佐藤聡の発言 (国土交通委員会)
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○佐藤参考人 おはようございます。DPI日本会議事務局長の佐藤聡です。本日はお招きいただき、ありがとうございます。
バリアフリー法改正法案に対する私の意見を述べさせていただきます。
まず、積極的に評価できる改善点は二点です。
社会的障壁の除去が入り、障害者権利条約の社会モデルの考え方が導入されました。これを更に充実させるために、障害者基本法と障害者総合支援法にはある、「等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、」を加えていただきたいと思います。
二つ目は、障害者を構成員とした定期的な評価会議が新設されたことです。
障害者権利条約の精神であるナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たち抜きに私たちのことを決めないで、これを実現する取組として大いに期待しております。検討段階からの当事者参画と評価をぜひこの会議で実現していただきたいと思います。
続きまして課題です。
一つ目は、移動の権利と移動の連続性の確保の明記が必要だと考えます。
障害者権利条約一般的意見二号では移動の権利を明確に認めています。条約の理念を国内法に反映させるために、バリアフリー法に移動の権利を明記することが必要です。
また、移動はさまざまな交通機関を連続して利用するものですが、障害者に関しては移動の連続性が確保されてきませんでした。鉄道の乗り継ぎ、鉄道からバスへの乗り継ぎ、タクシーへの乗り継ぎ等ができなかったり、極端な遠回りをしなければならなかったりということがあります。これを改善するために、基本理念に移動の連続性の確保をぜひ加えていただきたいと思います。
二つ目は、障害者の定義を、障害者基本法、障害者総合支援法に合わせて、心身の機能上の制限を受ける者とすべきです。
改正法案では「身体の機能上の制限を受ける者」となっており、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難病等が含まれておりません。これでは障害者基本法とそごが生じており、日本の法制度には障害者の定義が二つ存在することになります。障害者基本法、障害者総合支援法に合わせた定義にすべきです。
三つ目は、障害者差別解消法の環境整備の実現です。
障害者差別解消法第五条では、社会的障壁を除去するための環境整備を行政機関と事業者に求めております。改正法案では社会的障壁の「除去に資する」と入っており、社会的障壁除去のための合理的配慮の環境整備を進めることは必要不可欠であり、バリアフリー法で環境整備を明文化することが必要です。
四つ目は、小規模店舗のバリアフリー化を進めるために、捕捉率を踏まえた施策が必要です。
日本では、車椅子三人集まりますと、御飯を食べに行こうとすると、何を食べるかではなく、どのお店なら入れるかで選んでいます。車椅子で入れるお店が極端に少ないためです。
私は昨年アメリカに行ったんですけれども、ほとんどの店舗が車椅子で入店できました。食べたいもので自由にお店を選ぶことができ、人間とは本来こんなに自由なものなのかと初めて気づかされました。これは、ADAによって小規模店舗もバリアフリー化が進んだ成果です。
日本は、床面積二千平米以上の特別特定建築物しかバリアフリーの整備義務がありません。二千平米以上という基準は一九九四年のハートビル法から変わっておらず、デパートや大型のショッピングセンターくらいしか含まれません。さらに、店舗内のバリアフリー整備は義務づけられていないため、デパートの中のお店でも、段差があって入れないところがたくさんあります。日本の店舗のうちバリアフリー化されて入店できるお店は一体何%あるのか。実態の把握が必要です。
東京都が二〇一七年に実施した飲食店調査では、床面積百五十平米以下の店舗が八五・九%でした。これから見ても、二千平米以上だけを整備しても、入れるお店は数%にしかなりません。
例えば、入店可能なお店を五〇%以上にするというような目標を定め、そのために床面積何平米以上を義務づけるという、捕捉率を踏まえた施策が必要です。
五点目は、公共性の高い地域施設として、学校のバリアフリー化の推進です。
私は一九九五年の阪神・淡路大震災のときに兵庫県宝塚市に住んでおりましたが、障害者の友人は避難所となっていた地域の小学校に行ったんですが、入り口は階段しかなく、車椅子で使えるトイレもなかったため、避難所には入れませんでした。東日本大震災、熊本地震でも同じ事例が報告されており、この問題は改善されておりません。
誰もが避難できる避難所とするためにも、公共性の高い地域施設として、学校のバリアフリー化が必要です。大雨被害で三階以上に避難する事例もあり、体育館だけでなく、学校全体をバリアフリー化しなければなりません。特別特定建築物に一般の学校を含め、基準適合義務を課すことが必要です。
六点目は、地方のバリアフリー整備の推進です。
国交省がまとめた「平成二十八年度駅のバリアフリー化状況」によると、一日の乗降客三千人以上の駅のバリアフリー化は八七%でしたが、三千人未満の駅のバリアフリー化は二〇・八%にとどまっており、地方のバリアフリー整備が極端におくれていることがわかります。障害者権利条約第九条では都市及び農村の双方においてバリアフリー整備を求めており、地方のバリアフリー整備を推進する施策が必要です。
改正法案では、マスタープラン、基本構想は努力義務化されておりますが、積極的な一部自治体以外は改善されないのではないでしょうか。三千人未満の駅も含めた地方のバリアフリー化が進展する施策が必要です。
さらに、改正法案ではハード、ソフト一体的な取組が掲げられておりますが、近年増加している無人駅ではソフト対策は不可能ですので、ソフト対策のための人員配置が必要です。
七番目は、駅ホームからの転落防止と単独乗降の実現です。
ホームからの転落を防止するために、ホーム柵、ホームドアの設置を義務づけることが必要です。さらに、車椅子での単独乗降を可能とするため、数値目標を定めて、ホームと車両とのすき間と段差の解消に努めることも必要です。
大阪市営地下鉄千日前線は、一九六九年に開業した古い路線にもかかわらず、段差二センチ、すき間三センチ以下を目標に整備を進め、ほとんどの駅で実現し、車椅子での単独乗降が可能となっております。
最後に、一九九〇年代まで日本は、駅にエレベーターはなく、バスも階段で、車椅子では公共交通機関はほとんど使えませんでした。しかし、今は都市部はほとんどの交通機関が使えるようになり、どこにでも自由に行けるようになりました。わずか二十数年で劇的に変わり、まるで別の国のようです。これはバリアフリー法の成果です。
国交省の皆さん、国会議員の皆さん、事業者の皆さん、関係する皆さんに、改めて感謝申し上げます。
バリアフリー法は、日本を変えるとても重要な法律です。地方を含め日本全国がユニバーサルな社会になるように、世界の基準を取り入れ、整備がおくれている分野を改善するなど、より一層の取組をお願い申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)