山川秀正の発言 (農林水産委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(山川秀正君) ただいま御紹介を受けました農民運動北海道連合会の委員長をしております山川秀正といいます。
 まず、自分の農業経営の話から始めたいと思いますけれども、私自身は、一九七一年ですから四十六年前に就農をいたしまして農業経営をやってまいりました。私の住んでいるところは十勝管内の音更町、北海道の畑作地帯の中心地ということで、そこで畑作経営と野菜の複合経営をやっていると、そういうことであります。
 共済制度については、私自身、先ほど高橋参考人のお話を聞きますと、当然加入の米麦が始まったのは昭和二十二年、私どもは畑作の中心地ですから、私が農業を始めたときには畑作共済制度はありませんでした。昭和四十九年、一九七四年に畑作共済制度がスタートして、そのスタートといいますか、一九七四年には試験共済でありました。五年間試験段階を経て本格実施と、その試験段階から畑作共済に加入をして、当然、今お二人からお話がありましたとおり、制度の内容の改善等々をそれこそ農民として求めながら農業を続けてきたと、そういう状況でございます。
 去年は非常に、何といいますか、今お話ありましたとおり、相次ぐ台風の襲来、それから天候不順ということで大変な年でした。この大変な年を乗り切れたのは、取りも直さず共済制度、農作物共済と畑作共済、そしてナラシ対策があったからであります。
 それで、私の、自分の経営を基に収入保険とどんな状況になるのかということをちょっと比較してみたいなと思って、付け焼き刃で比較をいたしました。去年、先ほど言いましたとおり、被害を大きく受けたということもありまして、共済金等々の支払のない時点での収入は三千三万二千円と、約四十ヘクタールの経営ですから十アール当たり八万円を切ってしまったと。しかし、畑作共済、麦の共済、ナラシ対策、それぞれ、畑作共済が六十五万四千円、麦共済が三百四十七万六千円、ナラシ対策百七十万七千円、これを合計しますと三千五百八十六万九千円ということで、下にこの五年間、昨年を含まない、五中五の平均数字も含めてということでここに載せてあります。二〇一五年が四千五百二十三万円、ここは史上最高の大豊作ということでありました。それで、五年前が、二〇一一年が三千五百三十五万円という形で、これを今収入保険制度で言われている五中五で平均しますと、三千七百六十六万四千円なんですよね。
 それで、ちょっと収入保険と比較をしようということで、今言われているように、私ちょっとここで大きな計算の間違いをしたというか、収入保険を過大評価したと言ったら怒られるんですけれども、収入保険はその五中五の平均収入の九〇%を引き受けるということですから、収入保険で引き受けるのは三千三百八十九万七千円、それでその九〇%引き受けたうちの九〇%支払をすると。九九の掛け算の一番最後、九、九、八十一ですから、そうすると三千五十万七千円にしかならない。去年みたいな大災害を受けて単純に比較させていただきました。去年、現行制度では三千五百八十六万九千円、収入保険、今の制度設計でスタートしたとしても三千五十万七千円ということで、その差額は五百三十六万二千円ということですね。非常に、何といいますか、現行の共済制度の方が収入保険よりも私の経営には合っている、畑作地帯にも合っているというふうに率直に申し上げておきたいと思います。
 そうした点から、三つの点について、私は意見を述べたいと思っています。
 一つは、収入保険制度、農家の減収をカバーできないと。
 昨年、北海道への四つの台風の襲来で、十勝でも甚大な被害を受け、畑作物も大幅な収量が減少しました。しかし、この被害で離農に追い込まれる農家はほとんどいませんでした。これは、現在の農業共済制度が発動され、減収分の九割を補填するナラシ対策があったからであります。その面では現行制度に感謝をしております。
 現在の共済制度は、小麦、バレイショ、ビート、大豆など作物ごとに基準が決められ、その基準よりも減収となった場合、作物ごとに発動されます。例えば、小麦とバレイショは平年並みだったがビートと大豆が被害を受けた場合、小麦やバレイショの収量に関係なく、ビートと大豆の分については共済金が出ることになっております。そして、ナラシ対策は収入全体の減収分の九割を補填しますので、最大九九%を補填することになりますので、近年天候不順が続く中で、畑作農家を営む上でセーフティーネットの役割を果たしています。
 しかし、今審議されている収入保険制度は、九割補填といいながら、実際には九割の補填をカバーする制度設計ではありません。最大で八九%、多くは八一%にしかなりません。現在の農業共済制度とナラシ対策よりも補填が下がる仕組みをなぜ導入しなければならないのか、私たち農業者も農協も、そして地元の共済組合も、誰も望んでいないのではないか、こう考えます。
 十勝や北見・網走地域の多くの畑作農家は、収入保険に加入するよりも現行の農業共済制度とナラシ対策の方がいいと言っております。網走地域の小清水農協のシミュレーションでは、どの農家も収入保険に入らない方がいいということになったそうであります。しかも、補填基準は五年の平均となっていますので、これまでの上と下を除いたものではないために、損害や価格下落で減収となった場合、どんどんと基準価格が下がることになってまいります。
 二点目、負担が増えること。
 ナラシ対策があることで、北海道は、昨年、小麦が減収となりましたが、補填が発動され、今年に入ってからの入金でしたが、大変助かっています。
 このナラシ対策は、私ども農業者の負担が二五%、残りを国が持っていただいております。ところが、収入保険制度では、積立分には二五%ですが、保険分、いわゆる掛金での負担は五〇%となりますので、掛金は増えて補填は減少されることになるので、二重の減収となるということであります。今、稲作や畑作農家にとって全く安心できる制度ではないと思います。
 ただ、農業共済制度やナラシ対策の対象外となっている果樹や価格安定対策に加入できない野菜などにとっては、新たな制度ができるので助かると思います。したがって、現行の制度対象外の農家が入れる制度として一定の安心感をつくることにはなると考えております。
 ですから、現行の農業共済制度とナラシ対策はそのまま維持して、その対象外になっている農業者に限定した収入保険制度にすべきではないかと考えております。
 三点目は、加入者を限定すべきでない。
 収入保険制度の加入要件は、青色申告に限定されています。その理由は、帳簿の信頼度が高いというものですが、白色申告も現在記帳が義務化されており、帳簿の信頼度という曖昧な根拠では、白色で申告している農業者を脱税しているかのような印象を与え、国が言うべき発言ではないと考えます。農業者を差別するような政策はすべきでないと考えます。
 農水省は、収入保険は二割から三割の農家が加入すれば十分だと私どもが三月にレクチャーを受けたときに述べておりましたが、国は、農業所得向上ということで、これまで七本の農業競争力関連法案を提案し、可決してきました。所得向上につながらない農業保険法、収入保険制度をあえて導入する意味が全く分かりません。近い将来、国内の農業者は、現在の農家戸数の二割から三割まで減少しても構わない、そういう視点での発言なのでしょうか。
 現行の農業共済制度とナラシ対策を維持すべきだと考えます。収入保険制度が導入されたら、共済金の掛金が増え、補填は減少され、農済制度が後退するのではないかという多くの農業者の不安に率直に応えていただきたいと思います。現に、農作物共済の当然加入や無事戻しの廃止などが既に提案されております。現行制度よりも事実上所得が減少する制度が必要だということができるのか、甚だ疑問であります。
 したがいまして、現行制度対象外の農業者が安心して営農できる制度に限定すべき、収入保険についてはこういう意見を述べさせていただきます。
 大変どうもありがとうございました。

発言情報

speech_id: 119315007X02020170613_228

発言者: 山川秀正

speaker_id: 24053

日付: 2017-06-13

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会