアクションを促しています。特にSDGコンパスというのは、SDGsに取り組む企業の、団体のバイブルになっております。このような活動が今メディアでも数多く取り上げられるようになっておりまして、参考資料の方にも掲載させていただいております。
十一ページに移ります。
その認知度から実践へという活動の中で政府とどのような連携をしているかということを、この一年間でやったことをここに記載しておりまして、御存じのように、SDGsというのは企業個社単体で実現するのは大変難しい問題でございまして、政府はその大変大切なパートナーだと考えております。ここに記載しておりますように、SDGsの推進本部円卓会議や環境省のSDGsステークホルダー・ミーティング、経済産業省の持続的成長に向けた長期投資研究会などを始め、様々な場でGCNJの理事や事務局員が委員を務めて協議を行って、プライベートセクターのインプットを意見とさせていただいております。
その一環としまして、政府にどのような提言をしてきたかということが次のページに記載されています。ここでは、昨年、G7サミットのときに提言した内容とSDG推進本部の円卓会議に二度にわたって意見表明したものを載せております。
昨年十二月に、御存じのように、円卓会議のインプットが反映された政府からのSDGsの実施指針というものが発表されております。ですが、ここで緑色太字でマークしているところの箇所ですが、ここの点に関しては議論がまだまだ必要だというふうに認識しております。私ども、日頃、国連グローバル・コンパクトとのやり取りの中で、日本からの情報発信が不十分であるということ、それが課題だということを痛感しておりまして、この点はこの後再度触れたいと思います。
ここまでGCNJのSDGsへの取組状況について申し上げましたが、十三ページから、推進上の課題について申し上げます。
これは、さきに申し上げましたGCNJのSDGs推進取組状況の実態調査から出てきた政府に関する回答でございます。私ども、ODAに限った質問というのはないんですけれども、このグラフ一というのをまず見ていただきますと、SDGsを推進する上で最も影響力のあるセクターというのが政府という回答が四一%と圧倒的に多かったということが分かる反面、グラフ二は、課題として、四十四団体、三〇%が政府の方針徹底、関与が希薄と答えています。この回答、この政府に関する課題認識は二〇一六年の質問で初めて上がってきたものでございまして、政府の動きを待って企業の取組が停滞してしまうということがあるように見えます。つまり、調査は企業への訪問聞き取りも含んでいて、実際、フェース・ツー・フェースで意見を聞いたりしている中で、やはり政府の動きを待つという姿勢が如実でございまして、このヒアリングの過程でその辺が課題かなというのを私たちも認識しました。
さらに、十四ページですが、パートナーシップに関わる課題を挙げております。SDGsの推進においてはパートナーシップが大変重要だということはあらゆるところで強調されていますが、企業がSDG推進の重要なパートナーとして選ぶのが、政府が最もやはり多かったんですけれども、このグラフ三ですね、しかし、グラフ四を見ますと、実際にここ一年連携したのはどこかといいますと、政府は五番目でそこまで多くなく、企業が重要だと認識しているパートナーと実際の取組先に乖離があるということがあるかと思います。このような点が、この実態調査から政府関係で私どもが認識した課題でございます。
続きまして、課題だけですと企業というのはなかなか動きにくいものなので、企業を動かす上でどのような事業機会の提示があると分かりやすいかということを十五ページ、十六ページの方で挙げております。どちらもGCNJ会員企業さんの事例です。
十五ページでは、損保ジャパンホールディングスとJICAの協業事例を挙げておりまして、これ、金融サービスが開発途上国の援助に役立っている好事例だと認識しています。また、国連開発計画にも承認され、活動が加速しています。ここに出ているようなことがどんどん打ち出されています。よく言われますマイクロファイナンスもそうなんですけれど、特定のセクターができるサービスを分かりやすく示すことで、他企業もSDGへの取組のきっかけを見付けやすいのではないかと思います。
また、十六ページでは、大阪にあります会社のサラヤのウガンダでの事例を挙げています。これは、やはりユニセフと一緒に協業したことで、ローカルな政府そしてNGOとの連携ができて、サラヤ一人ではできなかったものがうまくいったというふうに実際聞いておりまして、このような連携事例というのを企業側に分かりやすく示していくということが重要かなというふうに思っております。
十七ページ、十八ページは、このような事業機会は企業にとって可視化されているということが重要だということで、それをサポートする調査レポートとして挙げております。
これは、一月にビジネス・アンド・サステーナブル・ディベロップメント・コミッションがベタービジネス・ベターワールドというものを出しておりまして、これによりますと、食糧と農業など四領域六十のホットスポットで開発途上国の社会的課題に取り組むことで大きな経済効果を生むというふうな算定がされています。これは一つの調査レポートでございますけれども、企業を動かすにはこのように有望な事業ターゲットというのを整理して数字で示すということが重要かという点から、今回参考として引用しております。
このレポートのいい点は、十八ページでちょっと述べておりますけれども、イノベーションを通じて事業を展開して事業を拡大していくということが開発途上国の抱える栄養、健康、教育、ジェンダー、雇用といった社会課題の解決につながるということを示唆している点ということで、こういったことを事業とのつながりで示すことが企業にとって行動を促す一つの契機になるかと思います。
最後に、十九ページへ参ります。
ここまで、GCNJの活動と、日本企業がSDGを推進する上で抱えている課題の一端と、企業を動かすモチベーションになるヒントについて触れてまいりました。こうしたことを踏まえまして、最後に、日本政府のODA政策への要望について申し上げます。五点ございます。
まず、さきの資料でも挙げましたように、イノベーション領域を重点的に拡大することで、過去の事業領域ではカバーできなかった新領域を通じた援助を今後目指していくべきかと考えます。日本企業の強みを生かし、昨今の人道支援の領域ではドローンや顔認証、サイバー技術などITがどんどん課題を解決しているような姿をODAでも目指すべきではないかと思います。そのためには、非ODA資金とほかの資金のカップリングといった工夫を促進してはどうでしょうか。単にODA資金を増やせということではなく、ほかの資金をうまく活用するということが重要かと存じます。
次に、二点目としまして、援助がSDGsの精神である誰一人取り残さないことに合致し、児童労働、環境破壊などのネガティブインパクトを引き起こさないということを担保できるシステムを実現する、単にそこで協力して終わりではなく、ちゃんとそのインパクトを測っていくような仕組みが必要かと思います。
三点目としまして、過去の南南協力では見えにくかったかと思いますけれども、関与するアクターが、そこで協力に入っていく企業について理解しているパートナーシップとなるようなマッチングの仕組みの提供が重要かと思います。それぞれが良いものを持っていても、このマッチングがうまくいかないとパートナーシップが失敗するということもあるかと存じます。
四点目としまして、JICAなどの仕組み、これ大変すばらしいんですけれども、適用範囲がやはり限られていたり、分かりにくかったり、まだ企業に知られていなかったりという点で、この辺をもっともっと企業に知ってもらうように情報をどんどん流していただくということと、その頑張っている企業に対して評価をもっと開示していくようなことも考えることが必要かと思います。
最後に、さきの政府への提言でも触れておりますが、日本はいろいろいいことをしていても国際的な立場での発信がまだまだ不十分です。黙っていると理解されません。被援助国とのコミュニケーションは言うに及ばず、ウエブなどを通じた世界の情報発信を強力に実施すべきかと思います。
以上で私の意見を終わりといたします。御清聴ありがとうございました。