内田晶夫の発言 (財務金融委員会)

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○内田参考人 御紹介いただきました内田と申します。
 まず、このような、航空産業のみならず、観光問題に非常に大きな影響を与えるであろう新税に対して意見陳述の場をいただいたということについて、感謝を申し上げたいと思います。
 今からの意見陳述に際しまして、まず私のバックグラウンドを少しだけ御説明させていただきたいと思います。それは、どういうスタンスで意見を述べるのかということについて御理解をいただきたいということです。
 まず一点目は、私、特定の企業であるとか団体を代表してこの場に立っているということではないというふうに考えております。
 ただし、私の今までのキャリアでいいますと、八〇年代に全日空に入社をいたしまして各部門を経験してまいりましたので、航空会社の実務全般についてはほぼ理解をしているというふうに考えております。
 あと、九〇年代になりまして、当時、航空会社大手三社の共通の問題が幾つかありまして、そういった共通の問題をどう解決していくのかということで、今は定期航空協会と言っておりますけれども、そういった業界の団体を設立しようではないかということになりまして、それを設立をしたというようなメンバーで仕事をしてまいりました。
 そういう意味では、当時、航空業界の課題であった、例えば規制緩和であるとか、税制のあり方であるとか、空港のあり方であるとか、そういったことについては、研究をした上で、監督官庁の運輸省の方々への説明であるとか、当時自民党の航空部会の方であるとか、あと、細川連立政権にかわりましたので、各政党のそういった関係の方への御説明をしてきたという経験がございます。
 あと、二〇〇〇年代になりましてからは、シンクタンクがやはり要るのではないかということでANA総合研究所をつくりまして、特に首都圏の空港のあり方であるとか羽田の国際化であるとか、そういったテーマについての研究をやってきた。今回は、そういった経験をもとにした自分の意見を述べていきたいというふうに思います。
 あと、あわせて、山内先生のようなアカデミックな話ではなくて実務が中心になるとは思いますけれども、一部、研究をしたということで申し上げますと、九〇年代にハーバードのケネディ・スクールというところで、八〇年代に起こったアメリカの規制緩和と航空会社のあり方というものを研究しておりましたので、そういったものを後ほど踏まえて意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 では、早速ですけれども、先ほど山内先生の方から、検討会の内容、スキームについての御説明がありました。私は、それを踏まえて、個別のテーマについてどう考えるのかということを幾つかのポイントで御説明したいと思います。
 一点目は、税率についてです。今のところ、千円という案になっているというふうに伺っております。これを決めるに当たっては、三つのポイントがあるということで御検討いただいたと。
 一点目が、必要となる財政規模、財政需要、そこがどれぐらいあるのかということで決めていくんだろう。二点目が、近隣の、アジアの諸外国の空港との競争力、こういったことかなというふうに伺っております。三点目が、これも重要だと思いますけれども、そういった千円を徴収することが、航空需要、インバウンドの需要、日本から出ていく需要にどのような影響を与えるのかというところが大きな論点。その三つだというふうに伺っております。
 その中で、とりわけ、私は、二〇〇〇年の二月に航空法が変わりまして、いわゆる運賃の自由化のときに運賃政策をやっておりましたので、そのときの経験を踏まえて申し上げますと、千円は国際の運賃全体の総額に与える影響としては極めて限定的、ほぼ影響はないのではないかというふうに考えております。
 今回の検討の中でも、近隣の、韓国は九百円台ということで千円近い形というふうになっておりますけれども、ほかのアジア、例えば台湾であるとか中国であるとか香港というのは千円台でも後半、二千円弱というふうになっておりますし、性格が違うものの、現在の成田空港の旅客施設利用料と保安施設利用料を合算しますと、第一、第二ターミナルでは二千六百十円、LCCが利用します第三では千五百四十円になっておりますけれども、いずれにしろ千円よりは大幅に大きな金額になっておりますので、千円でなければ需要に影響を与えるかということについては、もう少し高い金額でも問題は大きくならないのではないかというふうに考えます。
 ただ、これは、最初小さく産んで、後に大きくしていくのか、そういうような考え方等についてはあり得るかなというふうに思います。
 あと、もう一点は、千円を一律に徴収をするのか、特定の需要に対してはまた別の金額を徴収するのかということもあり得るのではないかなというふうに考えています。
 そもそも、航空の全体のスキームでいいますと、例えばファーストクラスがあり、ビジネスクラスがあり、エコノミークラスがある。一九九〇年代の後半から始めました国内でのマイル制度というのがありますけれども、これは御存じだと思いますけれども、ヒエラルキーをつくりまして、上の方のダイヤモンド会員であるとか次の会員層であるとかというのが受けるメリットというのは、また桁違いなものがあります。
 そういう意味でいうと、モノクラス、単一の料金体系、サービスではなくて、三段階というのは、それは航空需要のいろいろなスキームの中では普通にありますので、そういった料金設定もあり得るのではないかなというふうに考えます。
 諸外国の事例はいろいろあると思いますけれども、例えば一番わかりやすい例でいいますと、ロンドンのヒースロー空港に行きますと、やはりファストレーンと言われる、スピード感を持って入れるレーンがあります。例えば、混雑期の比較なんかでいいますと、一般のレーンに行きますと二、三時間、手続にかかってしまうものが、そういった特定のレーンに行きますと五分、十分でできる。
 これは、特定の人間だけを理由もなく優遇するというわけにはいかないと思いますけれども、例えば、そういったものにふさわしい料金の負担をしている方たちとか、先ほど申し上げたような、例えばファーストクラスの欧米ロングでいいますと二百数十万円というような水準ですので、運賃自体も大きな負担をしていただいている、ビジネスクラスでも数十万から百万ということですので、そういった運賃の負担額をより積む中で、特定のサービスを受ける権利としてファストレーンをつくっていく、こういうような考え方はあるのではないかな。
 これは、今回のテーマの中でも取り上げられている、使途として、やった上で利用者満足度をどう向上させるかといったときの、利用者を先ほど申し上げたような幾つかに分類するという考えが持てるのであれば、時間的な価値を非常に重視するビジネスマンの方であるとか特定の方に対してそういったレーンを用意する、そのためにはもっと増額をした料金設定をしていくということはあり得るのではないのかな。これはイギリスの例なんかでも示していることかなというふうに思います。そこが、税率に関する私が考えるところであります。
 次に、受益と負担のあり方というところで、いろいろな今までの国会での質疑であるとかの議事録、また、検討会の資料を拝見した中で、ちょっと誤解というんですか、わかりにくくなっているかなと思いますのが、やはりネーミングとして国際旅客税ということになって、国際観光旅客というその観光がついているために、ビジネス需要の受益とは何だというところが、一部はみ出すというんですか、どうカバーするのか。ネーミングではちょっとカバーできないものをどうカバーするのかというところが一つの論点になっているのかなというふうに思います。
 結論的には、私は、日本人、外国人にかかわらず、また、渡航の目的にかかわらず、全員から取ることが適切ではないのかなというふうに考えます。そこは、次の段階で、より大きな財源をつくることで、次のサービスモデルがより充実したものになっていくだろうというふうに考えることが一つです。
 渡航に際しての充実すべきテーマは、一点目は、何といっても出入国の手続の簡素化であるとか、特に外国人の方が来られて、いろいろな空港で、長蛇の列で入国までの時間を非常に使っているというところは、航空会社がいろいろ取り組んでいる。IT技術も使いながら、空港に来るまでの時間をすごく短縮しているんですね。だから、空港に来るのは出発までの非常に短い時間でいい、この方が利便性が高いということでいろいろなスキームをつくっているんですけれども、ないしは、到着した後、そんなに時間があると、そこで幾ら短縮をしたとしても、トータルの満足度というのはやはり非常に下がってしまう、それが、ひいては、日本に行くと何か不便だなということでリピーター需要に歯どめがかかってしまう、こういったことにもなりかねないと思いますので。
 そういう意味では、いろいろな空港との比較の中で、本当に世界で一番便利な入出国の手続だなと言われるような水準をつくっていただきたいと思いますし、そのためには一定の財源が必要だというふうに思いますので、そういった工夫が要るのではないかというふうに思います。
 あとは、サービスモデルは、先ほど申し上げたように、一律のサービスにするのか、特定の階層をつくっていくのかというところは大きなテーマだということだと思いますので、その論点も御検討いただければありがたいなというふうに思います。
 続いて、今申し上げたようなサービス水準で、どういったレベルを目標にしていくのか。これは、使途としてどういうものに使っていくのか、そういった使い道というものと同時に、そのレベル感をどういうふうにしていくのかというところは非常に重要だと思います。
 今申し上げたように、アジアで一番便利だというレベル感を求めるのであれば、やはり財源としても大きなものが必要になるだろうというふうに思いますし、その財源を膨らますには、先ほど申し上げたような、一人当たりの単価を、本当に千円でいくのか、段階的で、もっと高いものをつくっていくのかというところは、すごく重要になると思います。
 もう一個は、財源を拡大するためには、一人当たりの単価掛ける人数をどうふやすか。先ほどから、四千万人、六千万人という数値目標、数値のお話もありましたけれども、六千万となったときのボトルネックになるのは、やはり航空輸送力のあり方だというふうに私は思います。
 先ほど、一九八〇年代のアメリカの規制緩和後の航空業界を研究したというお話をしましたけれども、例えば、今アメリカに、ジェットブルーという、昔からいうと大手ではない会社があります。そこは、今、おおむね二百機程度を使って、毎日運航しているロードファクター、利用率が八五%を超えるような高水準を維持している。それだけ需要を獲得している、利用者を確保している、こういう事業になっています。
 翻って、日本の場合、特にLCCと呼ばれ始めたのはここ数年ですけれども、以前は新規航空会社というカテゴリーで、例えば発着枠を配分されるときにも、大手と別枠で、新規と呼ばれる航空会社にどういうふうな発着枠を配分していくのかというのが行政上のテーマでやっていた。そのときに、新規と呼ばれるのはやはり十数機という規模というのが定義ということでありまして、今申し上げたような二百機であるとか百機とかいう単位とは全く違う事業規模。現時点で見ましても、そういったカテゴリーに属する日本の会社は非常に小規模だということになっていると思います。
 欧米、アジアの例を見ましても、大体LCCのシェアというのが三割程度というのが一般的だというふうに思いますので、三割程度に膨らますことによってそこに輸送力が確保されて、利用者としましても、大体、これは経験値の、実感だけの、統計的な裏づけがある数値じゃありませんけれども、おおむね価格を重視する利用者の方というのが三割ぐらいいらっしゃると思っています。そういう意味でいうと、安い方がいいよねと求める方の三割の利用者を、そういった安い価格が提供できる事業者、航空会社が担っていくということが、六千万人規模の輸送を確保するためにはどうしても必要になってくる政策ではないのか。
 そのときに、先ほど申し上げているような百機、二百機規模の、そういった事業会社を日本でどうつくっていくのかというところは、規制緩和であるとか、事業をどうバックアップするであるとか、そういうところで考えていくべきテーマかな。今回の税制とは直接は関係ありませんけれども、そういった財源の規模を大きくしていくためには、そういった事業者の成長を促すというところは必要な政策ではないかなというふうに考えております。
 最後になりますけれども、全般の需要を膨らますためには、やはりリピーターをどうふやすのかということと、新規、日本に行ってみようかなという方たちをどうふやすか。
 そのためには、実際、日本に来られた方が、日本に来てよかったなという満足度を得て、それがリピーター化をするし、よかったなと思えばSNSの世界で口コミが広がるような、推奨というふうに言いますけれども、周りへの伝播がいい評判として上がっていく。この二つがリピーターと新規需要には欠かせないということで、ぜひとも、そういった満足度が上がるような使途等々を考えていただければというふうに考えます。
 私は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 内田晶夫

speaker_id: 1295

日付: 2018-03-02

院: 衆議院

会議名: 財務金融委員会