寺西笑子の発言 (厚生労働委員会)
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○寺西参考人 全国過労死を考える家族の会代表世話人をしています寺西笑子でございます。
本日は、貴重な機会をいただき、まことにありがとうございます。
全国家族の会は、一九九一年に結成以来、過労死の根絶を願って、遺族の救済と過労死防止活動に取り組んできました。
本日は十五枚の配付資料を御用意させていただきました。これらの経験に基づいて意見を述べたいと思います。
私たちは、愛する家族をある日突然に過労死で亡くしました。私ごとですが、二十二年前、四十九歳だった夫を過労自殺で亡くした遺族であります。
随行席には、SEだった二十七歳の息子さんを過労死で亡くされた西垣さんがいらっしゃいます。報道記者だった三十一歳の娘さんを過労死で亡くされた佐戸さんもおられます。エンジニアだった御主人を過労死で亡くされ、幼い子をお二人抱えて大変御苦労された渡辺さんもいらっしゃいます。同じく、四十三歳だった御主人が過労死された小林さんも来ていただきました。そして、学校の教員だった御主人を過労死で亡くされた中野さん。以上できょう参加させていただいています。
このように、仕事の内容が違っていても共通しているのは、真面目で責任感が強い人が長時間、過重労働の末に過労死に追い込まれ、とうとい命が奪われたことであります。私たちは、大切な家族を突然亡くしたことで地獄に突き落とされた衝撃を受け、なぜ死ななければならなかったのか、その温床になっている長時間労働はなぜ起こっているのか考え、せめて過労死したことを認めてもらいたいとの思いで労災認定を求めています。
そのためには、遺族が労働時間と仕事の内容を証明しなくてはならないために、傷ついた心を抱えながら、血のにじむような苦労をして長年闘っていきます。
たとえ労災が認められたとしても、死んだ人が生き返ってくるわけはありません。普通だった一家団らんはなくなり、いとしい家族との触れ合いも言葉を交わすこともできない。生涯、生きているときになぜ救えなかったか、自責の念を抱えながら、遺影をじっと見詰める生活が待っているのです。
私たちは、このような悲劇を二度と繰り返さないために、職場改善を求め、過労死の教訓を過労死予防に生かし、心から過労死をなくしたいと強く考えて行動をしております。
では、どうすれば過労死をなくせるのか。その一番の原因は、長時間労働をなくすこと、また、過労自死については、ハラスメントをなくすことであります。
そこで、現在問題になっている政府の働き方改革関連法案についてですが、私たちは、これまでも、残業、時間外が過労死ラインの上限規制、裁量労働制の拡大、高度プロフェッショナル制度の創設、これらの問題点を指摘し、批判をしてきました。
裁量労働制拡大についてはデータ問題で削除されましたが、私たちは、労働者の根幹を揺るがすスーパー裁量労働制と言われている高度プロフェッショナル制度も、働き方改革の関連法案から削除すべきと考えています。
なぜなら、高度プロ制度は、御存じのように、労働時間規制をほぼ全面的になくすもので、長時間労働に陥り、過労死の発生を促進する危険性が非常に高いと考えているからです。今は年収要件や職種を限定していますが、一旦通ってしまえば、アリの一穴でも堤が崩れることが目に見えています。
つまり、これまで違法と言われるような定額働かせ放題で長時間労働を完全に合法化し、そのあげくに、過労死をしても自己責任にされる仕組みになっているからです。過労死なのに自己責任とされ、労災認定さえされなくなり、過労死を出した会社は、勝手に働いて勝手に死んだ、会社は責任ないというひどいことがまかり通る社会になっていくことが目に見えているのです。
私たち家族の会は、毎月のように新しい会員、つまり遺族が入会されています。皆さん、過労死を証明するために大変苦しんでいます。現時点でも、労災認定や賠償の壁はとても高いものがあるのです。
高度プロフェッショナル制度は、労働時間も使用者に把握義務がなくなるので、過労死しても、過労死の労災認定はほとんど無理になる、賠償も無理になります。そうすると、遺族は、過労死認定されず、労災も受けられず、泣き寝入りし、路頭に迷う遺族がふえることになります。
このように、高プロ制度になれば、過労死が必ずふえるのに、過労死しても過労死と認められなくなるので、遺族にとっては大変地獄のような生活になります。こんな恐ろしい高プロ、残業代ゼロ制度は絶対に削除してほしいと考えます。
実際に過労死はふえても、労災申請も認定もされないことで泣き寝入りする人がふえ、数字の上では過労死は減ったという最悪の現象になりかねません。私たちは、過労死の被害者として、命にかかわる危険な働き方の創設を認めることはできません。
配付資料の三ページを示します。
そもそも、働き方改革の関連法案は、安倍総理大臣が委員長になり、政府主導で推し進めてきたものです。採決する前に、ぜひ私たち遺族の声を聞いていただきたく思い、このたび、安倍総理大臣へ面談依頼をしました。本日御返答の期日ですが、いまだ安倍総理との面談の返答はいただいていません。
報道では、強行採決という暴挙も伺っています。先進国日本と言われているその政府の先頭に立っている方が、まさか命にかかわる法案を、丁寧な審議をせず、過労死遺族の声を聞かず、教訓を学ぼうとしない、世論の大半が反対している法案を強行採決するという暴挙はやめてください。
私は、四年前の五月、この衆議院厚生労働委員会で意見陳述し、過労死防止法を通過させていただきました。六月に、安倍総理も賛成され、一人の反対もなく、全会一致で過労死防止法は成立しました。
成立に御尽力いただいた超党派の議員さんたちとともにうれし涙を流した感動的なことは今も忘れません。これで過労死はなくしていけると思った瞬間を味わいました。
まさか、四年後に、国民の命を奪ってしまうような、過労死を促進する法案について参考人意見陳述するとは夢にも想像しませんでした。
安倍総理には、法案を採決する前に、ぜひ遺族たちの声を聞いていただきたいです。採決する前に会っていただきたいです。国民の命を奪うような高プロ法案は削除してください。
そして、過労死防止法に逆行する働き方改革関連法案の強行採決は絶対にやめてください。衆議院厚生労働委員会の議員の皆様へ切にお願いを申しまして、私の意見陳述とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)