予算委員会公聴会
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会
会議録情報#0
平成二十九年三月九日(木曜日)
午前九時開会
─────────────
委員の異動
三月八日
辞任 補欠選任
太田 房江君 中西 哲君
こやり隆史君 佐藤 啓君
高橋 克法君 阿達 雅志君
中野 正志君 中山 恭子君
山田 修路君 藤木 眞也君
儀間 光男君 清水 貴之君
福島みずほ君 山本 太郎君
行田 邦子君 松沢 成文君
三月九日
辞任 補欠選任
阿達 雅志君 高橋 克法君
佐藤 啓君 こやり隆史君
中西 哲君 今井絵理子君
山田 宏君 小野田紀美君
仁比 聡平君 井上 哲士君
浅田 均君 藤巻 健史君
松沢 成文君 薬師寺みちよ君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 山本 一太君
理 事
石井 準一君
中泉 松司君
二之湯 智君
長谷川 岳君
三原じゅん子君
福山 哲郎君
舟山 康江君
竹谷とし子君
辰巳孝太郎君
委 員
阿達 雅志君
青山 繁晴君
朝日健太郎君
有村 治子君
今井絵理子君
上野 通子君
小野田紀美君
こやり隆史君
古賀友一郎君
佐藤 啓君
酒井 庸行君
高橋 克法君
中西 健治君
中西 哲君
中山 恭子君
長峯 誠君
藤木 眞也君
三宅 伸吾君
元榮太一郎君
山田 宏君
吉川ゆうみ君
渡邉 美樹君
風間 直樹君
小西 洋之君
杉尾 秀哉君
白 眞勲君
藤末 健三君
宮沢 由佳君
矢田わか子君
浜田 昌良君
平木 大作君
宮崎 勝君
若松 謙維君
井上 哲士君
大門実紀史君
浅田 均君
清水 貴之君
藤巻 健史君
山本 太郎君
松沢 成文君
薬師寺みちよ君
事務局側
常任委員会専門
員 小野 亮治君
公述人
立命館大学客員
教授 宮家 邦彦君
笹川平和財団参
与
国際大学教授 山口 昇君
慶應義塾大学名
誉教授 小此木政夫君
常葉大学教授・
副学長・保育学
部長 稲葉 光彦君
慶應義塾大学経
済学部教授 井手 英策君
横浜国立大学名
誉教授 萩原伸次郎君
─────────────
本日の会議に付した案件
○平成二十九年度一般会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十九年度特別会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十九年度政府関係機関予算(内閣提出、
衆議院送付)
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この発言だけを見る →午前九時開会
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委員の異動
三月八日
辞任 補欠選任
太田 房江君 中西 哲君
こやり隆史君 佐藤 啓君
高橋 克法君 阿達 雅志君
中野 正志君 中山 恭子君
山田 修路君 藤木 眞也君
儀間 光男君 清水 貴之君
福島みずほ君 山本 太郎君
行田 邦子君 松沢 成文君
三月九日
辞任 補欠選任
阿達 雅志君 高橋 克法君
佐藤 啓君 こやり隆史君
中西 哲君 今井絵理子君
山田 宏君 小野田紀美君
仁比 聡平君 井上 哲士君
浅田 均君 藤巻 健史君
松沢 成文君 薬師寺みちよ君
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出席者は左のとおり。
委員長 山本 一太君
理 事
石井 準一君
中泉 松司君
二之湯 智君
長谷川 岳君
三原じゅん子君
福山 哲郎君
舟山 康江君
竹谷とし子君
辰巳孝太郎君
委 員
阿達 雅志君
青山 繁晴君
朝日健太郎君
有村 治子君
今井絵理子君
上野 通子君
小野田紀美君
こやり隆史君
古賀友一郎君
佐藤 啓君
酒井 庸行君
高橋 克法君
中西 健治君
中西 哲君
中山 恭子君
長峯 誠君
藤木 眞也君
三宅 伸吾君
元榮太一郎君
山田 宏君
吉川ゆうみ君
渡邉 美樹君
風間 直樹君
小西 洋之君
杉尾 秀哉君
白 眞勲君
藤末 健三君
宮沢 由佳君
矢田わか子君
浜田 昌良君
平木 大作君
宮崎 勝君
若松 謙維君
井上 哲士君
大門実紀史君
浅田 均君
清水 貴之君
藤巻 健史君
山本 太郎君
松沢 成文君
薬師寺みちよ君
事務局側
常任委員会専門
員 小野 亮治君
公述人
立命館大学客員
教授 宮家 邦彦君
笹川平和財団参
与
国際大学教授 山口 昇君
慶應義塾大学名
誉教授 小此木政夫君
常葉大学教授・
副学長・保育学
部長 稲葉 光彦君
慶應義塾大学経
済学部教授 井手 英策君
横浜国立大学名
誉教授 萩原伸次郎君
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本日の会議に付した案件
○平成二十九年度一般会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十九年度特別会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十九年度政府関係機関予算(内閣提出、
衆議院送付)
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山
山本一太#1
○委員長(山本一太君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。
本日は、平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
本日は、平成二十九年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構です。
それでは、外交・安全保障について、公述人立命館大学客員教授宮家邦彦君、笹川平和財団参与・国際大学教授山口昇君及び慶應義塾大学名誉教授小此木政夫君から順次御意見を伺います。
まず、宮家公述人にお願いをいたします。宮家公述人。
この発言だけを見る →本日は、平成二十九年度一般会計予算、平成二十九年度特別会計予算及び平成二十九年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。
この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
本日は、平成二十九年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、会議の進め方について申し上げます。
まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構です。
それでは、外交・安全保障について、公述人立命館大学客員教授宮家邦彦君、笹川平和財団参与・国際大学教授山口昇君及び慶應義塾大学名誉教授小此木政夫君から順次御意見を伺います。
まず、宮家公述人にお願いをいたします。宮家公述人。
宮
宮家邦彦#2
○公述人(宮家邦彦君) 座ったままでお許しください。
本日は、誠に誠に光栄に存じます。外交・安全保障というお話ですが、今日は、安全保障と朝鮮半島問題につきましては他にすばらしい公述人がおられますので、私はどちらかというと国際政治を中心に、できれば戦略的な見地から概観をしたいと思っております。
明後日で東日本大震災からもう六年たちます。私は、この間に世界は大きく変わってしまったと思っております。中でも私が一番懸念をいたしますのは、もしかしたら冷戦時代につくられた国際システムというものが、様々な挑戦を受けながら変質しつつあるのではないかという懸念でございます。
例えば、国連、世銀、IMF、もちろんしっかりとした部分もありますが、一部は形骸化が進んでいるかもしれません。そして、AIIB等の新興国からの挑戦がある。欧州方面では、EU、NATO、これもやはり大衆迎合的な民族主義によって挑戦を受けている。中東方面では、一九七八年にキャンプ・デービッド合意というのがありました。そして一回安定したかと見えましたけれども、これもイスラムの過激な思想にチャレンジを受けているように思います。そして、もちろんアジアでありますが、アジアについては、一九七〇年代、七二年に米中、日中の国交正常化があって、そして一つの枠組みができました。しかし、今やその枠組みもチャレンジを受けているのではないかという気がいたします。
非常に皮肉なことなんですが、このようなチャレンジというのは、最大の原因は何かというと、ソ連が崩壊し、ロシアになって、そして冷戦に勝利したことなんですね。
これから申し上げますことは私自身の仮説でしかありません。今後精査をしなければいけない点が幾らもあるんですけれども、こういう前提で今日は、地球レベルで主要な力がどのように変わっていったかというのをひとつ御披露させていただきたいと思います。地球レベル、言い換えれば大陸間の戦略環境の変化というものをまず押さえて、その上でアジアにそれがどのような意味を持つか、さらにはそれが日本の外交にどういう意味を持つかと、こういう流れでお話をしたいと思います。
まず第一ですが、現在の主要国間の戦略関係というのを見てみますと、主要国いろいろあるんですけど、残念ながら、これ野球でいえば二部リーグ制でございまして、メジャーリーグとマイナーリーグがございます。日本は残念ながら、残念ながらでもないですが、立派なマイナーリーグでありまして、メジャーリーグと申しますのは、私が言いますメジャーリーグというのはメジャーパワーというものでしょうけれども、条件が六つあるんです。人口、領土、経済力、軍事力、資源、そして何よりも大国としての嫌らしいほどの意識であります。これがないと大国は張れないのでございますが、残念ながら、これに該当する国は米中ロしかないと思います。日本はいい意味でメジャーパワーではないのです。
続いて、これらのメジャーパワーの力関係がどう変わってきたかを考えますと、地域的にいうと、北米とユーラシアを念頭に置いてください。北米については、アメリカが基本的に過去七十年間、まあ多少の温度差はあるにせよ、力関係は余り変わっていないと思います。それに対してユーラシア大陸の中を見ると、明らかにパワーシフトが起きていると思います。昔はトルコとかペルシャもあったでしょうけれども、最近七十年でいえば、それは、ソ連からロシアへのシフト、そしてロシアから中国へのシフト、力のシフトですね、を感じるのでございます。これに伴って、国際政治も重点が、ソ連から、冷戦時代から、今ロシアということですけれども、国際主義から民族主義に重点がシフトをしている。そして、ロシアから中国ということ、これ西から東に重点なり懸念なり問題がシフトしているように私は思います。
この中で、ユーラシア大陸でもう一か所非常に重要な場所があります。それは中東地域なんですが、この中東地域については、これまでのところまだ激変には見舞われていないんです。一応アメリカがプレゼンスを維持しているために今の状態が保たれているんですが、今後アメリカのプレゼンスがどうなるか次第では、そのエネルギーにとって極めて重要な地域というものが不安定化する可能性、これも十分否定できない、パワーシフトが起きる可能性は否定できないと思っています。
ここで重要なことは、ロシアというのは資源はあるけれども経済力がない国です、メジャーパワーです。そして、中国というのは経済力はあるけれども資源がないメジャーパワーなんです。ということは、一つの可能性ですけれども、ユーラシア大陸の中で、例えば中国と中東が結ぶときに、それは経済力とエネルギーを両方持つ大きなパワーができ上がるということだと思います。そのようなことがどのような世界史的な意味を持つのか、いろいろ考えなければいけないということです。ユーラシア大陸において、旧ソ連、ロシアに代わって新たなメジャーの、強大なメジャーパワーが出現することになったときにどうなるだろうかと。
トランプ政権について私はとやかく言うつもりはありませんが、このトランプさんが、そして世界の指導者が、今申し上げたような、私の仮説ではありますけれども、パワーシフトというものをどのように意識しているかは分からないんです。分からないんですが、どうも、ロシアに甘く、そしてイスラムと中国に厳しいアメリカの今の姿勢を見ていると、無意識のうちかもしれませんけれども、これまで述べてきたようなメジャーリーグのこの国際政治の国際主義から民族主義へ、ロシアから中国へ、懸念の対象がですよ、が大きなパワーシフトを起こしているということを、どうもアメリカの少なくとも一部の人々、政権の一部の人々はそのようなことを感じているのかなとすら思います。これはあくまでも仮説でございます。
続きまして、じゃ東アジアではどういう影響があるかということ、東アジアの国際政治関係の変遷は、変質は何か。
過去七十年間で、まあいろいろありますけれども、朝鮮半島については後ほど小此木先生からお話があるでしょうから、私はやっぱり過去七十年、最大の変化というのは中国だろうと思います。
一九四九年の内戦が終わり、そして七一年にアルバニア決議ができて、そして代表権が代わる。そして、九〇年代以降は中国は民族主義化していくわけですね。このような民族主義的な中国の台頭、この三つが私は一番大きな変化だと思うんですが、特に最近のナショナリズムの高まりというのは、もしかしたら、劣化しつつある中国共産党の統治の正統性をある意味で補完しようとしている動きなのかもしれません。もちろん、私にとって、その内政よりも関心がありますのは中国の対外政策なんですが、この分野でも中国には変化が見られます。一昔前のような韜光養晦と、難しい字ですが、非常に慎重に低姿勢で来る国際協調を中心とする政策から徐々にこれ離れていって、より自己主張を強めるような動きが見えてきている。拡大する国益を守るためにと彼らは言うんでしょうが、中国の外交政策が、外交面だけでなくて安全保障についても受動的なものからより能動的なものに、そして国際協調的なものからより自己主張、単独行動的な方向にシフトしつつあるのではないかと懸念をしております。
こうした動きは実は中国だけではありません。御承知のとおり、欧州の大陸ではロシアが同じようなことをやっているわけです。中国が今東アジアの海でやっていることと、ロシアが今陸でやっていること、これは、現状を不正義と考えて、メジャーパワーが一方的に力による現状変更をしようとしている試みなのかもしれません。
そして、特に気になりますのは、今の中国で、軍部とかPLA、人民解放軍の中に、一部だと思いますけれども、非常に民族主義的な考え方を持つ人が出てきて、そしてそれに対する十分なシビリアンコントロールがないんじゃないかということを私は危惧しております。当然ながら、このような中国の大きな大きな動きというのは周辺国に大きな影響を与えるわけであります。北朝鮮については後ほどお話があると思いますけれども、見方によっては、最近の北朝鮮の動きというのも、こうした強大化する中国に対する一つの答え若しくは抵抗なのかもしれない。同じようなことは東南アジアでも起きています。ミャンマーもそうですし、フィリピンもそうですし、そしてさらにはタイもそうでしょう。そういうことを考えていくと、やはりこれから東アジアの地域というのは、あらゆる意味で安定よりも不安定、激動の時代に入ってくる可能性が高いのではないかと危惧をいたしております。
さあ、最後、日本の外交のあるべき姿なんですが、日本の国家戦略を、目的があって、外交というのはそれを実現する手段でしかありませんが、しかし、日本は低成長になりました。人口も増えません。これってどうやってこの今申し上げたような激動の世界を生き延びていくのか、私はサバイバルが一番大事なことじゃないかと思っております。
そして、ここで、例えば最近一番、一言だけ北朝鮮について申し上げたいのは、ミサイルを撃ちましたと、そしてそれが在日米軍に対する攻撃の訓練だということを公式に言っておるわけですね。あれ、米朝関係の、人ごとのような報道がありましたけれども、私はとんでもないと。在日米軍を狙うということは日本を狙うということなんです。これ、安保条約上の六条事態の極東有事ではないんです。これ、五条事態、日本有事なんですよね。ということは、撃たれたら即これ自衛権発動しなきゃいけないし、発動すべきなんです。
そのときに我々は、今議論しているのは、まさにミサイル防衛で何発落とせるかという議論しかしていないわけですが、本当にこれだけでいいんでしょうか。私は、安倍総理ほか皆さんが新しい段階に入ったと言うのは本当にそういう意味だと私は思っていますので、その意味でも議論はより深くしなければいけないなとつくづく思うわけでございます。
日本の外交はどうあるべきかということですが、簡単に言えば、日本は島国です。そして、大陸において勢力均衡を図り、大陸で覇権国家が出てこないようにする、そして島国はシーレーンを確保して、そして自由貿易で栄える、これが島国の生きる道でございます。これは英国の対欧州大陸戦略にも通ずるものでございますが、島国としての同盟、これはやはり日米安保条約が一番効果的だということ、これはもう言うまでもありません。これの安保による現状維持を図るというのがまず第一でなければいけないと思います。
同時に、もう一つ言えますことは、普遍的な価値の共有ということであります。現状維持勢力である、日本も現状維持勢力ですが、NATO、特に英国との関係、これを強化するのも一つの方法かもしれません。
それから、朝鮮半島については、これは半島に住む方々が最終的に決めることだとは思いますが、日本にとって大事なことは、自由で民主的で独立して安定して繁栄する、そして米国の同盟国である朝鮮半島、こういうものを目指していくのが日本の外交のあるべき姿ではないかと思います。
もう一つ言えますことは、東南アジアの現状維持、南シナ海、東シナ海、言うまでもありません。そして、湾岸地域までのシーレーンの確保、さらには中央アジアの重要性、多々ございます。
ここで、あと二分しかありませんので、最後に申し上げたいことがあります。それは二つ。
一つは、このような激動の時代に日本の外交を考えるときに、特に参議院はこれが可能なんですけれども、と思うんですが、よりイデオロギーにとらわれない現実的で冷徹な計算に基づいた超党派の外交というものを是非考えていただきたいと思うんです。もちろん意見が違うのはよく分かります。しかし、それだけではやはり我々生き延びられないんじゃないかということをつくづく感じるわけでございます。
最後の最後ですが、日中関係について実は一言も述べておりませんので、お話をいたします。
最近の日中関係を見ますと、どうも今申し上げたような国際政治環境の変化に伴って日中関係も変化してきましたし、これからも変化していかざるを得ない部分があるんだと思います。そして、中国との新たな、より安定した大人の関係をつくること、これが日本の外交にとって最も大事な課題だと思っております。一九七二年以来積み重ねてきたこの遺産というものを基に、良いものは残しながら、変わってしまった部分は新たな合意によって補強していく、これが日中関係について求められる姿勢ではないかと思います。
ちょうど時間となりました。私の話はこれで終わります。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、誠に誠に光栄に存じます。外交・安全保障というお話ですが、今日は、安全保障と朝鮮半島問題につきましては他にすばらしい公述人がおられますので、私はどちらかというと国際政治を中心に、できれば戦略的な見地から概観をしたいと思っております。
明後日で東日本大震災からもう六年たちます。私は、この間に世界は大きく変わってしまったと思っております。中でも私が一番懸念をいたしますのは、もしかしたら冷戦時代につくられた国際システムというものが、様々な挑戦を受けながら変質しつつあるのではないかという懸念でございます。
例えば、国連、世銀、IMF、もちろんしっかりとした部分もありますが、一部は形骸化が進んでいるかもしれません。そして、AIIB等の新興国からの挑戦がある。欧州方面では、EU、NATO、これもやはり大衆迎合的な民族主義によって挑戦を受けている。中東方面では、一九七八年にキャンプ・デービッド合意というのがありました。そして一回安定したかと見えましたけれども、これもイスラムの過激な思想にチャレンジを受けているように思います。そして、もちろんアジアでありますが、アジアについては、一九七〇年代、七二年に米中、日中の国交正常化があって、そして一つの枠組みができました。しかし、今やその枠組みもチャレンジを受けているのではないかという気がいたします。
非常に皮肉なことなんですが、このようなチャレンジというのは、最大の原因は何かというと、ソ連が崩壊し、ロシアになって、そして冷戦に勝利したことなんですね。
これから申し上げますことは私自身の仮説でしかありません。今後精査をしなければいけない点が幾らもあるんですけれども、こういう前提で今日は、地球レベルで主要な力がどのように変わっていったかというのをひとつ御披露させていただきたいと思います。地球レベル、言い換えれば大陸間の戦略環境の変化というものをまず押さえて、その上でアジアにそれがどのような意味を持つか、さらにはそれが日本の外交にどういう意味を持つかと、こういう流れでお話をしたいと思います。
まず第一ですが、現在の主要国間の戦略関係というのを見てみますと、主要国いろいろあるんですけど、残念ながら、これ野球でいえば二部リーグ制でございまして、メジャーリーグとマイナーリーグがございます。日本は残念ながら、残念ながらでもないですが、立派なマイナーリーグでありまして、メジャーリーグと申しますのは、私が言いますメジャーリーグというのはメジャーパワーというものでしょうけれども、条件が六つあるんです。人口、領土、経済力、軍事力、資源、そして何よりも大国としての嫌らしいほどの意識であります。これがないと大国は張れないのでございますが、残念ながら、これに該当する国は米中ロしかないと思います。日本はいい意味でメジャーパワーではないのです。
続いて、これらのメジャーパワーの力関係がどう変わってきたかを考えますと、地域的にいうと、北米とユーラシアを念頭に置いてください。北米については、アメリカが基本的に過去七十年間、まあ多少の温度差はあるにせよ、力関係は余り変わっていないと思います。それに対してユーラシア大陸の中を見ると、明らかにパワーシフトが起きていると思います。昔はトルコとかペルシャもあったでしょうけれども、最近七十年でいえば、それは、ソ連からロシアへのシフト、そしてロシアから中国へのシフト、力のシフトですね、を感じるのでございます。これに伴って、国際政治も重点が、ソ連から、冷戦時代から、今ロシアということですけれども、国際主義から民族主義に重点がシフトをしている。そして、ロシアから中国ということ、これ西から東に重点なり懸念なり問題がシフトしているように私は思います。
この中で、ユーラシア大陸でもう一か所非常に重要な場所があります。それは中東地域なんですが、この中東地域については、これまでのところまだ激変には見舞われていないんです。一応アメリカがプレゼンスを維持しているために今の状態が保たれているんですが、今後アメリカのプレゼンスがどうなるか次第では、そのエネルギーにとって極めて重要な地域というものが不安定化する可能性、これも十分否定できない、パワーシフトが起きる可能性は否定できないと思っています。
ここで重要なことは、ロシアというのは資源はあるけれども経済力がない国です、メジャーパワーです。そして、中国というのは経済力はあるけれども資源がないメジャーパワーなんです。ということは、一つの可能性ですけれども、ユーラシア大陸の中で、例えば中国と中東が結ぶときに、それは経済力とエネルギーを両方持つ大きなパワーができ上がるということだと思います。そのようなことがどのような世界史的な意味を持つのか、いろいろ考えなければいけないということです。ユーラシア大陸において、旧ソ連、ロシアに代わって新たなメジャーの、強大なメジャーパワーが出現することになったときにどうなるだろうかと。
トランプ政権について私はとやかく言うつもりはありませんが、このトランプさんが、そして世界の指導者が、今申し上げたような、私の仮説ではありますけれども、パワーシフトというものをどのように意識しているかは分からないんです。分からないんですが、どうも、ロシアに甘く、そしてイスラムと中国に厳しいアメリカの今の姿勢を見ていると、無意識のうちかもしれませんけれども、これまで述べてきたようなメジャーリーグのこの国際政治の国際主義から民族主義へ、ロシアから中国へ、懸念の対象がですよ、が大きなパワーシフトを起こしているということを、どうもアメリカの少なくとも一部の人々、政権の一部の人々はそのようなことを感じているのかなとすら思います。これはあくまでも仮説でございます。
続きまして、じゃ東アジアではどういう影響があるかということ、東アジアの国際政治関係の変遷は、変質は何か。
過去七十年間で、まあいろいろありますけれども、朝鮮半島については後ほど小此木先生からお話があるでしょうから、私はやっぱり過去七十年、最大の変化というのは中国だろうと思います。
一九四九年の内戦が終わり、そして七一年にアルバニア決議ができて、そして代表権が代わる。そして、九〇年代以降は中国は民族主義化していくわけですね。このような民族主義的な中国の台頭、この三つが私は一番大きな変化だと思うんですが、特に最近のナショナリズムの高まりというのは、もしかしたら、劣化しつつある中国共産党の統治の正統性をある意味で補完しようとしている動きなのかもしれません。もちろん、私にとって、その内政よりも関心がありますのは中国の対外政策なんですが、この分野でも中国には変化が見られます。一昔前のような韜光養晦と、難しい字ですが、非常に慎重に低姿勢で来る国際協調を中心とする政策から徐々にこれ離れていって、より自己主張を強めるような動きが見えてきている。拡大する国益を守るためにと彼らは言うんでしょうが、中国の外交政策が、外交面だけでなくて安全保障についても受動的なものからより能動的なものに、そして国際協調的なものからより自己主張、単独行動的な方向にシフトしつつあるのではないかと懸念をしております。
こうした動きは実は中国だけではありません。御承知のとおり、欧州の大陸ではロシアが同じようなことをやっているわけです。中国が今東アジアの海でやっていることと、ロシアが今陸でやっていること、これは、現状を不正義と考えて、メジャーパワーが一方的に力による現状変更をしようとしている試みなのかもしれません。
そして、特に気になりますのは、今の中国で、軍部とかPLA、人民解放軍の中に、一部だと思いますけれども、非常に民族主義的な考え方を持つ人が出てきて、そしてそれに対する十分なシビリアンコントロールがないんじゃないかということを私は危惧しております。当然ながら、このような中国の大きな大きな動きというのは周辺国に大きな影響を与えるわけであります。北朝鮮については後ほどお話があると思いますけれども、見方によっては、最近の北朝鮮の動きというのも、こうした強大化する中国に対する一つの答え若しくは抵抗なのかもしれない。同じようなことは東南アジアでも起きています。ミャンマーもそうですし、フィリピンもそうですし、そしてさらにはタイもそうでしょう。そういうことを考えていくと、やはりこれから東アジアの地域というのは、あらゆる意味で安定よりも不安定、激動の時代に入ってくる可能性が高いのではないかと危惧をいたしております。
さあ、最後、日本の外交のあるべき姿なんですが、日本の国家戦略を、目的があって、外交というのはそれを実現する手段でしかありませんが、しかし、日本は低成長になりました。人口も増えません。これってどうやってこの今申し上げたような激動の世界を生き延びていくのか、私はサバイバルが一番大事なことじゃないかと思っております。
そして、ここで、例えば最近一番、一言だけ北朝鮮について申し上げたいのは、ミサイルを撃ちましたと、そしてそれが在日米軍に対する攻撃の訓練だということを公式に言っておるわけですね。あれ、米朝関係の、人ごとのような報道がありましたけれども、私はとんでもないと。在日米軍を狙うということは日本を狙うということなんです。これ、安保条約上の六条事態の極東有事ではないんです。これ、五条事態、日本有事なんですよね。ということは、撃たれたら即これ自衛権発動しなきゃいけないし、発動すべきなんです。
そのときに我々は、今議論しているのは、まさにミサイル防衛で何発落とせるかという議論しかしていないわけですが、本当にこれだけでいいんでしょうか。私は、安倍総理ほか皆さんが新しい段階に入ったと言うのは本当にそういう意味だと私は思っていますので、その意味でも議論はより深くしなければいけないなとつくづく思うわけでございます。
日本の外交はどうあるべきかということですが、簡単に言えば、日本は島国です。そして、大陸において勢力均衡を図り、大陸で覇権国家が出てこないようにする、そして島国はシーレーンを確保して、そして自由貿易で栄える、これが島国の生きる道でございます。これは英国の対欧州大陸戦略にも通ずるものでございますが、島国としての同盟、これはやはり日米安保条約が一番効果的だということ、これはもう言うまでもありません。これの安保による現状維持を図るというのがまず第一でなければいけないと思います。
同時に、もう一つ言えますことは、普遍的な価値の共有ということであります。現状維持勢力である、日本も現状維持勢力ですが、NATO、特に英国との関係、これを強化するのも一つの方法かもしれません。
それから、朝鮮半島については、これは半島に住む方々が最終的に決めることだとは思いますが、日本にとって大事なことは、自由で民主的で独立して安定して繁栄する、そして米国の同盟国である朝鮮半島、こういうものを目指していくのが日本の外交のあるべき姿ではないかと思います。
もう一つ言えますことは、東南アジアの現状維持、南シナ海、東シナ海、言うまでもありません。そして、湾岸地域までのシーレーンの確保、さらには中央アジアの重要性、多々ございます。
ここで、あと二分しかありませんので、最後に申し上げたいことがあります。それは二つ。
一つは、このような激動の時代に日本の外交を考えるときに、特に参議院はこれが可能なんですけれども、と思うんですが、よりイデオロギーにとらわれない現実的で冷徹な計算に基づいた超党派の外交というものを是非考えていただきたいと思うんです。もちろん意見が違うのはよく分かります。しかし、それだけではやはり我々生き延びられないんじゃないかということをつくづく感じるわけでございます。
最後の最後ですが、日中関係について実は一言も述べておりませんので、お話をいたします。
最近の日中関係を見ますと、どうも今申し上げたような国際政治環境の変化に伴って日中関係も変化してきましたし、これからも変化していかざるを得ない部分があるんだと思います。そして、中国との新たな、より安定した大人の関係をつくること、これが日本の外交にとって最も大事な課題だと思っております。一九七二年以来積み重ねてきたこの遺産というものを基に、良いものは残しながら、変わってしまった部分は新たな合意によって補強していく、これが日中関係について求められる姿勢ではないかと思います。
ちょうど時間となりました。私の話はこれで終わります。
ありがとうございました。
山
山
山口昇#4
○公述人(山口昇君) ありがとうございます。
山口でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
日頃から日本の安全ということをいつも考えております。陸上自衛官として三十五年間自衛隊に勤務をしておりました。そういうバックグラウンドもございまして、常に日本の防衛ということに頭を集中をさせておりますが、そういう者の立場から、今、政府が進めておられる積極的平和主義、これは私は、憲法前文の「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という精神をまさに体現しようとするものであって、この積極的平和主義を体現するための施策が今いろいろと講じられている、それを私は非常に日本にとって有り難いことだと思っております。その理由を今日は三つ述べまして、最後に、これから私として考えなきゃいけないなと思うことを幾つか挙げさせていただきたいと思います。
お手元にパワーポイントの図がございます。こちらを御覧いただきながら話を聞いていただければ幸いであります。
一つは、日本がしっかりしなきゃならないという理由の一つは、中国が台頭します。台頭する中国が穏健になるのかあるいは強硬になるのかということは非常に大きな要素でありますし、それから、米国がアジアにコミットし続けるかどうかという点、このアメリカと中国がどうなるかということは日本の安全保障にとって極めて重要な要因だと思います。
この一ページ目の図の下は、四つの象限ございますが、右上の象限、これは、アメリカが引き続きというか非常に強固にアジアに残って、かつ中国が穏当になるという、まあ言ってみれば夢のようなことかも分かりません。それで、逆にこの左下の象限というのは、アメリカがもういなくなってしまって、しかも中国が非常に強硬になるという、少し考えたくないような象限でございます。
この中で私は右上がいいと思うわけですが、この右上になるのかどうかということを日本として所与の条件として考えるべきではないと思っております。日本としてより望ましい方向を求めるために努力をする余地は大いにありますし、またそのような努力をすべきであると思うわけであります。
その一つは、若干飛躍をいたしますが、我が国自身がしっかりとした防衛の態勢を整えるということでございます。先ほど安保条約五条のお話が出ましたけれども、安保条約の五条というのはアメリカが日本を守るということではありません。アメリカか日本が日本の領域内で攻撃をされたらアメリカと日本が一緒に立ち上がるという趣旨でございますので、日本が立ち上がるということが重要であります。それをしっかり見せるということは、米国に対して関与を明瞭にするものでもありますし、これは中国に対しても、凜としたたたずまいというものを見せることによって、また日米同盟が確固であることを理解していただくことによって、中国が国際秩序を守る側に立つように促すことができるのではないかということでございます。
私が、この積極的平和主義といいますか、今の政策が重要だと思う理由の二つは、我が国を取り巻く安全保障環境が非常に厳しいということでございます。
二枚目の図を御覧いただきたいと思います。
やや旧聞ではございますけれども、二〇〇六年、アメリカの国防省が、二十一世紀、今世紀の脅威として四つの類型を挙げております。これも四つの象限でありますけれども、この図の半分から下は主体が伝統的な主体、国家といった主体、上の半分はテロ組織ですとか犯罪組織あるいはならず者国家あるいは破綻国家というような、今まで余り考えたことのない主体でございます。
左下の象限、伝統型。これは私のように自衛官として冷戦の間を生き抜いた人間としましては非常になじみの深いものでありまして、国家と国家、軍事力と軍事力、それも通常戦力による紛争という脅威でございます。その上、これはテロ組織ですとかあるいは破綻国家あるいはならず者国家というようなものが非正規的な手段、拉致なんかはそうなるわけでありますが、破壊行為、そういったことをやるもの。そういった主体が大量破壊兵器あるいは核・化学・生物兵器、こういったものを使用しますと破滅的な効果をもたらしますので破滅的と規定をしております。右側の下は、今台頭しつつある国、中国とかインドとか、あるいは復古しているようなロシア、こういった国がどっちの方向に行くのかということによって世界の秩序が大きく変わるという混乱型の脅威でございます。
この四つのカテゴリーといいますものを特に北東アジアに当てはめてみますと、例えば伝統型の脅威というのはロシアとの間に若干残っているだけで、ヨーロッパの東と西という対峙はもうないわけでございます。
ところが、我が国周辺を見てみますと、北方領土、これはまさに冷戦の残滓というものが残っているわけでありますし、朝鮮半島に至りましては、北朝鮮総兵力百二十万、韓国が約六十万、合計しますと百八十万以上の軍隊がこの小さな半島で、軍隊と軍隊、国家と国家という形で対峙をしているわけであります。まさに伝統的な脅威がまだ残っている地域であると。さらに、北朝鮮の拉致、不法行動というのは、これは非正規型の行為でありますし、イスラム過激派などによりますグローバルなテロリズムというのが日本に波及するようなことになれば、やはりこの地域にもそういった危険があるわけでございます。
それから、中国、ロシア。中国の台頭。中国が私が望むように既存の国際秩序を守るサイドに立ってくれるのであれば、これは非常に歓迎すべきことであります。一方で、そうでない、例えば海洋ですとかサイバー空間あるいは宇宙といったところでその戦略バランスを大きく塗り替えようというようなことをするとすれば大いに懸念すべき混乱型の脅威となるわけでございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。
我が国の防衛ということで、ここ約十年間、防衛省、我が国政府は南西地域の防衛というものを非常に重視しておりますが、これは私は非常に的確なことだと思います。
これは米軍の資料でございますけれども、米軍は、対抗する国家が接近阻止あるいは領域拒否、アンタイ・アクセス、エリア・デナイアル、何といいますか、アクセスを妨害するような行動、能力を発揮して、東アジアにおける作戦行動を妨害されるということを非常に懸念しております。
この点を踏まえますと、我が国の南西諸島というのは実はここで言う第一列島線の一番肝に当たる部分になります。この第一列島線に当たる南西諸島、これを我が国がきっちりと防衛をしていくということは、実はこれは我が国自身が対抗する国家の接近を拒否する能力を持つことになります。日本のA2AD能力だということになります。これによりまして、我が国として、我が国周辺において米軍が行動する際の援護の傘といいますか、守る傘を提供することになり、対抗する国家のアクセス性妨害能力を制約する、さらに我が国周辺における米軍の行動の自由を確保することができれば、日米同盟によって我が国を防衛するという態勢がより強固なものになります。
したがって、我が国自身が自らの領域を防衛する能力を保持することによって、米国に対して同盟上の義務をはっきりと果たすんだと意思を明瞭にする、さらに米軍の行動を容易にするということを通じて日米同盟を堅固にするものとする相乗効果をもたらすと考えてございます。
最後に、幾つかこれからの課題だと思っていることを申し上げます。
積極的平和主義というのは、私はもう正しい方向、まさに日本がすべき、進むべき方向だと思っております。それと同時に、統合、これは陸海空の自衛隊が有機的に活動して、しかも、どこかに止まってじっとしているんじゃない、機動、機動防衛力、これを目指すということはまさに重要なことであると思います。他方、防衛力整備のために充当できる資源というのは限界があります。このことを踏まえますと、この先、やはり我が国として優先順位を考えて選択をするという決断をしなければならないと思っております。この点、もう今週のことでもございます、弾道ミサイルという脅威は非常に切迫したものでございますので、そういった脅威から国民を保護するということは、施策の優先順位は極めて高いといいますか、これはマストであろうと思います。
また、南西地域の防衛態勢の強化という点に着目をいたしますと、南西諸島の周辺海空域、ここは実は本州全部に匹敵するぐらいの地理的な広がりを持っております。この地域を守るということを考えますと、陸上の防衛、離島の防衛、それから海域の防衛、それから空域の防衛と、これが有機的に、お互いにそれを、何といいますか、支援をしながら守っていく態勢を取る必要がございます。また、二百を超す離島を擁する南西諸島の全ての島に兵力、自衛隊の部隊を配置するということは極めて困難でございます。
こういうような点から、統合運用の下に陸海空が協力をして、ふだんはいないけれども、いざというときには部隊をちゃんと運べるというための、例えば航空自衛隊の輸送機でありますとか、あるいは陸上自衛隊の大型ヘリコプター、ティルトローター機、あるいは海上自衛隊の輸送艦という機動力を増すような装備というものは非常に重要でありますし、そういった島に緊急に展開をするためのいわゆる水陸両用作戦能力、これを整備することは、これはかなり重要なことだと思います。
実は、今申し上げましたような能力、装備というのは、大規模な災害ですとか、あるいは国際的な平和協力活動においても有用であります。言わば汎用性の高い装備でありまして、どちらかだけにしか使えないというものではございませんので、当面そういったものを、まあ何といいますか、重点とするという考え方はあり得るのではないかと思います。
少し先のことを考えますと、宇宙空間あるいはサイバー空間、それから海洋の秩序、いわゆる海洋安全保障、これはもう広い意味でございますが、そういった分野についても長期的な視点で考えていく必要がありますし、そのためには研究開発の投資が必要でございます。そういったところにどれだけの資源を充当するのかということを考えていく必要があろうかと考えております。
さらに、長期的な課題として、現在の安全保障法制、新しい安全保障法制で相当部分、防衛の態勢を固めることはできるようになっております。
ところが、私、個人的に申しますと、一つ大きな課題が残っております。長期的な課題として、国連を中心とした集団安全保障体制、この中で日本がどういうような役割を果たしていくのだと。もっと具体的に申しますと、国連軍が編成をされるような事態、国際社会が一緒になって立ち向かわなければいけないような脅威、こういったものに対して対処するために日本はどういう役割を負うのか、あるいは対処するためのリーダーシップをどう発揮していくのかということが私は重要な課題であり、これについてはもう国民的な広さでの深い議論というのをずっと続けていかなければならないと思います。
以上でございます。
この発言だけを見る →山口でございます。本日はこのような機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
日頃から日本の安全ということをいつも考えております。陸上自衛官として三十五年間自衛隊に勤務をしておりました。そういうバックグラウンドもございまして、常に日本の防衛ということに頭を集中をさせておりますが、そういう者の立場から、今、政府が進めておられる積極的平和主義、これは私は、憲法前文の「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という精神をまさに体現しようとするものであって、この積極的平和主義を体現するための施策が今いろいろと講じられている、それを私は非常に日本にとって有り難いことだと思っております。その理由を今日は三つ述べまして、最後に、これから私として考えなきゃいけないなと思うことを幾つか挙げさせていただきたいと思います。
お手元にパワーポイントの図がございます。こちらを御覧いただきながら話を聞いていただければ幸いであります。
一つは、日本がしっかりしなきゃならないという理由の一つは、中国が台頭します。台頭する中国が穏健になるのかあるいは強硬になるのかということは非常に大きな要素でありますし、それから、米国がアジアにコミットし続けるかどうかという点、このアメリカと中国がどうなるかということは日本の安全保障にとって極めて重要な要因だと思います。
この一ページ目の図の下は、四つの象限ございますが、右上の象限、これは、アメリカが引き続きというか非常に強固にアジアに残って、かつ中国が穏当になるという、まあ言ってみれば夢のようなことかも分かりません。それで、逆にこの左下の象限というのは、アメリカがもういなくなってしまって、しかも中国が非常に強硬になるという、少し考えたくないような象限でございます。
この中で私は右上がいいと思うわけですが、この右上になるのかどうかということを日本として所与の条件として考えるべきではないと思っております。日本としてより望ましい方向を求めるために努力をする余地は大いにありますし、またそのような努力をすべきであると思うわけであります。
その一つは、若干飛躍をいたしますが、我が国自身がしっかりとした防衛の態勢を整えるということでございます。先ほど安保条約五条のお話が出ましたけれども、安保条約の五条というのはアメリカが日本を守るということではありません。アメリカか日本が日本の領域内で攻撃をされたらアメリカと日本が一緒に立ち上がるという趣旨でございますので、日本が立ち上がるということが重要であります。それをしっかり見せるということは、米国に対して関与を明瞭にするものでもありますし、これは中国に対しても、凜としたたたずまいというものを見せることによって、また日米同盟が確固であることを理解していただくことによって、中国が国際秩序を守る側に立つように促すことができるのではないかということでございます。
私が、この積極的平和主義といいますか、今の政策が重要だと思う理由の二つは、我が国を取り巻く安全保障環境が非常に厳しいということでございます。
二枚目の図を御覧いただきたいと思います。
やや旧聞ではございますけれども、二〇〇六年、アメリカの国防省が、二十一世紀、今世紀の脅威として四つの類型を挙げております。これも四つの象限でありますけれども、この図の半分から下は主体が伝統的な主体、国家といった主体、上の半分はテロ組織ですとか犯罪組織あるいはならず者国家あるいは破綻国家というような、今まで余り考えたことのない主体でございます。
左下の象限、伝統型。これは私のように自衛官として冷戦の間を生き抜いた人間としましては非常になじみの深いものでありまして、国家と国家、軍事力と軍事力、それも通常戦力による紛争という脅威でございます。その上、これはテロ組織ですとかあるいは破綻国家あるいはならず者国家というようなものが非正規的な手段、拉致なんかはそうなるわけでありますが、破壊行為、そういったことをやるもの。そういった主体が大量破壊兵器あるいは核・化学・生物兵器、こういったものを使用しますと破滅的な効果をもたらしますので破滅的と規定をしております。右側の下は、今台頭しつつある国、中国とかインドとか、あるいは復古しているようなロシア、こういった国がどっちの方向に行くのかということによって世界の秩序が大きく変わるという混乱型の脅威でございます。
この四つのカテゴリーといいますものを特に北東アジアに当てはめてみますと、例えば伝統型の脅威というのはロシアとの間に若干残っているだけで、ヨーロッパの東と西という対峙はもうないわけでございます。
ところが、我が国周辺を見てみますと、北方領土、これはまさに冷戦の残滓というものが残っているわけでありますし、朝鮮半島に至りましては、北朝鮮総兵力百二十万、韓国が約六十万、合計しますと百八十万以上の軍隊がこの小さな半島で、軍隊と軍隊、国家と国家という形で対峙をしているわけであります。まさに伝統的な脅威がまだ残っている地域であると。さらに、北朝鮮の拉致、不法行動というのは、これは非正規型の行為でありますし、イスラム過激派などによりますグローバルなテロリズムというのが日本に波及するようなことになれば、やはりこの地域にもそういった危険があるわけでございます。
それから、中国、ロシア。中国の台頭。中国が私が望むように既存の国際秩序を守るサイドに立ってくれるのであれば、これは非常に歓迎すべきことであります。一方で、そうでない、例えば海洋ですとかサイバー空間あるいは宇宙といったところでその戦略バランスを大きく塗り替えようというようなことをするとすれば大いに懸念すべき混乱型の脅威となるわけでございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。
我が国の防衛ということで、ここ約十年間、防衛省、我が国政府は南西地域の防衛というものを非常に重視しておりますが、これは私は非常に的確なことだと思います。
これは米軍の資料でございますけれども、米軍は、対抗する国家が接近阻止あるいは領域拒否、アンタイ・アクセス、エリア・デナイアル、何といいますか、アクセスを妨害するような行動、能力を発揮して、東アジアにおける作戦行動を妨害されるということを非常に懸念しております。
この点を踏まえますと、我が国の南西諸島というのは実はここで言う第一列島線の一番肝に当たる部分になります。この第一列島線に当たる南西諸島、これを我が国がきっちりと防衛をしていくということは、実はこれは我が国自身が対抗する国家の接近を拒否する能力を持つことになります。日本のA2AD能力だということになります。これによりまして、我が国として、我が国周辺において米軍が行動する際の援護の傘といいますか、守る傘を提供することになり、対抗する国家のアクセス性妨害能力を制約する、さらに我が国周辺における米軍の行動の自由を確保することができれば、日米同盟によって我が国を防衛するという態勢がより強固なものになります。
したがって、我が国自身が自らの領域を防衛する能力を保持することによって、米国に対して同盟上の義務をはっきりと果たすんだと意思を明瞭にする、さらに米軍の行動を容易にするということを通じて日米同盟を堅固にするものとする相乗効果をもたらすと考えてございます。
最後に、幾つかこれからの課題だと思っていることを申し上げます。
積極的平和主義というのは、私はもう正しい方向、まさに日本がすべき、進むべき方向だと思っております。それと同時に、統合、これは陸海空の自衛隊が有機的に活動して、しかも、どこかに止まってじっとしているんじゃない、機動、機動防衛力、これを目指すということはまさに重要なことであると思います。他方、防衛力整備のために充当できる資源というのは限界があります。このことを踏まえますと、この先、やはり我が国として優先順位を考えて選択をするという決断をしなければならないと思っております。この点、もう今週のことでもございます、弾道ミサイルという脅威は非常に切迫したものでございますので、そういった脅威から国民を保護するということは、施策の優先順位は極めて高いといいますか、これはマストであろうと思います。
また、南西地域の防衛態勢の強化という点に着目をいたしますと、南西諸島の周辺海空域、ここは実は本州全部に匹敵するぐらいの地理的な広がりを持っております。この地域を守るということを考えますと、陸上の防衛、離島の防衛、それから海域の防衛、それから空域の防衛と、これが有機的に、お互いにそれを、何といいますか、支援をしながら守っていく態勢を取る必要がございます。また、二百を超す離島を擁する南西諸島の全ての島に兵力、自衛隊の部隊を配置するということは極めて困難でございます。
こういうような点から、統合運用の下に陸海空が協力をして、ふだんはいないけれども、いざというときには部隊をちゃんと運べるというための、例えば航空自衛隊の輸送機でありますとか、あるいは陸上自衛隊の大型ヘリコプター、ティルトローター機、あるいは海上自衛隊の輸送艦という機動力を増すような装備というものは非常に重要でありますし、そういった島に緊急に展開をするためのいわゆる水陸両用作戦能力、これを整備することは、これはかなり重要なことだと思います。
実は、今申し上げましたような能力、装備というのは、大規模な災害ですとか、あるいは国際的な平和協力活動においても有用であります。言わば汎用性の高い装備でありまして、どちらかだけにしか使えないというものではございませんので、当面そういったものを、まあ何といいますか、重点とするという考え方はあり得るのではないかと思います。
少し先のことを考えますと、宇宙空間あるいはサイバー空間、それから海洋の秩序、いわゆる海洋安全保障、これはもう広い意味でございますが、そういった分野についても長期的な視点で考えていく必要がありますし、そのためには研究開発の投資が必要でございます。そういったところにどれだけの資源を充当するのかということを考えていく必要があろうかと考えております。
さらに、長期的な課題として、現在の安全保障法制、新しい安全保障法制で相当部分、防衛の態勢を固めることはできるようになっております。
ところが、私、個人的に申しますと、一つ大きな課題が残っております。長期的な課題として、国連を中心とした集団安全保障体制、この中で日本がどういうような役割を果たしていくのだと。もっと具体的に申しますと、国連軍が編成をされるような事態、国際社会が一緒になって立ち向かわなければいけないような脅威、こういったものに対して対処するために日本はどういう役割を負うのか、あるいは対処するためのリーダーシップをどう発揮していくのかということが私は重要な課題であり、これについてはもう国民的な広さでの深い議論というのをずっと続けていかなければならないと思います。
以上でございます。
山
小
小此木政夫#6
○公述人(小此木政夫君) ただいま二人の公述人から一々納得のいくお話がございました。私、お二人と意見が大きく違うものではございませんが、昨今の朝鮮半島の情勢というようなものを中心にお話ししてみたいと思います。
昨今の情勢は、一般に考えられている以上に私は深刻だというふうに思っております。幾つかの理由はございますが、しかし、情勢自体が相当に深刻で、先ほど宮家さんはサバイバルというような言葉を使われて、現在の国際政治がそれを中心に動いているとおっしゃられましたが、まさにそのとおりで、今、朝鮮半島で出現している状況というのは、やはり北朝鮮のサバイバル。それに、サバイバルを目指す北朝鮮にどうやって対処するか。そのサバイバルが平和的な方法であればそれはよろしいんですが、必ずしもそうではないということですね。情勢が急速に複雑化して、深刻化しているというような印象を持っております。
過去に例を取り上げるならば、もう一九九三年から九四年の第一次核危機の状況とかなり類似しておりまして、その当時を思い起こさせるところが多いのであります。まあ、今回は、昨年五月初めの朝鮮労働党の大会と前後して、北朝鮮指導部が二回の核実験と、その後数多くのまた各種のミサイル実験を繰り返しているわけですが、その当時はどうであったかと申しますと、やはり誕生したばかりのクリントン政権に対して北朝鮮側が、ちょうどチームスピリット、米韓合同演習というタイミングを狙ってNPT脱退という非常措置をとったわけでございます。これは大きな挑戦であったというふうに言っていいと思うんですね。まさに軍事力を伴った瀬戸際政策でありました。まあ、しかし、それによって彼らが要求したのは、合同演習終了後の米朝の直接交渉でありました。
今回もまた私は同じようなことを考えているのではないかというふうに思います。今回は、核開発を開始するぞというそういうメッセージではなくて、核、ミサイルが完成に近づいているぞと、もうここまで来たんだと、それでも交渉しないのかという、そういう種類の、何というんでしょうか、瀬戸際政策でありまして、先日打ち上げられました四発のほとんど同時に発射されたスカッドERミサイル、それからその前に打ち上げられました、かつてSLBMとして使われていたものの地上発射型でございますが、北極星二号と言われているミサイル、こういったものはそのまま核兵器を搭載することが可能な段階にまで来ているということでございますから、我が国にとっても韓国にとっても深刻な状況でございます。
北朝鮮の核、ミサイルがそういう段階まで達したということは、結局ソウルも東京も同じだということでありまして、今回は在日米軍基地という言葉を使いましたが、これまで全くそういう表現がなかったかというとそうではございませんで、彼らが公然と言っていたのは、第一の目標は青瓦台、大統領官邸と韓国の各種政府機関であると、第二の目標は在韓米軍基地、太平洋に存在する在韓米軍基地。それは日本という言葉が使われていなかっただけであって、その当時から在日米軍基地が標的であるということは公然のように言っていたわけです。
我々が一九九四年に経験した第一次核危機というのはどんなものであったのかということをちょっとお話ししてみたいというふうに感じるのでありますが、あのときには米国の側では、北朝鮮の核施設というものを外科手術的に破壊してしまおうではないかという、こういうペリー国防長官らの意見が台頭しておりまして、それが実行に移されるかどうかというそういう段階まで行ったわけであります。ペリーさんは後ほど回想録を書いていますのでそこに詳しく出ておりますけれども、報告書を提出する直前にカーター元大統領が平壌に訪問するというニュースが入ったと、このように言っております。しかし、我々は大量破壊兵器を使用する戦争の瀬戸際にあったというふうにも述べておりますし、北朝鮮からの先制攻撃の可能性も排除できなかったと、そこまで危機が進展していたということでございます。
今回はそういうところまで行くのかどうか、これはまだ未知数でございますが、北朝鮮側が非常に強い決意を持って今のこのチームスピリットというものを特別のものとみなして対応しているということは、どうも否定できないような気がします。
ですから、かつてであれば、チームスピリットの時期にミサイルの実験だとか核実験だとか、特にICBMの実験なんてやりっこないじゃないか、そんなことはできないだろうと言っていたわけですが、そういうところで瀬戸際のゲームを始めているわけです。米国としては、チームスピリットの最中に核実験をやられたりICBMの実験をやられたら、これはとんでもない話でありますから、それを容認できないということですから、そこで両者の目的が完全に交錯すると言ったらいいんでしょうか、非常に危険な危機状況が発生する、シナリオとしてはそういうことなんですね。
幸いにこの間、米国側は、国防長官や、これから国務長官も間もなく来られるようですが、厳重に半島情勢をウオッチしているようでございますから米国は分かっているんだなとは思いますが、思いますが、様々な対応措置が新政権の下で間に合うのかどうか、あるいは、何というか、過剰の反応や過小の反応というものがありはしないかというようなことを心配しているわけですし、特に心配は、北朝鮮の政権が三十代前半の若い指導者に指導されていること、あるいは韓国では現在、正式の大統領が存在しないような権力の空白の時期にあること、こういったようなことを考えますと、あるいはまた中国でも今年の秋には党大会が準備されているというようなことを考えますと、それぞれのリーダーシップがスタートしたばかりであったり十分でなかったり、あるいは成熟していなかったり、あるいはいろいろ拘束されていたりとか、様々な形でリーダーシップそのものに不安感が伴うということを否定できないわけでして、ここのところが大きな不安定要因になっているように思います。
さて、最後になりますが、韓国情勢について少しお話し申し上げたいと思うんですが、韓国と日本の関係は、様々な心理的な葛藤があるとはいえ、大変重要な関係であることは間違いないのであります。つまり、我々、アメリカとの海洋同盟だけで全て大陸の情勢に対応できるのかと言われると、やはり韓国という友好国との関係というものが重要になってくるわけでありまして、特に朝鮮半島が共産化するというようなことは絶対に避けなければならないわけでありますから、ですから、韓国との関係に対しては、非常に、何と言ったらいいでしょうか、細心の注意というものがやはり求められている、感情に任せてお互いに罵り合えばそれでいいということにはならないということではないかと思うんですね。
ただ、日本側も韓国側も、相手の政治がどういうふうに動いているのかということに関して、何というんでしょうか、よく分かっていません。韓国の政治というものがどういう構造を持ってどういう特徴を持っているのか、こういう状況の下ではどういうふうに対応してくるのかというようなことを意外に日本側は分かっていませんし、日本の政治の特徴に関しても韓国側は分かっておりません。
今の韓国の状況というのは、非常に簡単に言えば、彼らが制度圏の政治と呼ぶもの、つまり制度化されている政治、大統領府、それから議会、与党、野党というようなものと、運動圏の政治。そうではなくて、制度圏の政治が人格化されていくというそういう特徴を持っているとすれば、そういうものを拒否して正義を求める、社会正義をとことん求める、利害関係を無視しながらそれを行うという、ある種原理主義的な運動圏の政治が厳しく対峙している状況というのが今の状況だと思います。
朴大統領は歴代の大統領に比べて特に、何というんですか、非難される理由があるかというような疑問を持たれるかもしれませんが、たまたまそういう意味では、崔順実というようなよく訳の分からない友人を持って、そして財閥との関係、贈収賄関係を疑われたということが非常に大きな結果を呼び起こしているわけでして、運動圏の政治はこれを絶対に許そうとしません。
そして、日韓の慰安婦合意というのは、実は制度圏同士の合意なんですね、制度圏同士の合意ですから。ですから、韓国の大統領が批判されれば、運動圏の政治は日韓合意に対する非難に結び付いて、批判となって現れてくるわけです。日本の国内ではよくゴールポストを動かすとか動かさないとかというような議論があるんですが、そもそもゴールポストが固定されていなかったと、いないんだということ、彼らと合意するということはどういうことなのかというようなことについて、やっぱり我々の側にも理解の不足があったように思います。
大使や総領事が長期にわたって不在というような状況というのはやはり異常な状況でありますし、しかも朝鮮半島が北朝鮮との問題において危機的な状況が懸念される、そういう状況の下では、できるだけ早く今の状況というものを正常化してもらいたいと思うんですが、もちろん、これは外交ですから、ただ正常化すればいいというものではないでしょう。次の政権との間に新しい関係をつくるということが重要になってくるわけですが、次の政権との関係というものをどうスタートさせるかというのは政権当初の動きというものが重要だという意味で、やっぱり大使や総領事の不在というものはよろしくないのではないかというふうに私は考えております。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →昨今の情勢は、一般に考えられている以上に私は深刻だというふうに思っております。幾つかの理由はございますが、しかし、情勢自体が相当に深刻で、先ほど宮家さんはサバイバルというような言葉を使われて、現在の国際政治がそれを中心に動いているとおっしゃられましたが、まさにそのとおりで、今、朝鮮半島で出現している状況というのは、やはり北朝鮮のサバイバル。それに、サバイバルを目指す北朝鮮にどうやって対処するか。そのサバイバルが平和的な方法であればそれはよろしいんですが、必ずしもそうではないということですね。情勢が急速に複雑化して、深刻化しているというような印象を持っております。
過去に例を取り上げるならば、もう一九九三年から九四年の第一次核危機の状況とかなり類似しておりまして、その当時を思い起こさせるところが多いのであります。まあ、今回は、昨年五月初めの朝鮮労働党の大会と前後して、北朝鮮指導部が二回の核実験と、その後数多くのまた各種のミサイル実験を繰り返しているわけですが、その当時はどうであったかと申しますと、やはり誕生したばかりのクリントン政権に対して北朝鮮側が、ちょうどチームスピリット、米韓合同演習というタイミングを狙ってNPT脱退という非常措置をとったわけでございます。これは大きな挑戦であったというふうに言っていいと思うんですね。まさに軍事力を伴った瀬戸際政策でありました。まあ、しかし、それによって彼らが要求したのは、合同演習終了後の米朝の直接交渉でありました。
今回もまた私は同じようなことを考えているのではないかというふうに思います。今回は、核開発を開始するぞというそういうメッセージではなくて、核、ミサイルが完成に近づいているぞと、もうここまで来たんだと、それでも交渉しないのかという、そういう種類の、何というんでしょうか、瀬戸際政策でありまして、先日打ち上げられました四発のほとんど同時に発射されたスカッドERミサイル、それからその前に打ち上げられました、かつてSLBMとして使われていたものの地上発射型でございますが、北極星二号と言われているミサイル、こういったものはそのまま核兵器を搭載することが可能な段階にまで来ているということでございますから、我が国にとっても韓国にとっても深刻な状況でございます。
北朝鮮の核、ミサイルがそういう段階まで達したということは、結局ソウルも東京も同じだということでありまして、今回は在日米軍基地という言葉を使いましたが、これまで全くそういう表現がなかったかというとそうではございませんで、彼らが公然と言っていたのは、第一の目標は青瓦台、大統領官邸と韓国の各種政府機関であると、第二の目標は在韓米軍基地、太平洋に存在する在韓米軍基地。それは日本という言葉が使われていなかっただけであって、その当時から在日米軍基地が標的であるということは公然のように言っていたわけです。
我々が一九九四年に経験した第一次核危機というのはどんなものであったのかということをちょっとお話ししてみたいというふうに感じるのでありますが、あのときには米国の側では、北朝鮮の核施設というものを外科手術的に破壊してしまおうではないかという、こういうペリー国防長官らの意見が台頭しておりまして、それが実行に移されるかどうかというそういう段階まで行ったわけであります。ペリーさんは後ほど回想録を書いていますのでそこに詳しく出ておりますけれども、報告書を提出する直前にカーター元大統領が平壌に訪問するというニュースが入ったと、このように言っております。しかし、我々は大量破壊兵器を使用する戦争の瀬戸際にあったというふうにも述べておりますし、北朝鮮からの先制攻撃の可能性も排除できなかったと、そこまで危機が進展していたということでございます。
今回はそういうところまで行くのかどうか、これはまだ未知数でございますが、北朝鮮側が非常に強い決意を持って今のこのチームスピリットというものを特別のものとみなして対応しているということは、どうも否定できないような気がします。
ですから、かつてであれば、チームスピリットの時期にミサイルの実験だとか核実験だとか、特にICBMの実験なんてやりっこないじゃないか、そんなことはできないだろうと言っていたわけですが、そういうところで瀬戸際のゲームを始めているわけです。米国としては、チームスピリットの最中に核実験をやられたりICBMの実験をやられたら、これはとんでもない話でありますから、それを容認できないということですから、そこで両者の目的が完全に交錯すると言ったらいいんでしょうか、非常に危険な危機状況が発生する、シナリオとしてはそういうことなんですね。
幸いにこの間、米国側は、国防長官や、これから国務長官も間もなく来られるようですが、厳重に半島情勢をウオッチしているようでございますから米国は分かっているんだなとは思いますが、思いますが、様々な対応措置が新政権の下で間に合うのかどうか、あるいは、何というか、過剰の反応や過小の反応というものがありはしないかというようなことを心配しているわけですし、特に心配は、北朝鮮の政権が三十代前半の若い指導者に指導されていること、あるいは韓国では現在、正式の大統領が存在しないような権力の空白の時期にあること、こういったようなことを考えますと、あるいはまた中国でも今年の秋には党大会が準備されているというようなことを考えますと、それぞれのリーダーシップがスタートしたばかりであったり十分でなかったり、あるいは成熟していなかったり、あるいはいろいろ拘束されていたりとか、様々な形でリーダーシップそのものに不安感が伴うということを否定できないわけでして、ここのところが大きな不安定要因になっているように思います。
さて、最後になりますが、韓国情勢について少しお話し申し上げたいと思うんですが、韓国と日本の関係は、様々な心理的な葛藤があるとはいえ、大変重要な関係であることは間違いないのであります。つまり、我々、アメリカとの海洋同盟だけで全て大陸の情勢に対応できるのかと言われると、やはり韓国という友好国との関係というものが重要になってくるわけでありまして、特に朝鮮半島が共産化するというようなことは絶対に避けなければならないわけでありますから、ですから、韓国との関係に対しては、非常に、何と言ったらいいでしょうか、細心の注意というものがやはり求められている、感情に任せてお互いに罵り合えばそれでいいということにはならないということではないかと思うんですね。
ただ、日本側も韓国側も、相手の政治がどういうふうに動いているのかということに関して、何というんでしょうか、よく分かっていません。韓国の政治というものがどういう構造を持ってどういう特徴を持っているのか、こういう状況の下ではどういうふうに対応してくるのかというようなことを意外に日本側は分かっていませんし、日本の政治の特徴に関しても韓国側は分かっておりません。
今の韓国の状況というのは、非常に簡単に言えば、彼らが制度圏の政治と呼ぶもの、つまり制度化されている政治、大統領府、それから議会、与党、野党というようなものと、運動圏の政治。そうではなくて、制度圏の政治が人格化されていくというそういう特徴を持っているとすれば、そういうものを拒否して正義を求める、社会正義をとことん求める、利害関係を無視しながらそれを行うという、ある種原理主義的な運動圏の政治が厳しく対峙している状況というのが今の状況だと思います。
朴大統領は歴代の大統領に比べて特に、何というんですか、非難される理由があるかというような疑問を持たれるかもしれませんが、たまたまそういう意味では、崔順実というようなよく訳の分からない友人を持って、そして財閥との関係、贈収賄関係を疑われたということが非常に大きな結果を呼び起こしているわけでして、運動圏の政治はこれを絶対に許そうとしません。
そして、日韓の慰安婦合意というのは、実は制度圏同士の合意なんですね、制度圏同士の合意ですから。ですから、韓国の大統領が批判されれば、運動圏の政治は日韓合意に対する非難に結び付いて、批判となって現れてくるわけです。日本の国内ではよくゴールポストを動かすとか動かさないとかというような議論があるんですが、そもそもゴールポストが固定されていなかったと、いないんだということ、彼らと合意するということはどういうことなのかというようなことについて、やっぱり我々の側にも理解の不足があったように思います。
大使や総領事が長期にわたって不在というような状況というのはやはり異常な状況でありますし、しかも朝鮮半島が北朝鮮との問題において危機的な状況が懸念される、そういう状況の下では、できるだけ早く今の状況というものを正常化してもらいたいと思うんですが、もちろん、これは外交ですから、ただ正常化すればいいというものではないでしょう。次の政権との間に新しい関係をつくるということが重要になってくるわけですが、次の政権との関係というものをどうスタートさせるかというのは政権当初の動きというものが重要だという意味で、やっぱり大使や総領事の不在というものはよろしくないのではないかというふうに私は考えております。
どうもありがとうございました。
山
山本一太#7
○委員長(山本一太君) ありがとうございました。
以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
この発言だけを見る →以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
三
三宅伸吾#8
○三宅伸吾君 おはようございます。自由民主党の三宅伸吾でございます。
三人の公述人の皆様、すばらしい有意義なお話を本当にありがとうございました。
世界の安全保障の行方を占う話題の人といえば、もう言うまでもなくアメリカ・トランプ新大統領でございます。
新聞を最近見ておりましたら、こういう書き出しで始まるコラムがございました、何でこんな人を大統領にしたのか。ここから始まるコラムでございまして、コラムは次のように続いておりました。民主主義のお手本だったはずの米国がなぜ。失望、驚きに軽蔑も入り交じった反応が日本を覆う。マッカーサーはかつて日本人の文明度を十二歳と評したが、経済官庁の幹部からは、どちらが十二歳なのかというような記述のコラムが載っておりました。
マッカーサーの日本人は十二歳の少年だという発言、ちょっと調べてみました。
マッカーサー連合国軍最高司令官、朝鮮戦争が真っただ中の一九五一年四月、毛沢東率いる中国戦略をめぐり、戦線拡大を望まないトルーマン大統領と衝突し、司令官を解任されました。その約一か月後、一九五一年の五月でございますけれども、アメリカ議会上院の軍事外交合同委員会の聴聞会に呼ばれて、そこで発言をされております。
初日が五月三日だったんですけれども、このときにマッカーサー、このような発言をされました。日本には国産の資源はほとんど何もありません。多くの資源が欠乏しています。これらの供給が絶たれた場合には、一千万から一千二百万人の失業者が生まれるという恐怖感がありました。したがって、彼らが戦争を始めた目的は、主として安全保障上の必要に迫られてのことだったとの趣旨の発言をマッカーサーはされました。
この発言、日本のさきの大戦を自衛戦争だと見ていたとも受け取れる発言でございまして、この発言はマッカーサーの米大統領選挙への出馬のブレーキになったとも評価を受けております。
そして、二日後でございます、五月五日でありますけれども、日本人は十二歳の少年発言が飛び出したわけであります。
どういう文脈だったかと申しますと、彼はこのように述べております。アングロサクソン民族が四十五歳だとすれば、ドイツ人もほぼ同年齢だ。日本人はまだ学生で、十二歳の少年である。ドイツ人が現代の道徳や国際道義を守るのを怠けたのは意識的なものであり、国際情勢に無知ではなかった。このように述べて、確信的にドイツは戦争に突入したけれども、日本人は必ずしもそうでなかったかのような発言をされたわけであります。
マッカーサーが解任をされて羽田空港に向かうとき、羽田空港への沿道には二十万人が駆け付けましたけれども、この十二歳の少年発言を機に日本国内では反発が沸き起こったとされております。マッカーサー元帥記念館の建設、そして銅像建立構想もあったわけですけれども、この十二歳発言を機にこの構想はしぼみました。
十二歳発言には、実は様々な解釈があるようでございます。
評価する方は、日本人は思考が柔軟で理想を実現する余地があるという見方もありますし、そうした観点から、軍国主義の再来はあり得ないという趣旨の、日本人を擁護する趣旨だったという見解もあります。
その一方で、こういう指摘もございます。作家の半藤一利氏はこのように書いておられます。日本人はこの十二歳発言を聞いて、こんちくしょうめと憤ったばかりではないのではないかと。戦後、日本人はマッカーサーの命ずるままに、唯々諾々、敗戦、占領という現実に余りにもやすやすと身を寄せた恥ずかしさ、情けなさを、それをマッカーサー発言によって気付かされたゆえの怒りではなかったのかというふうに書かれております。
元へ戻りますけれども、何でこんな人を大統領にしたかと酷評されるトランプ大統領でありますけれども、麻生副総理は本委員会の三月二日に、結構聞き上手の人ではないかというような発言をされておられます。
マッカーサーは、実は別の機会にこんな発言もされております。過去百年に米国が太平洋地域で犯した最大の政治的誤りは共産勢力を中国で増大させたことだと、次の百年で代償を払わなければならないだろうというふうにマッカーサーは別の機会に述べております。
宮家公述人にお聞きしたいと思いますけれども、米国がどのように中国と向き合うかが日本の安全保障、経済、外交に大きな影響を与えるのは間違いありません。できれば、日本の都合のいいように米国の対中政策を誘導できるのであれば誘導したいものだと思いますけれども、こうした視点から宮家先生の御見解をお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →三人の公述人の皆様、すばらしい有意義なお話を本当にありがとうございました。
世界の安全保障の行方を占う話題の人といえば、もう言うまでもなくアメリカ・トランプ新大統領でございます。
新聞を最近見ておりましたら、こういう書き出しで始まるコラムがございました、何でこんな人を大統領にしたのか。ここから始まるコラムでございまして、コラムは次のように続いておりました。民主主義のお手本だったはずの米国がなぜ。失望、驚きに軽蔑も入り交じった反応が日本を覆う。マッカーサーはかつて日本人の文明度を十二歳と評したが、経済官庁の幹部からは、どちらが十二歳なのかというような記述のコラムが載っておりました。
マッカーサーの日本人は十二歳の少年だという発言、ちょっと調べてみました。
マッカーサー連合国軍最高司令官、朝鮮戦争が真っただ中の一九五一年四月、毛沢東率いる中国戦略をめぐり、戦線拡大を望まないトルーマン大統領と衝突し、司令官を解任されました。その約一か月後、一九五一年の五月でございますけれども、アメリカ議会上院の軍事外交合同委員会の聴聞会に呼ばれて、そこで発言をされております。
初日が五月三日だったんですけれども、このときにマッカーサー、このような発言をされました。日本には国産の資源はほとんど何もありません。多くの資源が欠乏しています。これらの供給が絶たれた場合には、一千万から一千二百万人の失業者が生まれるという恐怖感がありました。したがって、彼らが戦争を始めた目的は、主として安全保障上の必要に迫られてのことだったとの趣旨の発言をマッカーサーはされました。
この発言、日本のさきの大戦を自衛戦争だと見ていたとも受け取れる発言でございまして、この発言はマッカーサーの米大統領選挙への出馬のブレーキになったとも評価を受けております。
そして、二日後でございます、五月五日でありますけれども、日本人は十二歳の少年発言が飛び出したわけであります。
どういう文脈だったかと申しますと、彼はこのように述べております。アングロサクソン民族が四十五歳だとすれば、ドイツ人もほぼ同年齢だ。日本人はまだ学生で、十二歳の少年である。ドイツ人が現代の道徳や国際道義を守るのを怠けたのは意識的なものであり、国際情勢に無知ではなかった。このように述べて、確信的にドイツは戦争に突入したけれども、日本人は必ずしもそうでなかったかのような発言をされたわけであります。
マッカーサーが解任をされて羽田空港に向かうとき、羽田空港への沿道には二十万人が駆け付けましたけれども、この十二歳の少年発言を機に日本国内では反発が沸き起こったとされております。マッカーサー元帥記念館の建設、そして銅像建立構想もあったわけですけれども、この十二歳発言を機にこの構想はしぼみました。
十二歳発言には、実は様々な解釈があるようでございます。
評価する方は、日本人は思考が柔軟で理想を実現する余地があるという見方もありますし、そうした観点から、軍国主義の再来はあり得ないという趣旨の、日本人を擁護する趣旨だったという見解もあります。
その一方で、こういう指摘もございます。作家の半藤一利氏はこのように書いておられます。日本人はこの十二歳発言を聞いて、こんちくしょうめと憤ったばかりではないのではないかと。戦後、日本人はマッカーサーの命ずるままに、唯々諾々、敗戦、占領という現実に余りにもやすやすと身を寄せた恥ずかしさ、情けなさを、それをマッカーサー発言によって気付かされたゆえの怒りではなかったのかというふうに書かれております。
元へ戻りますけれども、何でこんな人を大統領にしたかと酷評されるトランプ大統領でありますけれども、麻生副総理は本委員会の三月二日に、結構聞き上手の人ではないかというような発言をされておられます。
マッカーサーは、実は別の機会にこんな発言もされております。過去百年に米国が太平洋地域で犯した最大の政治的誤りは共産勢力を中国で増大させたことだと、次の百年で代償を払わなければならないだろうというふうにマッカーサーは別の機会に述べております。
宮家公述人にお聞きしたいと思いますけれども、米国がどのように中国と向き合うかが日本の安全保障、経済、外交に大きな影響を与えるのは間違いありません。できれば、日本の都合のいいように米国の対中政策を誘導できるのであれば誘導したいものだと思いますけれども、こうした視点から宮家先生の御見解をお伺いしたいと思います。
宮
宮家邦彦#9
○公述人(宮家邦彦君) 何でこんな人をというコラムというお話ですが、私のコラムではございません。
非常に難しい御質問です。先ほども申し上げたとおり、トランプさんがロシアと中国とイスラムというものをどのようなバランスで考えているか、いまだによく分かりません。
私の仮説は、もしかしたら中国が持つ脅威というものを、潜在的な脅威というものをより中長期的な観点から見ていて、ロシアについては問題があるにせよ中長期的には必ずしも脅威ではなくなるかもしれないけれども、中国の経済力と人口は脅威だと考えているのかもしれません。
それが日本にとって都合がいいのかどうかは分かりません。私、日本にとって都合のいいアメリカの対中政策というのは、先ほども申し上げたとおり、我々は現状維持勢力ですから、今のこの東アジアの地域の現状を維持できるような形でアメリカが必要な抑止力を提供しながら、しかし中国に対して関与をして、そして、中国にこの地域の国際社会の一員として、責任あるメンバーとしてちゃんと参加してほしいということを言い続ける、これが恐らく日本にとっては一番いい政策なのだと思います。
そういうことがありますと、一方で、中国とアメリカの関係は恐らくこれからも緊張すると思いますが、私は、それを利用しようという意味ではないですけれども、アメリカと中国がこのような新しい戦略的な段階に入るということは、もしかしたらこれは日本と中国の関係改善にも比較的いい作用をもたらすのではないかとすら思っています。
私は、日中関係が先ほど申し上げたような形でより好転する一つの契機になり得る時機でもあると思っておりますので、都合の良いようにというかどうかは分かりませんけれども、トランプさんがアジアを重視して、そして日米同盟を重視をするという、このような状況をうまく利用しながら、日本も中国との関係改善を含めてアジア地域の安定のために努力をすべきだと思っています。
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私の仮説は、もしかしたら中国が持つ脅威というものを、潜在的な脅威というものをより中長期的な観点から見ていて、ロシアについては問題があるにせよ中長期的には必ずしも脅威ではなくなるかもしれないけれども、中国の経済力と人口は脅威だと考えているのかもしれません。
それが日本にとって都合がいいのかどうかは分かりません。私、日本にとって都合のいいアメリカの対中政策というのは、先ほども申し上げたとおり、我々は現状維持勢力ですから、今のこの東アジアの地域の現状を維持できるような形でアメリカが必要な抑止力を提供しながら、しかし中国に対して関与をして、そして、中国にこの地域の国際社会の一員として、責任あるメンバーとしてちゃんと参加してほしいということを言い続ける、これが恐らく日本にとっては一番いい政策なのだと思います。
そういうことがありますと、一方で、中国とアメリカの関係は恐らくこれからも緊張すると思いますが、私は、それを利用しようという意味ではないですけれども、アメリカと中国がこのような新しい戦略的な段階に入るということは、もしかしたらこれは日本と中国の関係改善にも比較的いい作用をもたらすのではないかとすら思っています。
私は、日中関係が先ほど申し上げたような形でより好転する一つの契機になり得る時機でもあると思っておりますので、都合の良いようにというかどうかは分かりませんけれども、トランプさんがアジアを重視して、そして日米同盟を重視をするという、このような状況をうまく利用しながら、日本も中国との関係改善を含めてアジア地域の安定のために努力をすべきだと思っています。
三
三宅伸吾#10
○三宅伸吾君 宮家公述人にもう一つお聞きしたいと思います。それは、中国最高指導部における外交的真空についてでございます。
先生が昨年の秋にある雑誌で、中国外交はやり方が稚拙だと書かれておられます。
その代表例といたしまして、南シナ海での領有権を主張し岩礁を埋め立て人工島を造った問題などでフィリピンが国連海洋法条約に基づき常設仲裁裁判所に異議を唱え、そして昨年夏に国際司法判断で中国は完敗しました。それだけではなく、その判断が無効だと中国は主張して、国際社会から、一部の国際社会からは失笑を買ったと思います。そういう例を先生は紹介されながら、AIIB、アジアインフラ投資銀行の創設を除き、中国外交はていたらくだと評価し、その構造的原因を分析されておられます。
具体的には、その構造的問題として、共産党内部に外交、安全保障に関する全党的コンセンサスがない、そして最高指導レベルの政治局常務委員の中に十分な外交、安全保障の知見を持つ者がいないなど、七項目を挙げておられました。加えて、中国の現状を、満州事変を起こした戦前の日本政治の中枢における外交的真空と同じような状況にあるとして、誤算に基づく偶発的衝突の可能性を指摘されておられました。
外交の失敗を続ける中国の政治最高指導層の構造的欠陥で、先生が挙げられていない一つについてちょっと御紹介をしたいと思います。私の発案ではなくて、ある外交のベテラン政治家がおっしゃっておられました。
習近平総書記に対する情報伝達ルートの問題を指摘されておられました。安倍総理は多くの日本の霞が関の局長と、本当に総理動静を見ても分かりますけれども、局長とフェース・ツー・フェースで情報を吸い上げられております。局長から見ると、総理の顔を見ながら、ああ、これ関心持っているなと思えばぐうっといくわけでございますし、まあ余り、優先順位が低いなと思ったらそこで話をやめると。いろいろそこで臨機応変なブリーフィングができるわけでございますけれども、どうも習総書記は紙で報告を受け取っていることが大半だというふうにそのベテランの外交の政治家の方はおっしゃっておられました。
宮家公述人も多くのブリーフィングを政府首脳にされたと思いますけれども、この外交安保の専門の知見を持つ専門家から正確な情報が機動的に習総書記に上がっていないことが中国外交のほとんど失敗の連続だというふうにその方は分析されておられましたけれども、宮家公述人はどのように思われるでしょうか。
この発言だけを見る →先生が昨年の秋にある雑誌で、中国外交はやり方が稚拙だと書かれておられます。
その代表例といたしまして、南シナ海での領有権を主張し岩礁を埋め立て人工島を造った問題などでフィリピンが国連海洋法条約に基づき常設仲裁裁判所に異議を唱え、そして昨年夏に国際司法判断で中国は完敗しました。それだけではなく、その判断が無効だと中国は主張して、国際社会から、一部の国際社会からは失笑を買ったと思います。そういう例を先生は紹介されながら、AIIB、アジアインフラ投資銀行の創設を除き、中国外交はていたらくだと評価し、その構造的原因を分析されておられます。
具体的には、その構造的問題として、共産党内部に外交、安全保障に関する全党的コンセンサスがない、そして最高指導レベルの政治局常務委員の中に十分な外交、安全保障の知見を持つ者がいないなど、七項目を挙げておられました。加えて、中国の現状を、満州事変を起こした戦前の日本政治の中枢における外交的真空と同じような状況にあるとして、誤算に基づく偶発的衝突の可能性を指摘されておられました。
外交の失敗を続ける中国の政治最高指導層の構造的欠陥で、先生が挙げられていない一つについてちょっと御紹介をしたいと思います。私の発案ではなくて、ある外交のベテラン政治家がおっしゃっておられました。
習近平総書記に対する情報伝達ルートの問題を指摘されておられました。安倍総理は多くの日本の霞が関の局長と、本当に総理動静を見ても分かりますけれども、局長とフェース・ツー・フェースで情報を吸い上げられております。局長から見ると、総理の顔を見ながら、ああ、これ関心持っているなと思えばぐうっといくわけでございますし、まあ余り、優先順位が低いなと思ったらそこで話をやめると。いろいろそこで臨機応変なブリーフィングができるわけでございますけれども、どうも習総書記は紙で報告を受け取っていることが大半だというふうにそのベテランの外交の政治家の方はおっしゃっておられました。
宮家公述人も多くのブリーフィングを政府首脳にされたと思いますけれども、この外交安保の専門の知見を持つ専門家から正確な情報が機動的に習総書記に上がっていないことが中国外交のほとんど失敗の連続だというふうにその方は分析されておられましたけれども、宮家公述人はどのように思われるでしょうか。
宮
宮家邦彦#11
○公述人(宮家邦彦君) また難しい御質問でございます。
中南海の中でどのような文書がやり取りをされているか分かりません。少なくとも中華人民共和国、そして中国共産党のトップの人にどのような形で情報が、外交、安全保障に関する情報が上がり、それがどのような形で決定されるかというメカニズム、正直言って我々まだ分かっていません。
しかし、分かっていることは、日本とはまるで違うということであります。日本のように、特に今の総理について申し上げれば、やはり若いときからいろんな外国に行かれて、外務大臣の政務の秘書官として三十八か国を回る。この経験は非常に大きな、三十代でですよ、大きいと思います。それが一つの戦略観を持ち、いろんな目、戦略観があっていいんですけれども、彼なりの戦略観を持ち、そのような戦略観があってこそ初めて入ってくる情報が一つ一つが生きるんです。
ですから、その場合は、口頭であろうが文書であろうが、そこに一つの方程式があればしっかりとした結論が出る、その是非はともかく、御判断があるかもしれませんけれども、そのようなメカニズムが今恐らく中国の共産党のトップにはないのかもしれない。
習近平さんは私とほぼ同じ年で、一九六六年には中学生、中学一、二年ですよね。そして、当然文革に巻き込まれ、そして下放され、そして十分な教育が少なくとも大学時代まではなかった、大変な苦労をされた方です。そのような方に、今のような、我々が議論しているような国際情勢の、最低限のと言ったら失礼ですけれども、知識はないかもしれません。
ですから、どうしても、それを受け入れる側にそのような方程式がないときには、文書で入れるにせよ、どのような形で入れるにせよ、やはり周りの人たちの声により依存していく、若しくは左右されていく可能性が高いというふうには考えております。
この発言だけを見る →中南海の中でどのような文書がやり取りをされているか分かりません。少なくとも中華人民共和国、そして中国共産党のトップの人にどのような形で情報が、外交、安全保障に関する情報が上がり、それがどのような形で決定されるかというメカニズム、正直言って我々まだ分かっていません。
しかし、分かっていることは、日本とはまるで違うということであります。日本のように、特に今の総理について申し上げれば、やはり若いときからいろんな外国に行かれて、外務大臣の政務の秘書官として三十八か国を回る。この経験は非常に大きな、三十代でですよ、大きいと思います。それが一つの戦略観を持ち、いろんな目、戦略観があっていいんですけれども、彼なりの戦略観を持ち、そのような戦略観があってこそ初めて入ってくる情報が一つ一つが生きるんです。
ですから、その場合は、口頭であろうが文書であろうが、そこに一つの方程式があればしっかりとした結論が出る、その是非はともかく、御判断があるかもしれませんけれども、そのようなメカニズムが今恐らく中国の共産党のトップにはないのかもしれない。
習近平さんは私とほぼ同じ年で、一九六六年には中学生、中学一、二年ですよね。そして、当然文革に巻き込まれ、そして下放され、そして十分な教育が少なくとも大学時代まではなかった、大変な苦労をされた方です。そのような方に、今のような、我々が議論しているような国際情勢の、最低限のと言ったら失礼ですけれども、知識はないかもしれません。
ですから、どうしても、それを受け入れる側にそのような方程式がないときには、文書で入れるにせよ、どのような形で入れるにせよ、やはり周りの人たちの声により依存していく、若しくは左右されていく可能性が高いというふうには考えております。
三
三宅伸吾#12
○三宅伸吾君 山口公述人にお聞きをいたします。
六日、北朝鮮が四発の弾道ミサイルを発射し、うち三発が日本海上の我が国の排他的経済水域に落下しました。この件につきまして、昨日、参議院の本会議で抗議の決議をしたところでございますけれども、公述人にお聞きしたいのは、もし今後、北朝鮮からの弾道ミサイルがEEZに落ち、日本船籍の船に衝突、多数の死者が出たような場合に備えて、我が国の自衛隊はどのような対処方針を事前に用意しておくべきなのでしょうか。
この発言だけを見る →六日、北朝鮮が四発の弾道ミサイルを発射し、うち三発が日本海上の我が国の排他的経済水域に落下しました。この件につきまして、昨日、参議院の本会議で抗議の決議をしたところでございますけれども、公述人にお聞きしたいのは、もし今後、北朝鮮からの弾道ミサイルがEEZに落ち、日本船籍の船に衝突、多数の死者が出たような場合に備えて、我が国の自衛隊はどのような対処方針を事前に用意しておくべきなのでしょうか。
山
山口昇#13
○公述人(山口昇君) 御質問ありがとうございます。
四発という数でも大変なものであります。一つ一つの弾頭の重さは大体五百キロ、これが通常弾頭だとしましても、五百キロの爆弾が爆発をすれば相当な破壊力をもたらします。それが仮に、核ではなくても化学兵器であれば、これはもう千人単位、場合によっては万人単位の損害が出ることもあるわけであります。そういったものが実際に北朝鮮の手にあって、しかも試験をされているということは極めて重大な危険であります。それと同時に、そのこと自体、ミサイルの実験をすること自体が国連決議に真っ向から反しているわけでございまして、これはもう国際社会、北朝鮮以外の全ての国が一緒になってこれを糾弾してやめさせるというのが筋なわけであります。
最近見ていますと、少し悪い意味で慣れてきてしまって、あるとき、これは昨年のことでございますが、アメリカの国防省の担当官が国連決議に違反するのかと聞かれて、そうじゃないと、とんでもない間違いを答えたことがあるんですけれども、それぐらい慣れてきてしまっているということを考えますと、この今回の四発、これはかなり高度な撃ち方でありますし、これが少し南に向いていれば全て日本の領土に弾着をするわけであります。船に当たることよりか、そっち側に振られるということを我々は心配しなければいけません。
そのためには、海上自衛隊が持っておりますイージス艦、SMミサイルの組合せ、それから終末弾道にはペトリオットというもので、二段階の方法、防衛をやるわけでありますが、報道によりますと、シアター・ハイ・アルティチュード・エリア・ディフェンス、THAAD、もう少し高いレベル、百キロぐらいの高度で撃ち落とす装備というものを導入するということも検討はされているようでありますが、そんなことも含めまして、もう少しこのミサイル防衛体制というのを強固にする、そういったことも必要でありますし、こういうような危険な場合に、アメリカもイージス艦を持っておりますし、ペトリオットもTHAADも、近々といいますか、韓国には配備をするわけであります。そういう五条事態かあるいは六条事態というんでしょうか、そういった事態においては日本がしっかり自分の頭の上から降りてくるミサイルを、守るというのと同時に、アメリカと一緒になってしっかりリンクをして守る体制が必要だと思います。
ちなみに、沖縄にペトリオットを配備したことがございます。これは二〇一二年に北朝鮮がミサイルを撃ったときでありますけれども、そのときイージス艦も出ておりました。これは沖縄に駐留する米軍に対しても日本の自衛隊が傘をかぶせたということでありますので、そうやってお互いに相乗的に傘をかぶせ合って、より国民の安全を維持するという体制とやり方というのを取っていかなければならないと思います。
この発言だけを見る →四発という数でも大変なものであります。一つ一つの弾頭の重さは大体五百キロ、これが通常弾頭だとしましても、五百キロの爆弾が爆発をすれば相当な破壊力をもたらします。それが仮に、核ではなくても化学兵器であれば、これはもう千人単位、場合によっては万人単位の損害が出ることもあるわけであります。そういったものが実際に北朝鮮の手にあって、しかも試験をされているということは極めて重大な危険であります。それと同時に、そのこと自体、ミサイルの実験をすること自体が国連決議に真っ向から反しているわけでございまして、これはもう国際社会、北朝鮮以外の全ての国が一緒になってこれを糾弾してやめさせるというのが筋なわけであります。
最近見ていますと、少し悪い意味で慣れてきてしまって、あるとき、これは昨年のことでございますが、アメリカの国防省の担当官が国連決議に違反するのかと聞かれて、そうじゃないと、とんでもない間違いを答えたことがあるんですけれども、それぐらい慣れてきてしまっているということを考えますと、この今回の四発、これはかなり高度な撃ち方でありますし、これが少し南に向いていれば全て日本の領土に弾着をするわけであります。船に当たることよりか、そっち側に振られるということを我々は心配しなければいけません。
そのためには、海上自衛隊が持っておりますイージス艦、SMミサイルの組合せ、それから終末弾道にはペトリオットというもので、二段階の方法、防衛をやるわけでありますが、報道によりますと、シアター・ハイ・アルティチュード・エリア・ディフェンス、THAAD、もう少し高いレベル、百キロぐらいの高度で撃ち落とす装備というものを導入するということも検討はされているようでありますが、そんなことも含めまして、もう少しこのミサイル防衛体制というのを強固にする、そういったことも必要でありますし、こういうような危険な場合に、アメリカもイージス艦を持っておりますし、ペトリオットもTHAADも、近々といいますか、韓国には配備をするわけであります。そういう五条事態かあるいは六条事態というんでしょうか、そういった事態においては日本がしっかり自分の頭の上から降りてくるミサイルを、守るというのと同時に、アメリカと一緒になってしっかりリンクをして守る体制が必要だと思います。
ちなみに、沖縄にペトリオットを配備したことがございます。これは二〇一二年に北朝鮮がミサイルを撃ったときでありますけれども、そのときイージス艦も出ておりました。これは沖縄に駐留する米軍に対しても日本の自衛隊が傘をかぶせたということでありますので、そうやってお互いに相乗的に傘をかぶせ合って、より国民の安全を維持するという体制とやり方というのを取っていかなければならないと思います。
三
三宅伸吾#14
○三宅伸吾君 最後に小此木先生にお聞きいたします。
あした、韓国の憲法裁判所が朴槿恵大統領を罷免するかどうかの判決を下しますけれども、今後の朝鮮半島情勢、日本にとって最悪のシナリオは何だとお考えでしょうか。そして、それを防ぐために米国に期待すること、日本ができることを簡潔に御教授いただけないでしょうか。
この発言だけを見る →あした、韓国の憲法裁判所が朴槿恵大統領を罷免するかどうかの判決を下しますけれども、今後の朝鮮半島情勢、日本にとって最悪のシナリオは何だとお考えでしょうか。そして、それを防ぐために米国に期待すること、日本ができることを簡潔に御教授いただけないでしょうか。
小
小此木政夫#15
○公述人(小此木政夫君) 最悪のシナリオということであれば、まさにやっぱり軍事的な問題になってくると思いますから、それは朝鮮半島での危機がエスカレートして、そこで偶発的な事故が起きること。偶発的な事故が起きればそれは当然日本列島にも波及してくるということになりますから、今、山口さんがおっしゃられたような事態というのはやっぱり懸念されるわけであります。
それ以外のものというのは、韓国との関係その他というのは、率直なところ、そういう事態にどうやって対処するかという観点から考えるということを優先しなければいけないと思うんですね。我々がなぜ韓国との関係を重要視しているかといえば、それはやはり我々は普遍的な価値を共有する民主主義国家でありたいということ、そこから来ているだろうというふうに思います。
ですから、そういう意味でも、やっぱり安全というものが第一であって、これは外交政策の問題になりますから、大変それは難しいことだというふうに思います。万全の備えをしながら、しかし圧力のための圧力ではなくて、何らかの新しい関係を北朝鮮との間でもつくっていかなければいけないということになるんじゃないでしょうか。
この発言だけを見る →それ以外のものというのは、韓国との関係その他というのは、率直なところ、そういう事態にどうやって対処するかという観点から考えるということを優先しなければいけないと思うんですね。我々がなぜ韓国との関係を重要視しているかといえば、それはやはり我々は普遍的な価値を共有する民主主義国家でありたいということ、そこから来ているだろうというふうに思います。
ですから、そういう意味でも、やっぱり安全というものが第一であって、これは外交政策の問題になりますから、大変それは難しいことだというふうに思います。万全の備えをしながら、しかし圧力のための圧力ではなくて、何らかの新しい関係を北朝鮮との間でもつくっていかなければいけないということになるんじゃないでしょうか。
山
三
杉
杉尾秀哉#18
○杉尾秀哉君 民進党・新緑風会の杉尾秀哉でございます。
三人の公述人の先生方、有意義なお話、大変ありがとうございました。
私からは、朝鮮半島問題を中心に伺います。
先ほど、小此木公述人のお話で、私もちょっと知っているんですけれども、あの九四年の朝鮮半島危機に今の状況が似ていると、こういうお話がございました。基本的な認識として、当時と今と比較して、その危機の度合いですね、それほど状況が深刻だというふうに考えた方がよろしいんでしょうか、いかがでしょうか。
この発言だけを見る →三人の公述人の先生方、有意義なお話、大変ありがとうございました。
私からは、朝鮮半島問題を中心に伺います。
先ほど、小此木公述人のお話で、私もちょっと知っているんですけれども、あの九四年の朝鮮半島危機に今の状況が似ていると、こういうお話がございました。基本的な認識として、当時と今と比較して、その危機の度合いですね、それほど状況が深刻だというふうに考えた方がよろしいんでしょうか、いかがでしょうか。
小
小此木政夫#19
○公述人(小此木政夫君) 九四年の危機のときには、まだ北朝鮮は現在のようなミサイルだとか核兵器を持っておりませんでした。非常に初歩的な段階でしたから、核兵器開発に着手する、NPTを脱退するということが、それ自体が問題になっていたわけですが、今回の、危機と言えるかどうかまだ分かりませんが、これが危機に発展するとすれば、そういうものが保有される最終的な段階まで来た、つまり核とミサイルが結合する段階まで来たんだということを彼らは主張しているわけですから、我々にとっての危険度というのも、安全保障上の危険の度合いというのも、前回とは比べ物にならないというふうに申し上げてよろしいかと思います。
この発言だけを見る →杉
宮
宮家邦彦#21
○公述人(宮家邦彦君) 私も同じ考えでございます。私、一九九四年のときにはワシントンと東京におりましたけれども、非常に深刻ではありました。しかし、まだその具体的な兵器ができているわけではありませんでした。
しかし、今回の場合には、本当に、確かにおっしゃるとおり、ここまで来ているのにおまえらはまだ話合いに応じないのかというメッセージを出しているとは私は思うんですが、じゃ、本当に彼らはそれを放棄する気があるのかどうかということも含めて、より深刻な状態になっていると思います。
この発言だけを見る →しかし、今回の場合には、本当に、確かにおっしゃるとおり、ここまで来ているのにおまえらはまだ話合いに応じないのかというメッセージを出しているとは私は思うんですが、じゃ、本当に彼らはそれを放棄する気があるのかどうかということも含めて、より深刻な状態になっていると思います。
杉
杉尾秀哉#22
○杉尾秀哉君 では、山口公述人に伺います。
今回のミサイル実験、映像が出ておりました。金正恩委員長が発射に立ち会って、四発ほぼ同時に発射された。先ほど宮家公述人のお話もありましたけれども、在日米軍を標的にする部隊の訓練だということを、これはっきりと対外的にも言っているわけです。
日本は、こうした同時発射四発、若しくは更に弾頭が多いケースもあるかと思いますけれども、日本の自衛隊の能力で対応できるんでしょうか、どうなんでしょうか。
この発言だけを見る →今回のミサイル実験、映像が出ておりました。金正恩委員長が発射に立ち会って、四発ほぼ同時に発射された。先ほど宮家公述人のお話もありましたけれども、在日米軍を標的にする部隊の訓練だということを、これはっきりと対外的にも言っているわけです。
日本は、こうした同時発射四発、若しくは更に弾頭が多いケースもあるかと思いますけれども、日本の自衛隊の能力で対応できるんでしょうか、どうなんでしょうか。
山
山口昇#23
○公述人(山口昇君) 大変難しいお尋ねでございますが、自衛隊のイージス艦のスタンダードミサイル、これは、高度二、三百キロまでの高さで上がっていくもの、降りてくるもの、いずれも撃つことができます。そうしますと、朝鮮半島に近いところに配備をすれば、その後ろがかなりカバーされますので、上がりばなを迎撃するようなことができれば、かなり後ろの範囲が広くなります。そうじゃない場合はイージス艦で、少し狭い分野を守るときに、落ちてくるものを二百キロ、三百キロぐらいの高度で迎撃する。
それで、何発打てるか、その前に、何発を対処できるかということで申し上げますと、イージス艦というものは目標の数を同時にいっぱい処理できるということが一番の能力でありますので、四発であれば、私は、海上自衛隊、航空自衛隊の能力でしっかりとトラックをしまして、それを迎撃をするということはできると思います。
他方、どんなミサイルもこれは一〇〇%ということではありません。仮に、うんと低く見ましてSMのミサイルが五〇%だとしますと、二発撃つと、一発目で五〇%、二発目で二五%落とします。ペトリオットであと一二・五%、七・五%と、その回数によってどんどん危険度を下げてくるわけでありますけれども、五〇%ということは決してございませんので、数発の中距離の弾道弾に対しては私はそれなりに能力を持っていると思いますし、それに加えて、米軍も常にこれを監視をしてございますので、数発であれば私としてはできるのではないかというふうに思っております。
この発言だけを見る →それで、何発打てるか、その前に、何発を対処できるかということで申し上げますと、イージス艦というものは目標の数を同時にいっぱい処理できるということが一番の能力でありますので、四発であれば、私は、海上自衛隊、航空自衛隊の能力でしっかりとトラックをしまして、それを迎撃をするということはできると思います。
他方、どんなミサイルもこれは一〇〇%ということではありません。仮に、うんと低く見ましてSMのミサイルが五〇%だとしますと、二発撃つと、一発目で五〇%、二発目で二五%落とします。ペトリオットであと一二・五%、七・五%と、その回数によってどんどん危険度を下げてくるわけでありますけれども、五〇%ということは決してございませんので、数発の中距離の弾道弾に対しては私はそれなりに能力を持っていると思いますし、それに加えて、米軍も常にこれを監視をしてございますので、数発であれば私としてはできるのではないかというふうに思っております。
杉
杉尾秀哉#24
○杉尾秀哉君 それでは、これからの見通しをちょっと伺いたいんですけれども、先ほど小此木公述人のお話で、非常に事態は深刻である、宮家公述人も同じことをおっしゃいました。その一つの理由が不透明性ですね。トランプ米大統領の外交姿勢がいま一つまだはっきりしない。今のところ対北朝鮮については強硬姿勢を示しているようですけれども、今回の北朝鮮のミサイル実験も米朝直接交渉を狙っているというのは、誰しも見るところは同じだと思います。
今後の展開として、アメリカによる先制攻撃など、先ほど最悪のシナリオという話がありましたけれども、軍事的オプションの可能性が果たしてどの程度あるのか、それとも、米朝対話の方向に向かっていくのか、ちょっとまだ難しいかも分かりませんけれども、小此木公述人はどういうふうにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →今後の展開として、アメリカによる先制攻撃など、先ほど最悪のシナリオという話がありましたけれども、軍事的オプションの可能性が果たしてどの程度あるのか、それとも、米朝対話の方向に向かっていくのか、ちょっとまだ難しいかも分かりませんけれども、小此木公述人はどういうふうにお考えでしょうか。
小
小此木政夫#25
○公述人(小此木政夫君) 本当に難しいですね。それは両方の、両極端の選択肢が実際に検討されているわけですから、多分、今現在もアメリカでは様々なオプションが検討されていて、その極端なオプションは、一番極端なオプションは北朝鮮と核交渉を行うという、北朝鮮の核保有をある程度まで認めるというものから核施設を破壊するというところまで、全てのオプションを検討していると思うんですね。
極端な、一番極端なものが採用されるというふうには思いませんけれども、しかし、先ほども申し上げましたように、それではICBMの実験が本当に米韓合同軍事演習中に行われるということになれば、それは何もしないでそれを黙認するのかというような議論は当然あるわけですし、そういったこともオプションの中に含まれているはずなんですね。
そうした場合どうするかというようなことも検討されているだろうと思うんです。それは、北朝鮮はまさかそういうばかなことはしないだろうというふうに考えればそれだけの話なんですが、しかし、ばかなことをするかもしれないということでありますから、今の段階では緊張がかなりの程度まで高まっていくのではないか、その後に対話の可能性というのが初めて出てくるんだと思うんですね。対話が初めからということではないと思うんです。
例えば、それも短期的、長期的、様々なケースがあり得ると思うんですよね。私はよく韓国の人たちに申し上げたんですが、もうここまで来たんだから、アメリカの戦術核兵器、撤去したやつをもう一回再導入させてもらったらどうか、アメリカ政府を説得したらどうですか、そうすれば韓国人も安心するじゃないですかと。オバマ政権はそれには拒否的でありましたけれども、トランプ政権はそれを受け入れるかもしれません、それもオプションの中に入っていると思うんですね。
そうしますと、朝鮮半島でかなり密度の高い、何と言ったらいいんですか、相互抑止体制というものができ上がってしまって、北も南も、南というのは当然米韓ですから、ともかく北も南も何もできないという抑止体制ができれば対話に向かうしかないんじゃないか、かえってその方がいいんじゃないかというようなことをよく韓国の友人には申し上げている次第です。
この発言だけを見る →極端な、一番極端なものが採用されるというふうには思いませんけれども、しかし、先ほども申し上げましたように、それではICBMの実験が本当に米韓合同軍事演習中に行われるということになれば、それは何もしないでそれを黙認するのかというような議論は当然あるわけですし、そういったこともオプションの中に含まれているはずなんですね。
そうした場合どうするかというようなことも検討されているだろうと思うんです。それは、北朝鮮はまさかそういうばかなことはしないだろうというふうに考えればそれだけの話なんですが、しかし、ばかなことをするかもしれないということでありますから、今の段階では緊張がかなりの程度まで高まっていくのではないか、その後に対話の可能性というのが初めて出てくるんだと思うんですね。対話が初めからということではないと思うんです。
例えば、それも短期的、長期的、様々なケースがあり得ると思うんですよね。私はよく韓国の人たちに申し上げたんですが、もうここまで来たんだから、アメリカの戦術核兵器、撤去したやつをもう一回再導入させてもらったらどうか、アメリカ政府を説得したらどうですか、そうすれば韓国人も安心するじゃないですかと。オバマ政権はそれには拒否的でありましたけれども、トランプ政権はそれを受け入れるかもしれません、それもオプションの中に入っていると思うんですね。
そうしますと、朝鮮半島でかなり密度の高い、何と言ったらいいんですか、相互抑止体制というものができ上がってしまって、北も南も、南というのは当然米韓ですから、ともかく北も南も何もできないという抑止体制ができれば対話に向かうしかないんじゃないか、かえってその方がいいんじゃないかというようなことをよく韓国の友人には申し上げている次第です。
杉
杉尾秀哉#26
○杉尾秀哉君 今の小此木公述人のお話だと、緊張がある程度高まって、その後に対話に向かうんではないかと、こういうふうな分析でしたけれども、同じ質問なんですけれども、トランプ大統領の出方も含めて、宮家公述人はどういうふうに考えていらっしゃるのか。
それと、もう一つ伺わなければいけないのが例のクアラルンプールの事件ですね。これまで金正男氏、比較的フリーに中国マカオを中心として、そしてクアラルンプール、日本にも度々来ていた。これはもう間違いない。いろんなところに行った痕跡残っています。たまたまディズニーランドに行くところで捕まっちゃいましたけれども。あの事件も一つ、これまではちょっと考えにくい。北朝鮮の体制内で何か異変が起きているのではないか、金正恩氏中心としてですね。こういったことも、北朝鮮の中の体制も含めて、全体的な状況を宮家公述人はどういうふうにお考えでしょうか、どう御覧になっていますでしょうか。
この発言だけを見る →それと、もう一つ伺わなければいけないのが例のクアラルンプールの事件ですね。これまで金正男氏、比較的フリーに中国マカオを中心として、そしてクアラルンプール、日本にも度々来ていた。これはもう間違いない。いろんなところに行った痕跡残っています。たまたまディズニーランドに行くところで捕まっちゃいましたけれども。あの事件も一つ、これまではちょっと考えにくい。北朝鮮の体制内で何か異変が起きているのではないか、金正恩氏中心としてですね。こういったことも、北朝鮮の中の体制も含めて、全体的な状況を宮家公述人はどういうふうにお考えでしょうか、どう御覧になっていますでしょうか。
宮
宮家邦彦#27
○公述人(宮家邦彦君) 大変難しい御質問でありますが、私なりのお答えをいたします。
まず、トランプ政権について言うと、私は、彼はまだ選挙キャンペーンのモードから統治モードに完全に移行し切っていない。恐らくトランプさん自身は四年間これからツイートをし続けると思うし、その意味では彼はずっとキャンペーンモードのままなのかもしれません。これがまず第一に。そういいますと、申し上げるということは、例えばキャンペーン中に金正恩さんに会うとか会わないとかいう議論がありました。あれもキャンペーンだと思って聞き流すしかないんだと思うんです。これがまず一つの要素ですが。
もう一つの要素は、そうはいっても、トランプさん、先ほども申し上げたとおり、国際情勢について、意識しているかどうかは別にして、一種の戦略的な動きをしていることは間違いはない。そして、戦略的な問題について、彼はあえてはっきりと政策を打ち出すケースと、それから、あえて曖昧にしたままの、戦略的な曖昧さを維持した部分があると思うんですが、例えばロシアとか中東についてはまだ曖昧にしていますけど、アジア政策についてはかなりはっきりと、選択的にしっかりとした立場を表明しています。これがいい意味でも悪い意味でもアメリカの基本的な方向になっていく可能性が高いのかなと思っています。これが二点目です。
そうなると、やはり今後は、北朝鮮とアメリカ、もちろん中国もそうなんですが、腹の探り合いを、これから始まる可能性があると思います。恐らくアメリカにとっては一九九四年以来初めて北朝鮮若しくは朝鮮半島で力を行使する可能性があるよということを、本当にやるかどうかは別として示している。これ一つのメッセージであり、テストですよね。それに対して北朝鮮がどう出てくるのか。いろいろなこのせめぎ合いをやった後で次の方向性が出てくると思っています。
軍事的なオプションというのは、いろいろなところで言われますけど、非常に無責任な話だと思います。オサマ・ビンラーディンと金正恩の話を同一することは不可能です。パキスタンの小さな町にいた人をやっつけるのと、平壌のどこにいるか分からない、別のところにいるかもしれない、北朝鮮をピンポイントでという話とは全く別のオペレーションになると思います。幾ら、私、特殊部隊が優秀でも、そこまでの情報はないんじゃないかと。さらに、その場合に、もし打ち方を間違えると、それは休戦協定が壊れる可能性すらあるわけです。そのようなことを考えますと、そんな簡単に実力行使をすることは考えられない。当面は、今申し上げたような腹の探り合いをやった中でシグナルを送りながら、強く押したり引いたりしながら次の方向性が見えてくるのではないかなと思います。
それから、今のクアラルンプールの話については、ますます分からないことだらけで、無責任なことを申し上げるつもりはないんですが、私の先ほどの仮説をもし思い出していただければ、先ほど申し上げたとおり、トランプ政権がもしアジア方面においてはより力を示す形の外交政策に変更しているのであれば、それは北朝鮮に対していろんな形で伝わっているはずでありまして、亡命政権だクーデターだといろんな議論があります、そこは私は分かりませんけれども、何らかの形で、北朝鮮の上層部若しくは正恩さん本人が何らかの疑心暗鬼を持った、若しくは過剰反応したという可能性は否定できないだろうと思います。
この発言だけを見る →まず、トランプ政権について言うと、私は、彼はまだ選挙キャンペーンのモードから統治モードに完全に移行し切っていない。恐らくトランプさん自身は四年間これからツイートをし続けると思うし、その意味では彼はずっとキャンペーンモードのままなのかもしれません。これがまず第一に。そういいますと、申し上げるということは、例えばキャンペーン中に金正恩さんに会うとか会わないとかいう議論がありました。あれもキャンペーンだと思って聞き流すしかないんだと思うんです。これがまず一つの要素ですが。
もう一つの要素は、そうはいっても、トランプさん、先ほども申し上げたとおり、国際情勢について、意識しているかどうかは別にして、一種の戦略的な動きをしていることは間違いはない。そして、戦略的な問題について、彼はあえてはっきりと政策を打ち出すケースと、それから、あえて曖昧にしたままの、戦略的な曖昧さを維持した部分があると思うんですが、例えばロシアとか中東についてはまだ曖昧にしていますけど、アジア政策についてはかなりはっきりと、選択的にしっかりとした立場を表明しています。これがいい意味でも悪い意味でもアメリカの基本的な方向になっていく可能性が高いのかなと思っています。これが二点目です。
そうなると、やはり今後は、北朝鮮とアメリカ、もちろん中国もそうなんですが、腹の探り合いを、これから始まる可能性があると思います。恐らくアメリカにとっては一九九四年以来初めて北朝鮮若しくは朝鮮半島で力を行使する可能性があるよということを、本当にやるかどうかは別として示している。これ一つのメッセージであり、テストですよね。それに対して北朝鮮がどう出てくるのか。いろいろなこのせめぎ合いをやった後で次の方向性が出てくると思っています。
軍事的なオプションというのは、いろいろなところで言われますけど、非常に無責任な話だと思います。オサマ・ビンラーディンと金正恩の話を同一することは不可能です。パキスタンの小さな町にいた人をやっつけるのと、平壌のどこにいるか分からない、別のところにいるかもしれない、北朝鮮をピンポイントでという話とは全く別のオペレーションになると思います。幾ら、私、特殊部隊が優秀でも、そこまでの情報はないんじゃないかと。さらに、その場合に、もし打ち方を間違えると、それは休戦協定が壊れる可能性すらあるわけです。そのようなことを考えますと、そんな簡単に実力行使をすることは考えられない。当面は、今申し上げたような腹の探り合いをやった中でシグナルを送りながら、強く押したり引いたりしながら次の方向性が見えてくるのではないかなと思います。
それから、今のクアラルンプールの話については、ますます分からないことだらけで、無責任なことを申し上げるつもりはないんですが、私の先ほどの仮説をもし思い出していただければ、先ほど申し上げたとおり、トランプ政権がもしアジア方面においてはより力を示す形の外交政策に変更しているのであれば、それは北朝鮮に対していろんな形で伝わっているはずでありまして、亡命政権だクーデターだといろんな議論があります、そこは私は分かりませんけれども、何らかの形で、北朝鮮の上層部若しくは正恩さん本人が何らかの疑心暗鬼を持った、若しくは過剰反応したという可能性は否定できないだろうと思います。
杉
小
小此木政夫#29
○公述人(小此木政夫君) よく分かりません。全体像とか事件の性質、つまり、なぜ今このタイミングでこういうやり方でというのは、基本的なことになればなるほど不可解なんですね。二人の女性がどうこうしたというような映像に関してであれば幾らでも細かい分析は可能ですが、実はこの事件そのものが何か仮説を立てないと理解できないような事件だと思います。
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