矢野裕児の発言 (経済産業委員会)
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○矢野参考人 流通経済大学の矢野でございます。
きょうは、よろしくお願いいたします。このような機会を与えていただき、まことにありがとうございます。
私の専門は、物流、それからロジスティクスということで、私の方からは、物流部門における省エネ対応ということでお話をさせていただきます。
まず最初に、物流構造の変化ということで、簡単にお話しさせていただきます。
日本の貨物輸送量の推移ということで図がありますが、一般的に、貨物輸送量は、重量ベースのいわゆるトンベース、それから重量掛ける輸送距離のトンキロベースで、こういう形で計算することが多くなっています。
経年的に見ますと、トンベースで大幅に減少してきている、さらにはトンキロベースでも緩やかに減少している、こういう現実があります。これは、海外に工場が移転する、あるいは産業構造自体が、重厚長大型から軽薄型に、軽いものに対してどんどん変化している、こういうことで、今後もトンベース等の貨物輸送量は減る、こういうふうに予想されています。
しかしながら、三ページの方なんですが、物流は大きく質的に変化しております。
特に言われるのが、多頻度小口化です。左側の図のとおりに、一回貨物を運ぶ場合でも、そのロットというか、単位が非常に小さくなっているという傾向があります。小口化です。それから、右側の図のように、件数が非常にふえてきている。つまり、小さい単位で何個も、何回も運ぶ、こういうような傾向が非常に強まっているということになります。
件数ということなんですが、これは、例えば、タンカー一隻動いても、ある意味では一件ですし、郵便小包一個でも一件ということなので、なかなか統計的に把握できないんですね。ですから、こういう統計が現実にはありません。ですから、現実としては、荷動き件数が非常にふえてきている、こういうことかと思います。
そういう意味では、重量という意味では減っているが、件数ではふえているというのが日本の貨物輸送の現状ということになります。
実際に、どういうところが物流を出しているかということをあらわしたのが四ページです。
重量ベースで見ますと、やはり圧倒的に多いのはメーカーです。重いものをどんどんつくり、そして動かしていますので、メーカーを中心とした荷動きになっているんですが、今度は件数ベースで見ますと、実際には卸売業、小売業の比率が非常に高くなります。
そういう意味では、非常に消費者に近いところの物流のところが件数ベースでは非常に大きな割合を示しており、ここのところをどうやって効率化していくか、こういうことが非常に重要になるということになります。
続いて五ページですが、これは輸送機関別に見たものです。
どの輸送機関が運んでいるか。トラックが運んでいるか、鉄道が運んでいるか、船が運んでいるかなんですが、トラックが大体五割、それから船が四五%、さらに、残った五%が鉄道という形になります。
ただ、一九六〇年代は鉄道が非常に多かったんですね。それがどんどん減少して、今は五%。それに対してトラックがふえてきた。重量貨物については船がまだまだ多いですが、トラックが、小さい貨物については主に運んでいるということになります。本来、省エネから考えた場合には、この鉄道部分、それから船の部分をどうやってふやしていくか、ここが課題になります。
さらに、六ページですが、長距離の場合には、ある程度、船、それから鉄道の割合が多くなっていますが、それでも、長距離あるいは中長距離においては、まだまだトラックで運んでいる部分が多いというのが現実です。そこのモーダルシフトをどうしていくかというのが重要になります。
現在、物流においては、非常にドライバー不足が大きな問題になっていますが、この観点から見ても、中長距離の輸送をいかにシフトしていくか、ここが重要です。さらに、改善基準告示ということで、連続運転時間、運転時間、拘束時間ということが問題になっていますが、この観点からも、いかに鉄道それから船をふやしていくか、この辺が非常に重要です。その輸送ネットワークを構築していくことが重要になります。
続いて七ページですが、運輸部門のエネルギー消費ということになります。
よく図表などを見ますと、運輸部門となっていて、そして、下の方に旅客があり、その上に積み重ねグラフのように貨物輸送になっているので、余り、貨物輸送の動きというのが見えづらくなっています。ここでは分けて表示しておりますが、貨物輸送については一九九六年をピークに減少傾向にあります。
実は、よく、京都議定書の場合、一九九〇年に対して二〇一〇年のときに運輸部門はちょっとふえているよ、だから問題だよ、それで物流も何となくふえているようなイメージをお持ちかもしれないんですが、実際には、乗用車、旅客部分が非常にふえたためにふえているのであって、貨物輸送部分というだけで見た場合には相当減少している、九六年をピークに減少しているということになります。そういう意味では相当努力したということもあるかなというふうに思っております。
それから、その下は、もう少しわかりやすくしたのが八ページですね。
このように、実際に九六年から大きく減少してきています。ただ、問題は、二〇〇九年までは大きく減少してきたんですが、そこから横ばいになっている、こういう状況があります。そこが非常に問題で、各企業に聞いても、最初は割かしいろいろな効率化策をやってどんどん省エネができた、ただ、それが相当、二〇〇九年以降、効率化策をやってもなかなか減らない、こういう状況になっています。
特に、企業の物流部門が単独でできるところを先行してやっていたわけですが、それがある程度限界に来ている、こういう問題点を抱えて、今後減少していくためには、後で申し上げます連携ということが非常に重要になるかなというふうに思っております。
その次に、貨物輸送のCO2排出量、輸送量、原単位の推移ですが、先ほど見ましたように、大きく減少してきたんですが、一つは輸送量が減少してきたこと、それから、同じ輸送量を運ぶために必要なCO2が減ってきた、その両面があったんですが、ただ、先ほども申し上げましたように、二〇〇九年以降はなかなか減少していない、こういう現状となっています。
さらに、その下の表ですが、これは京都議定書のときにどういう施策をやったか。特に、船それから鉄道へのモーダルシフト、さらには貨物輸送の効率化、トラック輸送の効率化というところなんですが、いずれも目標を下回っています。ただ、船へのシフトは結構進んだんですが、鉄道へのシフトが余り進まなかった。さらにはトラック輸送の効率化が余り進まなかった、こういう現実がございます。
続いて十一ページですが、トラック輸送の効率化が非常に重要で、そのためには、車両の大型化、これが結構進んできました。それから営業用に転換していく、こういうことも進んできました。
ただ、積載効率が逆に悪くなっている、こういう現実がございます。ここのところは、先ほども申し上げた多頻度小口化と相当関係しているかと思います。つまり、トラックが動いているわけですが、実際に満杯状態で動いていない、非常に少ない積載率で動いている、こういう事例が非常に多いということで、大体今四割前後という、こういう状況になっています。
さらに、十二ページですが、今度は、先ほどから話題になっています宅配便です。宅配便は個数がどんどんふえてきています。特にここ三、四年は、きっとネット通販の影響もあって急激に増加しているかと思います。
さらに、次のページですが、再配達の発生状況ですが、国交省さんの方では二〇一三年度に再配達率の試算を行っています。大体再配達率が二〇%、さらに、昨年、二〇一七年に一五・五%という結果になっています。ただ、これは、二〇から一五・五となっていますが、ちょっと調査方法を変更しておりますので、必ずしもここで改善したというふうには言えないかと思います。
いずれにせよ、この再配達が非常に社会経済的損失というのを与えている、こういうのが現状かと思います。
十五ページのように、実際に再配達率を減らしていくということで、受取方法を多様化していく、宅配ボックス、宅配ロッカー等をふやしていく、あるいはコンビニ受取をふやしていく。ただ、宅配ボックスなども、あるいは宅配ロッカーなども、利用率は結構低いという現状があります。それをどうやって使ってもらうかというのも重要ですし、さらには、一回で受け取ってもらうような情報交換を利用者と業者で行っていく、こういうことも重要かと思います。さらには、消費者、利用者に対してどうやって積極的にこういうのを考えてもらうか、こういうのも重要かと思います。
さらに、十六ページ。ちょっとこれは再配達率とは別なんですが、過疎地域においては都市部に比べて同じ一個を運ぶのに非常に配送距離が必要になるという現状があります。大体六倍ぐらい必要という試算も出ています。そういう意味では、特に過疎地域においては、こういうラストワンマイルのシステムをつくっていく、こういうことも重要かと思います。
続いて、十七ページです。物流に関連する環境対応策というのが、輸送関連、あるいは物流センター関連、あるいはこん包材とか、いろいろな施策があります。ただ、これらの施策を講じる上において、ここの左側で赤で囲んだ部分、いかに取引条件を適正化していくか、あるいは企業が協力していくか、さらには製品開発なんかも輸送を含めて行っていくか、こういうことが非常に重要になります。
実際に、十八ページのように、環境問題に対応していこうというときに、なかなか取引先の協力が得られないとか、あるいは企業の中でもほかの部門の協力が得られない、こういうことが大きな問題になります。そういう意味では、今まではどちらかというと物流部門が単独でできる、一企業で単独でできるところが進んできたわけですが、今後は、取引先を巻き込む、そういうような形でやっていかないと、なかなか今後の施策は進展していかないというふうに考えられます。
続いて、十九ページですが、物流の場合は非常に関係者が複雑だという問題があります。
発荷主と呼ばれる一般的な荷主、そこが着荷主に荷物を送る、それを実際の物流業務は物流業者に委託する、こういう形になります。その場合に、実際には着荷主が、いつまで持ってきてくれとか、あるいはこういう単位で持ってきてくれ、こういうことを決めるわけですね。そういう意味では、着荷主の要請に応じて発荷主が、じゃ、このときに持っていこう、それを物流事業者に委託する、こういう形になります。
という意味では、着荷主が非常に全体の条件を決めているという状況があります。ここのところをどういうふうにうまく持っていくか、ここが非常に重要になるかと思います。
ということで、二十ページですが、物流部門における省エネ管理。日本の場合、省エネ法において物流事業者だけでなくて発荷主を巻き込んだ、こういう意味では非常に画期的だったと思います。ただ、やはり今問題になっている着荷主の問題、さらには、現行の省エネ法では貨物の所有者と荷主が位置づけられている、そこでどうしても抜けが出てしまう、この辺が非常に問題かと思います。
さらに、二十一ページですが、企業間連携ということで申し上げました。企業が連携することによって、どうやって物流条件を見直していくか、そして無駄な物流をなくしていくか、そしていろいろな施策を講じていくか、こういうことが非常に重要かと思います。
二十二ページから幾つかの事例、実際に企業が連携して行っている事例が入ってございます。
細かいことは時間がありませんので申し上げませんが、例えば、食品メーカー六社が共同配送を行う、あるいはビールメーカーの、まさしくライバルメーカーが一緒に鉄道輸送をやる、こういう事例もあります。さらには、着側が、毎日持ってきてもらうのはやらなくてもいいよ、一日置きでもいいよとか、あるいは、持ってくる貨物量を想定して、例えば四トン車を上回る場合には前倒しして持ってきてもらう、こういう形で車両数を制御するとか、こういうような取組もだんだん出てきています。そういう意味では、企業が連携する取組、こういうのが非常に重要だというふうに考えられます。
最後のページに、一応、まとめということで書いてございます。一応、省エネ法のときに今後考えるポイントということで、まずは挙げさせていただきます。
発荷主、物流事業者だけではなく、着荷主もやはり連携した取組が重要だと思います。
そして、一企業単位だけでなく、企業連携による取組が重要だと思います。
特に、サプライチェーン上で主導的立場にある企業が、みんなを巻き込んだ形でやっていく、こういうことも重要かと思います。
さらには、物流条件、つまり、例えば注文の回数だとか、あるいはロットの量とか、こういうことも含めて条件を変更し、そして無駄な物流を削減していく。
あるいは、平準化、計画化していく、こういうことも非常に重要かと思います。
さらに、今までどちらかというと重量貨物を取り扱うメーカーが主な対象となっていましたが、今後は、軽量貨物を扱う企業等もやはり取組が重要かと思います。
さらに、省エネを国民全体で考える、こういうことを考えた場合に、やはりネット通販についても、非常に取組自体は重要だと思います。実際に、宅配便の貨物輸送というのは貨物輸送量全体の五%ぐらいです。ただ、ここの部分というのは、国全体の省エネを考える上では非常に重要だと思います。そういう意味では、これに対してネット通販業者、それから利用者も含めて考えていくことが重要かなと思います。
そういう中で、先ほどから幾つか申し上げましたけれども、施策として、鉄道、船舶を利用したネットワークをつくっていく、さらに、ラストワンマイルを考えていく、さらには、今、IoT、AI等が進んでいます。これらをうまく利用していくということが重要かと思います。
いずれにせよ、今、物流においては人手不足問題が非常に重要になっています。それと省エネというのは相当両立するところがあります。そこのところをいかに行っていくか、そして、今、着荷主も含めて物流を何とかしなくちゃいけない、そういう意識が非常に強まっています。そういう中で、何とか効率化をしていく、そして省エネに結びつけていく、こういう施策が非常に重要かと思っております。
どうもありがとうございました。(拍手)