井手英策の発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(井手英策君) まず、そもそもの話としまして、市場化をすれば経済が成長するのか、人々の所得が増えるのかということを考えなければいけないと思います。私の知る限り、一九六〇年代、七〇年代、八〇年代というように、先進国ではなく世界全体の経済成長率を見てまいりますと、実は、新自由主義化が進む七〇年、八〇年、九〇年、二〇〇〇年、年を追えば追うほどに平均的な成長率は下がっております。したがいまして、まず、そもそもの問題として、自由化、市場化が経済の効率化あるいは経済成長、所得の増大につながっていくかどうかは自明ではないということを確認する必要があると思います。
 二つ目に、市場化が目指すものは価格の競争だと思います。したがって、同じサービスをできるだけ安い値段で提供するということに力点が置かれようかと思います。しかしながら、その場合には品質的な保証は行われない、あるいは供給の規模自体が企業側のロジックで決まってしまうということではないかと思います。反対に、価格の競争ではなく、質を競争させるという視点があろうかと思います。それは、同じ価格のサービスをより高い質で提供していくというような、こういう競争であります。とするならば、市場化によって価格の競争を図るのか、あるいは、そうではなく、公的なコントロールの下で質的な競争を促していくのかというのは、一つの論点たり得るのではないのかと思います。
 では、なぜ二つの効率性、二つの競争がある中で、経済的な効率性や価格の競争が選択されるのか。それは、たった一つ、予算制約だと思います。すなわち、この国の財政にはお金がないということではないのかと思います。したがいまして、質的な競争を目指す、あるいは質的なコントロールを充実していくのであれば、やはりこの予算制約を突破していくということが重要である。
 今までのように、成長に頼って経済を成長させて予算制約を緩和するというのがこれまでの考え方ですが、私はそれはもう不可能だと考えています。したがって、人々が応諾可能な増税の仕組みをきちんと提示しながら、そのお金を社会保障の充実や質的な競争のために使っていくという視点を提示できるかどうかが問われているように思います。

発言情報

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発言者: 井手英策

speaker_id: 29980

日付: 2017-03-09

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会