中上英俊の発言 (経済産業委員会)

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○中上参考人 おはようございます。
 御紹介いただきました中上でございます。
 本日は、この参考人にお呼びいただきまして、お時間を頂戴しまして、ありがとうございます。
 それでは、お配りしてあります資料に基づきまして、十五分ほどお話をさせていただきたいと思います。
 まず、めくっていただきまして、これは、よく、必ず出てくる最初の図でございますけれども、我が国の最終エネルギー消費はいかに推移してきたかでございます。
 なぜか、一九七三年の第一次オイルショックから、相当昔から記載されておりまして、ここ十数年とは七三年では大分時代が違うんですけれども、オイルショックというのが一つのエポックメーキングな時代でございましたので、そこを起点にしている図でございます。
 ここにもありますように、この間、約五十年弱ぐらいでGDPは二・六倍になったけれども、実質の最終エネルギー消費は一・二倍にとどまっている。ここが、世界でも非常にエネルギー寡消費、少なくて経済成長を遂げたということで、我が国が高く評価されている一因だろうと思います。部門によって若干違うわけでございますが、近年、二〇〇〇年前後をピークにしまして、ほとんどのところで需要が横ばいないし減少に転ずる。
 その下の図を見ていただきますと、また少し書き込んであるわけでありますが、私は、これは総合エネ調の資料でつくった図でございますけれども、しからば、我々がいろいろ議論してきた、いろいろな省エネ法であるとかエコポイントであるとか、そういう施策とはどういうふうなつながりになるんだろうかというのをプロットしてみたわけであります。
 これは、二〇〇五年に長期需給見通しが出されたときの図をもとにしてありまして、二〇三〇年で、一番上にあります濃いブルーの線がありますが、これが二〇三〇年には四百二十五、すなわち四億二千五百万キロリッターまでいくだろうと。ただ、二〇二一年にはピークを打って下がり始めるけれども、それでもそのぐらいいくだろうと見通しが出ていたわけであります。
 起点は、四一三と書いてある二〇〇〇年のちょっと前の代であると四億一千三百万キロリッター。いずれにしましても、やや増加するだろうと見ていたんですが、これではなかなか厳しいので、できるだけ省エネをやって、二〇〇五年省エネ進展ケースで三七七と書いてございます、三億七千七百万キロリッター。
 おおむね五千万キロリッターぐらい省エネしようというのが目標だったわけでありますが、実際はどう推移してきたかというのがやや薄いブルーでございまして、二〇〇〇年前後から横ばいないし減少に転じることが顕著に出ております。
 ただ、最も下げているのが、これは御案内のとおり、ここに書いてありますが、リーマン・ショックなんですね。リーマン・ショックでエネルギー消費が下がったからこれがハッピーかというと、これは決してハッピーではなくて、角を矯めて牛を殺すようなものでございますから、こういうことになっちゃ困るわけでありまして、リーマン・ショックが回復したらまたもとへ戻るだろうなと思っていましたら、案の定、少し戻りかかったんですが、そこに東日本大震災がぶつかりまして、また新たに減少傾向に転じたということで、非常に下向きのカーブが急角度になっていますが、近年ないぐらいの減少傾向が続いている。
 薄い緑で示してありますが、今現在我々が持っております最新の省エネを徹底したケースの二〇三〇年の見通しでございまして、三億二千六百万キロリッターになっておりますが、この線を下回って推移しているんですけれども、このままいくかどうかというのは、これは必ずしも楽観はできない。いかにも、ここ数年極めて異常な事態が同時並行的に発生しておりますので、それに基づいていろんな形で省エネが進んだことは確かでございますが、このままいくかどうかは予断を許さないというようなことで、新たな省エネ施策についての検討が省エネ小委員会で進められてきたところでございます。
 次、めくっていただきまして、いずれにしましても、その目標を達成するためには三五%の改善をしなきゃいけない。これは、第一次、第二次オイルショックのときと同じぐらいでございまして、このときは相当なショックだったわけですね、原油価格が十倍、二十倍に高騰するという異常な事態でございましたから。そういう事態と同じようなレベルで省エネを図らなきゃいけないということは、相変わらずこれから先、我々は覚悟しておかなきゃいけない。
 五千万キロリッターという数字ですが、これは専門家でもなかなかぴんとこない数字でございますけれども、今現在、日本じゅうの家庭で使っているエネルギーとほぼ同じでございます。したがって、家庭で全部エネルギーをやめてしまえば減るわけでありますが、そんなことはできないわけでありまして、割合にすると一三%であります。一三%は非常にでかい数字でありまして、これはまた言い方をかえると、一週間に一回、全員が何もしないでじっとしている、こういう数字であります。
 そう聞くと非常に大変だということがおわかりいただけると思いますが、ただ、二〇三〇年までは若干時間がございます。時間をかけてやれば、年一%ずつ、あらゆる分野で努力していただければこの数値はクリアできるわけでありますが、一%なら現実的にできるんじゃないかなと思っていただけるのではないか。いきなり一三%削減しようというのは、これはなかなか大変でございます。しかし、毎年全ての分野で一%、これはやはり大変なことでございます。
 次に、中間的な状況でございますが、四ページ目でございますけれども、現時点では、約九百万キロリッター弱の省エネルギーが達成できておる。進捗率は、そこに書いてあります一七・四%となっておりますが、これまで、五千万キロリッターを目指しておりますと、約二割近くに届かなきゃいけないのに、若干ちょっとこれでも下回っているという状況ですから、いかに厳しい対応をこれから迫られるかということだと思います。
 赤枠で囲っておきましたが、最も効果的だったのは、やはりLEDですね。LEDがこれほど急速に普及した国は、世界じゅうで日本しかございません。明らかにこれは三・一一が大きな後押し、よくも悪くも後押しになったわけでございますけれども、果たしてこれに匹敵するような省エネ技術がこれから出てくるかどうか。つくっていかなきゃいけないということでございます。
 次に、よく言われますのは、五枚目でございますけれども、産業・業務部門の原単位の改善。すなわち、GDPを稼ぎ出すために投入するエネルギーの消費量というのは、この両分野で滞っていると言われているわけでありますけれども、ここをどう評価するか。
 産業構造も徐々に変化してきておりますし、特に、一次産業、二次産業から三次産業に大きく産業構造はシフトしているわけでありますから、三次産業を支える業務部門は、ある意味ではふえてもおかしくないんですが、逆に横ばいであれば、私はそれなりに省エネが同時的に進んでいるのではないかというふうに楽観的に解釈しておりますが、それでもこの面も下げていかなきゃいけない。
 産業部門も、核心的なコア技術についてはかなり省エネが進んだと聞いておりますが、まだまだ、精査してみますと、周辺的に、コア技術ではないもの、いわゆるサポート、支援的な技術については、もう少し深掘りをしていくと省エネがあるかもしれないというふうな調査もちらほら見えるようになってきましたので、これから先は、核心的なコア技術だけではなくてサポート技術についても、もっと深掘りをしていきたいというふうに考えております。
 次に、六ページ目でございます。
 今回、省エネ法の改正で非常に大きなポイントになっているところでございますが、後ほど、流通の御専門の先生方もお見えでございますから詳しく御説明があると思いますが、いわゆるEコマースと言われる電子商取引、これに派生しまして大量の小口輸送が発生しておりまして、ここの運輸部門での増加をいかようにしてこれまでの省エネ法の中に取り込んでいくかということが、大きな議論になったわけであります。
 真ん中の図にございますように、宅配便の取扱実績は右肩上がり、非常に急角度で伸びておりまして、これを、今までは荷主に対して規制をかけていたわけでありますが、必ずしもEコマースの場合は荷主にならないわけですね。荷主さんは、各、Eコマースに出店している業者さんが荷主になるわけであります。
 その荷主さんのスケールは、省エネ法の基準からするとみんな網から漏れるといいますか、小さい企業の方が多いわけでありますから、なかなか規制できない。しかし、それをまとめていらっしゃる業界がおありになるので、御協力願えないかということで、いろんな議論をさせていただいて、今回、そういう方々の御協力も得られることになりまして、法律の中に取り込むことができたということでございます。
 もう一点は、荷主というと、どうしても発荷主の方に目が行きがちですが、受け荷主、受ける方も、よくかんばん方式と言われて、何時に品物を届けてください、そういう方式がございますが、受け手側も正確に時間を指定しないと、余裕を持って来てしまうと、これは、そこで交通渋滞が生じたり荷待ち状態が生じたりして、やはり省エネルギーに反することになりますので、荷主だけではなくて待ち受け側も、荷を受ける側に対しても協力を願うというような形も今回議論をさせていただいたところでございます。
 次に、これはちょっと私の私見でございますけれども、物流構造が変化すると、確かに一見、流通といいますか貨物輸送は確実にふえますけれども、流通業全体で考えたらどうなるかということを、私自身、ちょっとここに書いてあるんですが。
 消費者行動は明らかに変化するわけですね。逆に、どういう意味かというと、消費者が直接お店に行かないで、いながらにして発注されるわけですから、消費者が移動するエネルギーは確実に要らなくなる。大きな荷物を買ったら、持って帰るときにまた多分何らかの手段が必要になりますから、そういう場面でのエネルギーは果たしてどう評価するんだろうか。それがどんどん進んでまいりますと、商業形態自体が変わってくる可能性がある。
 お聞き及びかもしれませんが、アメリカでは、大手のおもちゃ屋さんが店を閉鎖した、これはEコマースの影響だそうでございますし、それから大手の小売事業者がやはり店を縮小している、これもやはりEコマースの影響だと聞いております。
 アメリカの友人に、それをトータルで評価した資料はないか、日本でも参考にしたいと言ったんですが、まだそこまで調査していないと言われましたものですから。だけれども、トータルで考えると、確かに中上が言うように、これはひょっとすると、物流構造全体で考えると省エネになっているかもしれないねと。
 どうしても、場面場面のデータだけで見てしまいますと、突出して貨物輸送がふえたからそこが悪いということになりますけれども、トータルで考えると話が違うのではなかろうかということであります。
 八ページでございます。
 今後の省エネルギーを考えるに当たりまして、そういうふうな社会構造の変化とかビジネスモデルの変化というものが、非常に目まぐるしく変わりつつあります。ですから、社会の実態に合わせた省エネ政策の転換をこれからもやはり不断に続けていかないと、従来の規制だけではカバーし切れない状態が発生してくるだろうと思います。
 特に、皆様御案内のように、AIとかIoTの最新技術を使った省エネは、あらゆる分野に相当大きな影響がありそうでありまして、これは、省エネの面から考えると、恐らく相当省エネルギーになると私は期待しておりますが、これは、これからの非常に大きなテーマの一つでもあります。
 さらに、シェアリング、これもビジネスモデルの変化ですね。
 それにつきまして二つだけ事例をお示ししておきましたけれども、次のページに、お聞き及びのように、いろいろと物議を醸しているところもありますが、ウーバーなんというのがありますが、この会社は一台も車を持っていないと。しかし、世界最大のタクシー事業者だ、こう言われている。日本では、まだ確たる事業実績はないようでございますが。
 こういった場合には、大体、一般の消費者のあいている車を利用して、それで輸送業をやっているという状態になりますから、そうすると、ここで発生しているエネルギーは、家庭で使っているエネルギーなのか、事業用なのかなんというふうな仕分が出てくるんじゃないかなと思います。
 次に、これまた、昨今、違った意味で物議を醸しておりますけれども、民泊ですね。エアビーアンドビー、最大の民泊業者の一つでありますが、ここも宿泊用の不動産は一つも持っていないと。
 ここが、民泊であっせんして、個人のお宅の空き部屋を利用してお客さんを泊めたときのエネルギー消費は、これは業務用なんだろうか、家庭用なんだろうか。恐らく、メーターは家庭用しかないですから、家庭用で計量されると思いますけれども、ここは明らかに事業でございますから。このあたりまでになってくると、これは省エネ法の対応も単純にはいかないなというふうに思っております。
 いずれにしましても、社会がそれほど大きく変化してきておりますので、省エネルギーはいつまでたっても切りがないんですが、省エネに終わりなしという言葉がございますが、まさにそのとおりだなと思っております。
 省エネは、基本的には、私は、やはり規制が最もあらゆる面に効果が高いと思います。ただ、私の今までの経験からしますと、別な見方をすると、トップのディシジョンといいますか、これは非常に大きくきくわけですね。いろんな会社でも、トップがこうしろと言うとやはり全体が動くわけですけれども。
 ですから、本当は、総理大臣が夏に車を使われるときに、運転手さんに待たせて、クーラーをかけて待っているなんというのは、私はあれもよくないと思いまして、総理がおやめになったら、恐らく先生方も多分やめざるを得なくなるという。ちょっと口幅ったいですけれども。そういう意味では、トップのディシジョンというのは非常に大きいと思います。
 もう一点、最後は、消費者が動き出すと、これはやはり最も大きい、サイレントマジョリティーと言っておりますが。
 私の経験でこれは非常に大きな成功例でありますけれども、待機電力というのがございますが、もうお聞き及びだと思いますが、これを問題提起したときに、一切メーカー側は、そんな小さなことを言うなと言われて、余り反応はよくなかったわけです。役所の方も苦労して、何とかこれを削減しようとあちこち声をかけたんですが、なかなか動かなかったんですが、消費者が、うちで計測してコンセントからプラグを抜いてみたら、一カ月後に電気代が千円ぐらい下がったんですね。そうしたら物すごく大きな声になりまして、あっという間にメーカーが待機電力を軽減するという施策をとりました。
 世界、ほかの国は全部規制をかけようとした。日本だけが、規制をかけなくてもあっという間に動いた。それを、私は諸外国の友達に、そんなの簡単だから、消費者にプラグを抜いてもらえばいいんだと言ったら、そのとき彼らは何と言ったかというのは、中上、それは無理だ、欧州やアメリカでは、電気代は年に一回しか計測しないと。電気代、毎月来ているのはどうしているんだと言ったら、年間のを十二カ月にばらして払っているんだ、だから、一カ月ぐらい抜いただけで、ふえたか減ったか答えは出ないと。一年たったら何が何だかわからなくなりますから。それで、いやあ、随分日本はそういう意味じゃ違うんだなと思っていましたが、今度スマートメーターが出てきましてから状況は変わってまいりましたけれども。
 そんなエピソードがありますけれども、やはり、消費者が動くということは非常に大きいと思います。
 ちょっと時間が超過したかもしれませんが、私からの話はこれまでにさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 中上英俊

speaker_id: 10186

日付: 2018-05-22

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会