天野慎介の発言 (厚生労働委員会)

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○天野参考人 本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私から意見を申し述べます。
 全国がん患者団体連合会は、さまざまながんや地域のがん患者会が加盟する連合組織であり、本日、この後お話をされる長谷川さんが代表を務める肺がん患者の会も私たちの加盟団体の一つでございます。
 私自身は、平成十二年、二十七歳のときに血液がんである悪性リンパ腫を肺などに発症いたしまして、抗がん剤治療や放射線治療などを経験したがん患者でございます。二回の再発を経験いたしましたが、治療による副作用で重篤な間質性肺炎や左目の視力を失うという経験をしたものの、幸い私自身の場合はたまたま治療が奏功し、今こうして皆様の前でお話しすることができております。
 しかし一方で、私と同じころに治療した同世代の若年がん患者で、亡くなったがん患者の方々も多くいらっしゃいました。また、がん患者会の活動を通じて出会った方々の中にも、旅立たれた方々もいらっしゃいました。
 亡くなられた方々は、もし治療が奏功したならば、やりたかったことはたくさんあっただろうと思いますし、こうして皆さんの前で訴えたかったこともたくさんあったかもしれません。
 私たちがん患者会が受動喫煙対策の推進をお願いするのは、多くのがん患者や家族が経験した身体的、精神的そして社会的な痛み、悲しみ、苦しみを経験する方が一人でも減ってほしい、救える命を一人でも多く救ってほしいとの思いがあるからであり、がんの関連学会や他の疾病団体とともに繰り返し要望してまいりました。
 受動喫煙対策に関して申し上げるならば、その痛み、悲しみ、苦しみはがんだけにとどまりません。喫煙はがん、呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病、歯科疾患などの原因となっており、受動喫煙は肺がんや呼吸器疾患、心疾患、乳幼児突然死症候群などの発症リスクを高めていることが明らかです。
 御承知のとおり、国立がん研究センターによる推計では、日本において受動喫煙が原因で年間一万五千人が亡くなっているとされています。年間一万五千人の方が亡くなるとは、単純計算するならば、三十五分に一人の命が今この瞬間に日本で失われていることになります。
 受動喫煙対策の推進は、FCTC、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約においても求められていることや、WHOやIOCがたばこのないオリンピックを共同で推進するとしているということももちろんございますが、一番重要なのは、今この瞬間に救える命を救うために、直ちに国に行動を起こしていただきたいからだと考えます。政府や与党の皆様におかれましては、長らく受動喫煙対策の推進にかかわる法的措置を検討いただいてきたわけですが、一日も早く実効性のある受動喫煙対策の第一歩を踏み出していただきたいと願います。
 しかし、第一歩を踏み出すことが重要ではございますが、第一歩を踏み出しさえすればよいのでしょうか。私たちが本当に目指すべき北極星、目標はどこにあるのでしょうか。
 平成三十年三月に閣議決定された国のがん対策推進基本計画においては、「望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現する」とされています。この目標について、加藤厚生労働大臣は、望まない受動喫煙をなくすということは、望まない受動喫煙をゼロにすると同義であると国会でおっしゃっていました。望まない受動喫煙をゼロにするという目標から見た場合、更に、第一歩にとどまらず、二歩、三歩と進めていただく場合、今回の改正案で不足している点があると考えますので、特に次の三点について意見を述べます。
 まず一点目です。改正案では、原則屋内禁煙としている一方で、法律に定める日までの経過措置として、客席面積が百平方メートル以下であるなど一定の条件を満たす既存の飲食店については、例外的に喫煙可能とされています。例外規定とするならば、それは限定的とすべきであり、そもそも受動喫煙をゼロにするという目標から考えれば、例外的な規定を設けるべきではありません。
 それでもなお、国会で十分に議論をしていただいて、例外的な規定を設けるということであれば、この経過措置を漫然と放置してはならないと考えます。改正案では、法律の施行後五年を経過した場合、必要があると認めるときには必要な措置を講ずるとされていますが、仮に二〇二〇年から法律が施行された場合、これから実に七年近く、この例外的な規定が残ることになりかねません。
 東京都では既に、国の改正案よりも厳しい独自の条例案を審議していますが、同様の動きが他の自治体でも広がっています。自治体が国より進んだ受動喫煙対策を進めることによって、将来的には国も、これらの自治体のように、受動喫煙対策を進めざるを得なくなる可能性があると考えます。この例外的な経過措置は、できるだけ早期に見直していただきたい、附帯決議などで早期に見直すとしていただきたいと考えます。
 二点目になります。改正案では、加熱式たばこについても同様に、当分の間の経過措置として、加熱式たばこ専用の喫煙室を設置すれば、飲食をしながら喫煙することが可能とされています。加熱式たばこからもニコチンやホルムアルデヒドが発生していますし、それは見えないエアロゾルとなって周囲に拡散しています。一方で、世界二十五カ国で販売されている中で、その九割が日本で販売されており、世界の中でも突出しています。
 加熱式たばこの受動喫煙のリスクについて、WHOは、科学的根拠は十分ではないものの、全てのたばこ製品は有害であり、加熱式たばこについてもたばこに関する規制の対象とすべきであるとしています。販売量が突出している日本で、加熱式たばこに関する健康被害が実際に出始めてからでは遅いと考えます。加熱式たばこに関する例外的な経過措置についても、漫然と放置することなく、できるだけ早期に見直していただきたい、附帯決議で早期に見直すとしていただきたいと考えます。
 三点目です。学校、病院、行政機関などについては、敷地内禁煙とされているものの、屋外で受動喫煙を防止する必要な措置がとられた場所に、喫煙場所を設置できるとされています。このうち、小学校、中学校、高等学校については、未成年の児童や生徒が日常的に多数いらっしゃり、未成年の児童や生徒はそもそも望まないとみずから意思表示をすることも困難な場合もあることから、敷地内禁煙を徹底していただくことが必要と考えます。
 最後になります。
 現在、働き方改革関連法案が審議されており、その中で、働く人の視点に立った働き方改革を実現するとしていただいています。働く人の視点に立った働き方とはどのようなことでしょうか。
 本日いらっしゃる国会議員の皆様にお尋ねします。
 もし皆様よりも上の立場の方が目の前でたばこを吸い始めたとしたら、皆様はその方に対して、たばこを吸うのをやめてくれとか、たばこを外で吸ってくれとか、たばこの吸えない店に行きましょうとか、おっしゃっていただくことはできるのでしょうか。企業や飲食店においてもこれは同様です。企業の社員は上司に対してたばこをやめてくれとはなかなか言い出せない場合もあるでしょうし、飲食店の従業員はお客さんに対してたばこを外で吸ってくれと言うのも勇気が要る場合もあるでしょう。
 このことは、私たち、がんを始めとするさまざまな疾病を抱えながら仕事をし、生活をする方々にとっては、なお言いづらいことでございます。飲食店に勤務されている方の中には、せきがとまらなくなり、病院を受診したところ、店をやめるか店内禁煙にするか選ぶよう医師に言われたと語る人もいます。
 働く人たちの健康と命を守るためにも、今回、法律を成立させるのみならず、さらなる実効性のある受動喫煙対策を推進していただきたいと願います。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 天野慎介

speaker_id: 22279

日付: 2018-06-15

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会