黒澤一の発言 (厚生労働委員会)
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○黒澤参考人 おはようございます。東北大学の黒澤と申します。
私は、呼吸器科医、それから現在は大学の産業医をしております。専門はCOPDという病気でありまして、たばこでなる病気であります。現在、我が国では五百万人を超える患者がいると推計されておりますけれども、たばこを吸わなければ、ならない病気です。
私、実は資料を用意しておったんですが、できたのがさっきですので、皆さんにお配りできておりません。大体A4で八枚ぐらい意見書を書かせていただいております。産業医というのは意見書を書く仕事でありまして、意見書を書かせていただいておりますので、事務の方にお願いしてありますので、後でお配りいただければと思っております。
かいつまんでお話しさせていただきます。
まず、たばこと申しますのは、先ほど来ありますように、予防可能で、しかも、最大でかつ単一の疾患リスクである。
また、受動喫煙は、もうこれは健康に影響があるということは科学的に明らかなものであります。
それから、もう一つ忘れていけないのは、ニコチンの依存症。ニコチンの依存症、これも非常に無視できない問題で、ニコチン依存というのは、たばこを吸っている方ですと、もう一〇〇%ニコチン依存になっていると思っていただいていいと思います。ニコチン依存症では、例えば、うつ病が多いですとか、自殺が多いですとか、あるいは、私の範疇でいいますと、労災を起こすリスクが多いですとか、いろいろなことが危険視されております。
例えばCOPDでも肺がんでも、いろいろな疾患リスクがあって、こういうことが日本の社会の中で、例えば将来の介護負担ですとか少子高齢化というのは非常に大きい問題で、次世代に介護の負担ですとか医療費の負担、そういうものを非常に大きく負荷してしまう、あるいは、その人の病気の不幸、あるいは、こういうことによって呼吸器科医は非常に過重労働に陥るということになってしまいます。
ですから、予防ということが物すごく大切なことになってくると思います。私どもにとってというよりも、日本の社会にとって非常に重要なのではないかというふうに思います。
今回の法案を拝見しましたが、実は東北大学も完全禁煙にしております。敷地内は、二〇一一年から、職員と学生数も三万近くいるというような大学ですので非常に広いんですけれども、全キャンパス禁煙です。
その禁煙の措置から見ますと、今回の措置というのは、中間段階といいますか、そういうものであります。ですから、今回の法案の位置づけとしては、中間的なものというふうに言えると思います。
オリンピックが近いですとか、いろいろな事情を理解いたしますので、たばこについての問題を長期的にどう考えるかという、国のそういう姿勢というものが問われているんじゃないかと私は思います。
ですから、ここでぜひ、国の姿勢というのが、国際的に見ても、しっかり日本というのはたばこのことを考えているんだというふうなことを認識されるようにしていただきたいなというふうに思います。
ですから、今回のことは中間的なことということで私は認識いたしますので、最終目的として、やはり完全禁煙というところに向かうべきであろうというふうに思います。
五年先に見直しということが書かれてありますけれども、五年でなくてもいいと思います。これはまずいと思ったらすぐ見直しをするというようなことを、ぜひ法案の中にも盛り込んでいただきたいというふうに思うわけです。
それからもう一つ、喫煙所の設置ということがこの法案の中に書かれてあります。喫煙場所を設けるということですね。それから、条件を備えた喫煙場所の設置をするとそれに対して予算的な措置といいますか、これは労働安全衛生法の改正案でも補助金というようなことがありましたが、これはよく考えますと、反対ではないかと思うんです。
つまり、喫煙場所を設けた人にそのようなお金を補助するというのではなくて、むしろ、完全禁煙にしたという方が褒められるべきであり、完全禁煙にした方に何らかのインセンティブとか優遇措置ですとかそういうのを与えないと、日本の受動喫煙対策というのは進んでいかないんじゃないかというふうに思うわけです。
安衛法の改正のときにも少しお話しさせていただいたことだったんですけれども、そういう喫煙場所をつくるというのは、喫煙場所をつくるとたばこを吸っている人はやめる機会を失ってしまうわけです。吸えるところがあると、たばこを吸う人はやめない。幾らやめようと思っていても、吸える場所があるということでやめる機会を失ってしまう。
ですから、喫煙場所をつくるということは、喫煙率を下げるですとか受動喫煙を防ぐですとか、そういうことに非常に逆行するようなことになります。それに国が補助をつけるということは、私は反対のことではないかというふうに思います。
東北大学が完全禁煙になっていますので、完全禁煙している東北大学にインセンティブや優遇措置をつけろというふうに聞こえるかもしれませんけれども。
飲食店とかでも、完全禁煙にした飲食店、あるいは、勇気を絞ってここは禁煙にしたいといって頑張った飲食店に対して、喫煙場所をつくった飲食店に補助を与えるんじゃなくて、完全禁煙にした飲食店に対してよくやりましたということで何らかの措置をするという方が、禁煙を進めるということでは意味のあることではないかというふうに思うわけです。
あと、時間もありますので、詳しくは私の書いた意見書をごらんいただければと思うんですが、加熱式たばこについて例外規定が設けられております。
私は、もちろん、加熱式たばこに有毒成分が含まれている、それからニコチンが含まれているということで、この加熱式たばこもたばこと同じに扱うべきというふうに思っています。
また、有毒性といいますか害がわからないというようなこと、これも、そう言われていることは承知しています。実際どういう病気が起こるかというのはわからないわけであります。
しかし、ちょっと基本に立ち返ってみますと、たばこ事業法のもとで売られているものであります、加熱式たばこというのは。食品安全委員会ですとかPMDAですとか、そういうところで審査された商品ではありません。
ですから、たばこと同じに扱って全然いいわけでありますので、もし従来のたばこと違う扱いをせよということであれば、たばこ事業法から離れて、国のしかるべき機関で安全性を審査していただくとかいうようなことをちゃんとしてから売っていただく。国もきっとそこから税金を取っているんだと思うので、安全性を担保して売っていただくということが私は本来の筋じゃないかというふうに思います。
いろいろ論点がございましたので、詳しくは意見書に書かせていただいております。後でごらんいただければと思います。
これで私の意見を終わります。(拍手)