片峰茂の発言 (厚生労働委員会)

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○片峰参考人 長崎大学名誉教授の片峰と申します。よろしくお願いいたします。
 現在、厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会の座長を務めてございます。この医師需給分科会は、平成二十七年十二月に設置されまして、今日まで二年半にわたりまして、医師の需給の推計、それに基づきます医学部の定員のあり方、そうした医師偏在対策について議論を重ねてまいりました。この間、三回にわたりまして中間取りまとめを公表したところであります。
 とりわけ医師偏在対策に関しましては、昨年十二月の第二次中間取りまとめで対策案を提言いたしました。この内容が今回の医療法・医師法一部改正案の一つの下敷きになっているというふうに考えてございます。その概要は、きょうお配りしました資料にありますので、ごらんいただければと思います。
 本日は、この第二次中間取りまとめに至る分科会における議論の経緯、これを御説明することで参考人としての責を果たしたいと存じます。
 現在、医学部定員は全国で約九千四百名、過去十年間に千八百名もの急激な増員を見ております。そのうちの約一千十名が緊急医師確保対策及び新成長戦略による臨時定員増であります。また、千五百名がいわゆる地域枠の学生でございまして、増加分の八割以上を占めているという状況でございます。
 次に、分科会で行ってまいりました最新の将来の医師需給予測について説明申し上げます。日本全体、マクロの推計、予測ということで御理解ください。
 医師数は、先ほど申しましたように、急速に今増加中でございます。現在、人口十万人当たりの医師数は約二百五十名ということで、このまま推移いたしますと、七年後の平成三十二年にはOECDの加重平均値を上回ります。
 現在の医学部定員九千四百名が維持される、そういうことを前提にいたしまして、将来の医師需給予測を行いました。とりわけ、需要における大きな変動要因として、働き方改革、これによる医師労働時間の短縮を勘案いたしました。
 御承知のとおり、現状での病院勤務医の週当たりの平均労働時間は大体五十六時間ということで、いわゆる過労死ラインと言われる六十時間を超えて働いている医師が三〇%以上存在するというのが現状でございます。したがいまして、まず、週の労働時間を六十時間に制限するということを仮定いたしますと、医師需給は二〇二八年に需要と供給が均衡いたします。さらに、五十五時間に制限すると仮定いたしますと、それでも二〇三三年には均衡して、それ以降は医師過剰となるという予測でございます。
 一方で、大きな問題が医師の偏在であります。
 全都道府県で、この間、医師数は増加しておりますけれども、増加の程度には差がございます。そして、何より、二次医療圏間の格差が顕著でありまして、医師数が近年かえって減少したという二次医療圏も存在するということで、この格差が著明に拡大傾向にあるということだろうと思います。
 それから、診療科間におきましても、他の診療科に比較しまして、一般外科、産婦人科の増加割合は極めて低うございまして、診療科間の格差も拡大の一途という状況ではないかと思っております。
 要するに、問題は、医師数の増加あるいはマクロの医師需給予測結果にもかかわらず、地域における医師不足感は解消していないということであります。
 そのような背景に基づきまして、分科会におきましては、これまでにない新しい観点を取り入れて偏在対策を議論いたしました。
 この新しい新たな論点、一つは、客観的事実に基づいた議論をしようではないか、さらには、今後、偏在にかかわるもっと詳細なデータが必要である、そういった議論が一つであります。そして、これまで無視されがちであった、医師偏在により医療から疎外されつつある被保険者、その視点も取り入れた議論も行いました。さらに、マクロではなくてミクロの課題対応に向けた地方行政の責任と権限強化の観点も取り入れました。そして、これまでほとんど議論されていなかった地域の外来医療の偏在問題、ここにも切り込んだというあたりでございます。
 第二次中間まとめの重要なポイントを幾つかお示しして、今後の課題についても述べたいと思います。
 まずは、先ほど申しました、客観的事実に基づく議論の重要性に言及したことであります。
 医学部卒業生のうち、地元出身者が極めて高い地元定着率を示すという事実、これに基づきまして、地方行政が医学部入学定員に地元枠の増員を要請する仕組みを導入する、これが一つの重要な例ではないかと思います。
 それから、先ほど申しましたように、分科会の議論に基づきまして、今後、医師偏在にかかわるさまざまな指標がミクロの観点からもデータベース化されることが予想されます。これに基づきまして、今後、偏在対策のPDCAサイクルがより適切な形で機能することを期待したいと思っております。
 二つ目に、都道府県の責任と権限の強化を明記したことであります。
 都道府県知事に、医師過剰地域と医師不足地域を明確化した上で、医師確保計画を策定し、医師対策協議会等のガバナンス体制を強化する責任を課します。その上で、知事による医学部への地元枠設定、増員の要請、臨床研修病院の指定と定員設定、専門医機構への地域の専門医枠についての意見具申、これを可能にすることを提言したわけであります。
 こういった改革が実効性を持つために最も重要なポイントは、都道府県の医療行政能力の向上であろうと思っております。その意味では、国の支援が欠かせないと考えます。さらには、県内の医育機関、大学との有機的かつ密接な連携が欠かせないし、さらには、県境を越えた自治体間の連携も重要ではないかと思っております。
 三番目に、これまでの医師の自由意思を尊重した対策から一歩踏み出し、医師の配置に新しい制度的枠組みを導入することを提案したことも特徴でございます。
 例えば、地域医療に一定期間携わった経緯を国が認定する、そのことを一部の医療機関の管理者要件とするという点、さらには、先ほども申しましたけれども、地域の医師配置における都道府県の権限を強化した点等々でございます。このことは、いわゆる被保険者の視点からの対応という観点から、一つの形ではないかというふうに思っております。
 今後の課題でございますけれども、医師偏在対策と若手医師の志あるいはキャリアパスに関する自主性、この両立をいかに図っていくかというところにあるのではないかというふうに思います。
 そのためには、地域の病院の労働あるいは研修環境をもっと整備する必要がありますし、卒前卒後の医学教育を通して医師の行動変容を促す必要があるというふうに思っております。そのためには、行政、医育機関、大学、医療機関の持続する強固な連携が不可欠であると考えております。
 最後に、分科会では最終合意が得られず、先延ばしした論点がございます。
 一つは、専門研修における地域別定員の設定の是非であります。二つ目が、認定医師、地域で働いた医師を認定する認定医師なんですが、それを管理者として評価する医療機関、この範囲をどうするかという点が二つ目。それから三つ目、無床診療所、外来診療所の開設に係る制度的枠組みを導入することに関する是非、この三点に関しましては、最終合意が得られずに両論併記という形になってございます。
 これらの論点を含めまして、今回の偏在対策の効果あるいは今後整備されるデータベースに基づき、更に踏み込んだ偏在対策を早急に講じる必要があるというふうに考えてございます。
 以上、医師需給分科会の議論を踏まえた今回の医療法及び医師法の一部改正案は、本質的かつ実効性のある医師偏在対策に向けた大きな最初の第一歩であるというふうに考えております。御審議をよろしくお願いしたいと思います。
 以上です。(拍手)

発言情報

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発言者: 片峰茂

speaker_id: 14607

日付: 2018-07-13

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会