三宅養三の発言 (厚生労働委員会)

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○三宅参考人 三宅でございます。
 きょうは、医療法及び医師法の改正案に関しまして、特に医師偏在に絞って、大学の立場から意見を言わせていただきたいと思います。
 この改正案でございますけれども、現状を踏まえてよく練られておりまして、その対策も盛り込まれておりまして、それなりに評価できるのでありますが、やはり具体的なことで非常に難しい問題も多々抱えているように思えます。
 私は今まで、大学というところで五十年以上仕事をしてまいりました。大学人として、いろいろな経験を持っております。
 昭和四十二年に名大を卒業しまして、しばらくしてからハーバードに三年行きまして、二〇〇五年に名大を退官しまして、その後、国立病院機構の東京医療センターの研究所の感覚器センターに二年おりまして、二〇〇九年から愛知医大に来まして、現在、理事長をやっております。来年の一月からは神戸の理研の直轄のアイセンターの理事長をすることになっておりまして、ずっと大学に近い畑で歩いてまいりました。
 一九七六年に、私、ハーバードに三年ほどおりまして、四十二年前でございますけれども、ともかく日本の医療と比べて臨床、研究ともにすばらしいものがあるというカルチャーショックを受けて帰りましたが、その後、ずっと日本で研究、臨床をしておるうちに、日本もこれはすばらしいところのある国だということをしみじみ悟ってまいりました。
 実際、一九〇〇年代になりまして日本はぐんと発展しまして、御存じのように、医療は、WHOの試算によりますと、世界で一番になりました。それから、医学も、私は眼科でございまして、その論文数、英文のいい論文の論文数でずっと評価しましたところ、ずっとアメリカがトップでありまして、日本は一九九〇年代には二位に、アメリカ、日本、イギリス、そういう順になりまして、こんな小さな島国、資源もない島国で、どうして医療が一位で医学が二位なんということがあり得るかということが欧米で非常に研究材料になったような時期でございました。
 しかし、これもそんなに長くは続きません。二〇〇〇年を過ぎますと、特に日本の研究が落ちてまいりまして、それからいわゆる大学力が低下してまいりました。これはいろいろな原因がございます。例えば、経営が物すごく厳しくなって、経営ということに物すごく重点を置かなければいけない。それから、国からの補助金もぐんぐん減ってまいります。消費税もございますし、それからいろいろな規則もできてまいりまして、規則が厳しくなる。医療安全であるとか倫理とかいろいろなものができてきて、それで、結局、大学でずっと研究、診療しながら、それほど魅力を持って、あるいは生き生きとできないような状態になってきて、その結果、大学離れが頻繁に起こるようになりましたし、それから一番顕著なのは、今、留学者数が激減しております。
 このような、大学が低下してくるということは、これは本当に大事な問題で、僕のように五十年おりますとはっきりそれが見てとれるわけですね、大学力が下がってくる。
 それで、今回のキーワードでございます。私のここのキーワードは、教育機関である大学が機能しないことにはきょうのテーマもうまくいかないのではないか、しかし、大学としての機能はこれ以上落とせない、こういう二つの問題がキーワードなんです。
 まず、地域医療対策協議会。これは、都道府県、大学、医師会が込みになっていろいろ練るわけで、これは非常に重要な役割を果たすわけでございますけれども、これにも、やはり人を動かすことが基本になりますので、十分に大学の意見を取り入れて、大学のことを考慮しながらこの会を進めていかなければならないだろうと思いますし、それから、医師養成過程。この地域枠は極めて重要でございますし、現在行われておるのでありますが、これも、大学にはできるだけ負担がかからないようにしたい。それから、この地域枠自身も、大学にとって非常に役に立つということでやっていくことが非常に重要ではないかというふうに思っております。
 それからもう一つ重要なことは、専門医制度と地域医療の関係でございます。
 あえて言いますと、専門医制度というのは、専門性を持った医師をつくるということと医学という学問のために専門医制度というものはできたわけでございまして、これは地域医療のためにあるものでは必ずしもございません。ですから、地域医療はあくまで行政の問題でございまして、しかし、新専門医制度によって地域医療が悪化することは避けたいというふうに考えておるわけでございます。そのためには、専門医機構というものが非常に責任のある状態になるわけでございます。
 現在、先ほども話がありましたけれども、医師数はずっと増加しておりまして、十八大学ができたことと同じぐらいの医師数が増加しておる、それにもかかわらず医師偏在はますます顕著になっておるということが現状でございまして、これは、平成十六年に始まりました新医師臨床研修制度が地域医療の崩壊に大きな影響をしたのではないかということが一般的に考えられております。臨床研修医と卒業生が都道府県にとどまる率が激減いたしまして、大学に人が残らなくなったというのが大きな原因でございます。
 米国やドイツのように、学会と医会とが一体化しておりまして、自分たちの権益を守るために、自浄的に地域の医師と数をコントロール、診療科をコントロールする、こういうシステムをやっている諸外国もございますけれども、これも日本では一つの方法として考えるべきであろうと思っております。
 さて、最後になりますが、医師の偏在、これは、大学がどのように動くかによって大きく影響されてまいります。しかし、それによって大学の機能低下を招くことは、日本の医学、医療にとって更に深刻な事態になるということを私の締めくくりの言葉といたしたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 三宅養三

speaker_id: 19300

日付: 2018-07-13

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会