藤末健三の発言 (本会議)

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○藤末健三君 私は、ただいま議題となりました組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案について、法務委員会での審議を打ち切り、委員会採決を封殺し中間報告を求めるという暴挙とも言える動議に対して、民進党・新緑風会を代表して、怒りを込めて反対の討論をします。
 今、私は、議会制民主主義の形骸化の岐路に立たされていると、大きな危機感を持ってこの演壇に立っております。今国会においては、森友学園問題、加計学園問題、天下り問題、そしてこの共謀罪法案と数多くの議論すべき課題がありましたが、この参議院では十分な議論が全く行われておりません。良識の府、再考の府、そして熟議の府としての参議院が役割を十分に果たしていないと危惧します。
 まず、森友学園問題では、大阪の学校法人森友学園が評価額九億五千六百万円の国有地を一億三千四百万円で購入したことについて、差額である八億円の値引きが適正であったかどうかが問われています。この八億円の値引きをめぐっては、何らかのそんたくがあったのではないかと国民から疑惑の目が注がれています。また、財務省が特例で森友学園と定期借地契約を結び、定期借地契約後に購入するまでの詳細な手順書を学園側に渡すなど、財務省の積極的な関与を疑わせる事実が浮上しました。
 政府・与党は、当初、野党が求めていた籠池氏の参考人招致に対し、民間人の招致には慎重であるべきとの姿勢を示していましたが、籠池氏の総理に対する批判的な発言を受けるや否や、総理に対する侮辱として籠池氏の証人喚問を決めました。総理に対する侮辱などという理由で民間人を証人喚問するというのは前代未聞であります。
 しかしながら、政府は、交渉の経緯や八億円の値引きの積算根拠などを我々参議院に対して一切提示をしておりません。かたくなに事実を明らかにしようとしなかった安倍政権は、参議院を軽視しているとしか言いようがありません。また、このような政府の対応を容認している与党の皆様は、自ら参議院の地位をおとしめていると言わざるを得ません。
 また、国家戦略特区を利用した加計学園の獣医学部新設についての疑惑が全く解明されていません。国家戦略特区の制度上、総理が指導力を発揮するのは当然のことでありますが、その手続は公平公正でなくてはなりません。しかしながら、調べれば調べるほど、初めから加計学園ありきだったことが明らかになってきています。岩盤規制に穴を開けると勇ましいフレーズを掲げながら、実際には身内向けに恣意的に制度を利用しているのではないか、このような疑いがますます濃厚になってきています。
 文部科学省の前川前事務次官は、総理の御意向や官邸の最高レベルが言っていると記された文書の存在を明らかにしました。これが事実であれば、公正であるべき行政をゆがませる政治的圧力が存在した証左にほかなりません。そのゆがみは厳正に正されなくてはなりません。
 しかし、信じられないことに、報復あるいは脅しのように前川前次官個人についての記事が新聞に掲載されました。時の政権が意に沿わない人間の私生活を調べ上げ、新聞を用いてスキャンダルのように仕立てて人格攻撃を行ったのであれば、これは絶対に許される行為ではありません。
 加計学園獣医学部新設問題で総理の意向と書かれた文書の存在などを告発した文部科学省職員についても、義家文部科学副大臣は、国家公務員法違反になり得ると、告発者の処分の可能性を示唆しました。報復をちらつかせ、告発したければしてみろと言わんばかりのこの姿勢を見るにつけ、この政権下で共謀罪という国民の人権に深く関わる法律が抑制的に運用されるとは全く思えません。
 さて、中間報告については、国会法第五十六条の三には、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは中間報告を求めることができると記されています。この特に必要があるときという意味は、どのように理解したらいいんでしょうか。特に必要があるときは、与党の御都合があるときと解釈すべきなのでしょうか。特に必要があるときとは、官邸からの強い要請があったときと解釈すべきなのでしょうか。特に必要があるときとは、選挙対策上どうしても必要があるときと解釈すべきなのでしょうか。
 昭和三十八年七月五日、第四十三回国会において、当時、与野党五会派が次のような申合せ事項を確認しました。
 参議院の各会派は、議院の正常な運営を図るため、少数意見の尊重と議員の審議権確保に留意するとともに、議院の品位と秩序の保持に互いに協力することとし、次のとおり申し合わせる。一つ、議案の中間報告は、審査につき委員会中心主義を採用している今国会法の趣旨に鑑み、みだりに行わないものとすること。二つ、中間報告に関連し、本会議の運営が混乱した実情に鑑み、このような中間報告は行わないように努力するとされています。
 果たして、今議会におけるこの中間報告を求める動議は私が読み上げた申合せに照らしてかなったものでしょうか。答えは明らかに否であります。
 今まさに政府・与党が強引に推し進めようとしている組織犯罪処罰法案の審議は、中間報告を行うべき状況にあるとは全く言えません。事実、我々民進党を始めとする野党は、紳士的に委員会運営の協議を行い、委員会審議を通じてこの共謀罪法案の問題点を明らかにすべく、極めて論理的な質問を重ねてまいりました。中間報告という手法を取らざるを得ないような著しい遅延は全くなく、粛々と法案の瑕疵を追及してきたのであります。にもかかわらず、中間報告によって委員会での審議そして採決を飛ばし、この本会議場で議決することは、良識の府、再考の府である参議院を軽んじる暴挙にほかなりません。
 そもそも、法務委員会での共謀罪法案の審議時間は十七時間五十分と、全く足りません。共謀罪は内心の自由を侵す可能性が指摘されており、国民に根強い不安があります。法案に対する不安の解消は政府が担い、主として大臣が分かりやすく丁寧に説明しなければなりません。
 しかし、政府・与党は、詭弁を弄し、政府参考人の委員会出席を強引に決めて説明させ、自らに都合の良い事実のみを述べさせ、いたずらに時間を浪費しています。相手をおとしめ、的外れな答弁で議論を骨抜きにしていたずらに時間が過ぎるのを待つ姿は、憲政史上例を見ないほど不誠実な答弁姿勢だと言わざるを得ません。
 こうした安倍政権の傲慢な態度は、議論の焦点をずらすための常套手段であることが国民の皆様にも浸透し始めています。イギリスのマーガレット・サッチャーは、民主主義の眼目は率直で力を込めた議論であるとしています。安倍政権の姿勢は、国会での論戦を重ねることの意味や価値を軽んじるものであります。民主主義の根幹を揺るがす危険な態度にほかなりません。
 私はあなたの意見には反対だ、だが、あなたがそれを主張する権利は命を懸けても守るという……

発言情報

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発言者: 藤末健三

speaker_id: 22845

日付: 2017-06-15

院: 参議院

会議名: 本会議